クライアントで GSSAPI メカニズムを使用する場合、ユーザー認証をインストールする必要はありませんが、Kerberos V5 セキュリティーシステムを設定する必要があります。また、暗号化された SSL 接続を使用する場合、「証明書の管理」で説明しているように、サーバー証明書を信頼します。
LDAP クライアントを実行するホストマシンで Kerberos V5 を設定する必要があります。
DSCC を使用してこのタスクを実行することはできません。次の手順に示すように、コマンド行を使用します。
インストール手順に従って Kerberos V5 をインストールします。
Sun Enterprise Authentication Mechanism 1.0.1 クライアントソフトウェアをインストールすることをお勧めします。
Kerberos ソフトウェアを設定します。
Sun Enterprise Authentication Mechanism ソフトウェアを使用して、/etc/krb5 の下のファイルを設定します。この設定は、kdc サーバーを設定し、デフォルトレルムと Kerberos システムが必要とするその他の設定を定義します。
kerberos_v5 に関する行が先頭になるように、必要に応じて /etc/gss/mech ファイルを編集します。
DSCC を使用してこのタスクを実行することはできません。次の手順に示すように、コマンド行を使用します。
GSSAPI メカニズムで有効にするクライアントアプリケーションを使用する前に、ユーザーの主体で Kerberos セキュリティーシステムを起動します。
$ kinit user-principal |
ここで、user-principal は、お使いの SASL アイデンティティーです。たとえば、bjensen@example.com となります。
Kerberos の使用を設定する SASL オプションを指定します。
UNIX 環境では、SASL_PATH 環境変数を SASL ライブラリの正しいパスに設定します。Korn シェルでの設定例は次のようになります。
$ export SASL_PATH=SASL-library |
このパスは、Directory Server が LDAP ツールが起動されたホストと同じホストにインストールされていることを前提としています。
次に示す ldapsearch ツールの例は、-o (小文字の o) オプションを使用して Kerberos の使用を設定する SASL オプションを指定する方法を示しています。
$ ldapsearch -h www.host1.com -p 1389 -o mech=GSSAPI -o authid="bjensen@EXAMPLE.COM" \ -o authzid="bjensen@EXAMPLE.COM" -b "dc=example,dc=com" "(givenname=Richard)" |
authid は、kinit コマンドによって初期化された Kerberos キャッシュに含まれるので、省略することができます。authid を指定する場合、プロキシ操作を対象とする authzid は使用されませんが、authid と authzid にはどちらにも同じ値を指定する必要があります。authid の値は、アイデンティティーマッピングで使用される主体です。レルムを含み、主体はすべて完全な主体にする必要があります。「GSSAPI アイデンティティーマッピング」を参照してください。
Directory Server に対する Kerberos の設定は、複雑な場合があります。最初に Kerberos のマニュアルを参照してください。
さらに詳細について知りたい場合は、次に示す手順例を参考にしてください。ただし、この手順は例であることを忘れないでください。自分の設定と環境に合わせて手順を変更してください。
Solaris OS での Kerberos の設定と使用の詳細については、『System Administration Guide: Security Services』を参照してください。このマニュアルは Solaris マニュアルセットの一部です。マニュアルページを参照することもできます。
この例についての情報と使用する手順は、次のとおりです。
「Directory Server マシン: GSSAPI を有効にするための Directory Server の設定」
この手順例では、1 つ目のマシンを KDC (Key Distribution Center) として操作し、2 つ目のマシンでは Directory Server を実行できるように設定する処理について説明します。この手順の結果として、ユーザーは GSSAPI によって Kerberos 認証を実行できるようになります。
同じマシン上で KDC と Directory Server の両方を実行することもできます。両方を同じマシン上で実行することを選択した場合にも同じ手順を使用できます。この場合、KDC マシンと Directory Server マシンで重複する手順は、一度行うだけで済みます。
この手順では、使用される環境に関する多くの前提条件が発生します。手順例を使用する場合は、環境に合わせて値を変更してください。前提は次のとおりです。
このシステムには、推奨される最新のパッチクラスタのインストールされた最新の Solaris 9 ソフトウェアをインストールします。適切な Solaris パッチがインストールされていない場合、Directory Server に対する Kerberos 認証は失敗する可能性があります。
マニュアルに記述された手順は Solaris 10 とほとんど同じですが、いくつかの違いがあります。設定ファイルの形式が少しだけ異なるため、いくつかのコマンドの出力が同じでない場合もあります。
Kerberos デーモンを実行するマシンには、kdc.example.com という完全修飾ドメイン名を付けます。このマシンは、ネームサービスに DNS を使用するように設定する必要があります。この設定は、Kerberos の要件です。file など、ほかのネームサービスを代わりに使用すると、特定の操作が失敗することもあります。
Directory Server を実行するマシンには、directory.example.com という完全修飾ドメイン名を付けます。このマシンも、ネームサービスに DNS を使用するように設定する必要があります。
Directory Server マシンは、Kerberos によって Directory Server に対する認証を行うためのクライアントシステムとしての役割を果たします。この認証は、Directory Server と Kerberos デーモンの両方と通信できる任意のシステムから実行できます。しかし、この例で必要なコンポーネントはすべて、Directory Server によって提供され、認証はこのシステムから実行されます。
