Solaris 2.6 情報ライブラリ (SPARC 版)

Solaris 2.5 リリース

表 2-5 に、Solaris 2.5 の新機能および拡張された機能を紹介します。また、表 2-6 に Solaris 2.5 の新規日本語機能を紹介します。

表 2-5 Solaris 2.5 の新機能

機能 

説明 

標準 

XCU4 への準拠 (SPARC および Intel システム)

X/Open の仕様である『X/Open Portability Guide, Issue 4』のうち XCU4 に準拠するユーティリティを提供します。

POSIX.1c への準拠

マルチスレッドインタフェースを定義するドラフト 10 に基づく標準規格に準拠します。

ネットワーク 

ネットワークファイルシステム

NFS のバージョン 2 を改良し、バージョン 3 を追加しています。追加された機能は、次のとおりです。 

- アクセス制御リスト (ACL) のサポート 

- TCP を介した NFS 

- バージョン 3 のサーバーへの安全な非同期書き込みによる性能の向上 

- NFS ロックマネージャ 

- X/Open フェデレーテッド・ネーミング・サービスのサポート 

ポイントツーポイントプロトコル (PPP)

PPP によって、モデムと電話回線を使って遠隔地にあるコンピュータとネットワークを接続できるほか、通信セキュリティを強化できます。 

telnettelnetd

- Telnet クライアントが 4.4 BSD バージョンにアップグレードしました。 

- rlogind コマンドと telnetd コマンドによる遠隔ログイン機能が向上しました。

ネームサービスのキャッシュデーモン

ネームサービス要求への応答性が向上しました。 

セキュリティ 

NIS+ のセキュリティ

パスワード有効期限の設定により、システムセキュリティが向上しました。

ファイルシステム 

UFS Error Recovery

エラー検出とソフト障害モードの性能が向上しました。 

UFS ファイルシステムデバッガー

UFS に変更することにより fsdb_ufs(1M) コマンドの運用性が向上しました。

UFS アクセス制御リスト (ACL)

ファイルのアクセス権を従来より詳細に管理できます。 

CacheFS 統計情報

サーバーとネットワークの負荷を軽減することにより、NFS サーバーの性能と拡張性が向上しました。

インストール 

クライアントのサービス設定

インストールプログラムが変更されて、クライアントに対しサービスを設定しません。クライアントとネットワークの設定を完了するには、Solstice ホストマネージャを使用する必要があります。

 

システム管理 

システム管理ツール

- Solstice AdminToolsTM ユーティリティは、ローカルシステムの管理だけに使用されます。

- Solstice AdminSuiteTM 製品は、ネットワークのシステム管理に使用されます。

/proc ツール

新しいプロセスツールが /usr/proc/bin から利用できます。これらのツールを使って、/proc プロセスファイルシステムに格納されているアクティブなプロセスについて詳細な情報を表示できます。

OpenWindows 

OpenWindows に付属する Kodak Color Management System (KCMS) Calibrator Tool

OpenWindows バージョン 3.5 に KCMS 調整ツールが組み込まれました。このツールは、スキャナー、カラーモニター、およびその他の出力デバイスで正確なカラーを表現するための調節機能を提供します。

グラフィックスと画像 

PEX 3.0 実行環境 (SPARC システム用)

PEX アプリケーションプログラミングインタフェース (API) は、異なるプラットフォーム間でアプリケーションの移植性を提供するほか、ローカルと遠隔地のディスプレイに 3 次元グラフィックスを表示します。 

XGL 3.2 実行環境

XGL は 2-D および 3-D 次元画像の即時モード API であり、異機種グラフィックスアクセラレータの機能を利用してハードウェアプラットフォーム間のアプリケーションの移植と、グラフィックスアプリケーション性能の最適化を行います。XGL API は、ラスタテキスト、環境および vertex レベルテクスチャーマッピング、4 コンポーネントテクスチャーマッピング、DGA 透過オーバーレイ、およびトライアングル Gcache をサポートします。 

