この章では、Mobile Access のソフトウェア配備の設計に影響する組織のニーズや要件の分析方法について説明します。
この章は次の節から構成されています。
Mobile Access の業務および技術上の要件を確認し分析するには、高い視点からニーズを検討します。
このトピックには、配備計画の手引きになる次の領域の質問が用意されています。
これらの領域の質問の一部は、使用するモバイルポータルの設計に該当しない場合があり、またここでとりあげていない問題を特定し対処する必要がある場合もあります。
モバイルアクセスを提供する業務上の目標は、配備の決定に影響します。目的を理解していないと、配備の成功に影響する誤った想定をしやすくなります。
次の質問は、業務上の目的の確認に役立ちます。
ポータルにモバイルアクセスを提供する業務上の目標は何か ? たとえば、顧客サービスを向上させる必要があるか、従業員の生産性を上げるか、経費を削減するかなどが挙げられます。
ポータルに音声アクセスを提供する業務上の目標は ?
対象者は ?
モバイルポータルがユーザーに提供するサービスまたは機能は ?
モバイルアクセスにより対象者が受ける恩恵は ?
モバイルアクセスを提供するための主な優先順位は ? 何段階かに分けてモバイルポータルを配備する計画である場合は、各段階の主な優先順位を示します。
ポータルにモバイルアクセスを提供する理由は、配備計画に直接影響します。対象者、パフォーマンスの基準、および目標に関連するその他の要素を定義する必要があります。
次の質問は、モバイルポータルの目標の確認に役立ちます。
モバイルアクセスを提供する目標は ? たとえば、サービスを配信する必要があるか、情報を提供する必要があるかなどが挙げられます。
モバイルポータルが配信するアプリケーションは ?
対象者は ?
必要なパフォーマンスの基準は ? ポータルのパフォーマンスとは異なるか ?
予測されるトランザクションの量は ? 予測されるピーク時のトランザクション量は ?
ピーク時に許容できる応答時間は ?
必要な並行性のレベル、つまり同時に接続できるユーザーの数は ?
モバイルポータルを 1 回で配備するか、またはいくつかの段階に分けて配備するか ? 各段階について説明し、段階ごとに何が変わるのかを説明します。
モバイルポータルを使用するユーザーを調査します。ユーザーがいつモバイル機器を使用してポータルにアクセスするか、またユーザーがどのように前のアクセス方法を使用してきたかなどの要素を考慮します。所属組織の経験だけではユーザーの行動様式がわからない場合は、他の組織の経験を調査して、行動様式を予測します。
次の質問は、モバイルユーザーに関する理解に役立ちます。
時間の経過とともにモバイルポータルの利用が増加するか ? あるいは変わらないか ?
モバイルユーザー数の増加の速さは ?
モバイルポータルが提供するアプリケーションをユーザーがどのように使用してきたか ?
ユーザーがどのモバイルポータルチャネルを定期的に使用すると予測するか ?
モバイルポータルコンテンツに対してユーザーがどのような期待をしているか ? モバイルポータルが提供する前の Web ベースの情報またはその他のリソースをユーザーがどのように使用してきたか ?
ポータルが提供する必要があるパフォーマンスは、配備要件に直接影響します。拡張性、能力、および可用性は、検討する必要がある基準の一部です。
次の質問は、ポータルのパフォーマンスの要件の評価に役立ちます。
パフォーマンスの要件にはどのようなものがあるのか ?
高可用性の要件にはどのようなものがあるのか ?
許容できる応答時間は ? スタンドアロンシステムの応答時間は、ポータルの応答時間の用件と比較してどうか ?
通常の時間帯の応答時間が良くなるようにポータルのインフラストラクチャーのサイズを決定した場合は、負荷のピーク時にパフォーマンスの低下に耐えられるか ?
ピーク時の並行セッション、つまり接続されるユーザーの数はどの程度になると予測するか ? ( アクティブであるユーザーのみを数える。休暇中や就寝中のユーザーなどは数えない)
通常のピーク時より上とは ? この情報がピーク時の並行ユーザーの予測にどのような影響を与えるか ?
ピーク時のユーザーの行動は ? ログインか、または再ロードか ?
典型的なユーザーが接続する期間、または有効なポータルセッションをオープンしている期間をどの程度と予測するか ? 既存のアプリケーションに対するどのような使用統計があるか ? 既存のポータルに対する Web トラフィック分析結果の数字があるか ?
ユーザーがモバイルポータルのアクセスに使用するフロントエンドシステムを分析します。これにより、ユーザーがポータルに接続する方法や使用するブラウザの種類を確認できます。それらの要素は、配備の決定に影響します。
次の質問は、フロントエンドシステムを理解するのに役立ちます。
モバイルユーザーがポータルにアクセスする方法は ? モバイルユーザーが使用するデバイスのタイプは ?
モバイルユーザーが使用するブラウザの機能は ? ユーザーが Java™ アプリケーションを使用しているか ? JavaScript™ テクノロジが有効になっているか ? Cookie のサポートが有効になっているか ? テーブルはサポートされているか ?
音声アクセスが必要か ?
現在必要な能力を決定することに加えて、計画可能な範囲で将来必要な能力を査定します。成長の予測とポータルの使われ方の変化は、成長に適応するために考慮する必要がある要素です。
次の質問は、モバイルポータルの成長を予測するのに役立ちます。
ポータルの成長の予測は ? 成長の速さは ?
