Solaris のインストール (上級編)

プロファイルの作成

プロファイルとは

プロファイルは、どのように Solaris ソフトウェアをシステムにインストールするか (たとえば、どのソフトウェアグループをインストールするか) を定義するテキストファイルです。すべてのルールはプロファイルを指定して、ルールが一致したときにシステムがどのようにインストールされるかを定義します。通常は、ルールごとに異なるプロファイルを作成します。しかし、複数のルールで同じプロファイルを使用することも可能です。

プロファイルは、1 つまたは複数のプロファイルキーワードとそれらの値から構成されます。各プロファイルキーワードは、Solaris インストールプログラムがどのようにしてシステムに Solaris ソフトウェアをインストールするかを制御するコマンドです。たとえば、次のようなプロファイルキーワードとプロファイル値があります。

system_type server

これは Solaris インストールプログラムに、システムをサーバーとしてインストールするよう指示します。


注 -

「プロファイルフロッピーディスクの作成」または 「プロファイルサーバーの作成」の手順を使用して JumpStart ディレクトリを作成した場合、プロファイルのサンプルが JumpStart ディレクトリにあります。


プロファイルの作成に関する注意事項

プロファイルの条件は、次のとおりです。

プロファイルでは、次のことが許可されています。

プロファイルを作成する方法

  1. ファイル (プロファイル) を開いて、内容がわかるようなファイル名をつけます。

    新しいファイルを作成するか、作成済みの JumpStart ディレクトリにあるサンプルプロファイルの 1 つを変更できます。

    プロファイル名は、システムに Solaris ソフトウェアをインストールする方法が推測できるようなものにしてください (たとえば、basic_installeng_profileuser_profile など)。

  2. プロファイルキーワードとプロファイル値をプロファイルに追加します。

    プロファイルを編集するときは、次の点に留意してください。

  3. プロファイルを、プロファイルサーバーまたはプロファイルフロッピーディスクの JumpStart ディレクトリに保存します。

    プロファイルの所有者は root で、アクセス権は 644 です。

  4. (省略可能) プロファイルをテストします。

    詳細は、「プロファイルのテスト」を参照してください。

次の手順

これでプロファイルを作成するための手順が終了しました。すべてのプロファイルを作成したら、rules ファイルの妥当性を検査する」を参照してください。

プロファイルの例

次のプロファイル例は、異なるプロファイルキーワードとプロファイル値を使用して、システムへ Solaris ソフトウェアをインストールする方法について示しています。プロファイルキーワードとプロファイル値のリストについては、「プロファイルキーワードとプロファイル値の説明」を参照してください。

リモートファイルシステムのマウントとパッケージの追加と削除

# profile keywords        profile values
# -----------------      -----------------
 [このプロファイルキーワードは、各プロファイルに必要です。]  install_type            initial_install
 [このプロファイルキーワードは、スタンドアロンシステムとしてインストールすることを定義します。]  system_type             standalone
 
 [ファイルシステムスライスを default 値でインストールすることを指定します。ただし、スワップサイズを 60M バイトに設定し、任意のディスク (any 値) にインストールします。標準のマニュアルページと OpenWindows のマニュアルページは、ネットワーク上のファイルサーバー s_ref からマウントされます。]  partitioning            default
	filesys                 any 60 swap   # specify size of /swap
	filesys                 s_ref:/usr/share/man - /usr/share/man ro
	filesys                 s_ref:/usr/openwin/share/man - 
                              /usr/openwin/share/man ro,quota
 [開発者ソフトウェアグループ (SUNWCprog) をシステムにインストールします。]  cluster                 SUNWCprog
 [マニュアルページがリモートからマウントされるため、これらのパッケージについては、システム上にインストールしないように選択します。ただし、OPEN LOOK と X Window System デモプログラムおよびイメージを含むパッケージは、システムにインストールするように選択します。]  package                 SUNWman delete
	package                 SUNWolman delete
	package                 SUNWxwman delete
 package                 SUNWoldem add
 package                 SUNWxwdem add
	package                 SUNWoldim add
	package                 SUNWxwdim add

ファイルシステムをインストールする場所を指定する

# profile keywords        profile values
# ----------------        -------------------
  install_type	            initial_install
  system_type              standalone
 
