ソリューションライフサイクルの実装段階では、配備設計の段階で作成された仕様および計画をもとに配備アーキテクチャーを構築およびテストし、最終的には配備を本稼動環境に移行します。
実装は本ガイドの適用範囲外ですが、この章で、配備プロトタイプの監視とチューニングの方法について説明します。
この章で説明する内容は次のとおりです。
配備アーキテクチャーが承認され、実装仕様および計画が完成すると、ソリューションライフサイクルの実装段階に入ります。実装は、一連の複雑なプロセスおよび手順から成り、成功を確実にするには入念な計画が必要になります。
実装には次のタスクが含まれます。
ネットワークおよびハードウェアインフラストラクチャーの構築
インストール計画に基づくソフトウェアのインストールと設定
既存のアプリケーションから最新のソリューションへのデータの移行
ユーザー管理計画の実装
テスト計画に基づく、テスト環境でのパイロットまたはプロトタイプの設計
テスト計画に基づく、機能テストおよびストレステストの設計と実行
移行計画に基づく、テスト環境から本稼動環境へのソリューションの移行
トレーニング計画に基づく、配備の管理者およびユーザーに対するトレーニング実施
実装の詳細は、本ガイドの適用範囲外です。ただし、次のセクションで、いくつかのタスクについて概説します。
ポータルの機能の包括的な文書は、システムをサポートしやすくする重要な手段です。サポート可能なソリューションを作成するために文書化する必要がある領域を次に示します。
システムのアーキテクチャー
ソフトウェアのインストールと設定
操作手順、「運用書」ともいう
ソフトウェアのカスタマイズ
カスタムコード
サードパーティー製品の統合
運用書には、障害追跡の方法や配備のライフサイクルが要約されています。プロジェクトのトレーニングおよび知識の移譲段階でこのブックを利用できるようにします。
配備プロジェクトの終わりまで待たずに文書化を開始してください。ポータルの文書化は、配備過程全体を通して行う必要がある活動です。
プロセッサ、メモリー、ネットワーク、およびディスクの明らかな障害を識別して取り除きます。
制御された環境をセットアップして、同一条件での動作変動が 10 パーセント未満に定義されるエラーの許容範囲を最小限に抑えます。
開始データの測定基準が分かれば、サンプル収集動作間のデータパフォーマンスの変動を測定できます。測定値は適切な長さの時間で収集し、これらのテストの結果を捕捉して評価できるようにします。
Portal Server マシンとは別に、負荷シミュレーションデータを収集する専用マシンの使用を計画します。専用マシンは、パフォーマンス問題の原因を突き止めるのに役立ちます。
この最初のベンチマークを使用して、短期および長期的に組織がサポートするトランザクションの量を定義します。
現在の物理的なインフラストラクチャーが、定義したトランザクションの量の要件をサポート可能であるかどうかを確認します。
ポータルに対するアクティビティーが増えるにつれ、最初に限度に達するサービスを特定します。これにより、上限までの余裕が示され、また強化すべきところが特定されます。
ポータルの提供者、管理者、および開発者が同意する予想生産環境をできるだけ正確にシミュレーションする、プロトタイプワークロードを作成して微調整します。
プロトタイプを検証するためにトラフィックを定期的に測定および監視します。
CPU の使用率を一定の期間追跡します。通常、負荷は急に上昇し、上昇が発生する前に対策を講じるためには利用可能な機能の慎重な評価が必要です。
ほとんどの組織はポータルサイトが「スティッキー」な性質を持つことを認識しています。つまり、ユーザーのコミュニティーのサイズが固定されていても、ユーザーがそのサイトに慣れてくると、サイトの使用率が時間の経過とともに増加することを意味します。また、ユーザーのコミュニティーのサイズが時間の経過とともに増加する場合も、成功しているポータルサイトでは短期間に CPU 要件が高まる場合があります。
ポータルサーバーの CPU の使用率を監視する場合、負荷のピーク時における平均 Web ページ待ち時間を確認し、それが平均の待ち時間とどれだけ異なるかを確認します。
ピーク時の負荷は、短期間ではありますが、平均の負荷の 4 〜 8 倍の負荷であると予測します。
モデルを使用して、長期のシナリオを計画します。プロトタイプを使用すると、今後数年の総合的な成長予測に対応するために、配備をどれだけ大幅に変更する必要があるかを理解できます。
エラーロギングレベルを MESSAGE ではなく ERROR に保ちます。MESSAGE エラーレベルは冗長であり、ファイルシステムのディスク領域がすぐに不足する原因になります。ERROR レベルは、すべてのエラー状態と例外をログに記録します。
ポートレットのようなカスタマイズされたポータルアプリケーションを監視します。
次の領域を監視します。
ポータルデスクトップ
チャネルレンダリング時間
