この節では、ファイルシステムのミラー化解除、サブミラーの接続と切断し、およびサブミラーのオフライン / オンライン設定など、ミラーに対して行う保守作業について説明します。
ミラー化解除 - DiskSuite ツールでは、ルート (/)、/opt、/usr、または swap、あるいはシステムの実行中にマウント解除できないファイルシステムのミラー化解除をサポートしません。これらのファイルシステムに対してはコマンド行を使用してください。
接続 - サービスを中断することなく、サブミラーをミラーに接続できます。サブミラーをミラーに接続して、2 面と 3 面のミラーを作成します。
切断とオフライン - サブミラーをオフラインにすると、そのミラーでサブミラーの読み書きを禁止できます。その際、ミラーに対するサブミラーの論理的な関連付けは維持できます。サブミラーがオフラインになっている間、DiskSuite がミラーに対するすべての書き込みを記録し、サブミラーがオンラインに復帰したときにサブミラーに書き込みます。最適化された再同期を実行することにより、DiskSuite は、サブミラー全体ではなく、変更されたデータだけを再同期することになります。サブミラーを切断することは、ミラーに対するその論理的な関連付けを切断することになります。一般に、保守を行う場合はサブミラーをオフラインにし、サブミラーを削除する場合にサブミラーを切断します。
この作業は、システムの実行中にマウント解除できるファイルシステムのミラー化を解除するために使用します。ルート (/)、/opt、/usr、swap、またはシステムの実行中にマウント解除できないその他のファイルシステムをミラー化解除するには、「マウント解除不可能なファイルシステムをミラー化解除する方法 (コマンド行)」を参照してください。
前提条件 (「DiskSuite オブジェクトを保守するための前提条件」) を満たし、予備情報 (「ミラーの予備情報」) を読んだことを確認する。
少なくとも 1 つのサブミラーの状態が「正常」であることをチェックする。
「正常」状態のサブミラーをもたないミラーは、最初に修復しなければなりません。
ファイルシステムをマウント解除する。
オブジェクトリストからミラーオブジェクトをダブルクリックする。
オブジェクトがキャンバスに表示されます。
ミラーを削除する。ミラーのプルダウンメニューを表示して「削除」オプションを選択する。表示される「確認」ダイアログボックスで「削除」ボタンをクリックする。
ミラーは、その成分のサブミラーに分割されてキャンバスに表示されます。
/etc/vfstab ファイルを編集する。
ファイルシステムのデバイス名を変更する必要があります。データへのアクセスを維持するには、ミラーからいずれかのサブミラーに切り替えます (サブミラーは、ストライプか連結方式メタデバイスです)。データへのアクセスを解消するには、ファイルシステム用のエントリを完全に削除します。
[オプション] データへのアクセスを維持するには、ファイルシステムをマウントする。
ファイルシステムが再マウントされると、ストライプまたは連結に置かれます。
[オプション] 使用されていないサブミラーを削除するには、サブミラーのプルダウンメニューから「削除」オプションを選択する。
使用する予定のないサブミラーを選択してください。
[オプション] サブミラーが 1 つのスライスで構成される場合:ファイルシステムをスライスにマウントできる。ストライプまたは連結を削除する。メタデバイスではなく、物理スライスにファイルシステムをマウントするよう、 /etc/vfstab ファイルを編集する。
コンフィグレーションログを表示して、ミラーが削除されたことを確認する。
[オプション]「ファイル」メニューから「構成の再走査」を選択し、ファイルシステムの新しいマウントデバイスを反映させる。
この作業は、システムの実行中にマウント解除できるファイルシステムをミラー化解除するために使用します。ルート (/)、/opt、/usr、swap、またはシステムの実行中にマウント解除できないその他のファイルシステムをミラー化解除するには、「マウント解除不可能なファイルシステムをミラー化解除する方法 (コマンド行)」のコマンド行作業を使用します。
「DiskSuite オブジェクトを保守するための前提条件」の前提条件と 「ミラーの予備情報」の予備情報をチェックしてから、metadetach(1M) と metaclear(1M) のコマンドを使用して、ファイルシステムをミラー化解除します。詳細については、metadetach(1M) と metaclear(1M) のマニュアルページを参照してください。
ミラーのミラー化解除を行う手順を次に示します。
metastat(1M) コマンドを実行して、少なくとも 1 つのサブミラーが「Okay (正常)」状態であることを確認する
ファイルシステムをマウント解除する
/etc/vfstab ファイルにファイルシステムが記述されている場合は、非ミラーデバイスを使用するように記述を変更する