XIL 1.2.1 実行環境

文書の画像処理、カラープリプレス、デジタルビデオの作成や再生などの画像およびデジタルビデオの処理機能を必要とするライブラリやアプリケーションに適した基本画像ライブラリです。バージョン 1.2.1 で、バグを修正し性能が強化されています。 

ハードウェア 

強化されたハードウェアサポート

従来よりさらに広範なハードウェア構成に対応しています。 

St ドライバ

St ドライバは、テープドライブに対応する新しいバイナリドライバが提供されていない場合でもそのテープドライブをサポートします。St ドライバは、すべてのテープの位置付けコマンドをサポートします。 

SPARCstorage Array のサポート (SPARC システム用)

インストール方法が改善されました。 

その他 

Sendmail

- 以前の sendmail ファイルとの互換性を実現します。

- MX ランダマイザを使って優先順位に従ってすべてのホストを選択します。 

- ESMTP をサポートします。 

- サーバーに障害が発生した場合、重複するメールを減らします。 

X/Open フェデレーテッド・ネーミング・サービス (FNS)

FNS は、1 つのインタフェースで異なるネーミングシステムを統合して制御できます。 

Nologin

システム管理者は、 /etc/nologin コマンドを使ってネットワークのダウンを通知することができます。

フォントのサポート

- CID フォントによって Display PostScript クライアントの性能が向上しました。

- X11 クライアントは、XATM インタフェースを介して DPS 拡張機能によって描画されるフォントにアクセスできます。

互換性

- さらに多くの Solaris 1 バイナリが、SPARC 版の Solaris 2.5 オペレーティング環境で実行可能になりました。

- 2.5 の環境でいくつかの 4.x のシェルスクリプトが実行可能になりました。 

性能 

タイムシェアリング

作業負担をタイムシェアリングすることでシステム性能が向上しました。 

KAIO

raw デバイスでの非同期の読み書きの性能が向上しました。 

表 2-6 Solaris 2.5 の新規日本語機能

機能 

説明 

標準への準拠 

XPG4 コマンドのサポート 

『X/Open CAE Specification Commands and Utilities, Issue 4』に準拠するようになりました。 

プリンタ 

日本語プリンタ 

LP 印刷サービスを使用してドットマトリックス漢字プリンタ (EPSON VP-5085、 NEC PC-PR201)、日本語ページプリンタ (Canon LASERSHOT) で日本語テキストを印刷することができるようになりました。 

デスクトップ 

Kodak Color Management System (KCMS) 

Kodak Color Management System のライブラリと KCMS 調整ツール (kcms_calibrate) グラフィカルユーザーインタフェースのメッセージ、ヘルプ類が日本語化されています。 

Motif ライブラリ 

Motif Runtime Kit (SUNWmfrun) パッケージの Motif ライブラリのエラーメッセージ類が日本語化されています。 

EUC コードセット 3 

日本語 OpenWindows 3.5 では、日本語ロケールの文字セットとして従来のコードセット 0、1、2 に加えてコードセット 3 (JIS 補助漢字 JIS X 0212) をサポートしています。 

日本語フォント 

次のフォントがサポートされるようになりました。

  • Adobe フォントメトリックスファイル

  • ヒント情報なしの F3 アウトラインフォント

  • コードセット 3 (JIS 補助漢字 JIS X 0212) 用のフォント

  • CID フォント

日本語入力 

日本語入力サーバーの追加 

SPARC と同様 x86 の環境でも cs00 を使用することができるようになりました。 

cs00 での EUC コードセット 3 

cs00 を使用する場合、日本語入力がオンの状態で【Control+Q】キーを 2 回入力するとステータスが [区点(補)] になり、コードセット 3 (JIS 補助漢字 JIS X 0212) の文字をコード入力することができるようになりました。