この節で紹介するのは、基本的な UUCP 構成を行うときに、Systems、 Devices、および Dialers ファイルに加えて使用できるファイルです。
/etc/uucp/Dialcodes ファイルにより、/etc/uucp/Systems ファイルの Phone フィールドで使用するダイヤルコードの省略名を定義できます。Dialcodes ファイルは、同じサイトにある複数のシステムが使用する基本的な電話番号について、付加的な情報を指定するために使用できます。
このファイルのエントリの形式は次のとおりです。
abbreviation dial-sequence
abbreviation は、Systems ファイルの Phone フィールドで使用される省略名で、dial-sequence は、個々の Systems ファイルのエントリがアクセスされたときにダイヤラに渡されるダイヤルシーケンスです。表 27-6 に、この 2 つのファイル間の対応関係を示します。
表 27-6 Dialcodes ファイルと Systems ファイルの間の対応関係
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フィールド名 |
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Dialcodes |
Abbreviation |
Dial-Sequence |
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Systems |
System-Name |
Time |
Type |
Speed |
Phone |
Chat-Script |
表 27-7 に示すのは、Dialcodes ファイルのエントリの例です。
表 27-7 Dialcode ファイルのエントリ
Abbreviation |
Dial-sequence |
---|---|
NY |
1=212 |
jt |
9+847 |
最初の行の NY は、Systems ファイルの Phone フィールドで使用される省略名です。Systems ファイルのエントリは、たとえば次のようになります。
NY5551212
uucico は、Systems ファイルから NY を読み取ると、Dialcodes ファイルから NY を探し、それに該当するダイヤルシーケンス 1=212 を取得します。これは、New York City への電話呼び出しに必要なダイヤルシーケンスです。このシーケンスは、1 という番号と、一時停止して次の発信音を待つことを示す等号 (=) と、地域コード 212 で構成されています。uucico はこの情報をダイヤラに送り、再び Systems ファイルに戻って残りの電話番号 5551212を処理します。
jt 9=847- というエントリは、Systems ファイル内の jt7867 などのような Phone フィールドを取り扱います。uucico は、jt7867 を含むエントリを Systems ファイルから読み取ると、ダイヤラとトークンのペアの中のトークンが ¥T であれば、9=847-7867 というシーケンスをダイヤラに送ります。
/etc/uucp/Sysfiles ファイルでは、uucp と cu が Systems、 Devices、 Dialers ファイルとして使用する別のファイルを割り当てます (cu についての詳細は、cu(1C) のマニュアルページを参照してください)。Sysfiles は次の目的に使用できます。
別の Systems ファイルにより、uucp のサービスとは異なるアドレスに対してログインサービスを要求できます。
別の Dialers ファイルにより、cu と uucp で異なるハンドシェークを割り当てることができます。
複数の Systems、Dialers、Devices ファイル。特に Systems ファイルはサイズが大きくなるので、いくつかの小さいファイルに分割しておくと便利です。
service=w systems=x:x dialers=y:y devices=z:z |
w には、uucico、cu、またはその両方をコロンで区切って指定します。x には、Systems ファイルとして使用される 1 つまたは複数のファイルをコロンで区切って指定します。これらは指定された順序で読み込まれます。y は Dialers ファイルとして使用される 1 つまたは複数のファイルで、z は Devices ファイルとして使用される 1 つまたは複数のファイルです。
フルパスで指定しない限り、各ファイル名は /etc/uucp ディレクトリからの相対パスとみなされます。
次に示すのは、標準の /etc/uucp/Systems に加えて使用するローカル Systems ファイル (Local_Systems) を定義する /etc/uucp/Sysfiles の例です。
service=uucico:cu systems=Systems :Local_Systems |
/etc/uucp/Sysfiles の中にこのエントリがある場合、uucico と cu はどちらも、まず標準 /etc/uucp/Systems ファイルを調べます。呼び出そうとしているシステムのエントリがそのファイル内にないか、またはそのファイル内の該当エントリの処理に失敗した場合は、/etc/uucp/Local_Systems が調べられます。
上記のエントリの場合は、cu と uucico は、Dialers ファイルと Devices ファイルを共有します。
uucico サービス用と cu サービス用に別の Systems ファイルを定義した場合は、マシンは 2 つの異なる Systems のリストを持つことになります。uucico リストは uuname コマンドを使用して表示でき、cu リストは uuname -C コマンドを使用して表示できます。このファイルのもう 1 つの例として、代替ファイルの方を先に調べ、デフォルトファイルは必要なときだけ調べる場合を示します。
service=uucico systems=Systems.cico:Systems dialers=Dialers.cico:Dialers ¥ devices=Devices.cico:Devices service=cu systems=Systems.cu:Systems ¥ dialers=Dialers.cu:Dialers ¥ devices=Devices.cu:Devices |
UUCP を使用するすべてのマシンは、ノード名と呼ばれる識別名を持っている必要があります。この名前は、リモートマシンの /etc/uucp/Systems ファイルに、チャットスクリプトやその他の識別情報とともに格納されます。通常は、UUCP は、uname -n コマンドから返されるものと同じノード名を使用し、TCP/IP でもこの名前を使用します。
/etc/uucp/Sysname ファイルを作成することによって、TCP/IP ホスト名とは別の UUCP ノード名を指定できます。このファイルには、ローカルシステムの UUCP ノード名が入った 1 行のエントリが含まれています。