この章では、すでに利用しているフォントの移行方法について説明します。
JLE SunView システムで使用していた evfont フォントは、次の変換作業を順番に行うことにより、日本語 OpenWindows 3.6 上で使用可能になります。
まず、evftobdf(1) コマンドを使用して、いったん evfont を Adobe/MIT BDF 2.1 フォントファイル (拡張子 .bdf) に変換します。
sun% evftobdf jpn.gotm.12 jpn.gotm.12->jpn.gotm.12.j201.bdf jpn.gotm.12->jpn.gotm.12.j208.bdf |
1 つの evfont フォントファイルから 2 つの Adobe/MIT BDF 2.1 フォントファイルが出力されます。.j201.bdf の拡張子の付いたファイルは、 JIS X 0201 の文字集合のフォントを表し、.j208.bdf の拡張子の付いたファイルは、 JIS X 0208 の文字集合のフォントを表します。
次に、OpenWindows 標準コマンドの bdftopcf(1) を使用して、Adobe/MIT BDF 2.1 フォントファイルをサーバーがアクセス可能な PCF フォントファイルへ変換します。
sun% /usr/openwin/bin/bdftopcf jpn.gotm.12.j208.bdf -o jpn.gotm.12.j208.pcf sun% /usr/openwin/bin/bdftopcf jpn.gotm.12.j201.bdf -o jpn.gotm.12.j201.pcf |
フォントファイルの変換が終了したあと、X11 ウィンドウシステムからアクセスするために、変換したフォントに対する XLFD フォント名のエイリアスを追加します。
フォントエイリアスの追加は、mkfontdir(1) コマンドを実行することにより、自動的に行うことができますが、そのためには前述の .bdf ファイルの FONT フィールドの XLFD の記述が適切である必要があります。XLFD 記述規約や設定値の詳細は、『X プロトコルリファレンス・マニュアル 0 巻』を参照してください。
sun% mkfontdir fontdir1 |
1. fontdir には、フォントが置かれているディレクトリを指定します。
なお、フォントディレクトリに font.alias ファイルを置くことにより、フォントのエイリアスとフォント名パターンの定義が可能となります。
gotm-12 -sun-gothic-medium-r-normal--12-120-75-75-c-120-japanese-0 |
変換したフォントを、さらに日本語フォントセットとして DeskSet などの日本語 OpenWindows のアプリケーションから使用するには、日本語 OpenWindows のフォントセット定義ファイルに、エイリアスとして追加した XLFD フォント名の登録が必要です。フォントセット定義方法の詳細は、『XView Developer's Notes』を参照してください。
ここでは、例として、/usr/openwin/lib/locale/ja/OW_FONT_SETS/OpenWindows.fs に以下の行を追加します。なお、この作業終了後、OpenWindows を立ち上げ直す必要があります。
evfont から変換したフォントファイルは、上記の例の場合、次の方法で確認できます。
sun% xfd -fn gotm-12 |
Solaris 2.5.1 以前の環境ですでにユーザー定義文字を登録している場合は、次の方法でその文字を移行し、既存のユーザー定義文字を再利用できます。
ここでは、ユーザー定義文字を含む既存のフォントファイルから $HOME/.Xlocale/$LANG/fonts/UDC ディレクトリにユーザー定義文字を抜き出し、Solaris 7 でサポートする環境へ移行する方法について説明します。
なお、環境変数 DTUDCFONTPATH が設定されている場合は、そのディレクトリを利用してください。
sdtudc_extract を使用して、登録済みのユーザー定義文字を別フォントファイルに抜き出します。
sdtudc_extract は /usr/dt/config/locale/sdtudc_map にある変換テーブルを参照し、ユーザー定義文字のコードポイントを Solaris 7 のユーザー定義文字の領域内に移動しながら、別フォントファイルに抜き出します。