ファイルシステムを再マウントする
# metastat d4 d4: Mirror Submirror 0: d2 State: Okay Submirror 1: d3 State: Okay ... # umount /var # metadetach d4 d2 d4: submirror d2 is detached # metaclear -r d4 d4: Mirror is cleared d3: Concat/Stripe is cleared (/etc/vfstab ファイルを編集して、/var を d4 から d2 に変更する) # mount /var |
/var は、d4 という名前の 2 面のミラーで構成されます。そのサブミラーは d2 と d3 であり、それぞれスライス /dev/dsk/c0t0d0s0 と /dev/dsk/c1t0d0s0 から構成されます。metastat(1M) コマンドは、少なくとも 1 つのサブミラーが「Okay (正常)」状態であることを確認します (「Okay」状態のサブミラーをもたないミラーは、最初に修復しなければなりません)。ファイルシステムがマウント解除されてから、サブミラー d2 が切断されます。metaclear -r コマンドは、ミラーと他のサブミラー d3 を削除します。
次に、/etc/vfstab ファイル内の /var の記述を、サブミラーを参照するように変更します。たとえば、d4 がミラーで d2 がサブミラーであった場合、次の行は、
/dev/md/dsk/d4 /dev/md/rdsk/d4 /var ufs 2 yes - |
次のように変更します。
/dev/md/dsk/d2 /dev/md/rdsk/d2 /var ufs 2 yes - |
サブミラーの名前を使用することによって、ファイルシステムをメタデバイスにマウントしたままにできます。最後に、/var を再マウントします。
/etc/vfstab ファイルで d4 の代わりに d2 を使用することによって、ミラーのミラー化解除を行いました。d2 は 1 つのスライスから成るため、デバイスにメタデバイスをサポートしてほしくない場合、ファイルシステムをスライス名 (/dev/dsk/c0t0d0s0) にマウントできます。
この作業は、ルート (/)、/usr、/opt、swap など、通常のシステム動作中にマウント解除できないファイルシステムをミラー化解除するために使用します。
metastat(1M) コマンドを実行して、少なくとも 1 つのサブミラーが「Okay (正常)」状態にあることを確認する
ルート (/)、/usr、/opt、または swap を含むミラー上で metadetach(1M) コマンドを実行して、1 面のミラーを作成する
/usr、/opt、swap の場合 : /etc/vfstab ファイル内のファイルシステムの記述を変更して、非 DiskSuite デバイス (スライス) を使用するように設定する
ルート (/) の場合 : metaroot(1M) コマンドを実行する
システムをリブートする
metaclear(1M) コマンドを実行して、ミラーとサブミラーを削除する
# metadetach d0 d20 d0: submirror d20 is detached # metaroot /dev/dsk/c0t3d0s0 # reboot ... # metaclear -r d0 d0: Mirror is cleared d10: Concat/Stripe is cleared # metaclear d20 d20: Concat/Stripe is cleared |
この例では、ルート (/) は d0 という名前の 2 面のミラーです。そのサブミラーは d10 と d20 であり、それぞれスライス /dev/dsk/c0t3d0s0 と /dev/dsk/c1t3d0s0 から構成されています。metastat コマンドは、少なくとも 1 つのサブミラーが「Okay (正常)」状態であることを確認します (「Okay」状態のサブミラーをもたないミラーは、最初に修復する必要があります)。サブミラー d20 が切断され、d0 は 1 面ミラーとなります。そして、システムがブートされるルートスライスを使用して、metaroot コマンドが実行されます。これによって、/etc/system と /etc/vfstab のファイルが編集され、ルート (/) のミラー化を指定する情報が削除されます。リブートの後、metaclear -r コマンドは、ミラーと他のサブミラー d10 を削除します。最後の metaclear コマンドは、サブミラー d20 をクリアします。