 [ファイルシステムスライスは、filesys キーワード (explicit 値) により指定します。ルートのサイズは、選択したソフトウェア (auto 値) に基づいて決定され、c0t0d0s0 にインストールされます。swap のサイズは 32M バイトに設定され、c0t3d0s1 にインストールされます。usr のサイズは、選択したソフトウェアにより決定され、インストール場所はインストールプログラムによって決定されます (any 値)。] 	partitioning             explicit
	 filesys                  c0t0d0s0 auto /
  filesys                  c0t3d0s1 32 swap
  filesys                  any auto usr
 [全体ディストリビューションソフトウェアグループ (SUNWCall) は、システム上にインストールされます。]  cluster                  SUNWCall

x86: fdisk キーワードを使用する

# profile keywords      profile values
# ----------------      -------------------
	 install_type          initial_install
	 system_type           standalone
 
 [タイプ DOSOS16 (16 進数の 04) のすべての fdisk パーティションが c0t0d0 ディスクから削除されます。] 	fdisk                   c0t0d0 0x04 delete
 [Solaris fdisk パーティションは、c0t0d0 ディスク上の最大連続空き領域に作成されます。] 	fdisk	                  c0t0d0 solaris maxfree
 [全体ディストリビューションソフトウェアグループ (SUNWCall) をシステム上にインストールします。] 	cluster                 SUNWCall
 [システムアカウンティングユーティリティ (SUNWCacc) をシステム上にインストールしないように選択します。] 	cluster                 SUNWCacc delete

アップグレードのためにディスク領域を割り当てし直す

# profile keywords         profile values
# ----------------         -------------------
 [このプロファイルは、ディスク領域を割り当てし直すことによってシステムをアップグレードします。この例では、システム上のファイルシステムの一部はアップグレード用に十分な空き領域を持っていないため、割り当てし直す必要があります。] 	install_type             upgrade
 
 [c0t3d0s2 上のルートファイルシステムをアップグレードします。] 	root_device              c0t3d0s2
 
 [ディスク領域を割り当てし直すときに、データをバックアップするのに timber という名前のリモートシステムを使用します。]  backup_media             remote_filesystem timber:/export/scratch
 [アップグレード時にディスク領域を割り当てし直す際に、layout_constraint キーワードは自動配置により、スライス 2 と 5 を変更できる (スライスを他の位置に移動し、サイズを変更できる) ことを指定し、スライス 5 を移動できる (スライスを他の位置に移動するが、サイズは変更しない) ことを指定します。]  layout_constraint        c0t3d0s2 changeable 100
  layout_constraint        c0t3d0s4 changeable
  layout_constraint        c0t3d0s5 movable
 
 [バイナリ互換パッケージ (SUNWbcp) はアップグレード後、システムにインストールされません。] 	package                  SUNWbcp delete
 [このコードは、OPEN LOOK と X Window System のマニュアルページ、および汎用マルチプレクサソフトウェアについて、システムにインストールされていなければインストールするように選択します (すでにシステム上にあるパッケージは、すべて自動的にアップグレードされます)。] 	package                  SUNWolman add
 package                  SUNWxwman add
	cluster                  SUNWCumux add
 
 [ドイツ語用地域対応化パッケージをシステムにインストールすることを選択します。] 	locale                   de

プロファイルキーワードとプロファイル値の説明

次の節では、プロファイルで使用できるプロファイルキーワードとプロファイル値を説明します。プロファイルキーワードとプロファイル値には、大文字と小文字の区別があります。

表 8-3 を使用すれば、どのキーワードがユーザーのインストールに適しているかを簡単に決定できます。プロファイルキーワードの説明で特に注記されていない限り、プロファイルキーワードは初期インストールオプションだけで使用できます。

表 8-3 プロファイルキーワード
 

インストール方法 

 

 

プロファイルキーワード 

スタンドアロンシステム (ネットワークに接続されていない) 

スタンドアロンシステム (ネットワークに接続されている) またはサーバー 

OS サーバー 

アップグレード 

ディスク領域を割り当てし直すアップグレード 

backup_media

    

boot_device

  

client_arch

  

