Solaris のシステム管理 (第 3 巻)

その他の移行機構

先に説明した方法では、デュアルノードと IPv4 ノード間で相互運用をします。その場合、デュアルノードには IPv4 アドレスがあります。また、IPv6 専用ノード (また IPv4 アドレスのないデュアルノード) と IPv4 専用ノードの間では先に説明した方法は相互運用ができませんでした。ほとんどの実装はデュアルにできますが (デュアルかどうかはコードのメモリーフットプリントだけの問題)、現実には、IPv4 専用ノードとの相互運用が必要なすべてのノードごとに 1 つのアドレスを割り当てるのに充分な IPv4 アドレス領域があるかどうかが問題です。

次に、新しい移行機構がなくても相互運用を実現できる方法を示します。

残念ながら、ALG と NAT のどちらの方法も、弱点があります。これらの方法を使用すると、インターネットの基盤がかなり弱まります。IETF では、IPv6 専用ノードと IPv4 専用ノードとのより良い相互運用性のために努力しています。1 つの提案としては、必要に応じて IPv4 互換アドレスを割り当てる方法でヘッダートランスレータを使用する方法があります。別の方法としては、必要に応じて IPv4 互換アドレスを割り当て、IPv6 トンネルで IPv4 を利用して IPv6 ルーターをブリッジできます。

ステートレスヘッダートランスレータでは、使用中の IPv6 アドレスを IPv4 アドレスとして表現できれば (IPv4 互換か IPv4 マップアドレスであること)、IPv4 ヘッダーフォーマットと IPv6 ヘッダーフォーマットの間の変換が可能です。変換時に情報が失われないよう暗号化されているパケットや、ソースルーティングなど使用頻度の低い機能を除外することで、これらトランスレータのサポートが IPv6 プロトコルに組み込まれています。