Solaris のシステム管理

はじめに

この『Solaris のシステム管理』では、Solaris システム管理情報の重要な部分を取り上げます。SPARCTM および x86 の情報を両方含み、SolsticeTM AdminSuiteTM ツールを使用してシステム管理作業を行う方法を説明します。

このマニュアルでは、システム管理者である読者が SunOS 5.6 オペレーティングシステムと Solstice AdminSuite をすでにインストールしていて、ネットワークソフトウェアの設定を終了していることを想定しています。SunOS 5.x オペレーティングシステムは、多くのユーティリティと OpenWindowsTM バージョン 3.x を含む Solaris 2.x 製品の一部です。また、SunOS 5.x は、AT&T System V リリース 4 オペレーティングシステムに準拠しています。


注 -

「x86」は、Intel 8086 系のマイクロプロセッサチップの総称です。この中には、Pentium プロセッサ、Pentium Pro プロセッサ、AMD 社や Cyrix 社製の互換マイクロプロセッサチップも含まれます。このマニュアルでは、「x86」をこれらの 8086 系のマイクロプロセッサを搭載するプラットフォームの総称として使用します。「Intel 版」は、製品名で使用します。


Solaris のシステム管理』は、Solaris オペレーティング環境の以前のリリースに添付されていた次のマニュアルを新しくまとめたものです。

メールの管理については、『メールシステムの管理』に記載されています。

対象読者

このマニュアルは、Solaris 2.x リリースを実行するシステムの管理者を対象にしています。このマニュアルを読むには、UNIX のシステム管理について 1 〜 2 年の経験が必要です。また、コンピュータサイエンスの学位またはそれに相当する知識があれば役立ちます。

このマニュアルの構成

このマニュアルは、システム管理作業の内容ごとに分類されたパートに分かれています。各パートでは概要と作業手順を説明しています。

概要は各パートのはじめの章で紹介され、その後の章で各作業手順を説明しています。また、各手順の説明の後には、その作業が正しく実行されたか確認する方法と、その作業を行う具体的な例が含まれています。

AnswerBook2 を使用してこのマニュアルを参照する

このマニュアルを AnswerBook2TM ビューアで表示している場合、本文中の下線部分 (クロスリファレンス) をクリックすると、AnswerBook2 コレクションの参照情報をすぐに表示できます。元の表示に戻るには、ブラウザの「Back」ボタンをクリックします。

マニュアルの注文方法

SunDocsTM プログラムでは、米国 Sun Microsystems, Inc. の 250 冊以上のマニュアルを扱っています。このプログラムを利用して、マニュアルのセットまたは個々のマニュアルをご注文いただけます。

マニュアルのリストと注文方法については、米国 SunExpressTM, Inc. のインターネットホームページ http://www.sun.com/sunexpress にあるカタログセクションを参照してください。

SPARC 情報と x86 情報

このマニュアルでは、SPARC システムと x86 システムの両方についてシステム管理情報を記載しています。特に断りがなければ、このマニュアルの説明はすべて両システムに適用されます。表 P-1 に SPARC と x86 のシステム管理作業の違いを要約します。

表 P-1 SPARC と x86 のシステム管理作業の違い

分類 

SPARC 

x86 

カーネルが読み込まれる前のシステムの動作 

  • モニタプログラムを持つ PROM チップが診断を実行し、デバイス情報を表示します。

  • デフォルトのブートパラメタを設定したり、システムに接続されているデバイスをテストしたりする場合にも使用します。

  • BIOS が診断を実行し、デバイス情報を表示します。

    Multiple Device Boot (MDB) と呼ばれるプログラムを持つ Solaris Device Configuration Assistant (構成用補助) フロッピーディスクを使用して、デフォルト以外のブートパーティション、ネットワーク、または CD-ROM からブートさせます。

システムのブート 

  • PROM レベルのコマンドとオプションを使用して、システムをブートします。

  • MDB、一次、および二次ブートサブシステムレベルのコマンドとオプションを使用して、システムをブートします。

ブートプログラム 

  • bootblk - ufsboot を読み込む一次ブートプログラム

  • ufsboot - カーネルを読み込む二次ブートプログラム

  • mboot - マスタブートレコード。pboot を読み込みます。

    pboot - Solaris パーティションブートプログラム。bootblk を読み込みます。

  • bootblk - 一次ブートプログラム。ufsboot を読み込みます。

    ufsboot - 二次ブートプログラム。カーネルを読み込みます。

システムのシャットダウン 

  • shutdown コマンドと init コマンドを、他の操作なしで使用できます。

  • shutdown コマンドと init コマンドを使用できます。ただし、「type any key to continue」プロンプトで入力する必要があります。

ディスクコントローラ 

  • SCSI

  • SCSI と IDE

ディスクスライスとパーティション 

  • 1 台のディスクは最大 8 個のスライスを持つことができます。番号は 0 〜 7 です。

  • Solaris の fdisk パーティションは最大 10 個のスライスを持つことができます。番号は 0 〜 9 ですが、0 〜 7 だけにユーザーデータを格納できます。

  • 1 台のディスクは最大 4 個の fdisk パーティションを持つことができます。

  • Solaris の fdisk パーティションは最大 10 個のスライスを持つことができます。番号は 0 〜 9 ですが、0 〜 7 だけにユーザーデータを格納できます。

フロッピーディスクドライブ 

  • デスクトップシステムには通常 1 台の 3.5 インチドライブがあります。

  • システムに 3.5 インチと 5.25 インチの 2 つのドライブがある場合があります。

表記上の規則

このマニュアルでは、次のような字体や記号を特別な意味を持つものとして使用します。

表 P-2 表記上の規則

字体または記号 

意味 

例 

AaBbCc123

コマンド名、ファイル名、およびディレクトリ名を示します。または、画面上のコンピュータ出力を示します。 

.login ファイルを編集します。

ls -a を使用してすべてのファイルを表示します。

system%

AaBbCc123

ユーザーが入力する文字を、画面上のコンピュータ出力とは区別して示します。 

system% su

password:

AaBbCc123

変数を示します。実際に使用する特定の名前または値で置き換えます。 

ファイルを削除するには、rm filename と入力します。

『 』 

参照する書名を示します。 

『コードマネージャ・ユーザーズガイド』を参照してください。 

「 」 

参照する章や節を示します。また、ボタンやメニューなど、強調する単語を囲む場合にも使用します。 

第 5 章「衝突の回避」を参照してください。 

コード例は次のように表示されます。

[ ] は省略可能な項目を示します。上記の場合、filename は省略してもよいことを示します。

ただし AnswerBook2 では、ユーザーが入力する文字と画面上のコンピュータ出力は区別して表示されません。

一般規則

次の表記規則に注意してください。

# pmadm -a -p tcp -s lpd -i root -m `nlsadmin -o ¥
/var/spool/lp/fifos/listenBSD -A ¥
'¥x000202038194180e0000000000000000'` -v `nlsadmin -V`

このような場合、バックスラッシュは無視して (入力しないで)、バックスラッシュのない行の最後でのみ Return キーを押してください。上記の例では、バックスラッシュを無視して入力を続け、3 行目の最後で Return キーを押します。