  

client_root

  

  

client_swap

  

  

cluster (ソフトウェアグループを追加する場合)

  

cluster (クラスタを追加または削除する場合)

dontuse

  

fdisk

  

filesys (リモートファイルシステムをマウントする場合)

 

  

filesys (ローカルファイルシステムを作成する場合)

  

install_type

isa_bits

layout_constraint

    

locale

num_clients

  

  

package

partitioning

 

 

root_device

system_type

 

 

usedisk

  

backup_media プロファイルキーワード

backup_media type   path

注 -

backup_media は、ディスク領域を割り当てし直すことが必要なアップグレードオプションだけで使用しなければなりません。


backup_media は、ディスク容量不足のためにアップグレード中にディスク領域を割り当てし直す必要があるファイルシステムのバックアップをとるために使用する媒体を定義します。バックアップ用に複数のテープまたはフロッピーディスクが必要な場合は、アップグレード中にテープまたはフロッピーディスクの挿入を求めるプロンプトが表示されます。

有効な type

有効な path

説明 

local_tape

/dev/rmt/n

アップグレードされるシステムのローカルテープドライブを指定する。path は、テープドライブのキャラクタ型 (raw) デバイスのパスでなければならない。n はテープドライブの番号

local_diskette

/dev/rdisketten

アップグレードされるシステムのローカルフロッピーディスクドライブを指定する。path は、フロッピーディスクドライブのキャラクタ型 (raw) デバイスのパスでなければならない。n はフロッピーディスクドライブの番号


注 -

バックアップで使用するフロッピーディスクは、フォーマットされていなければなりません。


local_filesystem

/dev/dsk/cwtxdysz

/file_system

アップグレードされるシステムのローカルファイルシステムを指定する。アップグレードで変更されるローカルファイルシステムは指定できない。path は、ディスクスライスのブロック型デバイスのパス (tx は必須ではない) か、/etc/vfstab ファイルでマウントされたファイルシステムへの絶対パスのいずれかである

remote_filesystem

host:/file_system

リモートシステムの NFS ファイルシステムを指定する。path は、リモートシステム (host) の名前または IP アドレスと、NFS ファイルシステム (file_system) への絶対パスを含まなければならない。NFS ファイルシステムは、読み取り権と書き込み権を持っている必要がある

remote_systemuser@host:/directory

リモートシェル (rsh) で到達できるリモートシステム上のディレクトリを指定する。アップグレードされるシステムは、リモートシステムの .rhosts ファイル経由で、リモートシステムにアクセスできなければならない。path は、リモートシステム (host) の名前と、そのディレクトリ (directory) への絶対パスを含まなければならない。ユーザーログイン (user) を指定しないと、スーパーユーザーとしてログインされる

例:

backup_media local_tape /dev/rmt/0

backup_media local_diskette /dev/rdiskette1

backup_media local_filesystem /dev/dsk/c0t3d0s4

backup_media local_filesystem /export

backup_media remote_filesystem system1:/export/temp

backup_media remote_system user1@system1:/export/temp

boot_device プロファイルキーワード

boot_device  device   eeprom

boot_device は、インストールプログラムがルートファイルシステムをインストールするデバイスを (つまり、システムのブートデバイスを) 指定します。システムのブートデバイスを現在設定しているものから、システムが新しいブートデバイスから自動的にブートするように変更する場合は、eeprom 値を使用してシステムの EEPROM を変更することも可能です (SPARC 搭載システムのみ)。

boot_device キーワードをプロファイルに指定しない場合、インストール中にデフォルトで次の boot_device キーワードが指定されます。boot_device any update

device - ブートデバイスにするデバイスを選択します。

eeprom - システムの EEPROM を、指定したブートデバイスに変更する場合に選択します (SPARC 搭載システムのみ)。x86 搭載システムの場合は、常に preserve 値を指定しなければなりません。

例:

boot_device c0t0d0s2 update

注 -

boot_device は、ルートファイルシステムを指定する filesys キーワードと (指定した場合は) root_device キーワードに一致しなければなりません。


client_arch プロファイルキーワード

client_arch karch_value[karch_value...]

