この節では、sendmail の Solaris バージョンに組み込まれたいくつかの変更について、汎用 Berkeley バージョンと比較して説明します。
以下には、Solaris 7 に添付されている sendmail のバージョンをコンパイルするときに使用するフラグを示しています。構成に他のフラグが必要な場合は、そのソースをダウンロードし、バイナリにコンパイルし直してください。この処理については、http://www.sendmail.org に記載してあります。
SOLARIS=20700 - Solaris 7 オペレーティング環境をサポートする
NDBM - ndbm データベースをサポートする
NEWDB - db データベースをサポートする
NIS - nis データベースをサポートする
NISPLUS - nisplus データベースをサポートする
USERDB - ユーザーデータベースをサポートする
MAP_REGEX - 正規表現のマップをサポートする
SUN_EXTENSIONS - Solaris 固有のフラグで、sun_compat.o に組み込まれる Sun 固有の拡張子
VENDOR_DEFAULT=VENDOR_SUN - Solaris 固有のフラグで、Sun をデフォルトのベンダーとして選択する
USE_VENDOR_CF_PATH - Solaris 固有のフラグで、このフラグを使用すると構成ファイルを /etc/mail 内に配置できる
_FFR_MAXALIASRECURSION_OPTION - Solaris 固有のフラグで、このフラグを使用すると MaxAliasRecursion オプションを選択できる
Solaris リリースには、Berkley による汎用リリースで提供されているコマンドの同義語がすべて組み込まれているわけではありません。この表には、コマンドの別名のリストと それが Solaris リリースに組み込まれているかどうか、および sendmail を使用して同じ動作を生成する方法を示しています。
表 3-3 代替 sendmail コマンド
代替名 |
Solaris に組み込まれているか |
sendmail を使用したオプション |
---|---|---|
hoststat | 組み込まれていない | sendmail -bh |
mailq | 組み込まれている | sendmail -bp |
newaliases | 組み込まれている | sendmail -bi |
purgestat | 組み込まれていない | sendmail -bH |
smtpd | 組み込まれていない | sendmail -bd |
sendmail の新版 (バージョン 8) には、sendmail.cf ファイルのバージョンを定義するための、新しい構成オプションがあります。このオプションを使用すれば、旧バージョンの構成ファイルをバージョン 8 の sendmail で使用できます。バージョンレベルには 0 から 8 の値を設定できます。また、ベンダーの定義もできます。Berkeley または Sun がベンダーとして選択できます。構成ファイルで V オプションが定義されていない場合は、V1/Sun がデフォルトの設定となります。ベンダーを定義せずに、バージョンレベルだけが設定されている場合は、Sun がデフォルトとして使われます。表 3-4 に有効なオプションを示します。
表 3-4 構成ファイルのバージョン
定義 |
説明 |
---|---|
V1/Sun |
ネームサービスのサポートに Solaris の拡張機能を使用する。新バージョンの sendmail でも旧バージョンの構成ファイルを使用することができる。V オプションを何も定義していない場合はこれがデフォルトの設定 |
V7/Sun |
sendmail のバージョン 8.8 に使用 |
V8/Sun |
sendmail のバージョン 8.9 に使用。これは、Solaris 7 リリースの事前作成された構成ファイルに組み込まれた設定 |