2


SMS DR 手順

この章では、System Management Services (SMS) ソフトウェアを実行する Sun Fire 15K/12K システムコントローラ (SC) の DR 機能の使用手順を説明します。次の手順について説明します。


デバイス情報の表示

DR 操作を実行する前には、特にデバイスを削除する場合は、showdevices(1M) コマンドを使用してデバイス情報を表示します。


procedure icon  デバイス情報を表示する

single-step bulletshowdevices (1M) コマンドを使用して、ドメインのデバイス情報を表示します。

% showdevices -v -d A

上記のコマンドは、ドメイン内の全デバイスのデバイス情報を表示し、以下のような出力を生成します。

CPU
----
domain   board   id   state     speed    ecache    usage
A        SB1     40   online    400      4
A        SB1     41   online    400      4
A        SB1     42   online    400      4
A        SB1     43   online    400      4
A        SB2     55   online    400      4
A        SB2     56   online    400      4
A        SB2     57   online    400      4
A        SB2     58   online    400      4

以下は、上記の showdevices(1M) コマンドのメモリー出力の一例です。

Memory
drain in progress:
-----------------
               board   perm    base     domain  target deleted remaining
domain  board  mem MB  mem MB  addr     mem MB  board  MB      MB
A       SB1    2048    933     0x600000 4096    C2     250     1500
A       SB2    2048    0       0x200000 4096

以下は、上記の showdevices(1M) コマンドによる入出力デバイスの出力例です。

IO Devices
----------
domain   board   device  resource             usage
A        IO1     sd0
A        IO1     sd1
A        IO1     sd2
A        IO1     sd3     /dev/dsk/c0t3d0s0    mounted filesystem "/"
A        IO1     sd3     /dev/dsk/c0t3d0s1    dump device (swap)
A        IO1     sd3     /dev/dsk/c0t3d0s1    swap area
A        IO1     sd3     /dev/dsk/c0t3d0s3    mounted filesystem "/var"
A        IO1     sd3     /var/run             mounted filesystem "/var/run"
A        IO1     sd4
A        IO1     sd5

showdevices(1M) コマンドについての詳細は、showdevices の節を参照してください。このコマンドのオプションと引数の全一覧、およびデバイス固有情報の表示については、showdevices(1M) マニュアルページを参照してください。


プラットフォーム情報の表示

特定ドメインでのボードの追加、移動、または削除を行うには、まず showboards(1M) コマンドを使用して、ドメイン ID、ドメインに使用できるボード、およびドメインのステータスを判定します。

すべての DR コマンドでドメイン ID を使用できます。ボードリストを使用すれば特定のボードを割り当てられるドメインを判別でき、そのドメインのステータスを見ればドメインにボードを追加、削除または移動できるかどうかを知ることができます。コンポーネントが使用可能構成要素リストにあるかどうかを調べるには、showplatforms(1M) コマンドを使用します。

showplatforms(1M) コマンドを使用するには、適切な特権が必要です。showplatforms(1M) コマンドを使用できるユーザーグループの一覧など、このコマンドについての詳細は、showplatformの節を参照してください。また、showplatform (1M) マニュアルページも参照してください。


procedure icon  プラットフォーム情報を表示する

single-step bulletドメイン情報を取得するには、showplatform(1M) コマンドを使用します。

% showplatform

showplatform(1M) コマンドは、次の例のように、ドメイン ID、使用可能構成要素リスト、およびドメインのステータスを表示します。

ACLs for domain domainA:
        slot0: SB0, SB1, SB2, SB3
        slot1: IO0, IO1, IO2, IO3

ACLs for domain domainB:
        slot0: None
        slot1: None


Domain        Solaris Nodename      Domain Status

domainA       sms3-b0               Powered Off
domainB       sms3-b1               Running Solaris


ボード情報の表示

ボードを削除または移動するには、ボードを照会して、ボードの状態とボードの割り当て先ドメインを調べる必要があります。

SC 状態モデル

Sun Fire 15K/12K の SC では、ボードは unavailable、available、assigned、または active の 4 つの状態のいずれかです。



注 - SC 上にあるボードの状態は、ドメインにあるボードの状態とは異なります。ドメイン上のボードの状態に関する詳細は、『Sun Fire 15K/12K Dynamic Reconfiguration ユーザーマニュアル』を参照してください。



