Solaris 2.6 マニュアルの概要

Solaris 2.6 ソフトウェア開発 Collection Vol. 1

Solaris 2.6 ソフトウェア開発 Collection Vol. 1 には、Solaris 環境で作業するソフトウェア開発者に関連のあるマニュアルが収められています。次に、各マニュアルの要約を紹介します。

『Application Packaging Developer's Guide』

Application Packaging Developer's Guide』は、アプリケーションパッケージの設計、構築、および検証を行う手順とこれらの作業に関連する情報を提供します。また、パッケージを作成する上で役に立つ高度なテクニックを実例付きで紹介します。

『Federated Naming Service Programming Guide』

Federated Naming Service Programming Guide』では、複数の自律的な命名 (ネーミング) システムを自由に組み合わせて単一のネーミングサービスへと再構成し、統一されたわかりやすいネーミングインタフェースによってネーミングサービスを利用できるようにする方法を説明します。フェデレーテッド・ネーミング・サービス (FNS) を使うと、共通のネーミングポリシーの採用によって一貫したネーミング作業を遂行できるようになります。これらのインタフェースやポリシーは、ファイルサービスや印刷サービスなどのシステムおよびアプリケーションによって共有されるので、Solaris 環境でグローバルなネームスペースが組織全域に適用されます。

FNS は、他社ベンダーの積極的なサポートを受けているオープンで標準の XFN (X/Open Federated Naming) プログラミングインタフェースおよびポリシーをエクスポートします。これによって、FNS を使用するアプリケーションの移植性が強化されています。FNS は、XFN ライブラリ、管理ツール、および XFN に適合したネーミングシステムのセットから構成されます。FNS は、NIS+ によって実装されており、組織内の部署、ホスト、サイト、サービス、およびファイルの命名に使用します。

『JFP 開発ガイド』

JFP 開発ガイド』では、Solaris 2.6 上で日本語の処理を行うアプリケーションを開発する方のために、日本語処理で使用できる国際化・日本語化プログラミングインタフェースを扱う方法について説明します。

『Linker and Libraries Guide』

Linker and Libraries Guide』では、Solaris リンカーと実行時リンカーの操作方法や作業対象となるオブジェクトの操作について説明します。主な項目は、リンカー ld(1)、実行時リンカー ld.so.1、共用オブジェクト (共用ライブラリとも呼ばれる)、およびオブジェクトファイルです。

『ONC+ 開発ガイド』

ONC+ Developer's Guide』では、遠隔手続き呼び出し (RPC) と NIS+ (ネットワークネームサービス) のためのプログラミングインタフェースについて説明します。RPC および NIS+ は、SunSoft が開発した ONC+TM 分散サービスの一部です。

このマニュアルを参考にして、既存のスタンドアロンコンピュータ用アプリケーションをネットワーク対応の分散型アプリケーションに変換したり、分散型アプリケーションの開発や実装を行なったりすることができます。

『Programming Utilities Guide』

Programming Utilities Guide』では、プログラムの性能と実行経過を追跡するための新しい TNF ユーティリティについて説明します。また、lexyaccmakesccsm4 などの従来からあるユーティリティについても説明します。

『Source Compatibility Guide』

Source Compatibility Guide』では、SunOS/BSD ソース互換パッケージのインストール、使用法、コンポーネントについて説明します。別売の SunOS/BSD ソース互換パッケージは、SunOS 5.x に含まれていない多くの SunOS 4.1 および BSD のインタフェースを提供します。また、SunOS 4.1 と SunOS 5.x の各リリースで異なる機能を持つインタフェースも提供します。

『STREAMS Programming Guide』

STREAMS Programming Guide』では、Solaris 環境の UNIX(R) システム通信サービスで使われる STREAMS 機能全般について紹介します。内容には、STREAMS の機構、モジュール、ドライバ、パイプ、ポーリング、シグナリング (信号)、多重化、およびサンプルコードが含まれます。

『ToolTalk ユーザーズガイド』

ToolTalk ユーザーズガイド』では、ToolTalk サービスについて説明します。また、ToolTalk メッセージを送受信するためのアプリケーションの修正方法についても説明します。このマニュアルは、ToolTalk サービスを使って、他のアプリケーションとやり取りするプログラムを作成したり管理したりするソフトウェア開発者を対象としています。またワークステーションを設定するシステム管理者にも有用な情報が書かれています。このマニュアルの説明は、Solaris オペレーティングシステムコマンド、システム管理者用コマンド、およびシステム用語に慣れていることを前提に書かれています。

『Transport Interfaces Programming Guide』

Transport Interfaces Programming Guide』では、Solaris オペレーティングシステムのトランスポートサービスのためのプログラミングインタフェースを説明します。このマニュアルを参考にして、Solaris オペレーティングシステムをベースにしたネットワーク分散型のアプリケーションを開発することができます。トピックには、トランスポート層のソケットインタフェース、および UNIX System V トランスポートインタフェースが含まれます。また、アプリケーションがネットワークトランスポートおよびその構成を選択するときのメカニズムについても説明します。

『システムインタフェース』

アプリケーションプログラミングインタフェース (API) の主要な要素について解説しているマニュアルの中では、この『システムインタフェース』が最も一般的な内容を解説しています。API の概念から始まり、プロセス制御、スケジューリング制御、ファイルの入出力、System V のプロセス間通信、メモリー管理、および実行時インタフェースについて説明します。

関連マニュアルには、『STREAMS Programming Guide』、『マルチスレッドのプログラミング』、『Transport Interfaces Programming Guide』などがあります。

『マルチスレッドのプログラミング』

マルチスレッドのプログラミング』では、POSIX および Solaris の各スレッド用 API、同期オブジェクトによるプログラミング、マルチスレッドプログラムのコンパイル、およびマルチスレッドプログラム用分析ツールの選び方について説明します。

このマニュアルは、マルチスレッド化によってプロセスを複数の独立した実行スレッドに分割し、アプリケーションの性能と構造の改善を望んでいる開発者を対象にしています。