この作業は、メタデバイスとホットスペア集合の状態情報を表示および解釈するために使用します。
前提条件 (「DiskSuite オブジェクトを保守するための前提条件」) を満足していることを確認する。
オブジェクトの「情報」ウィンドウを表示することによって、メタデバイスやホットスペア集合の状態をチェックする。
その他の状態チェック方法については、「DiskSuite ツールによる状態のチェック」を参照してください。
表 3-2 のメタデバイスとホットスペア集合によって使用される状態キーワードの説明を参照する。
表 3-2 一般的な状態キーワード
キーワード |
意味 |
使用するもの |
---|---|---|
正常 |
メタデバイスまたはホットスペア集合にはエラーがなく、正しく機能しています。 |
すべての種類のメタデバイスとホットスペア集合 |
注意 |
メタデバイスまたはホットスペア集合には障害があるが、すぐにデータが消失する危険はありません。 |
すべての種類のメタデバイスとホットスペア集合 |
緊急 |
メタデバイスにあと 1 つ障害が発生したらデータが消失します。 |
ミラー / サブミラー、RAID5 メタデバイス、トランスメタデバイス |
重大な障害 |
データが破壊された可能性があります。たとえば、ミラー内のすべてのサブミラーにエラーがあったり、RAID5 メタデバイスの複数のスライスにエラーがあります。メタデバイスの構成が無効である場合、テンプレートオブジェクト (ホットスペア集合テンプレートを除く) も重大な障害状態を示します。 |
ミラー / サブミラー、RAID5 メタデバイス、トランスメタデバイス、すべてのテンプレートオブジェクト |
SPARCstorage Array のファンに障害が発生した場合、その SPARCstorage Array 上のすべてのメタデバイスとスライスに「重大な障害」のマークが付けられます。
次のリストから、DiskSuite オブジェクトの具体的な状態と実行可能な操作についての説明を探し、参照する。
連結またはストライプがサブミラーとして使用されていない限り、DiskSuite は、エラーの発生した連結やストライプの状態変化を通知しません。スライスエラーやその他のデバイス障害がある場合、DiskSuite は、要求側のアプリケーションにエラーを返し、それを次のようにコンソールに出力します。
WARNING: md d4: read error on /dev/dsk/c1t3d0s6 |
DiskSuite は、SNMP メッセージを受信できる任意のネットワーク管理コンソールに対して、上のメッセージのような SNMP トラップデータ (警告) を送信できます。詳細は、「DiskSuite の SNMP サポートの構成方法 (コマンド行)」を参照してください。
連結とストライプには複製データが含まれないため、シンプルメタデバイスでのスライスエラーから回復するためには、物理ディスクを交換し、メタデバイスを再作成してデータをバックアップから復元する必要があります。「スライス障害の後でストライプや連結を再作成する方法 (DiskSuite ツール)」、または 「スライス障害の後でストライプや連結を再作成する方法 (コマンド行)」を参照してください。
ミラーオブジェクトには 2 つの状態フィールドがあります。つまり、ミラーデバイス自身の状態フィールドと、各サブミラー用の個々の状態フィールドです。ミラー用の状態フィールドは、表 3-3 で示すような状態を提供します。
表 3-3 ミラーの状態キーワード
キーワード |
意味 |
---|---|
正常 |
ミラーにはエラーがなく、正しく機能しています。 |
注意 |
サブミラーには障害がありますが、すぐにデータが消失する危険はありません。データのコピーがまだ 2 つある (このミラーは 3 面ミラーであり、1 つのサブミラーだけに障害が発生した) か、またはホットスペアによって交換された状態にあります。 |
緊急 |
ミラーには正常なサブミラーが 1 つしかなく、データのコピー 1 つだけでサービスを提供しています。この 1 つ残ったミラーに障害が発生したらデータが消失します。 |
重大な障害 |
すべてのサブミラーにエラーがあり、データが破壊された可能性があります。 |
サブミラーの状態フィールドと実行可能な操作を表 3-4 に示します。