# metastat d1 d1: Mirror Submirror 0: d11 State: Okay Submirror 1: d21 State: Okay ... # metadetach d1 d21 d1: submirror d21 is detached (/etc/vfstab ファイルを編集し、swap の記述をメタデバイスからスライス名に変更する。) # reboot ... # metaclear -r d1 d1: Mirror is cleared d11: Concat/Stripe is cleared # metaclear d21 d21: Concat/stripe is cleared |
この例では、swap は d1 という名前の 2 面のミラーから構成されています。そのサブミラーは d11 と d21 であり、それぞれスライス /dev/dsk/c0t3d0s1 と /dev/dsk/c1t3d0s1 から構成されています。metastat コマンドは、少なくとも 1 つのサブミラーが「Okay (正常)」状態であることを確認します (「Okay」状態のサブミラーをもたないミラーは、最初に修復する必要があります)。サブミラー d21 が切断され、d1 は 1 面のミラーとなります。次に、swap 用の記述がサブミラー d21 に含まれるスライスを参照するよう、/etc/vfstab ファイルを編集する必要があります。たとえば、d1 がミラーであり、d21 がスライス /dev/dsk/c0t3d0s1 を含むサブミラーであった場合、次の行は、
/dev/md/dsk/d1 - - swap - no - |
次のように変更します。
/dev/dsk/c0t3d0s1 - - swap - no - |
リブートした後、metaclear -r コマンドでミラーと他のサブミラー d11 を削除します。最後に metaclear コマンドで、サブミラー d21 を削除します。
作業を始める前に、サブミラーとして使用する連結またはストライプを識別します。そのサイズは、ミラー内の既存のサブミラーのサイズ以上でなければなりません。まだどちらも作成していない場合は、「ストライプと連結の作成」を参照してください。
前提条件 (「DiskSuite オブジェクトを保守するための前提条件」) を満たし、予備情報 (「ミラーの予備情報」) を読んだことを確認する。
オブジェクトリストから既存のミラーオブジェクトをダブルクリックし、その状態が「正常」であることを確認する。
オブジェクトがキャンバスに表示されます。
ミラーに接続される連結方式オブジェクトを、ミラーオブジェクトの先頭にドラッグする。
ミラーオブジェクトの先頭の矩形をクリックし、「確定」をクリックする。
新しいサブミラーの再同期が開始されます。
コンフィグレーションログを表示して、ミラーが確定されたことを確認する。
この例では、サブミラー d2 が接続されたミラー d0 を示します。このミラーは、新しいサブミラー上のデータと自動的に同期します。
「DiskSuite オブジェクトを保守するための前提条件」の前提条件と 「ミラーの予備情報」の予備情報をチェックしてから、metattach(1M) コマンドを使用してミラーにサブミラーを接続します。詳細は、metattach(1M) のマニュアルページを参照してください。
作業を開始する前に、サブミラーとして使用する連結またはストライプを識別します。そのサイズは、ミラー内の既存のサブミラーのサイズ以上でなければなりません。まだどちらも作成していない場合は、「ストライプと連結の作成」を参照してください。
# metastat d30 d30: mirror Submirror 0: d60 State: Okay ... # metattach d30 d70 d30: submirror d70 is attached # metastat d30 d30: mirror Submirror 0: d60 State: Okay Submirror 1: d70 State: Resyncing Resync in progress: 41 % done Pass: 1 Read option: roundrobin (default) Write option: parallel (default) Size: 2006130 blocks ... |
この例では、1 面のミラー d30 にサブミラー d70 を接続して、2 面のミラーを作成する方法を示します。最初、ミラー d30 はサブミラー d60 から構成されます。d70 は連結方式メタデバイスです。metastat(1M) コマンドによって、ミラーの状態が「Okay (正常)」であることを確認してから、サブミラーを接続します。 metattach(1M) コマンドが実行されると、新しいサブミラーが既存のミラーと再同期されます。ミラーにサブミラーを追加接続すると、システムはメッセージを表示します。ミラーが再同期中であることを確認するには、metastat(1M) コマンドを使用します。
配下のディスクを再使用したい場合、サブミラーを切断することもできます。システムからのサービスを中断することなく、サブミラーを切断することができます。