Sun JavaTM System Access Manager
Sun Java System Directory Server
Sun Java System 仮想マシン
Web コンテナ
次に、ポータルのパフォーマンスにおける可変要素の観点から問題について説明し、ポータルの効率を判断する際の指針を示します。
ポータルシステムのパフォーマンスは、Access Manager キャッシュのキャッシュヒット率の影響をかなり受けます。このキャッシュは高度にチューニング可能ですが、このキャッシュが使用するメモリーとヒープの残りの利用できるメモリーのどちらかを選択する必要があります。
amSDKStats ログを有効にして、サーバー上のアクティブなセッションの数と Directory Server キャッシュの効率を監視できます。それらのログは、デフォルトで /var/opt/SUNWam/stats ディレクトリにあります。ロギング間隔を設定するには、com.iplanet.am.stats.interval パラメータを使用します。5 秒未満の値を使用しないでください。30 〜 60 秒の値を使用すると、パフォーマンスに影響を与えずに良い結果が得られます。
com.iplanet.services.stats.directory パラメータを使用して、ファイルまたは Portal Server 管理コンソールのどちらかのログの場所を指定したり、ログを無効にしたりします。変更を有効にするには、サーバーを再起動する必要があります。ログは、システムがアクティビティーを検出するまで、作成されません。
複数の Web コンテナインスタンスが、同じファイルにログを書き込みます。
amSDKStats ファイルに表示されるキャッシュヒット率は、サーバーが起動されてからの内部の値と全体的な値の両方を示します。ユーザーがログインすると、ユーザーのセッション情報は、無期限あるいはキャッシュが一杯になるまでキャッシュに残ります。キャッシュが一杯になると、もっとも古いエントリが先に削除されます。サーバーがユーザーのエントリを削除する必要がない場合は、数日後にログインするときに、ユーザーの情報がキャッシュから取得されることがあります。ヒット率が高いと、パフォーマンスがかなり向上します。最低 80 パーセントのヒット率は良い目標ですが、可能であればそれよりも高いヒット率を目標にすることが望まれます。
Web コンテナツールを使用して、要求を処理するために使用するスレッドの数を監視します。一般に、実際に使用されるスレッドの数は多くの場合予測した数よりも少なく、特に CPU の使用率が通常 100 パーセントよりもかなり低い本稼働サイトではそのようになります。
Portal Server には、ポータルのユーザーがポータルの使用情報を監視するための組み込みの報告メカニズムがあります。これには、アクセスされるチャネル、チャネルがアクセスされた期間、またポータルのユーザーの行動様式を作成する能力が含まれます。ポータルの監視は、psconsole または cli psadmin を使用して管理できます。次の監視機能を使用できます。
管理対象のデスクトップサービス:
コンテンツ要求
編集要求
プロセス要求
ログアウト要求
サービスの公開
累積的
チャネルごと
各サービスには、一連の属性がある
サービス属性:
名前数
最終サービス時間
最大サービス時間
最小サービス時間
平均サービス時間
ユーザーベースの追跡 (UBT) も、psconsole または cli psadmin を使用して管理されます。UBT はデフォルトでは無効になっています。ユーザーベースの追跡を有効にするには、ファイル /var/opt/SUNWportal/portals/portal1/config にあるプロパティー com.sun.portal.ubt.enable=true を設定する必要があります。取得されたデータのエクステントは、レベル INFO、FINE、FINER、 FINEST、OFF が制御します。ログは、/var/opt/SUNWportal/portals/portal1/logs/%instance/ubt.%u.%g.log ファイルにルーティングされます。このファイルは設定可能です。
ポータルの実装の主な部分は、ディレクトリ情報ツリー (DIT) の設計です。DIT は、ユーザー、組織、サブ組織などを論理構造または階層構造に編成することにより、管理を効率的に行い、適切なアクセス権限をユーザーに割り当てることを可能にします。
Access Manager の組織ツリー の最上位は、デフォルトで dc=fully-qualified-domain-name と呼ばれ、インストール時に変更または指定できます。インストール後に、追加の組織を作成して、別の企業を管理することができます。作成された組織はすべて最上位組織の下に配置されます。これらのサブ組織内で、他のサブ組織を入れ子にできます。入れ子の構造の深さには制限がありません。