表 3-4 サブミラーの状態キーワード
キーワード |
意味 |
操作 |
---|---|---|
正常 |
サブミラーにはエラーがなく、正しく機能しています。 |
ありません。 |
再同期中 |
サブミラーの再同期処理が活発に行われています。 |
ありません。エラーの発見、訂正処理を行なっていたり、サブミラーがオンライン状態に復帰した直後、または新たにサブミラーが追加された状態です。 |
コンポーネント再同期 |
サブミラー内のスライスの再同期処理が活発に行われています。 |
ありません。ホットスペアスライスまたは他のスライスを利用して、サブミラー内のエラーの発生したスライスを交換しました。 |
接続中 |
サブミラーが接続されています。 |
ありません。 |
接続済み (再同期中) |
接続後、サブミラー全体を再同期しています。 |
ありません。 |
オンライン(予定設定済み) |
次に「確定」をクリックすると、サブミラーがオンラインとなります。 |
「確定」をクリックして、サブミラーを有効にします。 |
オフライン(予定設定済み) |
次に「確定」をクリックすると、サブミラーはオフラインとなります。 |
「確定」をクリックして、サブミラーをオフラインにします。 |
オフライン済み |
サブミラーはオフラインです。 |
たとえば保守を行なった後など、適当なときに、サブミラーをオンラインに戻します。「サブミラーのオフライン / オンライン設定 (DiskSuite ツール)」を参照してください。 |
保守状態 |
サブミラーにはエラーがあります。 |
サブミラーを修復します。「エラー」状態にあるサブミラーは任意の順序で修復できます。「サブミラー内のスライスを有効にする方法 (DiskSuite ツール)」、または 「サブミラー内のスライスを交換する方法 (DiskSuite ツール)」を参照してください。 |
最後にエラーが 発生した状態 |
サブミラーにエラーがあり、ミラーのデータは破壊された可能性があります。 |
まず、「保守状態」のサブミラーを修復してから、「最後にエラーが発生した状態」のサブミラーを修復します。「サブミラー内のスライスを有効にする方法 (DiskSuite ツール)」、または 「サブミラー内のスライスを交換する方法 (DiskSuite ツール)」を参照してください。エラーを修復したら、データの妥当性チェックします。 |
DiskSuite は、サブミラーではないシンプルメタデバイスに対して、状態情報やホットスペア情報を保持しません。
RAID5 オブジェクトの状態フィールドにあるキーワード、および実行可能な操作について、表 3-5 で説明します。
表 3-5 RAID5 の状態キーワード
キーワード |
意味 |
操作 |
---|---|---|
正常 |
RAID5 メタデバイスにはエラーがなく、正しく機能しています。 |
ありません。 |
接続済み / 初期化 (再同期) |
接続が行われた後、または作成された後で、RAID5 メタデバイスが再同期されています。 |
通常は、ありません。入出力エラーが発生した場合、新しい RAID5 メタデバイスの初期化中に、デバイスは「保守状態」となります。初期化に失敗した場合、メタデバイスは「初期化失敗状態」となり、スライスは「保守状態」となります。この場合、メタデバイスを削除して再作成します。 |
注意 |
RAID5 メタデバイスに障害はありますが、すぐにデータが消失する危険はありません。 |
デバイス状態の監視を続けます。 |
緊急 |
RAID5 メタデバイスにはスライスエラーがあり、あと 1 つ障害が発生したらデータが消失します。 |
エラーの発生したスライスを修復します。「RAID5 メタデバイス内のスライスを有効にする方法 (DiskSuite ツール)」、または 「RAID5 スライスの交換方法 (DiskSuite ツール)」を参照してください。 |
重大な障害 |
RAID5 メタデバイスには、エラーのあるスライスが複数個存在します。データは破壊された可能性があります。 |
エラーの発生したスライスを修復するには、「RAID5 メタデバイス内のスライスを有効にする方法 (DiskSuite ツール)」、または 「RAID5 スライスの交換方法 (DiskSuite ツール)」を参照してください。バックアップからデータを復元する必要があります。 |