以下の表では、SC 上のボードの状態について説明しています。

名前

説明

unavailable

ボードはドメインに対して 使用不可 (unavailable) です。指定されたドメインの 使用可能構成要素リストにこのボードは追加されていないか、または現在別のドメインに割り当てられています。使用可能構成要素リストにないボードは、ドメインには見えません。unavailable な状態のボードは、指定されたドメインの一部とはみなされません。

available

ボードはドメインに追加することが可能な (available) 状態にあります。ボードは、メインの使用可能構成要素リストにあります。ボードは任意の数のドメインに使用できます。available な状態のボードは、論理ドメインの一部とみなされます。

assigned

ボードはドメインに割り当て済みであり、ドメインの使用可能構成要素リストに存在している可能性があります。そのボードは他のドメインでは使用不可です。assigned な状態のボードは、論理ドメインの一部とみなされます。

active

ボードは接続されています。つまり、ボードは接続され構成されて、Solaris オペレーティング環境に組み込まれ、オペレーティングシステムで使用できる状態にあります。active な状態のボードは、物理ドメインの一部とみなされます。


showboards(1M) コマンド

削除または移動するボードを含むドメインの ID を明らかにするか、または特定のボードがすでにあるドメインに割り当てられていることがわかったら、showboards (1M) コマンドを使用してボードの状態を調べます。ボードは、削除も移動もできない状態にある可能性があります。



注 - showboards(1M) コマンドの出力は、ユーザーの特権によって異なります。たとえば、プラットフォーム管理者はサーバー内のすべてのボードに関する情報を取得できます。これに対して、ドメイン管理者とドメイン構成者は、アクセス権を持つドメインに割り当て済みで使用可能なボードに関する情報だけを取得できます。詳細は、showboardsを参照してください。




procedure icon  ボード情報を表示する

single-step bulletshowboards(1M) コマンドを使用して、ドメインのボード情報を表示します。

% showboards -d A

上記のコマンドは、ドメイン A のデバイス情報を表示します。次は、表示される情報の例です。

Slot	Pwr	Type of Board				   Board Status					Test Status	   Domain

SB0	On	CPU Board					Active				Passed        A
SB1	-	Empty Slot					Assigned				-				A

showboards(1M) コマンドを使用すると、割り当て済みの全システムボード、使用可能な全システムボード、またはドメイン内の全 CPU/メモリー、および入出力ボードのいずれかもしくはすべてを表示できます。ボード情報表示の詳細については、showboards(1M) マニュアルページを参照してください。


ボードの追加

ドメインにボードを追加すると、ボードの状態は何度か変更されます。ボードがまだ割り当てられていない場合は、まずドメインに割り当てられます。さらにドメインに接続されてから構成され、Solaris オペレーティング環境に組み込まれます。接続されたボードは、物理ドメインの一部とみなされて、オペレーティングシステムで使用できるようになります。

ドメインにボードを追加するには適切な特権が必要です。このコマンドの使用に必要な特権を含め、詳細については、addboardを参照してください。



注 - DR を使用してドメインへ COD ボードを追加する場合は常に、COD ボード上のアクティブな各 CPU を有効にするのに十分な RTU ライセンスがドメインで使用可能であることを確認してください。COD ボードを追加する際、対象ドメインに対して十分な RTU ライセンスがない場合、ドメインで有効にできない各 CPU に関するメッセージが表示されます。COD オプションについての詳細は、『System Management Services (SMS) 1.3 管理者マニュアル』を参照してください。




procedure icon  ボードをドメインに追加する

single-step bulletaddboard(1M) コマンドを使用して、ボードをドメインに追加します。

次の addboard(1M) コマンドの例は、システムボード 2 (SB2) を domain_id で指定されたドメインに追加しています。必要に応じて、待機時間 10 分 (600秒) で 2 回再試行されます。

% addboard -d domain_id -r 2 -t 600 SB2



注 - DR 操作中に addboard(1M) コマンドの実行が失敗すると、対象のボードは元の状態に戻りません。dxs または dca のエラーメッセージが、ドメインのログに出力されます。エラーが回復可能であれば、失敗したコマンドを再試行できます。エラーが回復不能な場合、そのボードを使用するには、ドメインの再起動が必要です。




ボードの削除

ドメインからボードを削除すると、そのボードは現在割り当てられていて、場合によっては有効 (active) 状態にあるドメインから削除されます。ボードを削除する場合、そのボードは割り当て済み (assigned) か有効 (active) 状態でなければなりません。