ツリーの最上位を dc と呼ぶ必要はありません。必要に応じてこの名前を変更できます。ただし、たとえば、dc など一般的な最上位で編成されたツリーでは、ツリー内の組織はロールを共有することができます。
ロールは、より効果的に、またより簡単にアプリケーションを使用するように設計されたグループ化メカニズムです。それぞれのロールはメンバー、あるいはロールを保有するエントリを持ちます。グループの場合と同じく、ロールのメンバーは明示的またはダイナミックに指定できます。
ロールメカニズムにより、そのエントリがメンバーになっているすべてのロール定義の識別名 (Distinguished Name、DN) を含む nsRole 属性が自動的に生成されます。各ロールは、1 人または複数のユーザーに付与できる、単一の権限や権限のセットを含んでいます。複数のロールを 1 人のユーザーに割り当てることができます。
ロールの権限はアクセス制御命令 (ACI) で定義されます。Portal Server には、いくつかのロールが事前に定義されています。Portal Server 管理コンソールを使用してロールの ACI を編集し、ディレクトリ情報ツリー内でアクセス権を割り当てることができます。用意されている例には、SuperAdmin Role および TopLevelHelpDeskAdmin ロールが含まれます。組織間で共有できるその他のロールを作成することもできます。
Access Manager のサービス管理は、Access Manager サービスとして属性のグループを定義、統合、および管理する手段になります。
管理のためにサービスを準備するには、次の手順が伴います。
XML サービスファイルを作成します。
新しいオブジェクトクラスで LDIF ファイルを設定し、XML サービスファイルと新しい LDIF スキーマの両方を Directory Service にインポートします。
Access Manager の管理コンソールを使用して、複数のサービスを組織またはサブ組織に登録します。
組織ごとに属性 (登録後) の管理およびカスタマイズを行います。
Access Manager および Directory Server 構造の計画に関する詳細については、『Sun Java System Portal Server Secure Remote Access 6 2005Q4 管理ガイド』、『Sun Java System Directory Server Enterprise Edition 6 2006Q1 配備計画ガイド』および『Access Manager 配備計画ガイド』を参照してください。
Portal Server のパフォーマンスは、個々のチャネルの実行速度によって決定されます。また、ポータルに対するユーザーの体感は、ポータルデスクトップが表示される速度に基づきます。ポータルデスクトップは、最低の速度で表示されるチャネルと同じ速度でのみ読み込みを行うことができます。たとえば、10 個のチャネルから構成されるポータルデスクトップを考えてみます。9 つのチャネルが 1 ミリ秒で描画されるが、10 番目のチャネルが 3 秒かかる場合は、ポータルデスクトップはポータルが 10 番目のチャネルを処理するまで表示されません。各チャネルが要求を最短時間で処理できるようにすることによって、ポータルデスクトップのパフォーマンスの向上を実現できます。
速度とスケーラビリティーの向上を目的としてポータルチャネルを実装するために選択できるいくつかの方法を次に示します。
ポータルサーバーではなく、バックエンドシステムおよびアプリケーションサーバーに処理機能を置きます。ポータルサーバーは、ユーザーからの要求の取得を最適化する必要があります。できるかぎり多くのビジネスロジック処理をバックエンドシステムに任せます。可能なかぎり、カスタマイズしたコンテンツを処理するためではなく、ユーザーに配信するためにポータルを使用します。
バックエンドシステムが高度にスケーラブルでパフォーマンスがよい状態になるようにします。ポータルデスクトップは、(チャネルで表示する) 情報の入手先のサーバーと同程度の速度で応答します
プロバイダを設計する際には、データの格納場所、ポータルがデータを入手する方法、プロバイダがデータを入手する方法、およびデータのタイプを理解します。たとえば、データが個々のユーザーに関係する動的なデータであるか、あるいはカスタマイズされたまたはパーソナライズされたデータを取得するのにコードが必要かどうかなどです。また、データが静的であり、小さなグループのユーザーによって共有されるかなどです。次に、データの存在場所 (たとえば、XML ファイル、データベース、フラットファイルなど) とデータの更新の頻度を理解する必要があります。最後に、プロバイダがパーソナライズされたチャネルをユーザーに配信できるように、データの処理にどのようにビジネスロジックが適用されるかを理解する必要があります。
プロバイダの配備を計画するときには、次のことを考慮します。
