Sun Java System Application Server Enterprise Edition 8.2 管理ガイド

第 13 章 ORB (Object Request Broker) の設定

この章では、ORB (Object Request Broker) と IIOP リスナーの設定方法について説明します。ここには次の節があります。

CORBA

Application Server は、相互運用性を確実にする一連の標準的なプロトコルおよび形式をサポートします。これらのプロトコルの中には、CORBA で定義されているものがあります。

CORBA (Common Object Request Broker Architecture) モデルのベースになっているのは、明確に定義されたインタフェースを介して分散型のオブジェクトやサーバーにサービスを要求するクライアントです。こうしたクライアントは、リモートメソッド要求の形式でオブジェクトに対して要求を発行します。リモートメソッド要求では、実行する必要のある操作に関する情報が伝送されます。この情報には、サービスプロバイダのオブジェクト名 (オブジェクト参照) と、存在する場合は、起動メソッドのパラメータが含まれます。CORBA は、オブジェクトの登録、オブジェクトの配置、オブジェクトのアクティブ化、要求の多重分離、エラー処理、整列化、操作のディスパッチをはじめとするネットワークプログラミングのタスクを自動的に処理します。

ORB とは

ORB (Object Request Broker) は、CORBA の中枢となるコンポーネントです。ORB は、オブジェクトの特定と検索、接続管理、およびデータと要求の配信に必要なインフラストラクチャーを提供します。

個々の CORBA オブジェクトが相互に対話することはありません。その代わりに、リモートスタブを介して、ローカルマシンで実行されている ORB に要求を送ります。次に、ローカルの ORB が、IIOP (Internet Inter-Orb Protocol) を使ってほかのマシン上の ORB へ要求を転送します。リモート ORB は、適切なオブジェクトを検出し、要求を処理して、結果を返します。

アプリケーションやオブジェクトでは、RMI-IIOP により、IIOP を RMI (Remote Method Invocation) として使用することが可能になっています。エンタープライズ Bean (EJB モジュール) のリモートクライアントは、RMI-IIOP を介して Application Server と通信します。

IIOP リスナー

IIOP リスナーは、Enterprise JavaBeans のリモートクライアントおよびほかの CORBA ベースのクライアントから受信する接続を受け付ける待機ソケットです。Application Server では、複数の IIOP リスナーを設定できます。各リスナーに対して、ポート番号、ネットワークアドレス、およびオプションでセキュリティー属性を指定してください。

ORB の操作

IIOP リスナーを作成するには、管理コンソールで「設定」>「ORB」>「IIOP リスナー」の順に選択し、「新規」をクリックします。または、次の asadmin コマンドを使用して IIOP リスナーを作成します。create-iiop-listener(1) および create-ssl(1)

IIOP リスナーを編集するには、管理コンソールで「設定」>「ORB」>「IIOP リスナー」の順に選択し、変更対象のリスナーを選択します。設定を変更します。ポート番号を変更した場合は、サーバーを再起動します。ORB はスレッドプールを使用し、Enterprise JavaBeans のリモートクライアントおよび RMI-IIOP を介して通信するほかのクライアントからの要求に応答します。

IIOP リスナーを削除するには、管理コンソールで「設定」>「ORB」>「IIOP リスナー」の順に選択し、削除対象のリスナーを選択します。または、delete-iiop-listener(1) コマンドを使用します。

ORBCommunicationsRetryTimeout プロパティーは、ORB クライアントが到達不可能な ORB バックエンドへの接続の確立を試行する秒数を指定します。デフォルト値は 60 秒です。このデフォルト設定では、ORB バックエンドが到達不可能な場合、ログに大量の CORBA 例外が記録されたり、ネットワーク使用率が高くなったりすることがあります。

そのような場合は、ORBCommunicationsRetryTimeout を低い値に設定してください。

サードパーティー製の ORB

Sun Java System Application Server は、サードパーティー製の ORB ソフトウェアと併用できます。そのようなサードパーティー製 ORB をサポートするには、サーバー側の設定を変更する必要があります。

サードパーティー製 ORB のサポートを実装するには、domain.xml ファイルと server.policy ファイルを編集する必要があります。サードパーティー製 ORB のサンプルを設定する方法の詳細は、「Configuring Sun Java System Application Server for Third-Party ORBs」 を参照してください。