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システムドメインからの DR 操作

この章では、ハイエンドシステムまたはミッドレンジシステムで、Sun Fire システムドメインから DR 操作を実行する手順について説明します。どちらかのプラットフォームにしか適用されない手順には、その旨を明記します。「システムボード」、「入出力ボード」という用語は、どちらのプラットフォームでも使用します。



caution icon

注意 - ボードまたはコンポーネントに対して DR 操作を実行する前に、デバイスのタイプ、状態、条件の確認の説明に従って、対象となるボードまたはコンポーネントの状態および条件を判定します。

この章で紹介する手順を実行する前に、第 1 章から第 3 章の内容を理解しておく必要があります。



ドメイン内で DR を実行するには、スーパーユーザーになる必要があります。



注 - SBxIOx などの記述で、x はボード ID 番号を表します。



この章では、以下のトピックについて説明します。


システムボードの追加

ドメインにボードを追加する前に、ボードをドメインに割り当てておくか、ACL 内に記載しておく必要があります。ACL とは、ハイエンドシステムドメインでは使用可能なコンポーネントリスト、ミッドレンジシステムドメインではアクセス制御リストを表す省略語です。

ハイエンドシステムの ACL については、『System Management Services (SMS) 1.4 管理者マニュアル』を参照してください。ミッドレンジシステムの ACL については、『Sun Fire ミッドレンジシステムプラットフォーム管理ガイド』を参照してください。


procedure icon  システムボードを取り付ける

1. 指定されたボードスロットがボードを受け入れられることを確認します。


# cfgadm -a -s "select=class(sbd)"

 

状態と条件は、以下のいずれかになります。

または

2. ボードをスロットに取り付け、ボードの接続と構成を行います。


# cfgadm -v -c configure SBx

 

システムによるボードのテストが実行され、しばらくすると、ドメインコンソールログに、コンポーネントの構成が完了したことを知らせるメッセージが表示されます。接続され、構成された接続点の状態と条件は、以下のようになります。

これで、システムがボード上の使用可能なデバイスを認識するようになり、これらのデバイスが使用可能な状態になります。



注 - DR 操作中に cfgadm(1M) コマンドの実行が失敗すると、対象のボードは元の状態に戻りません。エラーが回復可能であれば、失敗したコマンドを再試行できます。エラーが回復不能な場合、対象のボードを使用するには、ドメインを再起動する必要があります。




procedure icon  システムボードを接続するだけで構成はしない

1. 指定されたボードスロットがボードを受け入れられることを確認します。


# cfgadm -a -s "select=class(sbd)"

 

状態と条件は、以下のいずれかになります。

または

2. ボードを接続します。


# cfgadm -v -c connect SBx

 

procedure icon  接続されたシステムボードを構成する

single-step bullet接続されたボードを構成します。


# cfgadm -c configure SBx

 

x はボード番号です。


システムボードの削除


procedure icon  システムボードを削除する

single-step bulletボードの構成を解除し、ボードを切り離します。


# cfgadm -c disconnect SBx

 

procedure icon  システムボードの構成解除は行うが切り離しは行わない

single-step bulletボードの構成を解除します。


# cfgadm -c unconfigure SBx

 

procedure icon  構成解除されたシステムボードを削除する

single-step bulletボードを切り離します。


# cfgadm -c disconnect SBx

 

procedure icon  システムボードを一時的に削除する

この手順では、たとえば、ボードで障害が発生し、交換用のボードや、システムボードのフィラーパネルを使用できない場合に、ボードの電源を切り、そのまま使用できるようにします。

1. ボードの接続点の ID を確認します。


# cfgadm -l -s "select=class(sbd)"

 

2. ボードを切り離し、電源を切ります。


# cfgadm -c disconnect ap_id

 

ap_id は、手順 1 で返された接続点の ID です。


procedure icon  ドメインの永続メモリーを搭載したシステムボードを検出する

single-step bullet永続メモリーを搭載したボードを特定します。


# cfgadm -val | grep permanent

 

procedure icon  永続メモリーを搭載したシステムボードの構成を解除する

1. 永続メモリーを搭載したボードを特定します。


# cfgadm -val | grep permanent

 