URLScraperProvider。通常、このプロバイダは、別の Web コンテナの Web ベースのシステムが供給するダイナミックコンテンツにアクセスするために使用します。このプロバイダは、コンテンツを取得するために HTTP および HTTPS 呼び出しを使用します。バックエンドシステムに高いスケーラビリティーと可用性が要求されるので、このプロバイダは、バックエンドシステムに高い要求を課します。 高いパフォーマンスを実現するために、パフォーマンスは 1/10 秒単位である必要があります。このプロバイダは、構成が単純であるため、ポータルの配備の試験段階で考え方が正しいか確認するのに役立ちます。
URLScraperProvider は、ページを取得するたびにある程度の書き換えも実行します。たとえば、チャネルが別の Web サイトにホストされている写真を含むニュースのページを取得する場合、ポータルがその写真を表示できるようになるには、その写真の URL を書き換える必要があります。ポータルはその写真をホストしていないので、URLScraperProvider はポータルのユーザーに表示するためにその写真を書き換える必要があります。
Portal Server の一部である URL スクレイパープロバイダは、ファイルスクレイパープロバイダとしても機能します。
URLScraperProvider をファイルスクレイパープロバイダとして使用するには、次のように URL を指定します。
String name=“url”value="file://path/ filename”
コンテンツの取得速度の観点から見ると、このプロバイダはもっとも優れているプロバイダです。コンテンツの最初の取得では、このプロバイダのパフォーマンスは通常 13 〜 15 ミリ秒程度になります。それ以降の要求に対しては、組み込みのキャッシュメカニズムを使用して、このプロバイダは通常 1 ミリ秒以下でコンテンツを配信できます。適用可能な場合、URL スクレイパープロバイダの代わりにファイルスクレイパープロバイダを使用することを考えてみます。
JSPProvider。JavaServer PagesTM (JSP) 技術を使用します。JSPProvider は、1 つまたは複数の JSP ファイルからコンテンツを取得します。JSP ファイルには、静的なドキュメント (HTML のみ) と、または HTML およびタグに埋め込まれた Java プログラミング言語を含む、標準の JSP ファイルとがあります。JSP ファイルには別の JSP ファイルを含めることができます。ただし、最上位の JSP ファイルのみをディスプレイプロファイルによって設定できます。最上位の JSP ファイルは、contentPage 、editPage、および processPage プロパティーによって定義されます。
LoginProvider。ポータルデスクトップチャネルによって、Access Manager の認証サービスへのアクセスを提供します。このプロバイダは、ユーザーがポータルデスクトップから直接ログインできるように、匿名ポータルデスクトップログインを可能にします。
XMLProvider。XSLT (XML Style Sheet Language) ファイルを使用して、XML ドキュメントを HTML に変換します。XML ドキュメントタイプに一致する適切な XSLT ファイルを作成する必要があります。XMLProvider は、URLScraperProvider を拡張したものです。このプロバイダは、j2se 1.5 が提供する javax.xml.transform クラスを使用します。
SimpleWebServiceProvider。URLScraperProvider のサブクラスである SimpleWebServicProvider は、Simple Object Access Protocol (SOAP) を通じて WSDL ファイルを取得し、関連する Web サービスと通信します。
このセクションでは、ソフトウェアのパッケージ化メカニズム、システム内部のソフトウェアカテゴリ、および Java ソフトウェアとの互換性について説明します。
Portal Server では、「動的 WAR ファイル」のアプローチを使用して、ソフトウェアをシステムに配備します。Portal Server は SolarisTM パッケージを使用してインストールされます。Solaris パッケージは、JAR、JSP、テンプレート、および HTML ファイルなど、Web アプリケーションを構成する個々のファイルで構成されています。パッケージには、WAR ファイルや EAR ファイルは含まれていませんが、インストール時に Portal Server WAR ファイルを構成するために使用する、web.xml フラグメントが含まれています。この動的に構成されるファイルが、Web アプリケーションコンテナに配備されます。ローカリゼーションなどの場合に追加パッケージがシステムにインストールされると、Web アプリケーションファイルは再構成および再配置されます。
