GLD は、いくつかの DLPI プリミティブを実装します。DL_INFO_REQ プリミティブは、DLPI Stream に関する情報を要求します。メッセージは 1 つの M_PROTO メッセージブロックで構成されます。GLD はこの要求に対する DL_INFO_ACK 応答で、gld_register() に渡された gldm_mac_info(9S) 構造体に GLD ベースのドライバが指定した情報に基づいて、デバイスに依存する値を返します。ただし、GLD は、すべての GLD ベースのドライバに代わって次の値を返します。
バージョンは DL_VERSION_2 です。
サービスモードは DL_CLDLS です。GLD はコネクションレスモードのサービスを実装します。
プロバイダスタイルは、Stream がどのようにオープンされたかにより、DL_STYLE1 または DL_STYLE2 になります。
オプションの Quality Of Service (QOS) サポートはありません。QOS フィールドはゼロです。
DLPI 仕様と異なり、GLD は、Stream が PPA に接続される前であっても、DL_INFO_ACK でデバイスの正確なアドレス長およびブロードキャストアドレスを返します。
PPA と Stream を対応付けるために、DL_ATTACH_REQ プリミティブが呼び出されます。この要求は、Style 2 の DLS プロバイダが通信を行う物理メディアを特定するために必要です。完了すると、状態が DL_UNATTACHED から DL_UNBOUND に変わります。メッセージは 1 つの M_PROTO メッセージブロックで構成されます。ドライバを Style 1 モードで使用している場合は、この要求を発行できません。Style 1 を使用してオープンされた Stream は、オープンの完了時には PPA にすでに接続されているからです。
DL_DETACH_REQ プリミティブは、Stream から PPA を切り離すことを要求します。これが認められるのは、Stream が Style 2 を使用してオープンされた場合だけです。
DL_BIND_REQ プリミティブおよび DL_UNBIND_REQ プリミティブは、DLSAP と Stream の結合および結合解除を行います。各 Stream と対応付けられた PPA は、DL_BIND_REQ の処理が完了したときに初期化されます。複数の Stream を同じ SAP に結合できますが、このような Stream はそれぞれ、その SAP で受信したパケットのコピーを受け取ります。
DL_ENABMULTI_REQ プリミティブおよび DL_DISABMULTI_REQ プリミティブは、個々のマルチキャストグループアドレスの受け付けを可能または不可能にします。1 組のマルチキャストアドレスを繰り返し作成し、これらのプリミティブを使用して Stream 単位で変更できます。これらのプリミティブが受け入れられるように、Stream を PPA に接続する必要があります。
DL_PROMISCON_REQ プリミティブおよび DL_PROMISCOFF_REQ プリミティブは、物理レベルまたは SAP レベルのどちらかで、プロミスキュアス (promiscuous) モードを Stream 単位で有効または無効にします。DL Provider は、DL_DETACH_REQ または DL_PROMISCOFF_REQ を受信するまで、または Stream がクローズされるまで、そのメディアで受信したすべてのメッセージを DLS ユーザーにルーティングします。物理レベルのプロミスキュアスモードは、そのメディア上の全パケットに指定することも、マルチキャストパケットに限定して指定することもできます。
これらのプロミスキュアスモードのプリミティブが受け入れられるように、Stream を PPA に接続する必要があります。
DL_UNITDATA_REQ プリミティブは、コネクションレス型転送でデータを送信する場合に使用します。これは未承認のサービスなので、配信の保証はありません。メッセージは 1 つの M_PROTO メッセージブロックとそれに続く 1 つ以上の M_DATA ブロック (1 バイト以上のデータを含む) で構成されます。
DL_UNITDATA_IND タイプは、パケットを受信してアップストリームに渡す場合に使用します。パケットは、プリミティブを DL_UNITDATA_IND に設定した M_PROTO メッセージに格納されます。
DL_PHYS_ADDR_REQ プリミティブは、DL_PHYS_ADDR_ACK プリミティブで、Stream に接続された PPA にその時点で対応付けられている MAC アドレスを返します。Style 2 を使用している場合、このプリミティブが有効なのは DL_ATTACH_REQ が成功した場合に限られます。
DL_SET_PHYS_ADDR_REQ プリミティブは、Stream に接続された PPA にその時点で対応付けられている MAC アドレスを変更します。このプリミティブは、現在および将来にわたりこのデバイスに接続された他のすべての Stream に作用します。いったん変更すると、現在オープンしている、または今後オープンされてこのデバイスに接続されるすべての Stream が、この新しい物理アドレスを取得できます。新しい物理アドレスは、このプリミティブを使用して再び物理アドレスを変更するまで、またはドライバがリロードされるまで有効です。
PPA の物理アドレスは、他の Stream が同じ PPA に結合されているときに、スーパーユーザーが変更できます。
DL_GET_STATISTICS_REQ プリミティブは、Stream に接続された PPA に対応する統計情報を収めた DL_GET_STATISTICS_ACK 応答を要求します。DL_ATTACH_REQ を使用して Style 2 の Stream を特定の PPA に接続しておかないと、このプリミティブは成功しません。