sdtudc_map の形式は「変換前の領域」と「変換後の領域の先頭」で表現され、デフォルトでは次のように記述されます。
a9a1,a9ff f5a1 aaa1,aaff f6a1 aba1,abff f7a1 aca1,acff f8a1 ada1,adff f9a1 aea1,aeff faa1 afa1,afff fba1 |
上記の 1 行目では、指定したフォントファイル中の 0xa9a1 から 0xa9ff に登録されているユーザー定義文字を 0xf5a1 から始まるコードポイントに順番に割り付けながら抜き出すことを表しています。
sun% sdtudc_extract gotm14.pcf > UDC14.bdf |
14 ドットのビットマップフォントの場合は、作成するフォントファイル名を UDC14.pcf にしてください。
抜き出したフォントファイルをユーザー定義文字の保存ディレクトリに移動してから、「Solaris 外字ツール」を起動し、新たにユーザー定義文字を登録します。
sun% bdftopcf -o UDC14.pcf UDC14.bdf sun% mkdir -p $HOME/.Xlocale/$LANG/fonts/UDC/Bitmaps sun% mv UDC14.pcf $HOME/.Xlocale/$LANG/fonts/UDC/Bitmaps sun% /usr/dt/bin/sdtudctool |
また、ユーザー定義文字を使用して作成したテキストファイルがある場合は、次のように sdtudc_convert を使ってユーザー定義文字のコードポイントを移動します。
sun% sdtudc_convert <テキストファイル> > <新しいテキストファイル> |
sdtudc_convert のソースファイルは、ディレクトリ$OPENWINHOME/share/src/locale/ja/fonts/sdtudc_convert.c にあります。
詳細は、sdtudc_convert(1) のマニュアルページを参照してください。
sdtudc_extract_ps を使って、登録済みのユーザー定義文字を別フォントファイルに抜き出します。
たとえば、フォントマネージャを使って作成した font.ps というフォントファイルからユーザー定義文字を移行するには、次のコマンドを実行します。
sun% sdtudc_extract_ps font.ps UDC1.pfa UDC2.pfa UDC3.pfa : UDC10.pfa |
抜き出したフォントファイルをユーザー定義文字の保存ディレクトリに移動してから、sdtudctool を起動し、新たなユーザー定義文字を登録します。
sun% mkdir -p $HOME/.Xlocale/$LANG/fonts/UDC/Type1 sun% mv UDC*.pfa $HOME/.Xlocale/$LANG/fonts/UDC/Type1 sun% /usr/dt/bin/sdtudctool |
フォントエディタで作成したビットマップフォントファイルとフォントマネージャで作成したフォントファイルからユーザー定義文字を抜き出します。
sun% sdtudc_extract gotm14.pcf > UDC14.bdf sun% sdtudc_extract_ps font.ps UDC1.pfa UDC2.pfa UDC3.pfa : UDC10.pfa |
「Solaris 外字ツール」を起動したときに参照するディレクトリに移動します。
フォントエディタで作成したフォントファイルを優先する場合
sun% mkdir -p $HOME/.Xlocale/$LANG/fonts/UDC/Bitmaps sun% mv UDC14.bdf $HOME/.Xlocale/$LANG/fonts/UDC/Bitmaps |
フォントマネージャで作成したフォントを優先する場合
sun% mkdir -p $HOME/.Xlocale/$LANG/fonts/UDC/Type1 sun% mv UDC*.pfa $HOME/.Xlocale/$LANG/fonts/UDC/Type1 |
「Solaris 外字ツール」を起動します。
参照表を開き、もう一方のフォントファイルを読み込みます。
sun% /usr/dt/bin/sdtudctool |
参照表から、必要なユーザー定義文字を一覧表にドラッグ&ドロップします。
「ファイル」->「保存」を選択し、ユーザー定義文字フォントファイルを作成します。
「ファイル」->「ユーザー定義文字」を選択し、ユーザー定義文字を読み込んでから新たに登録を開始します。