Solaris 2.x への移行

第 14 章 Solaris 共通デスクトップ環境

各種ワークステーションのメーカ間での互換性を持つ Solaris 共通デスクトップ環境 (CDE) は、Solaris 2.4 またはそれ以降を実行している SunTM WorkstationTM のデスクトップグラフィカルインタフェースとして機能します。このウィンドウ環境は、ユーザの作業の編成と管理に役立ちます。デスクトップには、各種のウィンドウ、ワークスペース、コントロール、メニュー、およびフロントパネルが用意されています。はじめてウィンドウ環境にログインする時には、デフォルトのデスクトップとして OpenWindows または Solaris CDE のどちらを使うか選択できます。

Solaris 共通デスクトップ環境について

1993 年 3 月、サン・マイクロシステムズ社、Hewlett-Packard Company、IBM (International Business Machines Corp.) および Novell, Inc. の各社は UNIX ベースの主要ワークステーションとデスクトップコンピュータに一貫性のある見た目と使い心地を提供するグラフィカルユーザインタフェースの開発協定を発表しました。 CDE の開発に向けて、エンドユーザとアプリケーション開発者にとって UNIX をよりいっそう使いやすいものにするという目標が当初から設定されました。

この共同開発の結果生まれたのが共通デスクトップ環境 (CDE) です。CDE は Solaris 2.6 環境にパッケージングされた 2 つのデスクトップのうちの 1 つです (もう 1 つは OpenWindows デスクトップ)。いずれ、CDE はサン・マイクロシステムズ社、Hewlett-Packard、IBM、Novell、さらに UNIX ワークステーション市場の多くの企業にとって標準のデスクトップになるでしょう。

Solaris CDE には、デスクトップサーバ、セッションマネージャ、ウィンドウマネージャ (Hewlett-Packard の Visual User Environment に基づくもの)、および多数のデスクトップユーティリティが組み込まれています。

Solaris CDE の使用法については、Solaris 共通デスクトップ環境 ユーザーズ・ガイドを参照してください。

開発者、エンドユーザ、および CDE

CDE は主要 UNIX プラットフォームに一貫性のあるコンピューティング環境を提供するため、エンドユーザは異機種間を容易に移動できます。また、規格合致しているサン・マイクロシステムズ社、Hewlett-Packard、IBM、Novel の各プラットフォーム向けにプログラミングインタフェースの標準セットを 1 つ提供することによって、CDE はアプリケーション開発を容易にします。 1 つの API を使うため、開発者は CDE に準拠したシステム間で一貫した表示形式と動作を備えたアプリケーションを作成することができます。

CDE 開発環境は X11R5 サーバをベースとしており、OSF/Motif 1.2 仕様に基づく見た目と使い心地を備えたアプリケーションが作成できます。

デスクトップの概要

Solaris CDE デスクトップ機能には、次のものがあります。

フロントパネル

フロントパネルは、ディスプレイの下部にある特殊ウィンドウです。これは、ユーザが日常的に使用する各種コントロール、インジケータ、サブパネルを提供します。また、フロントパネルにはワークスペースを選択するためのワークスペーススイッチも提供します。

フロントパネルにある多くのコントロール (たとえば、ファイル・マネージャ・コントロール) をクリックすると、アプリケーションが起動されます。プリンタ・コントロールのように、ドロップ領域としても機能するコントロールもいくつかあります。ファイル・マネージャからファイル・アイコンをドラッグして、それをプリンタコントロールの上にドロップすると、そのファイルを印刷できます。

フロントパネルにある多数のコントロール上の矢印ボタンはそれぞれサブパネルに対応しています。矢印ボタンをクリックすると、サブパネルがオープンします。

図 14-1 フロントパネルの各種コントロール

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スタイル・マネージャ

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このアイコンをクリックして、起動します。

スタイル・マネージャを使用すると、次に示すようなデスクトップの多数の要素を簡単にカスタマイズできます。

ファイル・マネージャ

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ファイル・マネージャのアイコンをクリックして、起動します。

各種ファイル、フォルダ、アプリケーションをシステム上にアイコンとして表示します。

アプリケーション・マネージャ

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このアイコンをクリックして、アプリケーション・マネージャウィンドウを開きます。

アプリケーション・マネージャからは、「アクションアイコン」を通して日常的に使用するアプリケーションにアクセスできます。アプリケーションを起動するには、アクション・アイコンを使用します。アプリケーション・マネージャは、「アプリケーション・グループ」と呼ばれる特殊なフォルダにアクションアイコンを格納しています。

頻繁に使用するアクション・アイコンについては、ワークスペースの背景に置くことができます。

OpenWindows 環境から CDE への移行

Solaris 2.6 では、ログイン画面から OpenWindows デスクトップと CDE デスクトップのどちらにログインするか選択できます。ログイン方法の詳細については、ログイン・マネージャヘルプボリューム、またはSolaris 共通デスクトップ環境ユーザーズ・ガイドの第 2 章「デスクトップセッションの開始」を参照してください。

デスクトップサービス

OpenWindows 環境で使い慣れていたデスクトップサービスは、Solaris CDE では別の場所に配置されています。表 14-1 に、位置の変更されたデスクトップサービスの主なものを示します。