WAR ファイルのパッケージ化と配備の仕組みは、Portal Server 製品だけが使用します。現行では、WAR ファイルや WAR ファイルを構成するために使用されるファイルにユーザーが変更を加えることはできません。
Portal Server は、Portal Server ノードにインストールするソフトウェアの種類を、次のように区別します。
動的 Web アプリケーション。 これには、Java プラットフォームで動作するサーブレット、JSP ファイル、コンテンツプロバイダ、およびユーザーのブラウザからアクセスされたときに Web コンテナが処理するその他の項目が含まれます。Portal Server の場合は、これらのファイルが Web コンテナのディレクトリ構造に配備されます。
静的 Web コンテンツ。これには、静的 HTML ファイル、画像、アプレット JAR ファイル、および Web Server コンテナを使用せずに Web サーバーによって直接サービスを提供可能なその他の項目が含まれます。Portal Server の場合は、これらのファイルも Web コンテナのディレクトリ構造に配備されます。
静的 Web コンテンツと動的 Web アプリケーションは、すべて 1 つの WAR ファイルにグループ化されます。
設定データ。これには、ディレクトリにインストールされるデータが含まれます。つまり、Access Manager サービスの定義、およびインストール時にディレクトリに変更を加えるそれ以外のデータです。これには、Portal Server 拡張機能で接続する、コンソール設定データへの変更などがあります。設定データは、Portal Server のノード数に関係なく、1 回だけインストールされます。
Software Development Kit (SDK)。JAR ファイルまたはコンポーネントによって使用可能になる Java API を含むファイルです。開発者は、このパッケージを開発システムにインストールして、API を使用するクラスをコンパイルできるようにする必要があります。ポータルの sdk ファイルは、ディレクトリ /opt/SUNWportal/sdk にあります。デスクトップサブディレクトリには、カスタムプロバイダの構築時に必要となる desktopsdk.jar ファイルが含まれています。wsrp サブディレクトリには wsrpsdk.jar ファイルが含まれています。
Portal Server ソフトウェアは、次の 3 つのカテゴリに分けられます。
アプレット。Portal Server で使用されるアプレットは、ほとんどのブラウザでサポートされている Java 1.1 と互換性があります。
Web アプリケーション。Web アプリケーションは、特別なインタフェースを使用するよう指定されている場合を除いて、サーブレットインタフェースに基づくJ2EETM Web コンテナと互換性を持つように設計されています。これには、Java 2 (J2SE 1.3) 以降との互換性も含まれます。
スタンドアロン Java プロセス。スタンドアロン Java ソフトウェアプロセスは、Java 2 以降と互換性があります。Portal Server ソフトウェアの中には、特に Secure Remote Access など、Java Native Interface (JNI) を使用して C アプリケーションプログラミングインタフェース (API) を呼び出すものがあります。
Portal Server は次のブラウザをクライアントとしてサポートします。
Netscape 7.1 以上
Mozilla 1.7.12 以上
Firefox 1.0.7 以上
HTML、WML、またはその他のプロトコルのどれに基づいていようと、複数のクライアントタイプが、Access Manager に、またその結果 Portal Server にアクセスできます。この機能を有効にするには、Access Manager はクライアント検出サービス (クライアント検出 API) を使用してポータルにアクセスするクライアントのタイプを検出します。次に、そのクライアントタイプを使用して、出力に使用するポータルテンプレート、JSP ファイル、および文字エンコーディングを選択します。
現在、Access Manager は、Internet Explorer や Netscape Communicator などのサポートされている HTML クライアントブラウザに対するクライアントデータのみを定義します。詳細については、Access Manager のマニュアルを参照してください。
