コンピューティング環境に組み込まれているネームサービスは、アプリケーションやサービスによって異なります。異なる複数のネームサービスを処理する場合、アプリケーション開発者は多くの問題に直面します。ほとんどのアプリケーションは、1 つのネームサービスを使用するように設計されており、分散コンピューティング環境内のオブジェクトへのアクセスは非常に制限されています。アプリケーションによって、使用するネームサービスが異なるため、名前の作成方法も異なります。ユーザーが非常に似ていると見なすオブジェクトについても、異なる名前が使用される場合がよくあります。たとえば、友人の Johanna に対して彼女の名前 johanna@admin.doc.com を使用してメールを送信できますが、彼女のカレンダにアクセスするには、別の名前 jsmith@altair を使用しなければなりません。
Sun Microsysmtems, Inc. による XFN 標準の実装である FNS を使用すると、オブジェクトを一貫した方法でネーミングし、しかもアプリケーションと開発者が必要とする機能を提供することもできます。
「XFN」は、X/Open フェデレーテッド・ネーミングのことを指します。XFN は、Sun Microsystems, Inc.、IBM、Hewlett-Packard、DEC、Siemens、OSF などの組織によって実際にサポートされている標準です。Solari 7 リリースでの XFN の実装である FNS は、「X/Open Preliminary Specification for Federated Naming」(1994 年 7 月) に準拠しています。FNS を使用するアプリケーションは、プラットフォーム間で移植可能です。これは、FNS によって、エクスポートされるインタフェースが、他のベンダーと X/Open によって認められた公共のオープンインタフェースである XFN だからです。X/Open Company Ltd. は、主要なコンピュータベンダーによって推奨され支持されるコンピューティング標準の定義を委託された国際標準機構です。
「FNS」は、基本的なネーミング操作用の 1 つの単純な一貫したインタフェースによって、複数のネーミングサービスをフェデレートする方法です。このサービスは、複合名、つまり、複数のネーミングシステムにまたがる名前を、ネーミングインタフェースによって解決します。フェデレーションの各メンバーは、ネーミング規則、管理インタフェース、名前解決以外の特定操作の集合を独自に選択できます。
Solaris 環境での FNS 実装は、DNS や X.500 などのグローバルネームサービス (「Solaris エンタープライズレベルのネームサービス」を参照) のサポートだけでなく、組織、ユーザー、ホスト、サイト、サービスをネーミングするための特定のポリシーと規則によって、一連のエンタープライズレベルのネームサービス (「グローバルネームサービス」を参照) から構成されます。
FNS は次の理由で便利です。
異なる複数のネームサービスにアクセスするために、クライアントに対して、一貫した 1 つのネーミングインタフェースが提供される。したがって、新しいネームサービスを追加しても、アプリケーションや既存のメンバー名サービスを変更する必要がない
名前を一貫した方法で作成でき、作成される複合名に任意の数の構成要素を使用できる
共有コンテキストと共有名を使用するときに、一貫したネーミングが可能になる
このマニュアルでは、XFN と FNS を区別することが重要です。FNS ポリシーには XFN ポリシーの拡張がいくつか含まれており、これらのポリシーは、注によって明確に定義されます。XFN プログラミングインタフェースに属するオブジェクトは、他のプログラミングインタフェースとの混同を避けるために、XFN オブジェクトとして指定されます。