Solaris 2.6 情報ライブラリ (Intel 版)

以前の Solaris リリースで提供された新機能

この節では、以前の Solarisリリースで提供された新機能を紹介します。

Solaris 2.5.1 リリース

表 2-3 に、前回のリリースである Solaris 2.5.1 の新機能および拡張された機能を紹介します。また、表 2-4 に Solaris 2.5.1 の新規日本語機能を紹介します。

表 2-3 Solaris 2.5.1 の新機能

機能 

説明 

セキュリティ 

ユーザー ID と グループ ID の拡張 

ユーザー ID と グループ ID の値は、符号付き整数の最大値である 2147483647 まで割り当てることができるようになりました。nobody ユーザーおよびグループ (60001)、アクセスできないユーザーおよびグループ (60002) は、以前の Solaris 2.x リリースと同じ UID と GID を保持しています。 

グラフィックスと画像 

KCMS 調整ツール 

KCMS に X-Rite DTP92 Incident Colorimeter のためのロード可能なドライバモジュールが含まれています。このドライバは、X-Rite 比色計をサポートします。この比色計は、シリアルポートに接続してカラーデータを調べるのに使われます。 

KCMS には、システム構成ファイルの OWconfig にカラー測定用モジュールを追加したり、これを削除したりするための新しい手続きが含まれます。

表 2-4 Solaris 2.5.1 の新規日本語機能

機能 

説明 

OS / ネットワーク 

外字を持つファイルの lp コマンドでの印刷

フォントマネージャ (fontmanager) で作成したフォント (myfont.ja.ps) に登録すると、lp コマンドから日本語 PostScript プリンタを使ってファイル (text) を印刷することができます。

Solaris 2.5 リリース

表 2-5 に、Solaris 2.5 の新機能および拡張された機能を紹介します。また、表 2-6 に Solaris 2.5 の新規日本語機能を紹介します。

表 2-5 Solaris 2.5 の新機能

機能 

説明 

標準 

XCU4 への準拠 (SPARC および Intel システム)

X/Open の仕様である『X/Open Portability Guide, Issue 4』のうち XCU4 に準拠するユーティリティを提供します。

POSIX.1c への準拠

マルチスレッドインタフェースを定義するドラフト 10 に基づく標準規格に準拠します。

ネットワーク 

ネットワークファイルシステム

NFS のバージョン 2 を改良し、バージョン 3 を追加しています。追加された機能は、次のとおりです。 

- アクセス制御リスト (ACL) のサポート 

- TCP を介した NFS 

- バージョン 3 のサーバーへの安全な非同期書き込みによる性能の向上 

- NFS ロックマネージャ 

- X/Open フェデレーテッド・ネーミング・サービスのサポート 

ポイントツーポイントプロトコル (PPP)

PPP によって、モデムと電話回線を使って遠隔地にあるコンピュータとネットワークを接続できるほか、通信セキュリティを強化できます。 

telnettelnetd

- Telnet クライアントが 4.4 BSD バージョンにアップグレードしました。 

- rlogind コマンドと telnetd コマンドによる遠隔ログイン機能が向上しました。

ネームサービスのキャッシュデーモン

ネームサービス要求への応答性が向上しました。 

セキュリティ 

NIS+ のセキュリティ

パスワード有効期限の設定により、システムセキュリティが向上しました。

ファイルシステム 

UFS Error Recovery

エラー検出とソフト障害モードの性能が向上しました。 

UFS ファイルシステムデバッガー

UFS に変更することにより fsdb_ufs(1M) コマンドの運用性が向上しました。

UFS アクセス制御リスト (ACL)

ファイルのアクセス権を従来より詳細に管理できます。 

CacheFS 統計情報

サーバーとネットワークの負荷を軽減することにより、NFS サーバーの性能と拡張性が向上しました。

インストール 

クライアントのサービス設定

インストールプログラムが変更されて、クライアントに対しサービスを設定しません。クライアントとネットワークの設定を完了するには、Solstice ホストマネージャを使用する必要があります。

 

システム管理 

システム管理ツール

- Solstice AdminToolsTM ユーティリティは、ローカルシステムの管理だけに使用されます。

- Solstice AdminSuiteTM 製品は、ネットワークのシステム管理に使用されます。

/proc ツール

新しいプロセスツールが /usr/proc/bin から利用できます。これらのツールを使って、/proc プロセスファイルシステムに格納されているアクティブなプロセスについて詳細な情報を表示できます。