Sun Java System Portal Server Mobile Access ソフトウェアは、Portal Server プラットフォームのサービスと機能をモバイルデバイスへ拡張し、音声アクセスのためのフレームワークを提供します。このソフトウェアは、HTML ブラウザを使用してアクセスする場合と同じコンテンツをポータルサイトのユーザーが入手できるようにします。
Mobile Access ソフトウェアは、xHTML、cHTML、HDML、HTML、WML などのモバイルマークアップ言語をサポートします。このソフトウェアは、HTTP または HTTPS のどちらかのプロトコルを使用して、LAN または WAN 経由でワイヤレスネットワークに接続されているモバイルデバイスをサポートできます。実際に、Portal Server Mobile Access ソフトウェアは、オートモバイル、セットトップボックス、PDA、携帯電話、音声など任意の数のデバイスをサポートできます。
ポータルデスクトップは、Portal Server のプライマリエンドユーザーインタフェースであり、プロバイダアプリケーションプログラミングインタフェース (PAPI) による広範なコンテンツ集約のメカニズムを備えています。ポータルデスクトップには、コンテナ階層と、特定のチャネルを構築するための基本構築ブロックとを有効にするさまざまなプロバイダが表示されます。コンテンツプロバイダとチャネルデータを保存する場合、ポータルデスクトップは Access Manager サービスのトップでディスプレイプロファイル データ保管メカニズムを実行します。
コンテンツの集約に使用できるさまざまな技術を次に示します。
構築ブロックプロバイダを使用したチャネルの作成
JSPProvider を使用したチャネルの作成
Portal Server タグライブラリを使用したチャネルの作成
カスタム構築ブロックプロバイダを使用したチャネルの作成
詳細については、『Sun Java System Portal Server 7.1 Secure Remote Access 管理ガイド』および『Sun Java System Portal Server 7.1 Developer Sample Guide』を参照してください。
静的なポータルコンテンツは、web-container-instance-root / https-server/docs ディレクトリまたは web-container-instance-root/directory/https-server/docs ディレクトリ (Web コンテナのドキュメントルート) 下のサブディレクトリに配置します。web-container-instance-root/SUNWportal/web-apps/https-server/portal/ ディレクトリは非公開のディレクトリであるため、コンテンツをこのディレクトリに配置しないでください。このディレクトリに配置されたコンテンツは、パッチまたはその他の更新時に Portal Server の Web アプリケーションが再配備されたときに削除の対象になります。
アプリケーションの Portal Server との統合および配備は、配備作業の中でも、もっとも重要な作業の 1 つです。アプリケーションのタイプを次に示します。
ポートレット。ポータルのコンテキストの範囲内で要求を処理し、コンテンツを生成する、プラグイン可能な Web コンポーネント。Portal Server ソフトウェアでは、ポートレットコンテナがポートレットを管理します。概念的には、ポートレットはプロバイダと同等です。
ポータルアプリケーション。 ポータルアプリケーション専用のブラウザウィンドウ内のチャネルから起動されます。Portal Server はアプリケーションをホストし、Access Manager サービスとして作成され、Portal および Access Manager API にアクセスします。
サードパーティーのアプリケーション。 Portal Server とは別にホストされますが、Portal Server からアクセスされます。リライタを呼び出す URL スクレイパーは、チャネルに表示できるように Web ページを書き換えます。Access Manager を使 用してシングルサインオンを有効にします。
JavaMailTM API の使用は、Microsoft Exchange メッセージングサーバーを Portal Server と統合する主なオプションの 1 つです。JavaMail API は、Java テクノロジに基づいたメールおよびメッセージングアプリケーションを構築するためのプラットフォーム独立およびプロトコル独立フレームワークです。JavaMail API は、Java プラットフォームのオプションのパッケージとして実装され、任意のオペレーティングシステムの JDK 1.4 以降で利用できます。JavaMail API は、Java Platform, Enterprise Edition (Java EE) に必須です。