client_arch は、OS サーバーが使用するものとは異なるプラットフォームグループをサポートすることを定義します。client_arch を指定しない場合、OS サーバーを使用するどのディスクレスクライアントも AutoClient システムも、サーバーと同じプラットフォームグループでなくてはなりません。OS サーバーがサポートしてほしいプラットフォームグループごとに指定する必要があります。

karch_value の有効な値は、sun4dsun4csun4msun4ui86pc です。(各システムのプラットフォーム名については、付録 C 「プラットフォーム名とグループ」 を参照してください。)


注 -

client_arch は、system_typeserver を指定したときだけ使用できます。


client_root プロファイルキーワード

client_root root_size

client_root は、各クライアント用に割り当てるルート領域の大きさ (root_size、M バイト単位) を定義します。サーバーのプロファイルに client_root の指定がない場合は、1 クライアントあたり 15M バイトのルート領域が自動的に割り当てられます。このクライアント用のルート領域の大きさは、num_clients キーワードを組み合わせて、/export/root ファイルシステム用に確保する領域の大きさを決定するときに使用されます。


注 -

client_root は、system_typeserver を指定したときだけ使用できます。


client_swap プロファイルキーワード

client_swap swap_size

client_swap は、各ディスクレスクライアントに割り当てるスワップ領域の大きさ (swap_size、M バイト単位) を定義します。client_swap を指定しない場合、32M バイトのスワップ領域が割り当てられます。

例:

client_swap 64

この例は、各ディスクレスクライアントが 64M バイトのスワップ領域を持つことを定義します。


注 -

client_swap は、system_typeserver を指定したときだけ使用できます。


cluster プロファイルキーワード (ソフトウェアグループの追加)

cluster group_name

cluster は、どのソフトウェアグループをシステムに追加するかを指定します。ソフトウェアグループのクラスタ名は次のとおりです。

ソフトウェアグループ  

group_name

コアシステムサポート 

SUNWCreq

エンドユーザーシステムサポート 

SUNWCuser

開発者システムサポート 

SUNWCprog

全体ディストリビューション 

SUNWCall

全体ディストリビューションと OEM サポート (SPARC 搭載システムのみ) 

SUNWCXall

1 つのプロファイルに 1 つのソフトウェアグループだけ指定できます。ソフトウェアグループは、他の cluster エントリと package エントリの前に指定しなければなりません。cluster でソフトウェアグループを指定しない場合、デフォルトによりエンドユーザーソフトウェアグループ (SUNWCuser) がシステムにインストールされます。

cluster プロファイルキーワード (クラスタの追加または削除)

cluster cluster_name [add | delete]

注 -

cluster (クラスタの追加または削除) は、初期インストールオプションとアップグレードオプションの両方で使用できます。


cluster は、システムにインストールされるソフトウェアグループにクラスタを追加または削除するかを指定します。add はそのクラスタを追加すること、delete は削除することを示します。add または delete を指定しないと、デフォルトにより add が設定されます。

cluster_nameSUNWCname 形式で指定します。インストールが終了したシステムで Admintool を起動し、「ブラウズ」メニューから「ソフトウェア」を選択すると、クラスタの詳細情報とクラスタ名を表示できます。

アップグレードの場合

dontuse プロファイルキーワード

dontuse disk_name [disk_name...]

dontuse は、partitioning default を指定しているときに、Solaris インストールプログラムが使用してはならない 1 つ以上のディスクを指定します (デフォルトでは、システムのすべての使用可能なディスクを使用します)。disk_name は、cxtydz または cydz の形式 (たとえば、c0t0d0) で指定する必要があります。


注 -

1 つのプロファイルで、dontuse キーワードと usedisk キーワードを同時に指定することはできません。


fdisk プロファイルキーワード

fdisk disk_name type  size

fdisk は、x86 搭載システムで fdisk パーティションを設定する方法を定義します。fdisk は 2 回以上指定できます。次に、x86 搭載システムでの fdisk パーティションのデフォルトの動作について説明します。

disk_name - fdisk パーティションを作成または削除する場所を指定します。

type - 指定したディスク上で作成または削除する fdisk パーティションのタイプを指定します。

いくつかの fdisk タイプの整数と 16 進数での表し方を次の表に示します。

fdisk タイプ

DDD

HH

DOSOS12 

1

01

PCIXOS 

2

02

DOSOS16 

4

04

EXTDOS 

5

05

DOSHUGE 

6

06

DOSDATA 

86

56

OTHEROS 

98

62

UNIXOS 

99

63

size - 次の内から 1 つを指定します。

filesys プロファイルキーワード (リモートファイルシステムのマウント)

filesys server:path  server_address  mount_pt_name [mount_options]