OpenWindows 

OpenWindows に付属する Kodak Color Management System (KCMS) Calibrator Tool

OpenWindows バージョン 3.5 に KCMS 調整ツールが組み込まれました。このツールは、スキャナー、カラーモニター、およびその他の出力デバイスで正確なカラーを表現するための調節機能を提供します。

グラフィックスと画像 

PEX 3.0 実行環境 (SPARC システム用)

PEX アプリケーションプログラミングインタフェース (API) は、異なるプラットフォーム間でアプリケーションの移植性を提供するほか、ローカルと遠隔地のディスプレイに 3 次元グラフィックスを表示します。 

XGL 3.2 実行環境

XGL は 2-D および 3-D 次元画像の即時モード API であり、異機種グラフィックスアクセラレータの機能を利用してハードウェアプラットフォーム間のアプリケーションの移植と、グラフィックスアプリケーション性能の最適化を行います。XGL API は、ラスタテキスト、環境および vertex レベルテクスチャーマッピング、4 コンポーネントテクスチャーマッピング、DGA 透過オーバーレイ、およびトライアングル Gcache をサポートします。 

XIL 1.2.1 実行環境

文書の画像処理、カラープリプレス、デジタルビデオの作成や再生などの画像およびデジタルビデオの処理機能を必要とするライブラリやアプリケーションに適した基本画像ライブラリです。バージョン 1.2.1 で、バグを修正し性能が強化されています。 

ハードウェア 

強化されたハードウェアサポート

従来よりさらに広範なハードウェア構成に対応しています。 

St ドライバ

St ドライバは、テープドライブに対応する新しいバイナリドライバが提供されていない場合でもそのテープドライブをサポートします。St ドライバは、すべてのテープの位置付けコマンドをサポートします。 

SPARCstorage Array のサポート (SPARC システム用)

インストール方法が改善されました。 

その他 

Sendmail

- 以前の sendmail ファイルとの互換性を実現します。

- MX ランダマイザを使って優先順位に従ってすべてのホストを選択します。 

- ESMTP をサポートします。 

- サーバーに障害が発生した場合、重複するメールを減らします。 

X/Open フェデレーテッド・ネーミング・サービス (FNS)

FNS は、1 つのインタフェースで異なるネーミングシステムを統合して制御できます。 

Nologin

システム管理者は、 /etc/nologin コマンドを使ってネットワークのダウンを通知することができます。

フォントのサポート

- CID フォントによって Display PostScript クライアントの性能が向上しました。

- X11 クライアントは、XATM インタフェースを介して DPS 拡張機能によって描画されるフォントにアクセスできます。

互換性

- さらに多くの Solaris 1 バイナリが、SPARC 版の Solaris 2.5 オペレーティング環境で実行可能になりました。

- 2.5 の環境でいくつかの 4.x のシェルスクリプトが実行可能になりました。 

性能 

タイムシェアリング

作業負担をタイムシェアリングすることでシステム性能が向上しました。 

KAIO

raw デバイスでの非同期の読み書きの性能が向上しました。 

表 2-6 Solaris 2.5 の新規日本語機能

機能 

説明 

標準への準拠 

XPG4 コマンドのサポート 

『X/Open CAE Specification Commands and Utilities, Issue 4』に準拠するようになりました。 

プリンタ 

日本語プリンタ 

LP 印刷サービスを使用してドットマトリックス漢字プリンタ (EPSON VP-5085、 NEC PC-PR201)、日本語ページプリンタ (Canon LASERSHOT) で日本語テキストを印刷することができるようになりました。 

デスクトップ 

Kodak Color Management System (KCMS) 

Kodak Color Management System のライブラリと KCMS 調整ツール (kcms_calibrate) グラフィカルユーザーインタフェースのメッセージ、ヘルプ類が日本語化されています。 

Motif ライブラリ 

Motif Runtime Kit (SUNWmfrun) パッケージの Motif ライブラリのエラーメッセージ類が日本語化されています。 

EUC コードセット 3 

日本語 OpenWindows 3.5 では、日本語ロケールの文字セットとして従来のコードセット 0、1、2 に加えてコードセット 3 (JIS 補助漢字 JIS X 0212) をサポートしています。 