Directory Server のユーザーには、uid= username,ou=People,dc=example,dc=com という形式の DN があります。対応する Kerberos 主体は、username@EXAMPLE.COM です。別のネーミングスキームを使用する場合は、別の GSSAPI アイデンティティーマッピングを使用する必要があります。
/etc/krb5/krb5.conf 設定ファイルは、KDC と通信するために Kerberos クライアントが必要とする情報を提供しています。
Kerberos を使用して Directory Server に対する認証を行う KDC マシン、Directory Server マシン、および任意のクライアントマシン上の /etc/krb5/krb5.conf 設定ファイルを編集します。
"___default_realm___" をすべて "EXAMPLE.COM" に置き換えます。
"___master_kdc___" をすべて "kdc.example.com" に置き換えます。
"___slave_kdcs___" の含まれる行を削除して、Kerberos サーバーが 1 つしか存在しないようにします。
"___domain_mapping___" を ".example.com = EXAMPLE.COM" に置き換えます (.example.com の最初のピリオドに注意)。
更新された /etc/krb5/krb5.conf 設定ファイルは、次の例の内容のようになります。
#pragma ident "@(#)krb5.conf 1.2 99/07/20 SMI" # Copyright (c) 1999, by Sun Microsystems, Inc. # All rights reserved. # # krb5.conf template # In order to complete this configuration file # you will need to replace the __<name\>__ placeholders # with appropriate values for your network. # [libdefaults] default_realm = EXAMPLE.COM [realms] EXAMPLE.COM = { kdc = kdc.example.com admin_server = kdc.example.com } [domain_realm] .example.com = EXAMPLE.COM [logging] default = FILE:/var/krb5/kdc.log kdc = FILE:/var/krb5/kdc.log kdc_rotate = { # How often to rotate kdc.log. Logs will get rotated no more # often than the period, and less often if the KDC is not used # frequently. period = 1d # how many versions of kdc.log to keep around (kdc.log.0, kdc.log.1, ...) versions = 10 } [appdefaults] kinit = { renewable = true forwardable= true } gkadmin = { help_url = http://docs.sun.com:80/ab2/coll.384.1/SEAM/@AB2PageView/1195 } |
/etc/krb5/kadm5.acl 設定ファイル内で、"___default_realm___" を "EXAMPLE.COM" に置き換えます。更新されたファイルは、次の例のようになります。
# # Copyright (c) 1998-2000 by Sun Microsystems, Inc. # All rights reserved. # # pragma ident "@(#)kadm5.acl 1.1 01/03/19 SMI" */admin@EXAMPLE.COM * |
/etc/krb5/kdc.conf ファイルで、"___default_realm___" を "EXAMPLE.COM" に置き換えます。更新されたファイルは、次の例のようになります。
# Copyright 1998-2002 Sun Microsystems, Inc. All rights reserved. # Use is subject to license terms. # #ident "@(#)kdc.conf 1.2 02/02/14 SMI" [kdcdefaults] kdc_ports = 88,750 [realms] EXAMPLE.COM = { profile = /etc/krb5/krb5.conf database_name = /var/krb5/principal admin_keytab = /etc/krb5/kadm5.keytab acl_file = /etc/krb5/kadm5.acl kadmind_port = 749 max_life = 8h 0m 0s max_renewable_life = 7d 0h 0m 0s default_principal_flags = +preauth } |
$ /usr/sbin/kdb5_util create -r EXAMPLE.COM -s Initializing database ’/var/krb5/principal’ for realm ’EXAMPLE.COM’, master key name ’K/M@EXAMPLE.COM’ You will be prompted for the database Master Password. It is important that you NOT FORGET this password. Enter KDC database master key: password Re-enter KDC database master key to verify: password $ |
次のコマンドを使用して、kws/admin@EXAMPLE.COM という主体の管理ユーザーと、管理デーモンによって使用されるサービス鍵を作成します。