モバイルポータルを利用できる場所は ? 利用できる国でのモバイル機器の使用傾向は ?
今後 2 年または 3 年の間に業務の目的がどのように変化するか ?
将来のコンテンツに対する計画は ?
モバイルポータルにセキュリティーが必要であるかどうか判断します。必要な場合は、どのようなセキュリティーが適当かを査定する必要があります。
次の質問は、モバイルポータルのセキュリティー要件の確認に役立ちます。
ポータルに対する認証に SSL が必要か ?
ポータルのその他の部分に SSL が必要か ?
ゲートウェイが必要か ?
どのようなセキユリティーポリシーがあるか ?
ポータルにシングルサインオンを提供するために Identity Server ソフトウェアを使用するか ? シングルサインオンの要件は、モバイルアクセスの場合に変わるか ? モバイルポータルのユーザーが自動的にサインオンできる必要があるか ?
ポータルサイトが提供するチャネルは、配備の決定に影響します。定義する要素としては、ユーザーがチャネルやチャネルのコンテンツを使用するためにモバイル機器をどのように使用するかなどがあります。
次の質問は、モバイルポータルのチャネルの要件の査定に役立ちます。
モバイル機器のユーザーに提供するチャネルの数はどのぐらいになるか ?
モバイルユーザーがどのポータルチャネルを定期的に使用すると予測するか ?
新しいコンテンツを提供するか、または既存のコンテンツを再利用するか ?
Mobile Access ソフトウェアの配備の品質目標を確認し設定するには、モバイルポータルが提供する必要がある品質がどのような方法によって可能になるかを検討します。
次の質問は、モバイルポータルの品質目標を設定するのに役立ちます。
すべての既存の Portal Server ソフトウェアのユーザーに、12 ヶ月間などの特定の期間だけポータルへのモバイルアクセスを提供するか ?
実際の稼動環境を複製するテスト環境に対する計画を完了したか ?
単体テスト、機能テスト、機器間テスト、ユーザー受け入れテストなどのさまざまなテスト段階にどの程度の時間が必要か ?
サポート予定の各モバイル機器をテストするのか ?
モバイルポータルの配備時に既存のモバイルポータルサービスを維持する必要があるか ?
パフォーマンスおよび信頼性に対する期待は ? 実際の稼動環境に移行する際に追跡できるベースライン測定値を設定したか ?
さまざまなモバイル機器に対するユーザーインタフェースの基準は ?
テスト環境から実際の稼動環境への移行期間に完全に機能するネットワークインフラストラクチャーを維持できるか ?
さまざまなサービスレイヤーで、冗長ポータルサーバー、ゲートウェイ、およびディレクトリの複製とマスターなどを含むアーキテクチャーを開発することによってポータルシステムのシングルポイントの障害を排除できるか ?
どのような変更管理手順に従うか ?
この節では、組織に最も重要な技術を判断する際に役立つように、Mobile Access の特定の技術の機能について説明します。組織の短期、中期、および長期の計画を念頭において、それらの機能をよく確認します。
適時、費用効果のある方法で配備計画を立てるのを支援するために、このトピックでは次の機能について説明します。
Mobile Access ソフトウェアの動的レンダリングエンジンは、コンテンツ、アプリケーション、およびサービスを正しいマークアップ言語でモバイル機器に動的に配信可能にします。サポートするマークアップ言語は、XHTML、cHTML、HDML、 HTML、および WML です。
動的レンダリングエンジンは、マルチデバイス配備を実現可能にします。
Mobile Access ソフトウェアは、VoiceXML アプリケーションの配備に必要なフレームワークを提供します。VoiceXML アプリケーションは、固定電話またはモバイル電話のいずれかを使用するユーザーに対して配備できます。
電子メールやカレンダなどの音声対応企業アプリケーションは、企業の情報およびコンテンツを再利用する有用な方法です。Sun 以外のベンダーが提供するさまざまな音声エンジンや開発者向けツールを Mobile Access ソフトウェアと使用できます。
Mobile Access ソフトウェアは、Composite Capability and Preference Profiles (CC/PP) 仕様を実装しています。Portal Server ソフトウェアはこの実装を使用して、コンテンツを適合し、それに応じて動作を適合するチャネルへ配信コンテキスト情報を渡すことができます。
この仕様は、コンテキストネゴシエーションを配信するほとんどの Web アクセスメカニズムと互換性がある配信コンテキスト情報を処理する、標準の API セットを開発者に提供します。
多数の Web アクセスメカニズムへコンテンツを配信できる、デバイスに依存しないコードを作成すると、コストを削減でき、独自仕様や互換性がない可能性のある実装の普及を防止するのに役立ちます。
Mobile Access 製品は、Sun Java™ System Portal Server Secure Remote Access ソフトウェアをサポートします。このソフトウェアは、プロキシ、URL リライタ、VPN オンデマンド機能を提供します。Secure Remote Access ゲートウェイは、企業ファイアウォールの前の DMZ 内に設置され、ファイアウォールの背後にあるリソースへの外部からの接続に対してセキュリティーを提供します。
ゲートウェイは、コンテンツおよびアプリケーションにプロキシサーバーと URL 書き直し機能を提供します。URL の難読化もサポートします。