Solstice DiskSuite 4.2.1 ユーザーズガイド

RAID5 メタデバイスの状態 (コマンド行)

RAID5 メタデバイス上で metastat(1M) コマンドを実行すると、メタデバイスの状態が表示されます。さらに、RAID5 メタデバイス内のスライスごとに、 metastat は、ストライプ内のスライスのデバイス名 (Device)、スライスが始まる開始ブロック (Start Block)、スライスに状態データベースの複製が含まれるかどうか (Dbase)、スライスの状態 (Status)、障害の発生したスライスのホットスペアに使用されるスライスを示すホットスペア (Hot Spare) を表示します。

metastat から出力された RAID5 メタデバイスの例を次に示します。


# metastat
d10: RAID
    State: Okay        
    Interlace: 32 blocks
    Size: 10080 blocks
Original device:
    Size: 10496 blocks
        Device              Start Block  Dbase State        Hot Spare
        c0t0d0s1                 330     No    Okay        
        c1t2d0s1                 330     No    Okay        
        c2t3d0s1                 330     No    Okay 

RAID5 メタデバイスの状態を表 3-10 に示します。

表 3-10 RAID5 の状態 (コマンド行)

状態 

意味 

Initializing 

スライスは、すべてのディスクブロックをゼロで初期化操作中にあります。この操作は、データとパリティを飛び越しストライピングする RAID5 メタデバイスの特性上、必要なものです。 

 

状態が「Okay (正常)」に変化したら、初期化プロセスが完了しており、デバイスを開くことができます。それまで、アプリケーションはエラーメッセージを受け取ります。 

Okay 

デバイスの使用準備が整っており、今のところエラーはありません。 

Maintenance 

読み書き操作中に発生した入出力エラーかオープンエラーが発生したため、1 つのスライスがエラーとマークされました。 

RAID5 メタデバイスのエラーに対処する場合、おそらくこのスライス状態は最も重要な情報となります。RAID5 状態は、「Okay (正常)」や「Needs Maintenance (要保守)」などの一般的な状態情報を提供するだけです。RAID5 が「Needs Maintenance」状態を通知した場合、スライス状態を参照してください。スライスが「Maintenance (保守状態)」または「Last Erred (最後にエラーが発生した状態)」にある場合、別の障害回復操作を実行することになります。「Maintenance」のスライスが 1 つだけ存在する場合、そのスライスはデータを失うことなく修復できます。「Maintenance」のスライスと「Last Erred」のスライスが存在する場合、データはおそらく破壊されています。最初に「Maintenance」のスライスを修復してから、「Last Erred」のスライスを修復しなければなりません。詳細は、「ミラーと RAID5 メタデバイスにおけるスライスの交換と有効化の概要」を参照してください。

RAID5 メタデバイスのスライス状態と実行可能な操作を、表 3-11 に示します。

表 3-11 RAID5 のスライス状態 (コマンド行)

状態 

意味 

操作 

Initializing 

スライスは、すべてのディスクブロックをゼロで初期化操作中にあります。この操作は、データとパリティを飛び越しストライピングする RAID5 メタデバイスの特性上、必要なものです。 

通常は、ありません。このプロセス中に入出力エラーが発生した場合、デバイスは「Maintenance (保守状態)」となります。初期化に失敗した場合、メタデバイスは「初期化失敗状態」となり、スライスは「Maintenance」となります。この場合、メタデバイスを削除して再作成します。 

Okay 

デバイスの使用準備が整っており、今のところエラーはありません。 

ありません。必要ならば、スライスの追加や交換が行えます。 

Resyncing 

スライスの再同期処理が活発に行われています。エラーの発見、訂正処理を行なっていたり、スライスがオンライン状態に復帰した直後、または新たにスライスが追加された状態です。 

希望により、再同期が完了するまで、RAID5 メタデバイスの状態を監視します。 

Maintenance 

読み書き操作中に発生した入出力エラーやオープンエラーが発生したため、1 つのスライスにエラーがマークされました。 

エラーの発生したスライスを有効にするか交換します。「RAID5 メタデバイス内のスライスを有効にする方法 (コマンド行)」、または 「RAID5 スライスの交換方法 (コマンド行)」を参照してください。

注 : metastat(1M) コマンドでは、 metareplace(1M) コマンドで実行すべき適切な操作と一緒に、invoke 障害回復メッセージを表示します。

Last Erred 

複数のスライスにエラーが発生しました。エラーの発生したスライスの状態は、「Maintenance」か「Last Erred」です。この状態では、「Maintenance」にあるスライスには入出力が行われないが、「Last Erred」とマークされたスライスには入出力が試され、その結果入出力要求の状態は全体的にこの状態 (Last Erred) となります。 

エラーの発生したスライスを有効にするか交換します。「RAID5 メタデバイス内のスライスを有効にする方法 (コマンド行)」、または 「RAID5 スライスの交換方法 (コマンド行)」を参照してください。

注 : metastat(1M) コマンドを起動すると、metareplace(1M) コマンドに適切なオプション (-f フラグ) を付けて実行するように表示されます。つまり、複数のエラースライスから正確でないデータが生成された可能性があることを示します。