Solaris のシステム管理 (第 3 巻)

DH 認証

DH 認証は、Data Encryption Standard (DES) と Diffie-Hellman 公開鍵暗号手法を使用してネットワーク上のユーザーとコンピュータの両方を認証します。DES は標準暗号化機能であり、Diffie-Hellman 公開鍵暗号手法は、公開鍵と非公開鍵という 2 つの鍵を使用する暗号方式です。公開鍵と非公開鍵は名前空間に格納されます。NIS の場合、それらの鍵を publickey マップに格納し、NIS+ は cred テーブルに格納します。これらのマップにはすべての認証の候補ユーザーの公開鍵と非公開鍵が入っています。マップとテーブルの設定については、『Solaris ネーミングの管理』を参照してください。

DH 認証のセキュリティは、送信側が現在時刻を暗号化する機能に基づいていて、受信側はこれを復号して、自分の時刻と照合します。タイムスタンプは DES を使用して暗号化されます。この方式が機能するには次の条件が必要です。

ネットワークが時間同期プログラムを実行する場合、クライアントとサーバー上の時間は自動的に同期されます。時間同期プログラムを使用できない場合、ネットワーク時間ではなく、サーバーの時間を使用してタイムスタンプを計算できます。クライアントは、RPC セッションを開始する前にサーバーに時間を要求し、自分のクロックとサーバーのクロックとの時間差を計算します。タイムスタンプを計算するときには、この差を使用してクライアントのクロックを補正します。サーバーがクライアントの要求を拒否するほど、クライアントとサーバーのクロック同期がずれた場合、DH 認証システムはサーバーとの間で再び同期をとります。

クライアントとサーバーは、ランダムな対話鍵 (セッションキーとも呼びます) を生成することによって、同じ暗号化鍵に到達します。次に、公開鍵暗号手法 (公開鍵と秘密鍵を必要とする暗号化方式) を使用して共通鍵を推理します。この共通鍵は、クライアントとサーバーだけが推理できる鍵です。対話鍵は、クライアントのタイムスタンプを暗号化および復号化するために使用されます。共通鍵は、この対話鍵を暗号化および復号化するために使用されます。