この場合の filesys の例は、インストールしたシステムが起動するときに、自動的にリモートファイルシステムをマウントするよう設定します。2 回以上 filesys を指定できます。

例 :

filesys sherlock:/export/home/user2 - /home

server: - リモートファイルシステムが存在するサーバー名 (後ろにコロンをつけます)

path - リモートファイルシステムのマウントポイント名。たとえば /usr または /export/home

server_address - server:path で指定するサーバーの IP アドレス。ネットワーク上で実行されているネームサービスがない場合、この値を使用して、サーバーのホスト名とIP アドレスを登録している /etc/hosts ファイルを生成できます。サーバーの IP アドレスを指定したくない場合 (ネットワーク上で実行中のネームサービスがある場合) は、マイナス記号 (-) を指定する必要があります。

mount_pt_name - リモートファイルシステムをマウントするマウントポイント名

mount_options - 指定した mount_pt_name/etc/vfstab エントリに追加する 1 つ以上のマウントオプション (mount(1M) コマンドの -o オプション)


注 -

複数のマウントオプションを指定する場合は、マウントオプションは、スペースではなくコンマで区切ってください。例: ro,quota


filesys プロファイルキーワード (ローカルファイルシステムの作成)

filesys slice  size  [file_system]  [optional_parameters]

この場合の filesys は、インストール中にローカルファイルシステムを作成します。filesys は 2 回以上指定できます。

slice - 次のいずれか 1 つを指定します。

size - 次のいずれか 1 つを指定します。

file_system - sliceany または cwtxdysz を指定しているときに、このオプション値を使用できます。この値を指定しないと、デフォルトによって unnamed が設定されますが、optional_parameters 値を使用できません。次のいずれか 1 つを指定してください。

optional_parameters - 次のいずれか 1 つを指定します。

install_type プロファイルキーワード

install_type initial_install | upgrade

install_type は、システムで初期インストールオプションまたはアップグレードオプションを実行するかどうかを定義します。


注 -

install_type は、各プロファイル内で最初のプロファイルキーワードでなければなりません。



注 -

一部のプロファイルキーワードは、initial_install オプションだけで使用できます。これは、upgrade オプションでも同様です。


isa_bits プロファイルキーワード

isa_bits 64 | 32

isa_bits は 64 ビットまたは 32 ビット Solaris パッケージのどちらをインストールするか指定します。有効な値は 64 と 32 です。このキーワードを設定しないと、インストールプログラムはデフォルトのパッケージをインストールします。UltraSPARC システムのデフォルトは、64 ビットパッケージです。その他のシステムのデフォルトは、すべて 32 ビットパッケージです。


注 -

isa_bits は新しいキーワードです。これを使用する場合は、Solaris CD の Solaris_2.7/Misc/jumpstart_sample ディレクトリにある最新の check スクリプトも使用しなければなりません。


layout_constraint プロファイルキーワード

layout_constraint slice constraint [minimum_size]

注 -

layout_constraint は、ディスク容量の再割り当てが必要なアップグレードオプションだけで使用できます。


layout_constraint は、ファイルシステムがディスク容量不足のためにアップグレード中にディスク容量を再割り当てする必要がある場合に、制約付き自動配置がファイルシステムで行われることを示します。

layout_constraint キーワードを指定しないと、次のようになります。

1 つ以上の layout_constraint キーワードを指定すると、次のようになります。

アップグレード用により多くの容量を必要とするファイルシステムの制約は変更できませんが (changeable とマークされなければならない)、このようなファイルシステムに layout_constraint を使用すれば、その minimum_size 値を変更できます。


