情報を同期させるには、一方の名前空間がもう一方の名前空間に従属する関係になるようにしてください。まず、NIS 名前空間を「主」とします。この場合、NIS マップを変更すると、次にその変更内容を「従」である NIS+ テーブルに反映します。したがって、NIS 名前空間がマスタデータベースになります。
NIS 互換モードの NIS+ サーバーは、標準の NIS マップをサポートします。これらのマップの完全なリストは、ypfiles(4) のマニュアルページの注意事項の節にあります。ただし、マップのサポートにはいくつかの制約があります。NIS+ サーバーは、ネットグループマップに対する ypmatch 要求には応じますが、逆マップに対する要求には応じません。また、ypcat などのネットグループマップの表示要求をサポートしません。passwd.adjunct
マップもサポートしません。
最終的には NIS+ 名前空間が「主」になります。この場合は、NIS+ テーブルで変更を行って、それを NIS マップにコピーします。
NIS+ コマンドの nisaddent と NIS+ スクリプトの nispopulate を使用すると、表 4-1 に示すように、NIS マップと NIS+ テーブルの間で、情報を転送することができます。
表 4-1 passwd テーブルでの情報変更のためのコマンド
NIS+ コマンド |
説明 |
---|---|
/usr/lib/nis/nisaddent -y |
ypxfr を実行して、NIS サーバーからローカルディスクへマップを転送した後で、NIS マップから NIS+ テーブルへ情報を転送する。標準以外の NIS マップは、情報がキーと値のペアになっていれば、NIS+ テーブルに転送できる。複数列のマップは転送されない |
/usr/lib/nis/nisaddent -d |
NIS+ テーブルからファイルへ情報をコピーする。この情報は、標準 NIS ユーティリティを使って、さらに NIS マップに転送することができる |
/usr/lib/nis/nispopulate -Y |
NIS マップから NIS+ テーブルへ情報を転送する |
Solaris 2.5 より前のリリースの NIS+ のバージョンでは、ユーザーのパスワード情報が /etc 内のファイル、NIS マップ、NIS+ テーブルのどこに格納されているかによって、別々のパスワードコマンド (passwd、yppasswd、nispasswd) を使用して、パスワード関連の処理を行う必要がありました。Solaris 2.5 からは、パスワード関連の処理をすべて passwd または passwd -r nisplus のコマンドで自動的に行うとともに、ユーザーの nsswitch.conf ファイルの passwd エントリによって管理することになりました。
NIS+ または NIS 互換のネットワーク上に、passwd コマンドとパスワードの有効期限を正しく設定するには、各マシン上の nsswitch.conf ファイルの passwd エントリが正しくなければなりません。このエントリによって、passwd コマンドがパスワード情報を取得する場所と更新する場所が決まります。
次の 5 つのパスワードエントリ構成のみが使用できます。
passwd:files passwd: files nis passwd: files nisplus passwd: compat passwd_compat: nisplus |
使用しているネットワークのワークステーション上に存在するすべての nsswitch.conf ファイルは、必ず上記の passwd 構成のうちの 1 つを使用していなければなりません。別の方法で、passwd エントリを構成した場合、ユーザーがログインできない可能性があります。