画像処理用 API である XIL ライブラリは、画像アプリケーションやビデオアプリケーションに基本関数を提供します。API 開発者はこのライブラリを利用して書いたコードを基本ライブラリ (低レベルのソフトウェアインタフェース) として提供できるようになります。
XIL 1.3 実行環境 (RTE) は、Solaris 2.6 に含まれています。画像アプリケーションを使用するサイトではインストールする必要があります。あるアプリケーションが XIL RTE を必要とするかどうかは必ずしも明確ではありません。したがって、CDE または OpenWindows のアプリケーションソフトウェアをインストールする場合は、そのアプリケーションが XIL ライブラリを参照することを考えて XGL RTE もインストールしておく必要があります。
XIL 1.3 ライブラリ API は、すべての点で下位互換です。既存アプリケーションは、修正または再コンパイルしないで実行することができます。
XIL 1.3 ライブラリ API は、マルチスレッド対応です。開発者は、XIL 関数にロックをかけないでマルチスレッドアプリケーションを書くことができます。API の複数のスレッドは、同じ画像からデータを要求しない限り確実に実行されます。ライブラリ自体もマルチスレッド対応なので、アプリケーションの書き直しをしなくてもマルチプロセッサシステムの利点を活用できます。
XIL 1.3 ライブラリでは、特に大きな画像をタイルと呼ばれるメモリーバッファー領域に格納します。特定のタイルに含まれる画像の一部が必要な場合は、そのタイルをメモリーに読み込むだけで済むので性能が向上します。
XIL 1.3 ライブラリには、従来の連続した記憶領域だけでなく、XIL 画像のためのタイル記憶領域やストリップ記憶領域をサポートする新しい記憶領域オブジェクトが含まれています。この記憶領域オブジェクトは、走査線、ピクセル幅、データポインタなどの画像属性を格納するコンテナとして機能します。画像をエクスポートするか、あるいは直接修正するときまで、画像に記憶領域は割り当てられません。その分、メモリー消費を節約できます。
XIL 1.3 ライブラリでは、新たに 32 ビット単精度の IEEE 浮動小数点データ型をサポートします。このデータ型を使って、高度に洗練された科学分野の画像アプリケーションを開発することができます。
XIL 1.3 ライブラリでは、一時画像をサポートします。この一時画像は、続けて作成する画像の中間的なステップとして使用されます。また、この画像を読み込んだり書き込んだりできるのは一回限りです。一時画像に使われる記憶領域は必要がなくなれば XIL が解放できるので、大きな画像を扱う場合は特に有利です。
XIL 1.3 ライブラリでは、新しく XIL_GENERAL 記憶領域形式をサポートします。この形式では、複数の帯域を持つそれぞれの帯域を別々のメモリーバッファーとして指定できるので、画像を柔軟に取り扱えます。さらに、帯域ごとに走査線とピクセル幅を持たせることができます。
XIL 1.3 ライブラリでは、XIL_BIT 画像だけでなくすべてのデータ型で XIL_BAND_SEQUENTIAL 記憶領域形式をサポートするようになりました。
XIL 1.3 ライブラリでは、Kodak Color Management System (KCMS) をサポートします。これによって、ディスプレイ上の画像と実際に格納される画像との間で非常に高いカラー対応を実現します。