Solaris 8 のソフトウェア開発 (追補)

appcert での作業

appcert を使用してアプリケーションをチェックするには、次のように実行します。


appcert object|directory
object|directory は、次のどちらかです。


注 –

チェックされるアプリケーションが実行される環境とは異なる環境で appcert を実行する場合、appcert ユーティリティは Solaris ライブラリインタフェースへの参照を正しく解決できない可能性があります。


appcert ユーティリティは Solaris 実行時リンカーを使用して、実行可能プログラムや共用オブジェクトファイルごとにインタフェースへの依存関係のプロファイルを作成します。このプロファイルを使用すると、アプリケーションが依存する Solaris システムインタフェースが判別できます。プロファイルに記述された依存関係は Solaris ABI と比較され、準拠しているかどうかが確認されます (非公開インタフェースがあってはいけません)。

appcert ユーティリティは再帰的にディレクトリを検索してオブジェクトファイルを探しますが、ELF 以外のオブジェクトファイルは無視します。appcert によるアプリケーションのチェックが完了すると、標準出力 (stdout、通常は画面) に終了報告が出力されます。同じ内容が作業用ディレクトリ、通常は /tmp/appcert.pid の、Report という名前のファイルに書き込まれます。サブディレクトリ名の pidappcert のプロセス ID で 1〜6 桁の数字で示されます。appcert が出力ファイルを書き込むディレクトリ構造の詳細については、appcert の結果を参照してください。

appcert のオプション

次のオプションによって appcert ユーティリティの動作が変更できます。コマンド行では、appcert コマンドの後、object|directory オペランドの前に、オプションを入力します。

-B

バッチモードで appcert を実行します。

バッチモードでは、appcert が作成するレポートの各行に、チェックしたバイナリが記録されます。

PASS で始まる行は、その行に指定されているバイナリに対して appcert の警告を発しなかったことを示します。

FAIL で始まる行は、そのバイナリで問題が見つかったことを示します。

INC で始まる行は、その行に指定されているバイナリが、完全にはチェックできなかったことを示します。

-f infile

infile ファイルはチェックの対象となるファイルのリストで、1 行に 1 つのファイル名を指定します。コマンド行でファイルが指定されている場合は、そのファイルと共にチェックの対象となります。このオプションを使用する場合は、コマンド行でオブジェクトやディレクトリを指定する必要はありません。

-h

appcert の使用方法の情報を出力します。

-L

デフォルトでは、appcert はアプリケーションの共用オブジェクトをすべてチェックし、共用オブジェクトがあるディレクトリを LD_LIBRARY_PATH に追加します。-L オプションを指定すると、この動作が無効になります。

-n

デフォルトでは、appcert はディレクトリを検索してチェックするバイナリを探すときに、シンボリックリンクをたどります。-n オプションを指定すると、この動作が無効になります。

-S

LD_LIBRARY_PATH に Solaris ライブラリディレクトリである /usr/openwin/lib/usr/dt/lib を追加します。

-w working_dir

ライブラリコンポーネントの実行と、一時ファイルの作成を行うディレクトリを指定します。このオプションが指定されていない場合、appcert/tmp ディレクトリを使用します。