注 -

自動配置がディスク容量の再割り当てを行う際には、より多くのファイルシステム、特にアップグレード用により多くの容量を必要とするファイルシステムと同じディスク上にあるファイルシステムを、changeable または movable であると選択します。


slice - これは、制約を指定するファイルシステムのディスクスライスです。cwtxdysz または cxdysz の形式で指定しなければなりません。

constraint - 指定したファイルシステムに対して、次のいずれか 1 つの制約を選択します。

例:

layout_constraint c0t3d0s1 changeable 200

layout_constraint c0d0s4 movable

layout_constraint c0t3d1s3 availiable

layout_constraint c0t2d0s1 collapse

locale locale_name プロファイルキーワード

locale locale_name

注 -

locale は、初期インストールとアップグレードオプションの両方で使用できます。


locale は、指定した locale_name に対して、どのロケールパッケージをインストール (アップグレードの場合は追加) するかを指定します。locale_name 値は、$LANG 環境変数で使用されるのと同じです。有効なロケールの値については、付録 E 「言語とロケールの値」 を参照してください。


注 -

デフォルトのロケールを事前構成している場合は、自動的にインストールされます。デフォルトでは、English 言語パッケージがインストールされます。



注 -

locale キーワードは、システムに追加するロケールごとに指定できます。


num_clients プロファイルキーワード

num_clients client_num

サーバーがインストールされているときには、各ディスクレスクライアントのルート (/) と swap ファイルシステムにディスク空間が割り当てられます。num_clients は、サーバーがサポートするディスクレスクライアント数 (client_num) を定義します。num_clients を指定しないと、5 つのディスクレスクライアントが割り当てられます。


注 -

num_clients は、system_typeserver として指定されているときだけ使用できます。


package プロファイルキーワード

package package_name [add | delete]

注 -

package は、初期インストールとアップグレードオプションの両方で使用できます。


package は、システムにインストールするソフトウェアグループにパッケージを追加または削除するかを指定します。add はそのパッケージを追加、delete は削除します。adddelete のどちらも指定しなかった場合は、デフォルトにより add が設定されます。

package_nameSUNWname の形式で指定する必要があります。インストールが終了したシステムで pkginfo -l コマンドを使用するか、Admintool を起動して「ブラウズ」メニューから「ソフトウェア」を選択して、パッケージの詳細情報とパッケージ名を表示できます。

アップグレードの場合

partitioning プロファイルキーワード

partitioning default | existing | explicit

partitioning は、インストール時にファイルシステム用にディスクをスライスに分割する方法を定義します。partitioning を指定しないと、default が設定されます。

default - Solaris インストールプログラムはディスクを選択して、指定したソフトウェアをインストールするファイルシステムを作成します。ただし、filesys キーワードで指定したファイルシステムを除きます。rootdisk が最初に選択され、指定したソフトウェアが rootdisk に収まらない場合は、さらに別のディスクが使用されます。

existing - Solaris インストールプログラムは、システムのディスク上にある既存のファイルシステムを使用します。//usr/usr/openwin/opt/var を除く、すべてのファイルシステムが保存されます。インストールプログラムは、ファイルシステムのスーパーブロックにある最後のマウントポイントフィールドを使用して、スライスがどのファイルシステムのマウントポイントを表しているかを判断します。


注 -

filesys プロファイルキーワードと partitioning existing を組み合わせる場合、sizeexisting である必要があります。


explicit - Solaris インストールプログラムはディスクを使用して、filesys キーワードで指定されるファイルシステムを作成します。filesys キーワードでルート (/) ファイルシステムだけを指定した場合、すべての Solaris ソフトウェアがルートファイルシステムにインストールされます。


注 -

explicit プロファイル値を使用するときには、filesys プロファイルキーワードを使用して、使用するディスクと作成するファイルシステムを指定してください。


root_device プロファイルキーワード

root_device slice

注 -

root_device は、初期インストールとアップグレードオプションの両方で使用できます。


root_device は、システムのルートディスクを指定します。詳細は、「システムのルートディスクを決定する方法」を参照してください。

アップグレードの場合

root_device は、アップグレードされるルートファイルシステム (および、その /etc/vfstab ファイルでマウントされるファイルシステム) を指定します。システム上で複数のルートファイルシステムがアップグレードできる場合は、root_device を指定しなければなりません。slice は、cwtxdysz または cxdysz 形式で指定しなければなりません。

