Solaris ネーミングの設定と構成

サーバー機能の指定

DNS サーバーには次の役割のいくつかを果たします。

これらのさまざまなサーバーの機能は同じマシンで実行できます。たとえば、あるゾーンで主マスターサーバーとして使っているマシンを、他のゾーンでは副マスターサーバーとして使うことができます。本書で「主」、「副」、「キャッシュ専用」とマシンを形容している場合、それは特定のマシンを指しているのではなく、あるゾーンでマシンに割り当てられた役割を指しています。

これらのサーバーの役割の詳細は、『Solaris ネーミングの管理』を参照してください。

主マスターサーバーの指定

あるゾーンであるマシンを主サーバーとして使うことを指定する場合は、そのマシン (サーバー) 上の named.boot ファイルに次の 3 つの「主」レコードを書き込みます。

  1. ゾーンの「主」レコードを作成します。

    このレコードは、そのサーバーを主サーバーとして使用するゾーンを指定し、正規の hosts ファイルの場所を示すものです。この「主」レコードは次の 3 つのフィールドで構成されます。

    • 第 1 フィールド - サーバーを主 (primary) サーバーとして指定する

    • 第 2 フィールド - 対象のゾーンを指定する

    • 第 3 フィールド - hosts ファイルを指定する

    次に示すブートファイルの行は、あるサーバーを doc.com ゾーンで主サーバーとして使い、正規の hosts ファイルとして db.doc を使うことを示すものです。


    primary    doc.com    db.doc

  2. ゾーンの逆変換の「主」レコードを作成します。

    このレコードは、そのサーバーを逆アドレス変換 (つまり、doc.com の逆アドレスドメイン) の主サーバーとして使うことを指定し、正規の hosts ファイルの場所を示すものです。この「主」レコードには 3 つの構成要素があります。第 1 フィールドではサーバーを主サーバーとして指定します。第 2 フィールドでは対象のゾーンを指定します。第 3 フィールドでは hosts.rev ファイルを指定します。

    あるゾーンにおける逆アドレスドメインは、そのゾーンにおける IP アドレスを逆にならべ、最後に in-addr.arpa を配したものです。たとえば、doc.com ゾーンの IP アドレスが 123.45.6. だとすると、逆アドレスドメインは 6.45.123.in-addr.arpa になります。

    次に示すブートファイルの行は、そのサーバーを doc.com ゾーンの逆アドレスドメインで主サーバーとして使い、正規の hosts ファイルとして doc.rev を使うことを示すものです。


    primary   6.45.123 .   in-addr.arpa    doc.rev

  3. ローカルループバック (ホスト) の逆アドレス関連の「主」レコードを作成します。

    このレコードは、そのサーバーをループバックホストの主サーバーとして使うことを指定し、正規の hosts ファイルの場所を示すものです。この「主」レコードには 3 つの構成要素があります。第 1 フィールドではサーバーを主サーバーとして指定します。第 2 フィールドではループバックホストの逆アドレスを指定します。第 3 フィールドでは hosts.rev ファイルを指定します。


    注 -

    ループバックホストは常に、0.0.127.in-addr.arpa といった書式で識別されます。


    次に示すブートファイルの行は、そのサーバーをループバックホストの逆アドレスドメインで主サーバーとして使い、正規の hosts ファイルとして named.local を使うことを示すものです。


    primary  0.0.127.in-addr.arpa   named.local

副マスターサーバーの指定

あるゾーンであるマシンを副サーバーとして使うことを指定する場合は、そのマシン (サーバー) 上の named.boot ファイルに「副」レコードを書き込みます。別々のレコードにより、サーバーをそのゾーン、逆アドレスドメイン、およびループバックホストの副サーバーとして指定できます。

この「副」レコードは次の 3 つのフィールドで構成されます

「副」レコードでは、必須フィールドに続けて 1 つまたは複数の任意フィールドを設けることができます。任意フィールドには次の種類があります。

次に示すブートファイルの行は、あるサーバーを doc.com ゾーンと逆アドレスドメインの副サーバーとして使うことを示します。さらに、その副サーバーが IP アドレス 129.146.168.119 の主サーバーから正規データを受け取り、サーバー 192.146.168.38 をゾーンデータの副情報源として使い、最初に doc.com.bakup ファイルから初期データをロードすることを示します。


 
secondary   doc.com   129.146.168.119  192.146.168.38  doc.com.bakup
secondary   4.0.32.128.in-addr.arpa       129.146.168.119 

この章で紹介するさまざまなサンプルファイルの中で、サーバー dnssecondary (IP アドレス 192.146.168.38sirius マシンの別名) のブートファイルがたびたび登場しますが、そのいずれもが上記のブートファイルを指しています。


注 -

1 台のサーバーは、1 つまたは複数のゾーンの主サーバーとして機能し、さらに 1 つまたは複数のゾーンの副サーバーとしても機能できます。これを決めるのは、ブートファイル内のエントリの組み合わせです。


キャッシュオンリーサーバーの指定

キャッシュオンリーサーバーは正規データは一切管理しません。キャッシュオンリーサーバーは照会を行い、in.named ファイルにリストされているホストを照会して必要な情報を探します。つまり、キャッシュオンリーサーバーは、正規のネームサーバーと同様の照会を行いますが、正規データそのものは一切管理しません。

例 13-3 では、キャッシュオンリーサーバー用のブートファイルのサンプルを示します。


例 13-3 キャッシュオンリーサーバーのブートファイルの例


;
; Sample named.boot file for caching-only name server
;
; type                  domain                 source file or host
;
directory /var/named
cache                   .                      named.ca
primary                 0.0.127.in-addr.arpa   named.local


サーバーをキャッシュオンリーサーバーとして指定するための行は特に必要ありません。ブートファイル内に secondary または primary など、権限に関する行がないということが、キャッシュオンリーサーバーであると判断する根拠になります(以下に示すものを除く)。