以前の Solaris 2.x ソフトウェアリリースは、32 ビットのデータ型を使用してユーザー ID (UID) とグループ (GID) を格納していました。ただし、UID と GID に使用できる最大値は 60000 に制限されていました。Solaris 2.5.1 リリースから、UID と GID の値の制限は符号付き整数の最大値 (つまり、2147483647) に引き上げられました。
60000 を超える UID と GID は機能的に完全でなく、多くの Solaris の機能と互換性がありません。したがって、60000 を超える UID と GID を使用することは避けてください。Solaris 2.x 製品とコマンドとの相互運用性に関する完全なリストについては、表 1-2 を参照してください。
表 1-2 に、以前の Solaris と Solaris 製品リリースとの相互運用性に関する問題を説明します。
表 1-2 60000 を超える UID と GID の相互運用性に関する問題
分類 |
製品またはコマンド |
問題または注意 |
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NFSTM 互換性 |
SunOS 4.x NFS ソフトウェア |
SunOS 4.x NFS サーバーとクライアントのコードは、大きな UID と GID を 16 ビットに切り捨てる。これによって、大きな UID と GID を使用している環境において SunOS 4.x マシンを使用すると、セキュリティの問題が発生する可能性がある。SunOS 4.x システムにはパッチが必要である。 |
ネームサービスの相互運用性 |
NIS ネームサービスおよびファイルベースのネームサービス |
60000 を超える UID を持つユーザーは、Solaris 2.x オペレーティング環境の初期のバージョンが動作しているシステムでは、ログインしたり、su コマンドを使用できるが、そのユーザーの UID と GID は 60001 (nobody) に設定される。 |
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NIS+ ネームサービス |
60000 を超える UID を持つユーザーは、古い Solaris 2.x バージョンと NIS+ ネームサービスが動作しているシステムではアクセスが拒否される。 |
UID と GID の表示 |
OpenWindows のファイルマネージャ |
OpenWindowsTM のファイルマネージャを拡張ファイルリスト表示オプションで使用する場合、大きな UID と GID は正しく表示されない。 |
表 1-3 大きな UID と GID の制限の要約