Solaris のシステム管理 (第 3 巻)

Solaris sendmail の相違点

この節では、sendmail の Solaris バージョンに組み込まれたいくつかの変更について、汎用 Berkeley バージョンと比較して説明します。

sendmail のコンパイル時に使用するフラグ

次に、Solaris 8 に添付されている sendmail のバージョンをコンパイルするときに使用するフラグを示します。構成に他のフラグが必要な場合は、そのソースをダウンロードし、バイナリにコンパイルし直してください。この処理については、http://www.sendmail.org に記載してあります。

フラグ 

説明 

SOLARIS=20800 

Solaris 8 オペレーティング環境をサポートする 

NDBM 

ndbm データベースをサポートする 

NEWDB 

db データベースをサポートする 

NIS 

nis データベースをサポートする 

NISPLUS 

nisplus データベースをサポートする 

LDAPMAP 

LDAP のマップをサポートする 

USERDB 

ユーザーデータベースをサポートする 

MAP_REGEX 

正規表現のマップをサポートする 

SUN_EXTENSIONS 

Solaris のフラグで、sun_compat.o に組み込まれる Sun の拡張子

VENDOR_DEFAULT=VENDOR_SUN 

Solaris のフラグで、Sun をデフォルトのベンダーとして選択する 

USE_VENDOR_CF_PATH 

Solaris のフラグで、このフラグを使用すると構成ファイルを /etc/mail 内に配置できる

_FFR_MAXALIASRECURSION_OPTION 

Solaris のフラグで、このフラグを使用すると MaxAliasRecursion オプションを選択できる 

_FFR_MAX_MIME_HEADER_LENGTH 

Solaris のフラグで、このフラグを使用すると MaxMimeHeaderLength オプションを選択できる 

sendmail の代替コマンド

Solaris リリースには、Berkley による汎用リリースで提供されているコマンドの同義語がすべて組み込まれているわけではありません。表 35-1 には、コマンドの別名のリストと それが Solaris リリースに組み込まれているかどうか、および sendmail を使用して同じ動作を生成する方法を示しています。

表 35-1 代替 sendmail コマンド

代替名 

Solaris に組み込まれているか 

sendmail を使用したオプション

hoststat 組み込まれていないsendmail -bh
mailq 組み込まれているsendmail -bp
newaliases 組み込まれているsendmail -bi
purgestat 組み込まれていないsendmail -bH
smtpd 組み込まれていないsendmail -bd

構成ファイルのバージョンの定義

sendmail の新版 (バージョン 8.9.3) には、sendmail.cf ファイルのバージョンを定義するための、新しい構成オプションがあります。このオプションを使用すれば、旧バージョンの構成ファイルをバージョン 8.9.3 の sendmail で使用できます。バージョンレベルには 0 から 8 の値を設定できます。また、ベンダーの定義もできます。Berkeley または Sun がベンダーとして選択できます。構成ファイルで V オプションが定義されていない場合は、V1/Sun がデフォルトの設定となります。ベンダーを定義せずに、バージョンレベルだけが設定されている場合は、Sun がデフォルトとして使用されます。表 35-2 に有効なオプションを示します。

表 35-2 構成ファイルのバージョン

定義 

説明 

V1/Sun

ネームサービスのサポートに Solaris の拡張機能を使用する。新バージョンの sendmail でも旧バージョンの構成ファイルを使用することができる。V オプションを何も定義していない場合はこれがデフォルトの設定

V7/Sun

sendmail のバージョン 8.8 に使用

V8/Sun

sendmail のバージョン 8.9.3 に使用。これは、Solaris 8 リリースの事前作成された構成ファイルに組み込まれた設定