日本語フォント 

次のフォントがサポートされるようになりました。

  • Adobe フォントメトリックスファイル

  • ヒント情報なしの F3 アウトラインフォント

  • コードセット 3 (JIS 補助漢字 JIS X 0212) 用のフォント

  • CID フォント

日本語入力 

日本語入力サーバーの追加 

SPARC と同様 x86 の環境でも cs00 を使用することができるようになりました。 

cs00 での EUC コードセット 3 

cs00 を使用する場合、日本語入力がオンの状態で【Control+Q】キーを 2 回入力するとステータスが [区点(補)] になり、コードセット 3 (JIS 補助漢字 JIS X 0212) の文字をコード入力することができるようになりました。 

Solaris 2.4 リリース

表 2-7 に、Solaris 2.4 の新機能および拡張された機能を紹介します。また、表 2-8 に Solaris 2.4 の新規日本語機能を紹介します。

表 2-7 Solaris 2.4 の新機能

機能 

説明 

インストール 

Motif インストール用 GUI 

Solaris ソフトウェアをインストールするための新しい GUI です。 

OpenWindows 

OpenWindows 3.4 がさらに多くのローカリゼーションに対応 

デスクトップとワークグループサーバーの製品構成として、オペレーティングシステムにラテンアメリカ系スペイン語、米国英語のほかに 4 つのヨーロッパ系言語と 4 つのアジア系言語が追加されました。 

グラフィックス 

透過オーバーレイ 

アプリケーションウィンドウに一時的にグラフィックイメージを取り込むためのグラフィックス用 API です。 

XIL 1.2 画像ライブラリ実行環境

文書の画像処理、カラープリプレス、デジタルビデオの作成や再生などの画像およびデジタルビデオの処理機能を必要とするライブラリやアプリケーションに適した基本画像ライブラリです。 

PEX 2.2 実行環境

異なるプラットフォーム間でアプリケーションの移植性を提供し、ローカルとリモートのディスプレイに 3 次元グラフィックスを表示する API です。 

XGL 3.1 実行環境

異機種ハードウェアプラットフォーム間のアプリケーションの移植を可能にし、グラフィックスアクセラレータを利用してグラフィックアプリケーション性能の最適化を行う 2-D および 3-D の即時モード API です。 

Direct XlibTM 3.1

DGA Drawable インタフェースを使用するグラフィックスアプリケーションで、複数のフレームバッファーを持つシステムをサポートします。標準 X11 ライブラリの修正版を提供し、Xlib の描画性能を高めています。 

ハードウェア 

強化されたハードウェアサポート 

従来よりさらに広範なハードウェア構成に対応しています。 

その他 

AccessX 機能 

身体に障害を持つユーザーのためにさまざまなキーボード補助機能が用意されています。 

OSF/Motif 実行環境

Motif アプリケーションを実行するために使用します。 

強化されたイメージツール

機能が強化され、イメージツールを使って PhotoCD から Kodak の画像を読み込むことができます。 

表 2-8 Solaris 2.4 の新規日本語機能

機能 

説明 

標準への準拠 

iconv()

『X/Open CAE Specification System Interfaces and Headers, Issue 4』で定義されている iconv がサポートされています。

OS / ネットワーク 

日付と時刻の表示形式 

ja ロケールにおいて、/usr/bin/ls コマンドに -l オプションを指定した場合の出力形式が変更されました。

デスクトップ 

OpenWindows 関連プログラムの日本語化 

次の OpenWindows 関連のプログラムが日本語化されました。

  • ボリューム管理ユーザーインタフェース

  • AccessX

  • グラフィックライブラリ

日本語入力 

cs00toatok7

cs00 のユーザー辞書を ATOK7 ユーザー辞書に変換するユーティリティcs00toatok7 が提供されるようになりました。

mle コマンド

かな漢字変換にファンクションキーを使用できるように機能が拡張されました。また、かな漢字変換サーバーが選択できるようになりました。 

Solaris 2.3 リリース

表 2-9 に、Solaris 2.3 で追加された機能を紹介します。また、 表 2-10 に Solaris 2.3 の新規日本語機能を紹介します。

表 2-9 Solaris 2.3 の新機能

機能 

説明 

ネットワーク 

PPP 

データリンク層で非同期通信を実装する標準のポイントツーポイント通信プロトコル (point-to-point protocol=PPP) です。PPP はインターネットプロトコル群の 1 つとして、モデムと電話回線を介して通信リンクを確立します。 

