NFS の管理

NFS ファイルシステムにおける mount のオプション

NFS ファイルシステムをマウントするときに -o フラグの後に指定できるオプションの一部を、以下に示します。

bg|fg

この 2 つは、マウントが失敗したときの再試行の方法を選択するオプションです。-bg オプションの場合はバックグラウンドで、-fg オプションの場合はフォアグラウンドでマウントが試みられます。デフォルトは -fg です。常に使用可能にしておく必要のあるファイルシステムに対しては -fg が適しています。この場合、マウントが完了するまで他の処理は実行できません。-bg は、マウント要求が完了しなくてもクライアントは他の処理を実行できるため、必ずしも必要でないファイルシステムに適しています。

largefiles

このオプションを使うと、Solaris 2.6 が実行されているサーバに置かれた 2 ギガバイトを超えるサイズのファイルにアクセスできるようになります。大型ファイルにアクセスできるかどうかは、サーバでしか制御できません。したがって、このオプションは NFS バージョン 3 のマウントでは無視されます。デフォルトでは、2.6 以後の UFS ファイルシステムはすべて -largefiles オプション付きでマウントされます。NFS バージョン 2 プロトコルを使ったマウントでこのオプションを指定すると、エラーが発生してマウントできません。

nolargefiles

UFS マウントでこのオプションを指定すると、ファイルシステム上に大型ファイルが存在せず、この後も作成されないことが保証されます (マニュアルページの mount_ufs(1M) を参照してください)。大型ファイルが存在するかどうかは NFS サーバでしか制御できないため、NFS マウントを使う -nolargefiles にはオプションはありません。このオプションを指定してファイルシステムを NFS マウントしようとすると、エラーが発生して拒否されます。

public

このオプションを指定すると、NFS サーバにアクセスするときに必ず公共ファイルハンドルを使用するようになります。NFS サーバが公共ファイルハンドルをサポートしていれば、MOUNT プロトコルが使用されないため、マウント操作は短時間で行われます。また、MOUNT プロトコルを使用しないため、ファイアウォールを越えたマウントが可能です。

rw|ro

-rw オプションと -ro オプションは、ファイルシステムが読み書き可能と読み取り専用のどちらでマウントされるかを示します。デフォルトは読み書き可能で、これはリモートホームディレクトリやメールスプールディレクトリなどの、ユーザによる変更が必要なファイルシステムに適しています。読み取り専用オプションは、ユーザが変更してはいけないディレクトリに適しています。具体的には、マニュアルページの共有コピーなどです。

sec=mode

このオプションは、マウント時に使われる認証機構を指定します。mode の値は、表 3-2 に示したもののいずれかでなければなりません。モードは、/etc/nfssec.conf ファイルにも定義されます。

表 3-2 NFS セキュリティモード

モード 

選択される認証サービス 

krb4

Kerberos バージョン 4 

none

認証なし 

dh

Diffie-Hellman (DH) 認証 

sys

UNIX の標準認証 

soft|hard

soft オプションを指定してマウントされた NFS ファイルシステムは、サーバが応答しなくなるとエラーを返します。hard オプションが指定されていると、サーバが応答するまで再試行が続けられます。デフォルトは hard です。ほとんどのファイルシステムには hard を使用します。ソフトマウントされたファイルシステムからの値を検査しないアプリケーションが多いので、アプリケーションでエラーが発生してファイルが破壊されるおそれがあるためです。検査するアプリケーションの場合でも、ルーティングの問題などによってアプリケーションが正しい判断をできずに、ファイルが破壊されることがあります。原則として、soft は使用しないでください。hard オプションを指定した場合にファイルシステムが使えなくなると、そのファイルシステムを使うアプリケーションはファイルシステムが復旧するまでハングする可能性があります。