$ /usr/sbin/kadmin.local kadmin.local: add_principal kws/admin Enter password for principal "kws/admin@EXAMPLE.COM": secret Re-enter password for principal "kws/admin@EXAMPLE.COM": secret Principal "kws/admin@EXAMPLE.COM" created. kadmin.local: ktadd -k /etc/krb5/kadm5.keytab kadmin/kdc.example.com Entry for principal kadmin/kdc.example.com with kvno 3, encryption type DES-CBC-CRC added to keytab WRFILE:/etc/krb5/kadm5.keytab. kadmin.local: ktadd -k /etc/krb5/kadm5.keytab changepw/kdc.example.com Entry for principal changepw/kdc.example.com with kvno 3, encryption type DES-CBC-CRC added to keytab WRFILE:/etc/krb5/kadm5.keytab. kadmin.local: ktadd -k /etc/krb5/kadm5.keytab kadmin/changepw Entry for principal kadmin/changepw with kvno 3, encryption type DES-CBC-CRC added to keytab WRFILE:/etc/krb5/kadm5.keytab. kadmin.local: quit$ |
次のコマンドを実行して、KDC および管理のデーモンを開始します。
$ /etc/init.d/kdc start $ /etc/init.d/kdc.master start $ |
KDC プロセスはプロセス一覧に /usr/lib/krb5/krb5kdc と表示されます。管理デーモンは、/usr/lib/krb5/kadmind と表示されます。
Solaris 10 OS では、デーモンは SMF (Service Management Facility) フレームワークによって管理されます。Solaris 10 OS でデーモンを起動します。
$ svcadm disable network/security/krb5kdc $ svcadm enable network/security/krb5kdc $ svcadm disable network/security/kadmin $ svcadm enable network/security/kadmin $ |
KDC の Kerberos データベースと Directory Server マシンにホスト主体を追加するには、次の一連のコマンドを使用します。ホスト主体は、klist などの特定の Kerberos ユーティリティーによって使用されます。
$ /usr/sbin/kadmin -p kws/admin Enter Password: secret kadmin: add_principal -randkey host/kdc.example.com Principal "host/kdc.example.com@EXAMPLE.COM" created. kadmin: ktadd host/kdc.example.com Entry for principal host/kdc.example.com with kvno 3, encryption type DES-CBC-CRC added to keytab WRFILE:/etc/krb5/krb5.keytab. kadmin: add_principal -randkey host/directory.example.com Principal "host/directory.example.com@EXAMPLE.COM" created. kadmin: ktadd host/directory.example.com Entry for principal host/directory.example.com with kvno 3, encryption type DES-CBC-CRC added to keytab WRFILE:/etc/krb5/krb5.keytab. kadmin: quit $ |
Directory Server で認証中のユーザーが持っている Kerberos チケットを検証できるようにするには、Directory Server が独自の主体を持っている必要があります。現在、Directory Server は ldap/fqdn@realm の主体を要求するためにハードコードされています。ここで、 fqdn は Directory Server の完全修飾ドメイン名で、realm は Kerberos レルムです。fqdn は、Directory Server のインストール時に設定される完全修飾名と一致させる必要があります。この場合、Directory Server の主体は、ldap/directory.example.com@EXAMPLE.COM となります。
Directory Server の LDAP 主体を作成するには、次の一連のコマンドを使用します。
$ /usr/sbin/kadmin -p kws/admin Enter Password: secret kadmin: add_principal -randkey ldap/directory.example.com Principal "ldap/directory.example.com@EXAMPLE.COM" created. kadmin: quit $ |
Kerberos 認証を実行するには、Kerberos データベース内にユーザー認証が存在している必要があります。この例では、ユーザーのユーザー名を kerberos-test にします。つまり Kerberos 主体が kerberos-test@EXAMPLE.COM になります。
この例の一連のコマンドを使用してユーザーを作成します。
$ /usr/sbin/kadmin -p kws/admin Enter Password: secret kadmin: add_principal kerberos-test Enter password for principal "kerberos-test@EXAMPLE.COM": secret Re-enter password for principal "kerberos-test@EXAMPLE.COM": secret Principal "kerberos-test@EXAMPLE.COM" created. kadmin: quit $ |
Directory Server 6.0 と最新のパッチをインストールします。設定例は次のとおりです。
変数のタイプ |
値の例 |
---|---|
完全修飾コンピュータ名 |
directory.example.com |
インストールディレクトリ |
/opt/SUNWdsee |
インスタンスのパス |
/local/ds |