2. 永続メモリーを搭載したボードの構成を解除します。


# cfgadm -c unconfigure -y SB0

 

注 - ここでの -y オプションは、休止を妨げません。




システムボードの移動


procedure icon  システムボードを別のドメインに移動する

1. 削除対象のボードのスロット番号を特定します。


# cfgadm -l -s "select=class(sbd)"

 

2. ボードの構成を解除します。このとき、電源は入れたままでテストステータスを保持します。


# cfgadm -o unassign,nopoweroff -c disconnect ap_id

 

ap_id は、手順 1 で返された接続点の ID です。

この時点では、スロットはどのドメインにも割り当てられておらず、すべてのドメインに見えます。

3. ボードの移動先ドメインで、ボードが切り離された状態になっていることを確認します。


# cfgadm -al -s "select=class(sbd)"

 

注 - この手順には、割り当て操作が含まれるため、新しいドメインでボードが見えない場合、ACL に関連する問題が発生している可能性があります。ハイエンドシステムドメインの ACL については、『System Management Services (SMS) 1.4 管理者マニュアル』を参照してください。ミッドレンジシステムドメインの ACL については、『Sun Fire ミッドレンジシステムプラットフォーム管理ガイド』を参照してください。



4. 新しいドメインでボードを構成します。


# cfgadm -c configure ap_id

 


入出力ボードの追加


procedure icon  入出力ボードを追加する

1. 指定されたボードスロットがボードを受け入れられることを確認します。


# cfgadm -a -s "select=class(sbd)"

 

状態と条件は、以下のいずれかになります。

または

2. ボードをスロットに取り付けます。

3. ミッドレンジシステムを使用している場合は、ここで入出力ボードのテストを行います。ハイエンドシステムを使用している場合は次の手順に進みます。

ミッドレンジシステムへボードを追加する場合は、入出力ボードをテストする (ミッドレンジシステムのみ)を参照してください。

4. ボードを接続し、構成します。


# cfgadm -v -c configure IOx

 

システムによるボードのテストが実行され、しばらくすると、ドメインコンソールログに、コンポーネントの構成が完了したことを知らせるメッセージが表示されます。接続され、構成された接続点の状態と条件は、以下のようになります。

これで、システムがボード上の使用可能なデバイスを認識するようになり、これらのデバイスが使用可能な状態になります。



注 - DR 操作中に cfgadm(1M) コマンドの実行が失敗すると、対象のボードは元の状態に戻りません。エラーが回復可能であれば、失敗したコマンドを再試行できます。エラーが回復不能な場合、対象のボードを使用するには、ドメインを再起動する必要があります。




procedure icon  入出力ボードを追加し接続するが、構成はしない

1. 指定されたボードスロットがボードを受け入れられることを確認します。


# cfgadm -a -s "select=class(sbd)"

 

状態と条件は、以下のいずれかになります。

または

2. ボードをスロットに取り付けます。

3. ミッドレンジシステムを使用している場合は、ここで入出力ボードのテストを行います。ハイエンドシステムを使用している場合は次の手順に進みます。

ミッドレンジシステムへボードを追加する場合は、入出力ボードをテストする (ミッドレンジシステムのみ)を参照してください。

4. ボードを接続します。


# cfgadm -v -c connect IOx

 

procedure icon  接続された入出力ボードを構成する

single-step bullet接続された入出力ボードを構成します。


# cfgadm -c configure IOx

 

procedure icon  入出力ボードを削除する

single-step bullet入出力ボードの構成を解除し、切り離します。


# cfgadm -c disconnect IOx

 

procedure icon  入出力ボードの構成解除は行うが切り離しは行わない

single-step bullet入出力ボードの構成を解除します。切り離しは行いません。


# cfgadm -c unconfigure IOx

 

procedure icon  構成解除された入出力ボードを切り離す

single-step bullet構成解除された入出力ボードを切り離します。


# cfgadm -c disconnect IOx

 