トランスメタデバイスオブジェクトの状態フィールドのキーワード、および実行可能な操作について、表 3-6 で説明します。
表 3-6 トランスメタデバイスの状態キーワード
キーワード |
意味 |
操作 |
---|---|---|
正常 |
デバイスは正しく機能しています。マウントされている場合、ファイルシステムはロギング中なので、ブート時にはチェックされません (つまり、fsck はブート時にファイルシステムをチェックしません)。 |
ありません。 |
ログの切断 (進行中) |
トランスメタデバイスがマウント解除されたとき、または次のリブート時に、トランスメタデバイスのログが切断されます。 |
ありません。 |
ログの切断 (予定設定済み) |
次に「確定」をクリックすると、トランスメタデバイスのログが切断されます。 |
「確定」をクリックしてログを切断します。この切断は、次のリブート時、またはファイルシステムがマウント解除されてから再マウントされたときに行われます。 |
注意 |
トランスメタデバイスには障害がありますが、すぐにデータが消失する危険はありません。 |
トランスメタデバイス状態の監視を続けます。 |
緊急 |
トランスメタデバイスに障害があり、あと 1 つ障害が発生したらデータを失います。トランスメタデバイスに RAID5 メタデバイスまたはミラーが含まれる場合にだけ、この状態が発生します。 |
エラーの発生したミラーまたは RAID5 マスターデバイスを修復します。「ミラーと RAID5 メタデバイスにおけるスライスの交換と有効化の概要」を参照してください。 |
重大な障害 (ログなし) |
トランスメタデバイスにロギングデバイスが接続されていません。 |
ロギングデバイスを接続します。ロギングデバイスが接続されるまでは、ファイルシステムのロギングを開始できません。 |
重大な障害 (ログハードエラー) |
デバイスの使用中に、デバイスエラーまたはファイルシステムでパニックが発生しました。デバイスが閉じられるかマウント解除されるまで、読み書きのたびに入出力エラーが返されます。最初に開いたとき、このデバイスはエラー状態に移行します。 |
トランスメタデバイスを修復します。「ファイルシステムのパニックを起こしたトランスメタデバイスの回復方法 (コマンド行)」、または 「ハードエラーを起こしたトランスメタデバイスの回復方法 (コマンド行)」を参照してください。 |
重大な障害 (エラー) |
デバイスは読み書き可能です。ファイルシステムも読み取り専用でマウントできるのに、実際に読み書きしてみるとそのつど入出力エラーが返されています。この状態からは、たとえファイルシステムでパニックが発生したり、デバイスエラーが発生しても、ハードエラー状態には戻りません。 |
トランスメタデバイスを修復します。「ファイルシステムのパニックを起こしたトランスメタデバイスの回復方法 (コマンド行)」、または 「ハードエラーを起こしたトランスメタデバイスの回復方法 (コマンド行)」を参照してください。fsck(1M) または newfs(1M) が正常に終了すると、デバイスは正常状態に移行します。デバイスがハードエラーまたはエラーの状態にある場合、fsck はファイルシステムをブート時に自動的にチェックおよび修復します。newfs は、デバイスにどんなデータがあっても、これを破壊します。 |
ホットスペア集合オブジェクトの状態フィールドに含まれるキーワードと実行可能な操作を表 3-7 に示します。
表 3-7 ホットスペア集合の状態キーワード
キーワード |
意味 |
操作 |
---|---|---|
正常 |
ホットスペアは動作中であり、データを受け付ける用意ができているが、現在のところ、ホットスペアでは読み書きが行われていません。 |
ありません。 |
使用中 |
現在、ホットスペアに読み書きが行われています。 |
ホットスペアの使用状況を診断してから、ホットスペアが使用されているメタデバイス内のスライスを修復します。 |
注意 |
ホットスペアまたはホットスペア集合に障害がありますが、すぐにデータが消失する危険はありません。ホットスペア集合にホットスペアが存在しない場合、またはすべてのホットスペアが使用中であるか壊れているホットスペアがある場合にも、この状態が表示されます。 |
ホットスペアの使用状況や故障原因を診断します。必要ならば、ホットスペア集合にホットスペアを追加できます。 |