サーバーユーザー |
unixuser |
サーバーグループ |
unixgroup |
サーバーポート |
389 |
サフィックス |
dc=example,dc=com |
最初に、ファイル /data/ds/shared/bin/gssapi.ldif を作成して、主体に基づいて認証を行う Kerberos ユーザーを識別するために Directory Server によって使用されるマッピングを定義します。次の例と同じ内容のファイルを作成します。
dn: cn=GSSAPI,cn=identity mapping,cn=config changetype: add objectClass: top objectClass: nsContainer cn: GSSAPI dn: cn=default,cn=GSSAPI,cn=identity mapping,cn=config changetype: add objectClass: top objectClass: nsContainer objectClass: dsIdentityMapping objectClass: dsPatternMatching cn: default dsMatching-pattern: \${Principal} dsMatching-regexp: (.*)@EXAMPLE.COM dsMappedDN: uid=\$1,ou=People,dc=example,dc=com dn: cn=SASL,cn=security,cn=config changetype: modify replace: dsSaslPluginsPath dsSaslPluginsPath: /usr/lib/mps/sasl2/libsasl.so |
次に、ldapmodify コマンドを使用して、適切なマッピングで GSSAPI を有効にするために Directory Server を更新します。次の例を参照してください。
$ ldapmodify -D cn=admin,cn=Administrators,cn=config -w - -a -f /data/ds/shared/bin/gssapi.ldif adding new entry cn=GSSAPI,cn=identity mapping,cn=config adding new entry cn=default,cn=GSSAPI,cn=identity mapping,cn=config modifying entry cn=SASL,cn=security,cn=config $ |
これまでに説明したように、GSSAPI によって Kerberos ユーザーを認証するには、Directory Server は KDC 内に独自の主体が必要です。認証が正しく行われるためには、主体情報が Directory Server マシン上の Kerberos 鍵タブ内にある必要があります。この情報は、Directory Server が動作するユーザーアカウントが読み取れるファイル内にある必要があります。
正しいプロパティーを持つ鍵タブファイルを作成するには、次の一連のコマンドを使用します。
$ /usr/sbin/kadmin -p kws/admin Enter Password: secret kadmin: ktadd -k /local/ds/config/ldap.keytab ldap/directory.example.com Entry for principal ldap/directory.example.com with kvno 3, encryption type DES-CBC-CRC added to keytab WRFILE:/local/ds/config/ldap.keytab. kadmin: quit $ |
このカスタム鍵タブのアクセス権と所有権を変更します。鍵タブを Directory Server を実行するために使用されるユーザーアカウントの所有にし、そのユーザーしか読み取れないようにします。
$ chown unixuser:unixgroup /local/ds/config /ldap.keytab $ chmod 600 /local/ds/config/ldap.keytab $ |
Directory Server は、デフォルトではファイル /etc/kerb5/krb5.keytab 内にある標準の Kerberos の鍵タブを使用しようとします。しかし、このファイルを Directory Server ユーザーが読めるようにすると、セキュリティー上のリスクが発生する可能性があります。これが、Directory Server 用のカスタム鍵タブを作成した理由です。
新しいカスタム鍵タブを使用するよう Directory Server を設定します。これは、KRB5_KTNAME 環境変数を設定して行います。
最後に Directory Server を再起動してこれらの変更を有効にします。
$ KRB5_KTNAME=/etc/krb5/ldap.keytab dsadm restart /local/ds |
Kerberos ユーザーを Directory Server に対して認証するには、そのユーザーの Kerberos 主体に対応する、ユーザーのディレクトリエントリが必要です。
これまでの手順で、kerberos-test@EXAMPLE.COM という主体を持つテストユーザーが Kerberos データベースに追加されました。ディレクトリに追加されたアイデンティティーマッピング設定のために、そのユーザーに対応するディレクトリエントリには、uid=kerberos-test,ou=People,dc=example,dc=com という DN が必要です。
ユーザーをディレクトリに追加する前に、次の内容でファイル testuser.ldif を作成する必要があります。
dn: uid=kerberos-test,ou=People,dc=example,dc=com changetype: add objectClass: top objectClass: person objectClass: organizationalPerson objectClass: inetOrgPerson uid: kerberos-test givenName: Kerberos sn: Test cn: Kerberos Test description: An account for testing Kerberos authentication through GSSAPI |
次に、ldapmodify を使用して、このエントリをサーバーに追加します。
$ ldapmodify -D cn=admin,cn=Administrators,cn=config -w - -f testuser.ldif adding new entry uid=kerberos-test,ou=People,dc=example,dc=com $ |