メモリーと CPU の追加、削除、追跡



注 - 以下の手順は、シングルコアの CPU とデュアルコアの CPU に共通です。




procedure icon  システムボード上の CPU を構成する

single-step bulletCPU を構成します。


# cfgadm -c configure SBx::cpuy 

 

x はボード番号、y は CPU 番号です。Sun Fire ハイエンドシステムおよびミッドレンジシステムの CPU 番号は、0 〜 3 です。


procedure icon  システムボード上のメモリーを構成する

single-step bulletメモリーを構成します。


# cfgadm -c configure SBx::memory

 

x はボード番号です。このコマンドは、システムボード上のすべてのメモリーに適用されます。


procedure icon  システムボード上のすべての CPU とメモリーを構成する

single-step bulletボード上のすべての CPU とメモリーを構成します。


# cfgadm -c configure SBx

 

procedure icon  システムボード上の CPU の構成を解除する

single-step bulletCPU の構成を解除します。


# cfgadm -c unconfigure SBx::cpuy 

 

x はボード番号、y は CPU 番号です。Sun Fire ハイエンドシステムおよびミッドレンジシステムの CPU 番号は、0 〜 3 です。


procedure icon  システムボード上のメモリーの構成を解除する

single-step bulletメモリーを構成解除します。


# cfgadm -c unconfigure SBx::memory 

 

x はボード番号です。このコマンドは、システムボード上のすべてのメモリーに適用されます。


procedure icon  システムボード上のすべての CPU とメモリーの構成を解除する

single-step bulletボード上の CPU とメモリーの構成を解除する


# cfgadm -c unconfigure SBx

 

procedure icon  メモリー構成解除操作を追跡する

cfgadm(1M) コマンドでは、メモリーの構成解除操作の進捗状況を追跡できます。以下のコマンドは、削除されたメモリー容量とまだ削除されずに残っているメモリー容量のスナップショットを表示します。

single-step bulletメモリー削除プロセスを追跡します。


# cfgadm -a -s "select=type(memory),cols=ap_id:o_state:info"

 


PCI アダプタカードの操作

入出力ボードのホットプラグスロットは、接続、構成、構成解除、切り離しを個別に行うことができます。ホットプラグスロットの接続点 (スロットとスロットに挿入されたアダプタカード) は、入出力ボードをドメインに構成すると作成されます。

Sun Fire ハイエンドシステムは、PCI カードと hsPCI カードをサポートします。Sun Fire ミッドレンジシステムは、PCI カードと CompactPCI カードをサポートします。以下の手順では、これらのカードをまとめて、「PCI」と呼びます。


procedure icon  入出力ボード上の PCI スロットに接続する

single-step bulletPCI スロットに接続します。


# cfgadm -c connect pci_ap_id

 

pci_ap_id は PCI スロットの ID です。

たとえば、入出力ボードのスロット 1 のアダプタをドメインに接続するだけで構成は行わない場合、以下のようなコマンドを実行します。


# cfgadm -c connect pcisch0:e01b1slot1

 

procedure icon  入出力ボード上の PCI スロットを構成する

single-step bulletPCI スロットを構成します。


# cfgadm -c configure pci_ap_id

 

pci_ap_id は PCI スロットの ID です。

たとえば、入出力ボードのスロット 1 のアダプタをドメインに構成するには、以下のようなコマンドを実行します。


# cfgadm -c configure pcisch0:e01b1slot1

 

procedure icon  入出力ボード上の PCI スロットを切り離す

single-step bulletPCI スロットを切り離します。


# cfgadm -c disconnect pci_ap_id

 

pci_ap_id は PCI スロットの ID です。

たとえば、入出力ボードのスロット 1 のアダプタを取り外す前に切り離すには、以下のようなコマンドを実行します。


# cfgadm -c disconnect pcisch13:eo1b1slot1

 

procedure icon  入出力ボード上の PCI スロットの構成を解除する

single-step bulletPCI スロットの構成を解除します。


# cfgadm -c unconfigure pci_ap_id

 

pci_ap_id は PCI スロットの ID です。

たとえば、入出力ボードのスロット 1 のアダプタをドメインから構成解除するには、以下のようなコマンドを実行します。


# cfgadm -c unconfigure pcisch0:e01b1slot1

 

詳細は、cfgadm_pci(1M) のマニュアルページを参照してください。