例:

root_device c0t0d0s2

注 -

1 つだけのディスクを持つシステムで root_device を指定する場合、root_device とディスクは一致しなければなりません。また、ルートファイルシステムを指定する任意の filesys キーワードは、root_device と一致しなければなりません。


system_type プロファイルキーワード

system_type standalone | server

system_type は、インストールするシステムのタイプを定義します。プロファイルに system_type を指定しないと、デフォルトにより standalone が設定されます。

usedisk プロファイルキーワード

usedisk disk_name [disk_name...]

usedisk は、partitioning default を指定しているときに、Solaris インストールプログラムが使用する 1 つ以上のディスクを指定します (デフォルトではシステム上のすべての使用可能ディスクを使用します)。disk_name は、cxtydz または cydz 形式 (たとえば c0t0d0) で指定します。

プロファイルで usedisk プロファイルキーワードを指定すると、Solaris インストールプログラムは usedisk プロファイルキーワードで指定したディスクだけを使用します。


注 -

同じプロファイルに usedisk キーワードと dontuse キーワードを同時に指定することはできません。


スワップサイズを決定する方法

プロファイルにスワップサイズが指定されていない場合、Solaris インストールプログラムは、システムの物理メモリーの大きさにしたがってスワップ領域のサイズを決定します。表 8-4 は、カスタム JumpStart インストール時に確保されるスワップのサイズをまとめたものです。

表 8-4 スワップのサイズの決定方法

物理メモリー (M バイト) 

スワップのサイズ (M バイト) 

16 - 64 

32 

64 - 128 

64 

128 - 512 

128 

512 を超える場合 

256 

他のファイルシステムを配置した後にディスクに十分な空き容量がない場合、Solaris インストールプログラムは、スワップ領域のサイズが全ディスク容量の 20% を超えないようにします。空き容量が存在する場合は、表 8-4 に示すサイズまでスワップ領域を割り当てます。


注 -

物理メモリーとスワップ領域の合計は、32M バイト以上必要です。


システムのルートディスクを決定する方法

システムのルートディスクは、ルートファイルシステムを含むシステム上のディスクです。プロファイル内では、Solaris インストールプログラムがシステムのルートディスクを設定するディスク名の代わりに、この rootdisk 変数を使用できます。表 8-5 に、インストールプログラムがインストール用にシステムのルートディスクを決定する方法を説明しています。これは初期インストール時だけに適用されます。アップグレードの場合、システムのルートディスクは変更できません。

表 8-5 インストールプログラムがシステムのルートディスクを決定する方法 (初期インストールのみ)

手順 

動作 

プロファイル内で root_device キーワードが指定されている場合、インストールプログラムは rootdisk をルートデバイスに設定します。

プロファイル内で、rootdisk が設定されていなくて、boot_device キーワードが指定されている場合、インストールプログラムは rootdisk をブートデバイスに設定します。

プロファイル内で、rootdisk が設定されていなくて、filesys cwtxdysz size / エントリが指定されている場合、インストールプログラムは rootdisk をエントリで指定されたディスクに設定します。

プロファイル内で、rootdisk が設定されていなくて、rootdisk.sn エントリが指定されている場合、インストールプログラムはシステムのディスクで、(カーネルのプローブ順で) 指定したスライス上の既存のルートファイルシステムを検索します。ディスクが見つかった場合、インストールプログラムは見つかったディスクに rootdisk を設定します。

プロファイル内で、rootdisk が設定されていなくて、partitioning existing が指定されている場合、インストールプログラムはシステムのディスクで、(カーネルのプローブ順で) 既存のルートファイルシステムを検索します。ルートファイルシステムが見つからなかった場合、あるいは複数のルートファイルシステムが見つかった場合は、エラーが発生します。ルートファイルシステムが見つかった場合、インストールプログラムは見つかったディスクに rootdisk を設定します。

プロファイル内で rootdisk が設定されていない場合、インストールプログラムは、ルートファイルシステムがインストールされるディスクに rootdisk を設定します。