特記事項: luxadm ソフトウェア

第 1 章 luxadm コマンドの基本的な機能

luxadm コマンドは、Sun Enterprise Network Array (SENA) の管理用コマンドです。特に Sun StorEdge A5x00 ディスクアレイ、SPARCstorage Array (SSA)、および Sun Fire 880 内部ディスクアレイの管理に使用します。luxadm コマンドは、さまざまな制御処理や照会処理に使用できます。処理の内容は、コマンド行の引数やオプションを使用して指定します。

この章では、luxadm のコマンド構文、個々のディスクまたはディスクアレイの指定やアドレス指定の方法について説明します。

この章では、次の項目を説明します。

luxadm コマンドの構文

luxadm コマンド行には、サブコマンドの指定が必要です。また、オプションの指定もでき、通常は少なくとも 1 つの格納装置の名前、またはパス名を指定します。サブコマンドによっては、他のパラメタを指定することもできます。基本的な構文を以下に示します。


/usr/sbin/luxadm [オプション] サブコマンド [オプション] {格納装置名 [,デバイス名]| パス名...}

サブコマンドを一意に識別するために、必要な文字数のみ入力します。たとえば、box1 という格納装置に対してサブコマンド display を実行する場合は、以下のように入力することができます。


#luxadm disp box1

パス名を入力して、デバイスおよびサブコマンドを指定します。パス名は、Sun StorEdge A5x00 SENA インタフェースボード、Sun Fire 880 の格納装置サービスデバイス (SES)、SPARCstorage Array コントローラ、RSM コントローラ、または個々の FC-AL (Fibre Channel-Arbitrated Loop) デバイスの論理パス、あるいは物理パスです。パス名は、Sun StorEdge A5x00 インタフェースボード、単一の FC-AL ディスク、または Sun Fire 880 SES の World Wide 名 (WWN) にもなります。

Sun StorEdge A5x00 SENA サブシステムのインタフェースボードまたは個々のディスク、あるいは Sun Fire 880 の SES または個々のディスク用に、格納装置内の特定ディスクに格納装置名と追加識別子を指定することもできます。ディスクまたはディスクアレイのアドレス指定を参照してください。

ディスクまたはディスクアレイのアドレス指定

この節では、ディスクまたはディスクアレイを指定したりアドレス指定方法について説明します。

Sun StorEdge A5x00 ディスクまたはアレイのアドレス指定

個々のディスクまたはアレイを luxadm に指定するには、いくつかの方法があります。パス名、World Wide 名 (WWN)、または格納装置名を指定できます。

パス名

デバイスまたはアレイを指定するには、完全な物理パス名または完全な論理パス名を使用します。Sun StorEdge A5x00 アレイ およびシステム上のすべての SENA インタフェースボードに対して、物理パスへの論理リンクが、/dev/es ディレクトリに保存されています。

World Wide 名

WWN は一意の 16 桁の 16 進数で、製造過程で各デバイスにプログラムされています。パス名の代わりに WWN を使用して、個々の FC-AL ディスクまたはアレイを選択できます。

格納装置名

デバイスの格納装置名とスロット番号は、次のように指定します。


ボックス名,[f|r]スロット番号

表 1-1 Sun StorEdge A5x00 ディスクアレイのディスクアドレスを格納装置名で指定

オプション / 引数 

説明 

ボックス名

Sun StorEdge A5x00 の格納装置名です。enclosure_name サブコマンドまたはフロントパネルモジュールで指定します。Sun StorEdge A5x00 インタフェースボードを指定するには、オプションのスロット番号ではなく、ボックス名を使用します。

f または r

Sun StorEdge A5x00 の格納装置の前面 (front) または背面 (rear) のスロットを指定します。 

スロット番号

Sun StorEdge A5x00 の格納装置のスロット番号です。0 〜 6 または 0 〜 10 を指定します。 

Sun StorEdge A5x00 のアドレス指定例

個々のディスクの指定

以下に示す方法で、Sun StorEdge A5x00 ディスクアレイに個々のディスクを指定できます。

全ディスクアレイの指定


注 -

アレイ全体、パス名、WWN および格納装置名 (ボックス名)を指定する場合は、Sun StorEdge A5x00 インタフェースボードを指定します。


次に示す方法で、Sun StorEdge A5x00 ディスクアレイ全体のアドレスを指定できます。

Sun Fire 880 ディスクまたは内部アレイのアドレス指定

個々のディスクまたはアレイを luxadm に指定するには、いくつかの方法があります。パス名、World Wide 名 (WWN) または格納装置名を指定できます。luxadmprobe コマンド、enclosure_name コマンド、および display コマンドを使用すると、これらの値をアレイまたは個々のディスクに確定できます。

