format ユーティリティの使用方法や参照情報を読む前に概要を知りたい場合は、以下を読んでください。
format ユーティリティは、Solaris システム用にハードディスクドライブを準備するためのシステム管理ツールです。format ユーティリティは、フロッピーディスクドライブ、CD-ROM ドライブ、またはテープドライブには使用できません。
表 21-5 に、format ユーティリティの機能とその利点を示します。
表 21-5 format ユーティリティの機能と利点
機能 |
利点 |
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システム内で接続されている全ディスクドライブを検索する |
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ディスクラベルを検索する |
修復処理に使用する。 |
欠陥セクターを修復する |
回復可能なエラーが発生したディスクドライブをメーカに返送しなくても、熟練した管理者なら修復できる。 |
ディスクをフォーマットして、分析する |
ディスク上でセクターを作成し、検査する。 |
ディスクをパーティションに分割する |
個々のファイルシステムを別々のスライス上で作成できるようにディスクを分割する。 |
ディスクにラベルを付ける |
後から検索できるように (通常は修復用)、ディスクにディスク名と構成情報を書き込む。 |
format ユーティリティの全オプションついての詳細は、第 25 章「format ユーティリティの参照情報」を参照してください。
Solaris のインストール処理の一部として、Solaris インストールプログラムによってディスクがパーティションに分割され、ラベルが付けられます。次のような場合には、format ユーティリティを使用する必要があります。
スライス情報を表示する。
ディスクをスライスに分割する。
既存のシステムにディスクを追加する。
ディスクをフォーマットする。
ディスクを修復する。
システム管理者が format ユーティリティを使用するのは、主にディスクをディスクスライスに分割するためです。これらの手順については、第 23 章「SPARC: ディスク追加の手順」と第 24 章「x86 : ディスク追加の手順」を参照してください。
format ユーティリティの使用上のガイドラインについては、表 21-6 を参照してください。
用途 |
注意事項 |
参照先 |
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ディスクをフォーマットする |
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システムディスクを交換する |
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第 23 章「SPARC: ディスク追加の手順」または第 24 章「x86 : ディスク追加の手順」、システムをインストールし直さなければならない場合は、『Solaris のインストール (上級編)』 |
ディスクをスライスに分割する |
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既存のシステムにディスクを追加する |
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ディスクドライブを修復する |
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ほとんどの場合、ディスクはメーカまたは再販業者によってフォーマットされているので、ドライブをインストールするときにフォーマットし直す必要はありません。ディスクがフォーマットされているかどうかを判別するには、format ユーティリティを使用します。詳細は、「ディスクがフォーマット済みかどうかを調べる方法」を参照してください。
ディスクがフォーマットされていない場合、format ユーティリティを使用してフォーマットします。
ディスクをフォーマットする作業は、次の 2 つの手順に分けられています。
使用するディスク媒体を用意する。
表面解析に基づいてディスクの欠陥リストを作成する。
フォーマットは、ディスク上のデータを上書きします。このため、通常は、メーカや再販業者のみがディスクをフォーマットします。ディスクに欠陥があるために問題が再発していると思われる場合は、format ユーティリティを使用して表面解析を実行できますが、データを破壊しないコマンドのみを使用するように注意してください。詳細は、「ディスクをフォーマットする方法」を参照してください。
データに利用できる合計ディスク容量のうち、ごくわずかな容量が欠陥情報とフォーマット情報の格納に使用されます。この容量はディスクのジオメトリによって異なり、使用年数がたち、欠陥箇所が増加するにつれて、増加します。
フォーマットにはディスクの種類とサイズに応じて数分から数時間かかります。