前提条件 (「DiskSuite オブジェクトを保守するための前提条件」) を満たし、予備情報 (「ミラーの予備情報」) を読んだことを確認する。
オブジェクトリストから、ミラーオブジェクトをダブルクリックする。
オブジェクトがキャンバスに表示されます。
切断するサブミラーの内部をクリックする。
サブミラーを、ミラーオブジェクトからキャンバスにドラッグする。
これが 2 面ミラーである場合は、ミラーの状態が「緊急」に変化します。
ミラーオブジェクトの先頭の矩形をクリックし、「確定」をクリックする。
コンフィグレーションログを表示して、ミラーが確定されたことを確認する。
「DiskSuite オブジェクトを保守するための前提条件」の前提条件と 「ミラーの予備情報」の予備情報をチェックしてから、metadetach(1M) コマンドを使用して、サブミラーをミラーから切断します。詳細は、 metadetach(1M) のマニュアルページを参照してください。
# metastat d5: mirror Submirror 0: d50 ... # metadetach d5 d50 d5: submirror d50 is detached |
この例では、ミラー d5 にはサブミラー d50 があり、これは metadetach(1M) コマンドで切断されます。d50 の配下にあるスライスは、どこか他の場所で再使用されます。サブミラーをミラーから切断すると、システムは確認メッセージを表示します。
物理ディスクを修復する場合、サブミラーをオフライン / オンライン設定すると便利です。たとえば、SCSI チェーン内のディスクに障害が発生した場合、そのチェーン内のその他すべてのメタデバイスは、壊れたディスクの交換中にオフラインにすることができます。交換用のディスクを取り付けてから、メタデバイスをオンラインに戻します。
サブミラーをオフラインにすると、DiskSuite は、そのミラーに対するすべての入出力を記録します。サブミラーをオンラインに戻したとき、DiskSuite はデータの最適化された再同期を実行し、サブミラー全体ではなく、変更部分だけを再同期します。
オフラインにされていたサブミラーは、読み取り専用でだけマウントできます。
サブミラーのオフライン / オンライン設定手順は、本質的に同じものです。
前提条件 (「DiskSuite オブジェクトを保守するための前提条件」) を満たし、予備情報 (「ミラーの予備情報」) を読んだことを確認する。
オブジェクトリストから、既存のミラーオブジェクトをダブルクリックする。
オブジェクトがキャンバスに表示されます。
ミラーオブジェクトのポップアップウィンドウを表示し、「情報」を選択する。
「ミラー情報」ウィンドウが表示されます。
サブミラーがオフラインであれば、「オンライン」をクリックする。サブミラーがオンラインであれば、「オフライン」をクリックする。
サブミラーの状態は、「オフライン (予定設定済み)」または「オンライン (予定設定済み)」に変化します。
「閉じる」をクリックする。
ミラーオブジェクトの先頭の矩形をクリックし、「確定」をクリックする。
ミラーをオフラインにすると、ミラーの状態は「オフライン」に変化します。ミラーをオンラインにすると、DiskSuite は再同期の操作を開始します。
「DiskSuite オブジェクトを保守するための前提条件」の前提条件と 「ミラーの予備情報」の予備情報をチェックしてから、metaoffline(1M) コマンドを使用してサブミラーをオフラインにするか、metaonline(1M) コマンドを使用してサブミラーをオンラインにします。詳細については、metaoffline(1M) または metaonline(1M) のマニュアルページを参照してください。
# metaoffline d10 d11 d10: submirror d11 is offlined |
ここでは、ミラー d10 からサブミラー d11 をオフラインにします。他のサブミラーからは読み取りを続けることができます。最初の書き込みが行われると、ミラーはすぐに同期を外れます。オフライン設定されたサブミラーがオンラインに復帰すると、この不整合は訂正されます。
# metaonline d10 d11 d10: submirror d11 is onlined |
用意ができると (たとえば、ディスクを交換した後)、サブミラー d11 はオンラインに復帰します。
metaonline(1M) コマンドを使用できるのは、サブミラーが metaoffline(1M) コマンドによってオフライン設定された場合に限られます。metaonline(1M) コマンドが実行された後、DiskSuite はサブミラーとミラーの再同期を自動的に開始します。
metaoffline(1M) コマンドの機能は、metadetach(1M) によって提供される機能と類似しています。しかし、metaoffline(1M) では、サブミラーとミラー間の論理的な関連付けを切断しません。