パス名

パス名は、個々の内蔵ディスクの完全な物理パス名または完全な論理パス名、あるいはアレイの SES コントローラへの完全な物理パス名または完全な論理パス名です。論理パス名を確定するには、probe サブコマンドを使用します。物理パス名を確定するには、probe -p サブコマンドを使用します。Sun Fire 880 デバイスの物理パスへの論理リンクは、/dev/rdsk/dev/dsk に保存されています。

World Wide 名

アレイの WWN は一意の 16 桁の 16 進数で、製造過程で FC-AL バックプレーン上のファームウェアにプログラムされています。各アレイは、アレイ自身の一意の WWN を保有します。2 つのバックプレーンを単一アレイに結合する場合は、ベースバックプレーンの WWN だけが使用されます。

個々の FC-AL ディスクの WWN は、一意の 16 桁の 16 進数です。デバイスまたはデバイス自身のアクセスに使用されるポートを指定します。ディスク上の両ポートは、単一 WWN を共有します。各ディスクの WWN は、製造過程で各デバイスのファームウェアにプログラムされています。

probe コマンドを使用して、SES の WWN を確定します。display コマンドを使用して、格納装置内の各 FC-AL ディスクの WWN を確定します。

格納装置名

次に示すように、ボックス名とスロット番号でデバイスを指定できます。


ボックス名,[s]スロット番号

表 1-2 格納装置名による Sun Fire 880 ディスクアレイ内のディスクのアドレス指定

オプション / 引数 

説明 

ボックス名

luxadm enclosure_name サブコマンドを使用して、SES に割り当てる名前です。Sun StorEdge A5x00ディスクアレイまたは Sun Fire 880 内部記憶装置アレイの名前の変更 (enclosure_name)を参照してください。

s

Sun Fire 880 の格納装置にスロットを指定します。 

スロット番号

Sun Fire 880 格納装置内のデバイスのスロット番号です。各スロットは、Sun Fire 880 の格納装置上で 0〜 11 の番号が付けられています。 

Sun Fire 880 のアドレス指定例

個々のディスクの指定

次に示す方法で、Sun Fire 880 の格納装置に単一内蔵ディスクを指定できます。

全ディスクアレイの指定


注 -

ディスクアレイ全体、パス名、WWN、および格納装置名 (ボックス名) を指定する場合は、SES を指定します。


次に示す方法で、Sun Fire 880 ディスクアレイ全体のアドレスを指定できます。

SPARCstorage Array のアドレス指定

SPARCstorage Array にアドレス指定するには、パス名を使用して、SPARCstorage Array のコントローラまたは SPARCstorage Array 内のディスクを指定します。コントローラ名は、物理名で指定されます。以下に例を示します。


/devices/.../.../SUNW,soc@3,0/SUNW,pln@axxxxxxx,xxxxxxxx:ctlr

また、cN という形式でコントローラ名を指定することができます。N は、論理コントローラ番号です。luxadm コマンドは、cN 名によって SPARCstorage Array コントローラに接続されているディスクの /dev/rdsk ディレクトリ内のエントリを検索します。/dev/rdsk エントリから、SPARCstorage Array コントローラの物理名が判断されます。

SPARCstorage Array 内のディスクは、論理デバイス名または物理デバイス名で指定されます。以下に例を示します。


/dev/rdsk/c1t0d0s2

または


/devices/.../.../SUNW,soc@3,0/SUNW,pln@axxxxxxx,xxxxxxxx/ssd@0,0:c,raw

ディスクやサブシステムの論理名についての詳細は、disks(1M)devlinks(1M) のマニュアルページを参照してください。

SPARCstorage RSM トレーのアドレス指定

SPARCstorage RSM トレーのアドレスを指定するには、パス名を使用して、 SPARCstorage RSM トレーのコントローラまたはディスクを指定します。コントローラ名は、物理名を使用して指定します。以下に例を示します。


/devices/pci@8,600000/QLGC,isp@1,10000/sd@8,0:c,raw

また、cN という形式でコントローラ名を指定することもできます。N は、論理コントローラの論理番号です。luxadm コマンドは、cN 名によって SPARCstorage Array のコントローラに接続されているディスクの /dev/rdsk ディレクトリ内のエントリを検索します。/dev/rdsk エントリから、コントローラの物理名が判断されます。

SPARCstorage RSM トレー内のディスクは、論理デバイス名または物理デバイス名で指定されます。以下に例を示します。


/dev/rdsk/c2t8d0s2

ディスクとサブシステムの論理名については、disks(1M) および devlinks(1M) のマニュアルページを参照してください。