JavaMail は、メールを管理するための共通の統一 API を提供します。JavaMail は、サービスプロバイダが Java プログラミング言語を使用して標準ベースのまたは独自のメッセージングシステムへの標準のインタフェースを提供するのを可能にします。この API を使用して、アプリケーションはメッセージストアにアクセスし、メッセージを作成および送信できます。
次に独立ソフトウェアベンダー (ISV) の統合機能のいくつかのタイプを示します。
アプリケーションのユーザーインタフェース。この統合機能は、安全なアクセスのためにプロバイダの API と Secure Remote Access を使用します。Secure Remote Access は単独では統合タイプではありません。たとえば、FatWire、Interwoven、SAP、Tarantella、Documentum、Vignette、PeopleSoft、Siebel、Citrix、YellowBrix などがあります。
セキュリティー製品。この統合機能は、Access Manager の Login API を使用して、カスタム認証スキームを使用したポータルアクセスを有効にします。たとえば、RSA セキュリティーなどがあります。
コンテンツの管理。この統合機能は、Portal Server へのデータアクセスを提供し、データの検索を可能にします。たとえば、FatWire、Interwoven、Vignette などがあります。
コンテンツのシンジケート。この統合機能は、Web サイトに表示される情報の管理およびカスタマイズを行います。たとえば、YellowBrix、Pinnacor などがあります。
コラボレーションソフトウェア。この統合機能は、Sun Java System InstantMessaging 製品がコラボレーションセッションを 1 つのフォーラムから別のフォーラムに移すことを可能にします。たとえば、WebEx、BeNotified、Lotus などがあります。
監視。この統合機能は、課金、パフォーマンスの測定、および診断に的を絞り、このためにログファイル (または Portal Server の Logging API) およびトラフィックの snooping を利用します。たとえば、Mercury Interactive、Hyperion、Informatica などがあります。
ポータルの機能の拡張。この統合機能は、製品が Portal Server に機能を追加することを可能にします。たとえば、Altio、Bowstreet、グループ機能を追加するルールエンジン、ダイナミックな標準のポータルデスクトップおよびプロバイダコンテンツ (HNC) などがあります。
統合可能なポータルスタック。この統合機能には、Portal Server の要素を置き換える製品が含まれています。たとえば、Access Manager、LDAP などがあります。
Portal Server 7.1 は、amsdk の使用に依存しています。制限レルムモードのサポートも可能ですが、Portal Server 7.1 はデフォルトではレガシーモードをインストールします。Sun One Java Directory Server 6 とすべての LDAPv3 ディレクトリサーバーがサポートされています。
Portal Server とユーザーインタフェースの統合が行われる「深さ」の程度は、統合がどれだけ徹底したものかを示します。深さは、統合の補完的な性質を説明するために使用する用語であり、次のようなアイテムを指します。
Portal Server からのアプリケーションの可用性
セキュアモードのアプリケーションの可用性 (Secure Remote Access、Netlet ルールを使用)
シングルサイオンを使用する能力
一般に、アプリケーションが Portal Server と統合する程度は、次のように見なすことができます。
浅い統合。この統合は、基本的に Portal Server を開始点として使用します。ユーザーはポータルにログインし、Web アプリケーションを起動するリンクをクリックします。
深い統合。ユーザーは、Portal Server 内のチャネルが提供するユーザーインタフェースに直接アクセスします。つまり、統合されたソフトウェアは、ポータル内で動作します。その他のウィンドウやアプレットは表示されません。
パイロットまたは概念実証配備がテスト基準をクリアすると、配備を本稼働環境に移行する準備が整っています。通常は、本稼働環境には段階的に移行します。段階的な移行は、多数のユーザーに影響を及ぼす大規模な配備において特に重要です。
段階的な配備は少数のユーザーから開始し、配備がすべてのユーザーに対して提供されるまでユーザーベースを徐々に拡大していきます。また、少数のサービスから開始し、残りのサービスへと段階的に行なう方法もあります。段階的なサービス提供を計画的に実行すると、本稼動環境で発生しうるサービス関連の問題を切り分け、特定、および解決するうえで役立ちます。