表 14-1 デスクトップサービスの位置

デスクトップサービス 

OpenWindows 

CDE 

ログアウト 

ワークスペースメニュー 

フロントパネル 

画面のロック 

ユーティリティメニュー 

フロントパネル 

ワークスペースのカスタマイズ 

ワークスペースメニュー 

スタイル・マネージャ 

ワークスペースの保存 

ユーティリティメニュー 

スタイル・マネージャ 

再表示 

ユーティリティメニュー 

フロントパネル 

プロパティ 

ワークスペースメニュー 

スタイル・マネージャ 

ヘルプ 

ワークスペースメニュー 

フロントパネル、アプリケーション・マネージャ、ワークスペースメニュー 

CDE でのウィンドウ、メニュー、ボタンおよびマウスの使用

Solaris CDE での各種ウィンドウ、メニュー、ボタンおよびマウスの使い方は、OpenWindows 環境とは多少異なります。ウィンドウ、メニュー、ボタンおよびマウスの使い方の詳しい説明については、Solaris 共通デスクトップ環境ユーザーズ・ガイドの第 1 章「基本スキル」を参照してください。

ワークスペースプログラムメニューへのアクセス

OpenWindows 環境では、アプリケーションを起動する主な方法はワークスペースメニューを使うことでした。ワークスペースメニューは Solaris CDE でも使用できますが、ワークスペースの機能への主なアクセスポイントはフロントパネルになっています。

ワークスペースメニューから利用できるアプリケーションにはフロントパネル上の各項目の他に、アプリケーション・マネージャ内部で利用できるアプリケーションのサブセットもあります。アプリケーション・マネージャの詳しい説明については、Solaris 共通デスクトップ環境ユーザーズ・ガイドの第 6 章「デスクトップからのアプリケーションの実行」を参照してください。

スタイル・マネージャおよびワークスペースのカスタマイズ

スタイル・マネージャから使用できる項目はカラー、フォント、背景、キーボード、マウス、ビープ音、画面、ウィンドウ、および起動です。これは、OpenWindows 環境でのワークスペースプロパティウィンドウに代わるものです。スタイル・マネージャの詳しい説明については、Solaris 共通デスクトップ環境ユーザーズ・ガイドの第 7 章「デスクトップ環境のカスタマイズ」を参照してください。

CDE での OpenWindows アプリケーションの実行

CDE アプリケーション・マネージャにある OpenWindows というタイトルのフォルダには、OpenWindows アプリケーションが含まれています。

コマンド行から OpenWindows アプリケーションを実行した場合、 Solaris CDE ではそのアプリケーションを同じように端末エミュレータ (端末アプリケーション) から実行できます。アプリケーション・マネージャの詳しい説明については、Solaris 共通デスクトップ環境 ユーザーズ・ガイドの第 6 章「デスクトップからのアプリケーションの実行」を参照してください。

アプリケーションの設定とプロパティ

OpenWindows 環境では、アプリケーション全体の設定値は編集メニューからアクセスしたプロパティダイアログボックスで設定されます。CDE では、アプリケーション全体の設定値はオプション領域から設定されます。オプションの選択項目は通常はアプリケーションのファイルメニューの下、または別のメニュー項目「オプション」に配置されています。

CDE では、プロパティ (アプリケーションに存在する場合) はアプリケーションの編集メニューの下に表示され、日付や名前などのオブジェクトの特性の設定に使われたり、活字などのオブジェクトの識別特性の表示に使われます。CDE では、フォーマットの設定値は通常はフォーマットメニューの下に表示され、段落、ファイル、またはメッセージごとに余白と段落位置合わせを設定できます。

CDE グローバル・オプションは、OpenWindows 環境のワークスペースメニューから設定したプロパティに似ています。これらのプロパティは、CDE のスタイル・マネージャアプリケーションから設定します。Solaris 共通デスクトップ環境ユーザーズ・ガイドの第 7 章「デスクトップ環境のカスタマイズ」を参照してください。

キーボードのデフォルト値の変更

OpenWindows 環境でキーボードのデフォルト値を変更していない場合、その値は CDE 内でも同じままです。デフォルト値を変更するには、スタイル・マネージャのキーボードダイアログボックスを使用します。Solaris 共通デスクトップ環境ユーザーズ・ガイドの第 7 章「デスクトップ環境のカスタマイズ」を参照してください。UNIX キーボードの割り当てを変更する必要がある場合は、Solaris 共通デスクトップ環境ユーザーズ・ガイドの第 10 章「テキストエディタの使い方」を参照してください。

マウスのデフォルト値の変更

OpenWindows 環境でマウスのデフォルト値を変更していない場合、その値は CDE 内でも同じままです。デフォルト値を変更するには、スタイル・マネージャのマウスダイアログボックスを使用します。機能の名前がいくつか変更されています。ダブルクリック、アクセラレーション、しきい値はそのまま使用できます。CDE のマウスボタン順序は「利き腕」と呼ばれています。Solaris 共通デスクトップ環境ユーザーズ・ガイドの第 1 章「基本スキル」を参照してください。