必ずボード上のコンポーネントの使用状態を確認した上で、ドメインから削除してください。ボードが常時メモリーのホストである場合、ボードを削除する前に、メモリーを同じドメイン内の別のボードに移動しておきます。同様に、使用中のデバイスが存在する場合は、そのデバイスがシステムで使用されなくなるまで待ってから、ボードを削除する必要があります。

ドメイン管理者はボードの構成を解除して切り離すことができますが、ボードが使用可能構成要素リストにないと、ドメインからボードの割り当てを解除することはできません。このコマンドを使用するのに必要な特権の説明を含め、詳細は deleteboardの節を参照してください。


procedure icon  ボードをドメインから削除する

single-step bulletdeleteboard(1M) コマンドを使用して、ドメインからボードを削除します。

次の deleteboard(1M) コマンド例では、システムボード 2 (SB2) をその現在のドメインから削除しています。必要に応じて、待機時間 15 分 (900秒) で 2 回再試行されます。

% deleteboard -r 2 -t 900 SB2



注 - DR 操作中に deleteboard(1M) コマンドの実行が失敗すると、対象のボードは元の状態に戻りません。dxs または dca のエラーメッセージが、ドメインのログに出力されます。エラーが回復可能であれば、失敗したコマンドを再試行できます。エラーが回復不能な場合、そのボードを使用するには、ドメインの再起動が必要です。




ボードの移動

あるドメインから別のドメインへのボードの移動は、いくつかの段階を通して実行されます。まず、ボードが現在割り当てられており、アクティブになっている可能性があるドメインから切り離します。ボードの状態は assigned または active である必要があります。次に、ボードを対象のドメインに割り当てます。この後、そのボードを対象のドメインに接続してから Solaris オペレーティング環境で構成すれば、ボードを使用できるようになります。

必ずボード上のメモリーとデバイスの使用状態を確認した上で、ドメインから削除してください。ボードが常時メモリーのホストである場合は、そのメモリーを同じドメイン内の別のボードに移動してから、ボードを移動する必要があります。同様に、使用中のデバイスが存在する場合は、そのデバイスがシステムで使用されなくなるまで待ってから、ボードを移動する必要があります。

moveboard(1M) コマンドを使用するのに必要な特権の説明を含め、詳細は moveboardの節を参照してください。



注 - DR を使用してドメインへ COD ボードを移動する場合は常に、COD ボード上のアクティブな各 CPU を有効にするのに十分な RTU ライセンスがドメインで使用可能であることを確認してください。COD ボードを追加する際、対象ドメインに対して十分な RTU ライセンスがない場合、ドメインで有効にできない各 CPU に関するメッセージが表示されます。COD オプションについての詳細は、『System Management Services (SMS) 1.3 管理者マニュアル』を参照してください。




procedure icon  ボードを移動する

single-step bulletmoveboard(1M) コマンドを使用して、ボードをあるドメインから別のドメインに移動します。

次の moveboard(1M) コマンドの例では、システムボード 2 (SB2) をその現在のドメインから、domain_id によって指定されたドメインに移動しています。必要に応じて、待機時間 15 分 (900秒) で 2 回再試行されます。

% moveboard -d domain_id -r 2 -t 900 SB2



注 - DR 操作中に moveboard(1M) コマンドの実行が失敗すると、対象のボードは元の状態に戻りません。dxs または dca のエラーメッセージが、ドメインのログに出力されます。エラーが回復可能であれば、失敗したコマンドを再試行できます。エラーが回復不能な場合、そのボードを使用するには、ドメインの再起動が必要です。




アクティブなシステムボードの交換

この節では、あるドメインでアクティブなシステムボードを別のシステムボードと交換する方法を説明します。


procedure icon  アクティブなシステムボードを交換する

次の手順により、システムボード 2 (SB2) が現在のドメインから取り外されて、システムボード 3 (SB3) と交換されます。

1. deleteboard(1M) コマンドを使用して、ドメインからシステムボード 2 (SB2) を削除します。

このステップで、システムボード 2 が現在のドメインから削除されます。必要に応じて、待機時間 15 分 (900秒) で 2 回再試行されます。

% deleteboard -r 2 -t 900 SB2

2. addboard(1M) コマンドを使用して、システムボード 3 (SB3) をドメインに追加します。

このステップで、システムボード 3 が domain_id によって指定されたドメインに追加されます。必要に応じて、待機時間 15 分 (900秒) で 2 回再試行されます。

% addboard -d domain_id -r 2 -t 900 SB3