構成ファイルは一連の行から編成されており、各行は、その行の残りのセマンティクスを定義する 1 文字で始めます。スペースまたはタブで始まる行は (そのセマンティクスは定義されない場合も多い) 継続行です。ブランク行と番号記号 (#) で始まる行は無視されます。
マクロには 1 文字の名前を付けます。マクロは ASCII 文字から任意の文字を選んで定義できますが、定義するマクロには大文字の英字だけを使用します。ただし、sendmail によってすでに使用されている M、R、L、G、および V などの文字は使用できません。小文字の英字と特殊記号は内部で使用されます。
マクロを定義する方法は、次の 2 通りです。
D で、直接指定した値を割り当てる
L で、sendmailvars データベース (NIS+ の sendmailvars テーブルまたは /etc/mail/sendmailvars ファイルのどちらか) から検索された値を割り当てる。L コマンドは Sun の独自のインタフェースとして分類される
D マクロ定義の構文は次のとおりです。
DXval |
ここで、X はマクロ名であり、val はその値です。スペースは使えません。マクロは、エスケープシーケンス $X を使ってほとんどの場所で挿入できます。
DRmailhost Dmeng.acme.com |
変数 R は mailhost の値を入れるように設定され、内部変数 m は値 eng.acme.com を入れるように設定されます。
m マクロはメールドメインを定義します。定義しなければ、ネームサービスドメインネームが最初の構成要素を除いて使用されます。たとえば、ecd.east.acme.com は east.acme.com になります。メールドメインネームを定義するさらに柔軟な方法は、L マクロ定義を使用することです。
L マクロ定義の構文は次のとおりです。
LXsearch-key |
ただし、X はマクロ名であり、search-key は sendmailvars データベースから検索されます。検索キーによって探し出されたエントリにある値が X に割り当てられます。
以下に、構成ファイルからの内部 L マクロ定義の例を示します。
Lmmaildomain |
変数 m は、検索キーとして maildomain を使用した sendmailvars データベースの値に設定されます。sendmailvars データベースのエントリが
maildomain eng.acme.com |
の場合、m の値は eng.acme.com になります。
sendmail は /etc/nsswitch.conf ファイルにある sendmailvars エントリを使用し、/etc/mail/sendmailvars ファイルと名前空間を検索する順序を決定します。
アドレス書き換えルールの左辺で対応する単語のクラスを定義できます。たとえば、自分にメールを送信しないためには、このサイトのローカル名すべてのクラスを作成します。
大文字の英字の組み合わせでクラス名を選ぶことができます。小文字の英字と特殊文字はシテスムに使用されます。
クラスを定義する方法は、次の 3 通りがあります。
C で、直接指定された値を割り当てる
F で、別のファイルまたは別のコマンドから値を読み込む
G で、sendmailvars データベース (NIS+ の sendmailvars テーブルまたは /etc/mail/sendmailvars ファイルのどちらか) から検索される値を割り当てる。G コマンドは Sun の独自のインタフェースとして分類される
表 3-6 にクラス定義のさまざまな形式の構文を以下に示します。
表 3-6 構成ファイル内のクラス定義の構文
規則 |
説明 |
---|---|
CX word1 word2 |
クラス X を指定された単語中の任意のものと対応させる |
FX fi1e [pattern] |
file からクラス X 単語を読み込む |
FX | command |
command の出力をクラス X に読み込む |
GXsearch_key |
sendmailvars データベースから search_key を読み込み、クラス X に割り当てる |
最初のフォームでは指定された単語をクラス X と対応するように割り当てます。次の例では、monet と ucbmonet という名前をクラス H に割り当てています。
CHmonet ucbmonet |
第 2 の形式は、たとえば、FC /.rhosts など、ファイルからクラス X に単語を読み取ります。Pattern 引数が指定されている場合は、scanf を使ってファイルから読み込み、ない場合は、各行の最初の単語が使用されます。
第 3 の形式は、あるコマンドを実行してコマンドの標準出力からクラスの要素を読み取ります。
FC | awk '{print $2}' /etc/hosts |
第 4 の形式は、検索キーによって示された sendmailvars データベースにあるエントリからクラスの要素を読み込みます。たとえば、
GVuucp-list |
これは、sendmailvars データベースにある uucp-list エントリからクラス V の定義を読み込みます。
sendmailvars データベースにあるエントリが、
uucp-list sunmoon hugo comic |
の場合、V の値は sunmoon hugo comic になります。
sendmail は /etc/mail/sendmailvars ファイルにある sendmailvars エントリを使用し、/etc/nsswitch.conf ファイルと名前空間を検索する順序を決定します。
クラス定義は、複数行に分割できます。たとえば、
CHmonet ucbmonet |
は、次のようにも表示できます。
CHmonet CHucbmonet |
構成ファイルから (メールプログラム用のフラグまたはコマンド行引数と混同しないように) 複数のオプションを設定できます。オプションも 1 文字で表されます。この行の構文は次のとおりです。
Oc value |
これはオプション c を value に設定します。オプションに応じて、value は、文字列、整数、ブール値 (有効な値 t、T、f、または F があるもの、デフォルトは「true」) 、または時間間隔などです。オプションのリストについては、「sendmail 構成オプション」 を参照してください。
P 制御行を使って Precedence: フィールドの値を定義できます。このフィールドの構文は次のとおりです。
Pname=num |
name が Precedence フィールドにあるとき、メッセージクラスは num に設定されます。数値が大きいほど、優先順位が高くなります。0 より小さな数値では、エラーメッセージが戻されないという特殊な特性があります。デフォルトの優先順位は 0 (ゼロ) です。以下に例を示します。
Pfirst-class=0 Pspecial-delivery=100 Pjunk=-100 |
この構成行は削除されます。これは受け付けられますが無視されます。
ヘッダー行のフォーマットは H 行によって定義します。この行の構文は次のとおりです。
H[c ?c mflagsc ?]c hnamec :c htemplate |
この指定における継続行は送信メッセージに直接挿入されます。htemplate はメッセージに挿入される前にマクロ展開されます。展開しても空であれば、ヘッダー行は入れられません。疑問符で囲まれた mflags を指定すると、ヘッダーを自動的に出力させるには指定するフラグの少なくとも 1 つがメールプログラムで定義される必要があります。これらのヘッダーの 1 つが入力にあれば、これらのフラグとは関係なく出力に送られます。