Solaris のシステム管理 (第 3 巻)

IPv6 ノードを有効にする

この節では、IPv6 ノードをネットワークで設定するときに必要な手順について説明します。


注 -

この節で「ノード」という用語は、Solaris サーバーまたはクライアントワークステーションを指します。


IPv6 ノードを有効にするための作業マップ

表 17-1 IPv6 ノードを有効にするための作業マップ

作業 

説明 

操作方法の掲載個所 

ノード上の IPv6 を有効にする 

hostname6.interface ファイルの操作、アドレスの表示、/etc/inet/ipnodes ファイルへのアドレスの入力 (「注」参照)

「ノード上の IPv6 を有効にする方法」

Solaris IPv6 ルーターの設定 

indp.conf ファイルへのエントリの追加

「Solaris IPv6 ルーターの設定方法」

IPv6 アドレスを NIS と NIS+ に追加 

/etc/ipnodes ファイルへのエントリ追加

「NIS と NIS+ に対する IPv6 アドレスの追加方法」

IPv6 アドレスを DNS に追加 

DNS ゾーンと逆ゾーンファイルに対する AAAA レコードの追加 

「DNS に対する IPv6 アドレスの追加方法」


注 -

IPv6 は、Solaris ソフトウェアをインストールするときにシステムで有効にできます。インストールプロセスで yes と応答して有効にすると、あとの IPv6 を有効にする手順を省略できます。


ノード上の IPv6 を有効にする方法

  1. IPv6 を有効にしたいシステム上でスーパーユーザーになります。

  2. コマンド行で、各インタフェースに対して次のように入力します。


    # touch /etc/hostname6.interface
    

    interface

    le0le1 などのインタフェース名

  3. リブートします。


    注 -

    リブートすると、ルーター発見パケットが発信されて、ルーターはプレフィックスを応答し、ノードが IP アドレスでインタフェースを設定できるようになります。リブートすると、主なネットワーキングデーモンも IPv6 モードで再スタートします。


  4. コマンド行で次のコマンドを入力して IPv6 アドレスを表示します。


    # ifconfig -a
    
  5. 適切なネームサービスに、IPv6 アドレスを次のように追加します。

    1. NIS と NIS+ については、「NIS と NIS+ に対する IPv6 アドレスの追加方法」を参照してください。

    2. DNS については、「DNS に対する IPv6 アドレスの追加方法」を参照してください。

Solaris IPv6 ルーターの設定方法

  1. ルーターとして機能するシステム上で、スーパーユーザーになります。

  2. /etc/inet/ndpd.conf ファイルを編集して、サブネットプレフィックスを使用して次のエントリを 1 つまたは複数追加します。

    変数と使用できる値のリストについては、in.ndpd(1M) のマニュアルページを参照してください。ndpd.conf ファイルについては、ndpd.conf(4) のマニュアルページを参照してください。

    1. すべてのインタフェースについて、ルーター動作を指定するエントリを追加します。


      ifdefault variable value
      
    2. プレフィックス通知のデフォルト動作を指定するエントリを追加します。


      prefixdefault variable value
      
    3. インタフェースパラメータごとのセットエントリを追加します。


      if interface variable value
      
    4. インタフェースプレフィックス情報ごとの通知エントリを追加します。


      prefix prefix/length interface variable value
      
  3. システムをリブートします。


注 -

近傍探索 (in.ndpd) からホストにサブネットアドレスプレフィックスがリレーされます。RIPng ルーティングプロトコル (in.ripngd) も自動的に実行されます。


例 - ndpd.conf ルーター構成ファイル


# Send router advertisements out all NICs
ifdefault AdvSendAdvertisements on
# Advertise a global prefix and a 
# site local prefix on three interfaces.
# 0x9255 = 146.85
prefix 2:0:0:9255::0/64	 	hme0
prefix fec0:0:0:9255::0/64 	hme0
# 0x9256 = 146.86
prefix 2:0:0:9256::0/64 	hme1
prefix fec0:0:0:9256::0/64	hme1
# 0x9259 = 146.89
prefix 2:0:0:9259::0/64		hme2
prefix fec0:0:0:9259::0/64	hme2

NIS と NIS+ に対する IPv6 アドレスの追加方法

NIS+ 用に ipnodes.org_dir という新しいテーブルが追加されました。このテーブルには、ホスト用の IPv4 アドレスと IPv6 アドレスの両方が保存されています。既存の hosts.org_dir テーブルは IPv4 情報だけを保存していますが、既存のアプリケーションの便宜上変更されていません。hosts.org_dir テーブルと ipnodes.org_dir テーブルはどちらも IPv4 アドレスと整合させておく必要があります。この処理は自動では行われません。概要については、「Solaris ネームサービスに対する IPv6 拡張機能」を参照してください。

新しい ipnodes.org_dir テーブルの管理方法は、hosts.org_dir の管理方法と似ています。従来の NIS+ テーブルの管理に使用したのと同じツール、ユーティリティが ipnodes.org_dir にも有効です。NIS+ テーブルの操作方法の詳細については、『Solaris ネーミングの管理』を参照してください。

次の手順では、/etc/inet/ipnodes のエントリを ipnodes.org_dir テーブルに (詳細モードで) マージします。NIS+ テーブルは、nistbladm(1)nissetup(1M)、または nisserver(1M) のどれかで作成されたものとします。

    コマンド行で、次のコマンドを入力します。


    % nisaddent -mv -f /etc/inet/ipnodes ipnodes
    

ipnodes.org_dir テーブルを表示するには、次のように操作します。

    コマンド行で、次のコマンドを入力します。


    % nisaddent -d ipnodes
    

NIS 用に ipnodes.bynameipnodes.byaddr という 2 つの新しいマップが追加されました。これらのマップは、いずれも IPv4 と IPv6 のホスト名とアドレスの関連付けを保存しています。既存の hosts.byname マップと hosts.byaddr マップは、IPv4 のホスト名とアドレスの関連情報だけを保存していますが、既存のアプリケーションの便宜上変更されていません。新しいマップの管理は、以前の hosts.byname マップと hosts.byaddr マップの管理方法と同様です。hosts マップを IPv4 アドレスで更新すると、新しい ipnode マップも同じ情報で更新されることに注意してください。


注 -

IPv6-aware ツールは、新しい NIS マップと NIS+ マップおよびテーブルを占有使用します。


DNS に対する IPv6 アドレスの追加方法

  1. DNS があるシステム上でスーパーユーザーになります。

  2. DNS ゾーンファイルに、IPv6 有効化ホストの AAAA レコードを次のフォーマットで追加して編集します。


    host-name  IN   AAAA 	host-address
    
  3. DNS 逆ゾーンファイルを編集し、次のフォーマットで PTR レコードを追加します。


    host-address IN   PTR   host-name
    

AAAA レコードと PTR レコードの詳細については、RFC 1886 を参照してください。

例 - DNS ゾーンファイル


vallejo		IN		AAAA   2::9256:a00:20ff:fe12
IN		AAAA   fec0::9256:a00:20ff:fe12:528

例 - DNS 逆ゾーンファイル


$ORIGIN	ip6.int.	
8.2.5.0.2.1.e.f.f.f.9.2.0.0.a.0.6.5.2.9.0.0.0.0.0.0.0.0.2.0.0.0 ¥
	IN		PTR		vallejo.Eng.apex.COM.
8.2.5.0.2.1.e.f.f.f.9.2.0.0.a.0.6.5.2.9.0.0.0.0.0.0.0.0.0.c.e.f ¥
	IN		PTR		vallejo.Eng.apex.COM.