Solaris Live Upgrade 2.0

ブート環境の作成 (概要)

Solaris Live Upgrade では、クリティカルファイルシステムと共有可能ファイルシステムの 2 種類のファイルシステムは区別されます。クリティカルファイルシステムは、Solaris オペレーティング環境に必要なものであり、アクティブブート環境の vfstab と非アクティブブート環境の vfstab ではマウントポイントが異なります。例として、ルート (/) /usr/var/opt などがあります。これらのファイルシステムは、必ずソースから非アクティブブート環境にコピーされます。共有可能ファイルシステムは /export のようなユーザー定義のファイルであり、アクティブブート環境の vfstab と非アクティブブート環境の vfstab 内で同じマウントポイントを持ちます。このため、アクティブブート環境内の共有ファイルを更新すると、非アクティブブート環境のデータも更新されます。共有可能ファイルシステムはデフォルトでは共有されますが、ユーザーが宛先スライスを指定することもできます。この場合、そのファイルシステムがコピーされます。

スワップは、特殊な共有可能ファイルシステムです。共有可能ファイルシステムと同様に、デフォルトではすべてのファイルが共有されます。しかし、クリティカルファイルシステムのように、スワップスライスの分割とマージを行うことができます。この操作は、キャラクタユーザーインタフェースを使用して行うことも、 lucreate コマンドに -m オプションを付けてコマンド行で行うことも可能です。スワップスライスを分割したりマージしたりするには、現在のブート環境 (-s オプションが使用される場合はソースブート環境) 以外のブート環境では、スワップスライスが使用中であってはならないという制限があります。スライスにスワップや ufs などのファイルシステムが含まれるかどうかにかかわらず、スワップスライスがほかのブート環境によって使用されている場合、ブート環境の作成は失敗します。スワップスライスは必須ではありません。スワップの再構成方法については、手順 9、または ブート環境を作成しスワップを再構成する (コマンド行インタフェース)を参照してください。

非アクティブブート環境を作成すると、クリティカルファイルシステムがほかのスライスにコピーされます。ユーザーは、初めにクリティカルファイルシステムをコピーできる未使用のスライスを確認します。スライスが使用できないかあるいは最小限の要件を満たしていない場合は、新しいスライスをフォーマットする必要があります。メニューからスライスをフォーマットする手順については、手順 6 を参照してください。

スライスが定義された後、新しいブート環境上のファイルシステムをディレクトリにコピーする前に再構成することができます。ファイルシステムは、分割とマージによって再構成します。vfstab を簡単に編集して、ファイルシステムディレクトリを接続および切断できます。同じマウントポイントを指定してファイルシステムをその親ディレクトリにマージすることも、異なるマウントポイントを指定して親ディレクトリからファイルシステムを分離することも可能です。ファイルシステムの分割とマージの手順については、手順 7手順 8ブート環境を作成しファイルシステムを分割する (コマンド行インタフェース)、または ブート環境を作成しファイルシステムをマージする (コマンド行インタフェース) を参照してください。


注 –

ブート環境のファイルシステムを作成する場合の規則は、Solaris オペレーティング環境のファイルシステムを作成する場合と同じです。Solaris Live Upgrade では、クリティカルファイルシステムに無効な構成を作成できてしまいます。たとえば、lucreate コマンドを入力して、ルート (/) と /kernel を別々のファイルシステム上に作成することができます。これは、ルート (/) にとって無効な分割です。


非アクティブブート環境でファイルシステムを構成した後、自動コピーを開始します。クリティカルファイルシステムは、指定されたディレクトリにコピーされます。共有可能ファイルシステムは (それらの一部をコピーするように指定しないかぎり) コピーされずに共有されます。アクティブブート環境から非アクティブブート環境にファイルシステムがコピーされた時点で、ファイルは新しく定義されたディレクトリにコピーされます。ファイルの同期がとられ、アクティブブート環境は決して変更されません。

図 1–1 は、新しいブート環境にコピーされたクリティカルファイルシステムを示しています。ルート (/) ファイルシステムに加えて /usr/var/opt などのファイルシステムがすべてコピーされます。/export/home のようなファイルシステムは、アクティブブート環境と非アクティブブート環境によって共有されます。新しいブート環境の作成手順については、新しいブート環境の作成を参照してください。

図 1–1 非アクティブブート環境の作成

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