NIS+

ユーザーが NIS+ ドメインをより簡単に設定できるように、3 つのスクリプトが追加されました。 

ファイルシステム 

autofs 

ファイルシステムの自動マウントをサポートする新しいカーネル仮想ファイルシステムです。 

キャッシュファイルシステム (CacheFS)

不揮発性のキャッシュ機構です。小型で高速なローカルディスクを使用することによって、特定のファイルシステムで性能が向上します。 

システム管理 

シリアルポートマネージャ 

このツールによって、端末やモデムを使うシリアルポート用ソフトウェアをすばやく設定したり修正したりできます。 

グラフィックス 

Direct Xlib 3.0 

Direct Xlib の最初のリリース版です。MIT DDX (デバイス依存型 X) を使って、X11 グラフィックスを描画します。 

PEX 実行環境 (RTE)

MIT PEX 仕様を実装した実行環境です。MIT PEX は、3 次元グラフィックスをサポートするための X Window System の拡張機能です。 

XGL 実行環境

異機種ハードウェアプラットフォーム間のアプリケーションの移植を可能にし、グラフィックスアクセラレータを利用してグラフィックスアプリケーション性能の最適化を行う 2-D および 3-D の即時モード API です。 

表 2-10 Solaris 2.3 の新規日本語機能

機能 

説明 

OS / ネットワーク 

curses ライブラリの複数バイト文字対応 

libcurses(3X) が、複数バイト文字に対応するようになりました。

デスクトップ 

ウィンドウサーバー 

ウィンドウサーバーが MIT X11 R5 と Adobe Display PostScript を統合したものに変更されました。 

日本語入力 

バイナリ互換性サポートパッケージ 

バイナリ互換性サポートパッケージに JLE 上で静的リンクされたアプリケーションを実行する機能が追加されました。 

xci (入力サーバー htt 用インタフェースモジュール) 

キーバインド指定のリソース CNV_NEXT、ERASE_ALL などの機能名を記述する部分に、機能名 xci_nop が指定できるようになりました。 

Solaris 2.2 リリース

表 2-11 に、Solaris 2.2 で追加された機能を紹介します。また、表 2-12 に Solaris 2.2 の新規日本語機能を紹介します。

表 2-11 Solaris 2.2 の新機能

機能 

説明 

インストール 

ユーザーインストール用インタフェース 

Solaris ソフトウェアのインストールとアップグレードが簡単に実行できるユーザーインタフェースです。 

システム管理 

ボリューム管理 

CD およびフロッピーディスクを自動的にマウントしたりマウント解除したりするためのソフトウェアです。 

OpenWindows 

強化された OpenWindows 環境 

OpenWindows では、イメージツール、プロパティツール、統合された多言語対応機能などについて強化されたほか、多くの点で操作しやすくなっています。 

グラフィックス 

XIL 1.0 画像ライブラリ実行環境 

『XIL 1.0 Imaging Library Software Developer's Kit』によって開発された画像アプリケーションおよびビデオアプリケーションに使用する画像ライブラリの実行環境です。 

XGL 実行環境

異機種ハードウェアプラットフォーム間のアプリケーションの移植性を実現し、グラフィックスアクセラレータを利用してグラフィックアプリケーション性能の最適化を行う 2-D および 3-D の即時モード API です。 

その他 

マルチスレッドライブラリインタフェース 

開発者にマルチスレッドアプリケーションへのアクセスを提供するインタフェースです。 

強化された AnswerBook

AnswerBook の新しいライブラリ形式の管理ユーティリティ ab_admin(1) により、ネットワーク上の AnswerBook へ簡単にアクセスできるようになりました。

表 2-12 Solaris 2.2 の新規日本語機能

機能 

説明 

OS / ネットワーク 

in.comsat 設定ユーティリティ

in.comsat の設定を行うために新たなユーティリティ install_comsat が追加されました。

日本語入力 

辞書登録ツール 

辞書登録ツールは、登録と削除モード、現在利用中の辞書と利用中以外の辞書に対する操作が統合され、1 つの画面になりました。 

xci 

入力サーバー (htt) から変換サーバー cs00 と ATOK7 を利用できるインタフェースモジュール xci がサポートされました。 

日本語入力サーバー 

新しくリソースが追加されました。 

cs00 でのカスタマイズ機能 

ローマ字変換のカスタマイズ機能がサポートされました。