テストユーザーは、Kerberos データベース、Directory Server、および KDC 内に存在します。このため、Directory Server のテストユーザーとして GSSAPI を経由した Kerberos によって認証を行うことができるようになります。
まず、kinit コマンドを使用してユーザーの Kerberos チケットを取得します。次の例を参照してください。
$ kinit kerberos-test Password for kerberos-test@EXAMPLE.COM: secret $ |
次に、klist コマンドを使用して、このチケットに関する情報を表示します。
$ klist Ticket cache: /tmp/krb5cc_0 Default principal: kerberos-test@EXAMPLE.COM Valid starting Expires Service principal Sat Jul 24 00:24:15 2004 Sat Jul 24 08:24:15 2004 krbtgt/EXAMPLE.COM@EXAMPLE.COM renew until Sat Jul 31 00:24:15 2004 $ |
最後の手順は GSSAPI を使用した Directory Server に対する認証です。Directory Server の提供する ldapsearch ユーティリティーは、GSSAPI、DIGEST-MD5、および EXTERNAL メカニズムを含む SASL 認証をサポートしています。しかし、GSSAPI を使用してバインドするために、SASL ライブラリへのパスをクライアントに設定する必要があります。SASL_PATH 環境変数を lib/sasl ディレクトリに設定してパスを提供します。
$ SASL_PATH=SASL-library $ export SASL_PATH $ |
ldapsearch を使用して Directory Server に対して実際に Kerberos ベースの認証を実行するには、-o mech=GSSAPI 引数と -o authzid=principal 引数を含める必要があります。
また、ここで -h directory.example.com と表示している完全修飾ホスト名も指定する必要があります。これは、サーバーに対する cn=config 上の nsslapd-localhost 属性の値と一致する必要があります。GSSAPI 認証プロセスでは、クライアントから提供されたホスト名がサーバーから提供されたホスト名と一致する 必要があるため、ここでは -h オプションを使用する必要があります。
次の例では、これまでに作成した Kerberos テストユーザーアカウントとして認証を行なって、dc=example,dc=com エントリを取得しています。
$ ldapsearch -h directory.example.com -p 389 -o mech=GSSAPI \ -o authzid="kerberos-test@EXAMPLE.COM" -b "dc=example,dc=com" -s base "(objectClass=*)" version: 1 dn: dc=example,dc=com dc: example objectClass: top objectClass: domain $ |
正常に認証されたかどうか Directory Server のアクセスログを確認します。
$ tail -12 /local/ds/logs/access [24/Jul/2004:00:30:47 -0500] conn=0 op=-1 msgId=-1 - fd=23 slot=23 LDAP connection from 1.1.1.8 to 1.1.1.8 [24/Jul/2004:00:30:47 -0500] conn=0 op=0 msgId=1 - BIND dn="" method=sasl version=3 mech=GSSAPI [24/Jul/2004:00:30:47 -0500] conn=0 op=0 msgId=1 - RESULT err=14 tag=97 nentries=0 etime=0, SASL bind in progress [24/Jul/2004:00:30:47 -0500] conn=0 op=1 msgId=2 - BIND dn="" method=sasl version=3 mech=GSSAPI [24/Jul/2004:00:30:47 -0500] conn=0 op=1 msgId=2 - RESULT err=14 tag=97 nentries=0 etime=0, SASL bind in progress [24/Jul/2004:00:30:47 -0500] conn=0 op=2 msgId=3 - BIND dn="" method=sasl version=3 mech=GSSAPI [24/Jul/2004:00:30:47 -0500] conn=0 op=2 msgId=3 - RESULT err=0 tag=97 nentries=0 etime=0 dn="uid=kerberos-test,ou=people,dc=example,dc=com" [24/Jul/2004:00:30:47 -0500] conn=0 op=3 msgId=4 - SRCH base="dc=example,dc=com" scope=0 filter="(objectClass=*)" attrs=ALL [24/Jul/2004:00:30:47 -0500] conn=0 op=3 msgId=4 - RESULT err=0 tag=101 nentries=1 etime=0 [24/Jul/2004:00:30:47 -0500] conn=0 op=4 msgId=5 - UNBIND [24/Jul/2004:00:30:47 -0500] conn=0 op=4 msgId=-1 - closing - U1 [24/Jul/2004:00:30:48 -0500] conn=0 op=-1 msgId=-1 - closed. $ |
この例は、バインドが 3 つの手順によるプロセスであることを示しています。最初の 2 つの手順で LDAP 結果 14 (SASL バインド実行中) を返し、3 番目の手順はバインドが成功したことを示します。method=sasl タグと mech=GSSAPI タグは、このバインドに GSSAPI SASL メカニズムが使用されたことを示しています。成功したバインド応答の最後の dn="uid=kerberos-test,ou=people,dc=example,dc=com" は、このバインドが適切なユーザーとして実行されたことを示しています。