共通デスクトップ環境 プログラマ概要

データ型の作成

アプリケーションの基本的な統合方法を実行するときは、データ型を定義できます。この節では、データ型作成の別の面、つまりアクションおよびデータ型のデータベースから情報を抽出する方法に焦点を当てて説明します。

データ型を作成すると、従来の UNIX ファイル・システムが提供するファイルとデータの属性が拡張されます。この拡張には型や属性管理も含まれます。アプリケーションが外部ソースからデータを受信して動作するには、データ型作成 API を使用します。たとえばアプリケーションでアイコンを表示する、またはシステム全体に定義されているアクションを実行する必要があるかもしれません。

データ型作成は次の 2 つの部分から成ります。

データ型作成システムは、ファイルまたは基準のセットに基づいたバイト・ベクタの型を決定します。基準には名前、アクセス権、シンボリック・リンク値、内容が含まれます。型に関連付けられた属性は、説明、グラフィカルにそれを示すアイコン、それに適用されるアクションを含んだ、ユーザが見ることができるインタフェースを記述しています。また、属性はデータが準拠する互換フォーマットに名前を付けるためにも存在します。

共通デスクトップ環境のファイル・マネージャおよび共通デスクトップ環境のメールのアタッチメント・ウィンドウは、データ型作成によって、アイコンとファイルに関連するアクションを決定します。たとえば C ファイル filename.c について、ファイル・マネージャは .c という拡張子を使用してファイルのデータ型 C_SOURCE を判別します。それから C_SOURCE を使用して filename.c に使用できるアイコンのアイコン・ファイル名を決定します。

データベースの読み込み

この節では、アクションおよびデータ型データベースを読み込む API について説明します。この形式と、開発者が定義する任意の共通デスクトップ環境データベースについては、/usr/dt/man/man4 ディレクトリにあるマニュアル・ページで説明しています。

外部データベースを読み込む API は、次の 2 つの関数から成ります。

DtDbLoad() はアクションおよびデータ型データベースを読み込みます。データベースを検索する一連のディレクトリを決定し、見つけた .dt ファイルをデータベースに読み込みます。アプリケーションは、アクションおよびデータ型データベースを照会する任意のルーチンを起動する前に、DtDbLoad() を起動する必要があります。

DtDbReLoadNotify() を使用して、アクションおよびデータ型データベースの再読み込みイベントの通知を要求してください。アプリケーションがデータベース再読み込みメッセージを受け取ることを登録します。

アプリケーションは、データベースが変更されたら、アプリケーションを再起動しなくても更新があったことがエンド・ユーザにわかるように、必ずデータベースを再読み込みしなければなりません。

データベースの照会

データ・オブジェクトの属性を調べるには、まずオブジェクトの型を決定し、その型に適切な属性値を求めてください。データベース照会関数により、データ型および属性の検索、メモリの解放、データベースの読み込みと解放などのオペレーションを実行できます。これらの関数については、『Solaris 共通デスクトップ環境 プログラマーズ・ガイド』および man3 ディレクトリにあるマニュアル・ページで説明しています。

ライブラリおよびヘッダ・ファイル

デスクトップ・サービス・ライブラリ libDtSvc は、データ型作成を含む多くのデスクトップ API へのアクセスを提供します。データ型作成 API にアクセスするには、Dt/Dt.h および Dt/Dts.h ヘッダ・ファイルを取り込んでください。


注 -

アプリケーションが任意のデータ型作成 API を使用する場合、またはアクションおよびデータ型データベースを読み込む場合は、DtInitialize() または DtAppInitialize() のいずれかを呼び出して libDtSvc ライブラリを初期化してください。詳細は、DtInitialize(3) または DtAppInitialize(3) のマニュアル・ページを参照してください。


デモ・プログラム

データ型作成のデモは、/usr/dt/examples/dtdts にあります。デモの詳細は、README ファイルを参照してください。

関連マニュアル

データ型作成の詳細は、関連するマニュアル・ページと『Solaris 共通デスクトップ環境 プログラマーズ・ガイド』を参照してください。