既存のシステムを Solaris オペレーティング環境の新しいバージョンにアップグレードする前に、次のことを確認してください。
『Solaris 2.6 ご使用にあたって (Intel 版)』および『Solaris 2.6 オンラインリリース情報』 (SUNWjrdm または SUNWjprdm) をチェックして、ユーザーが使用しているソフトウェアの中に、新しいリリースで提供されなくなったソフトウェアがあるかどうかを確認します。
このマニュアルの「新規機能」とベンダーのリリースノートをチェックして、Solaris オペレーティング環境への変更または拡張が、ユーザーが現在行なっている内容に影響を与えるかどうかを確認します。
同梱の『ドライバー・アップテンポおよびハードウェア互換リストの入手方法』に記述されている参照先を参考にして、ユーザーのシステムとデバイスが新しいリリースでサポートされていることを確認します。
他のソフトウェアマニュアルもチェックします。
アップグレード時にデータが損失しないよう、次の表で既知の制限と必要な変更をチェックしてください。ただし、このリストは完全ではありません。アップグレードの手順については、必ず付属のソフトウェアマニュアル、ベンダーのソフトウェアマニュアル、およびサードパーティのソフトウェアマニュアルでチェックしてください。
ソフトウェア |
問題の概要 |
Solstice Online: DiskSuite |
メタデバイスはアップグレードできない。アップグレードオプションを開始する前に、/etc/vfstab ファイル内のメタデバイスのエントリ (/dev/md) をコメントにしなければならない。手順については、DiskSuite のマニュアルを参照。 |
必要となる利用可能なすべてのパッチをチェックします。最新のパッチリストが SunSolve によってインターネットで提供されています (http://sunsolve.sun.co.jp/sunsolve/jp/)。
ユーザーのシステムをバックアップします。詳細は 「システムをバックアップする方法」 を参照してください。
アップグレードオプションで Solaris オペレーティング環境の新しいバージョンをインストールする前に、必ず既存のファイルシステムをバックアップしてください。ファイルシステムのバックアップとは、データを削除、破損、または破壊から保護するために、ファイルシステムを取り外し可能な媒体 (テープなど) にコピーすることです。バックアップの手段が身近にない場合は、次の手順に従ってファイルシステムの完全バックアップを実行してください。自動バックアップの設定と他のバックアップコマンドの使用については、『Solaris のシステム管理』を参照してください。
Device Configuration Assistant (デバイス構成用補助) フロッピーディスクを、システムの a: フロッピーディスクドライブに挿入します。
Solaris CD を CD-ROM ドライブに挿入します。
システムをブートする準備をします。
表 6-2 ブートの手順
システムの状態 |
手順 |
---|---|
新品 (箱から取り出したばかり) で、電源を入れていない。 |
システム構成要素の電源を入れる。 |
電源を入れていて、Solaris が動作している。
|
コマンドツールかシェルで、次を入力する。 $ su root # init 0 プロンプトに従って、リブートする。 |
システムの電源を入れると、診断プログラム (Configuration Assistant) がユーザーのハードウェアをチェックして、システムに追加されているデバイスの中に衝突しているデバイスが存在するかどうかを検査します。衝突している場合、インストールを続ける前にその衝突の修正をもとめるプロンプトが表示されます。
CD-ROM からシステムをブートする「CD」オプションを選択します。
「Solaris Interactive」オプションを選択します。
「Custom JumpStart」は選択しないでください。これは、高度なインストールオプションです。このオプションには、事前の設定が必要です。カスタム JumpStart を使用して自動的にインストールする方法については、『Solaris のインストール (上級編)』を参照してください。
「Solaris Web Start」は選択しないでください。このオプションは、今回のリリースのアップグレードでは使用できません。
この時点で何らかの問題がある場合、「インストール時の問題解決」の章に進んでください。
画面の指示に従って、Solaris オペレーティング環境をインストールします。
Solaris インストールプログラムでは、対話式プログラムの手順に従って Solaris オペレーティング環境をインストールできます。また、オンラインヘルプも使用できます。
Solaris オペレーティング環境がシステムにインストールされるのを待ちます。
インストールのログ (システムがどのようにインストールされたか) は、次のファイルに保存されます。
システムをリブートする前は、次のファイルです。 /a/var/sadm/system/logs/upgrade_log
システムをリブートした後は、次のファイルです。 /var/sadm/system/logs/upgrade_log
スーパーユーザーになります。
システムをシャットダウンします。
# init 0 |
レベル S (シングルユーザーモード) にシステムをブートします。
システムをブートするときに -s オプションを使用します。
[オプション] fsck コマンドで、ファイルシステムの整合性をチェックします。
-m オプションを使用して fsck コマンドを実行すると、ファイルシステムの整合性がチェックされます。たとえば、電源に障害があると、ファイルの整合性がなくなる可能性があります。
# fsck -m /dev/rdsk/device-name |
リモートのテープドライブにファイルシステムをバックアップする場合、次の手順に従います。
テープドライブのデバイス名を指定します。
デフォルトのテープドライブは /dev/rmt/0 です。
書き込み保護をしていないテープをテープドライブに挿入します。
表 6-3 の ufsdump コマンドのいずれかを使用して、ファイルシステムをバックアップします。
表 6-3 完全バックアップコマンド
完全バックアップの保存先 |
使用するコマンド |
---|---|
ローカルのフロッピーディスク |
ufsdump9ucf /vol/dev/ files_to_backup |
ローカルのカートリッジテープドライブ |
ufsdump9ucf /dev/rmt files_to_backup |
リモートのカートリッジテープドライブ |
ufsdump0ucf remote_host:/ files_to_backup |
プロンプトが表示されたら、テープを取り出して、次のボリュームに交換します。
各テープには、ボリューム番号、レベル、日付、システム名、およびファイルシステムを記したラベルを付けておきます。
Control-d を押して、レベル 3 にシステムをブートします。
ufsrestore コマンドを使用してテープの内容を表示することによって、バックアップが成功していることを確認します。