Solaris のシステム管理

カーネルメモリーの割り当てをチェックする方法 (sar)

sar -k コマンドを使用すると、Kernel Memory Allocator (KMA) に関して次の動作が表示されます。

KMA を使用すると、カーネルサブシステムは必要に応じてメモリーを割り当て、解放できます。最大量のメモリーを静的に割り当てるのではなく、ピークを下回る負荷を要求するのが予想されるため、KMA はメモリー要求を「小」 (256 バイト未満)、「大」 (512 バイト〜 4K バイト)、「サイズ超過」 (4K バイト超) という 3 つのカテゴリに分けます。また、2 つのメモリープールを管理して、「小」要求と「大」要求を満たします。「サイズ超過」要求は、システムページアロケータからメモリーを割り当てることで満たされます。

KMA 資源を使用するドライブや STREAMS の作成に使用中のシステムを調査する場合は、sar -k を使用すると便利です。それ以外の場合は、このコマンドで提供される情報は不要なはずです。KMA 資源を使用するが、終了前には特に資源を返さないドライバやモジュールがあると、メモリーのリークが生じることがあります。メモリーリークが発生すると、KMA によって割り当てられるメモリーは時間が経つにつれて増大します。したがって、sar -kalloc フィールドの値が時間が経つにつれ増える場合は、メモリーリークの可能性があります。メモリーリークのもう 1 つの兆候は、要求が失敗することです。この問題が発生した場合は、メモリーリークのために KMA がメモリーを予約したり割り当てたりできなくなっている可能性があります。

メモリーリークが発生した場合は、KMA からメモリーを要求したが返していないドライバや STREAMS がないかどうかをチェックする必要があります。

$ sar -k
SunOS venus 5.6 Generic sun4m    08/20/96
00:00:03  sml_mem   alloc  fail   lg_mem    alloc  fail  ovsz_alloc  fail
01:00:02  1245184  955332     0  3661824  2786336    0      2412544     0

表 64-12 に、-k オプションからの出力を示します。

表 64-12 sar -k コマンドからの出力

フィールド名 

説明 

sml_mem

KMA が小メモリー要求プール内で使用できるメモリーのバイト数 (小要求は 256 バイト未満) 

alloc

KMA が小メモリー要求プールから小メモリー要求に割り当てたメモリーのバイト数 

fail

小量のメモリーで失敗した要求数 

lg_mem

KMA が大メモリー要求プール内で使用できるメモリーのバイト数 (大要求は 512 バイトから 4K バイトまで) 

alloc

KMA が大メモリー要求プールから大メモリー要求に割り当てたメモリーのバイト数 

fail

大メモリーで失敗した要求数 

ovsz_alloc

サイズ超過要求 (4K バイトを超える要求) に割り当てられたメモリーの容量。これらの要求はページアロケータによって満たされるので、プールはない。 

fail

サイズ超過メモリーで失敗した要求数 

例 - カーネルメモリーの割り当てをチェックする(sar)

次の例は、sar -k 出力を示します。

$ sar -k
SunOS skisun 5.6 Generic sun4m    08/20/96

14:28:12  sml_mem  alloc  fail  lg_mem  alloc  fail ovsz_alloc fail
14:29:12   95232   73472     0  311296  198656    0     180224    0
14:30:12   95232   75120     0  311296  198656    0     180224    0
14:31:12   95232   73600     0  311296  197632    0     180224    0

Average    95232   74064     0  311296  198314    0     180224    0