Solaris 2.x への移行

UUCP

Solaris 2.6 UNIX-to-UNIX Copy (UUCP) は、SunOS 4.x システムで利用できる HoneyDanBer UUCP と似ています。これは、同じ構成ファイル、スクリプト、コマンドを使用します。したがって、SunOS 4.x ファイルで行なった変更をこのリリースで復元し、またスクリプトを実行することができます。ただし、Solaris 2.6 のスプールディレクトリはジョブの処理順序により編成が異なります。ジョブの処理順序は作業負荷を分類し優先順位を決めるメカニズムです。

表 12-1 に、SunOS 4.x にはなかった、 Solaris 2.6 UUCP と対応する新しいファイルおよびコマンドについて説明します。 表 12-2 では、 Solaris 2.6 UUCP に追加されたログファイルについて説明します。

表 12-1 新しい SunOS 5.6 UUCP ファイルおよびコマンド

コマンドまたはファイル 

機能 

D. データファイル

P. データファイル

これらのデータファイルは、UUCP コマンド行がソースファイルをスプールディレクトリへコピーすることを指定すると作成される。 

データファイルのフォーマットはすべて systmxxxxyyy

systm はリモートシステムの最初の 5 文字。

xxxx は UUCP が割り当てる 4 桁のジョブシーケンス番号。

yyy は、作業ファイル (C.) 用に作成される D.ファイルを区別するためのサブシーケンス番号。

/etc/uucp/Grades

テキストグレード名をシステム名にマップする。 

/etc/uucp/Limits

実行できる並列 UUCP セッションの数を指定する。前のバージョンの MaxuuschedsMaxuuxqts ファイルは削除される。

/etc/uucp/Config

UUCP の調整可能なパラメータを無効にする情報を含む。現在、利用可能なパラメータは Protocol のみ。したがって、システム管理者は通常このファイルを修正する必要はない。

uuglist

uucp(1C)uucp(1C)-g オプションによりシステム上で利用できるサービスグレードを一覧表示する。

Solaris 2.6 UUCP には、システム管理に影響を与える機能がいくつか追加されています。

このあとの節では、これらの変更によって生じたシステム管理の相違について説明します。

チェックポイントからの再起動

通信リンクの異常により SunOS 4.x システム間の UUCP 伝送が中断したとき、通信が再起動されると、伝送がファイルの先頭からふたたび始まりました。Solaris 2.6 UUCP を実行する 2 つのシステムの間の通信では、先頭から始まるのではなく、中断された位置で始まります。これにより、特に不安定な、またはノイズの多い伝送回線でのスループットが改善できます。

システムは、2 つの新しいファイルを使用して送受信されたデータを格納し、ファイルの大きさを比較して伝送をどこで再開するかを判定します。システムは .P ファイルを使用して受信したデータを格納し、.D ファイルを使用して送信されたデータを格納します。これらのファイルは前の UUCP バージョンの TM. ファイルを置き換えるものです。ただし、 1 つのシステムだけが SunOS 5.6 UUCP を実行している場合は、比較は行われず、伝送は先頭から再開します。

ユーザジョブの処理順序

ジョブの処理順序機能によって、管理者はジョブを作業負荷に分割し、大きさ、タイプ、優先順位のどれかが類似する、またはそれらすべてが類似するほかの作業負荷と競合させることができます。これらの要素のどれか 1 つ、または組み合わせて、作業負荷を分類することができます。また、アクセスパーミッションを設定して、ユーザとグループに各グレードの UUCP サービスを獲得させることもできます。

SunOS 4.x では、ジョブを依頼するときユーザが処理順序を選択しなければなりません。処理順序は 1 文字で表され、Solaris 2.6 環境のように名前ではありません。Solaris 2.6 では、管理者はサイト全体のジョブの処理順序を定義できます。

Limits ファイル

/etc/uucp/Limits ファイルは、システムで許可される並列 uucicouuxqtuusched プロセスの最大数を指定します。前のリリースの Maxuusched パラメータと Maxuusched パラメータがこの 1 つのファイルに置き換わります。

Config ファイル

/etc/uucp/Config ファイルには、調整可能な UUCP パラメータを無効にする情報が入っています。現在利用できる唯一のパラメータは Protocol で、通常はシステム管理者が変更すべきではありません。

ログファイル

Solaris 2.6 UUCP には、前バージョンで提供される 4 つのログファイルに加えて、4 つの新しいログファイルがあります。これらのファイルは、アカウンティング、コマンド、性能、セキュリティ情報を記録します。コマンドログファイルとセキュリティログファイルは、それらが存在しなければ作成されます。アカウンティングと性能ログファイルについては、それらがすでに存在する場合のみ書き込まれます。

表 12-2 新しい SunOS 5.6 UUCP ログファイル

ファイル名 

機能 

/var/uucp/.Admin/アカウント

請求書発送のアカウント情報を記録する。 

/var/uucp/.Admin/perflog

uucico 操作上の統計情報を記録する。

/var/uucp/.Admin/security

セキュリティ侵犯行為を記録する。 

/var/uucp/.Admin/コマンド

ユーザまたは管理者によって発行されたコマンドに関する情報を記録する。 

SunOS 5.6 UUCP の設定と使用準備ができたら、詳細については TCP/IP とデータ通信を参照してください。