Solaris 7 インストールライブラリ (Intel 版)

第 6 章 システムのアップグレード

この章では既存の Solaris システムのアップグレードについて説明します。

システムをアップグレードする方法

Solaris ソフトウェアの新しいバージョンを既存の Solaris システム上にインストールする場合、次のオプションのどちらかを選択して、Solaris オペレーティング環境をインストールできます。

アップグレードオプションの使用について頻繁に寄せられる質問

アップグレードの手順

この節では、システムのアップグレードとバックアップについて説明します。

システムをアップグレードするには
  1. 既存のシステムを Solaris オペレーティング環境の新しいバージョンにアップグレードする前に、次のことを確認してください。

    • Solaris 7 ご使用にあたって (Intel 版)』および『Solaris 7 オンラインリリース情報』 (SUNWjrdm、SUNWjprdm または SUNWjurdm パッケージ) をチェックして、現在使用しているソフトウェアの中に、新しいリリースで提供されなくなったソフトウェアがあるかどうかを確認します。

    • このマニュアルの第 2 章「新規機能一覧」をチェックして、Solaris オペレーティング環境への変更または拡張が、現在システムに行なっている内容に影響を与えるかどうかを確認します。

    • 他のソフトウェアマニュアルもチェックします。


      注意 - 注意 -

      アップグレード時にデータが損失しないよう、Solstice DiskSuite に関する次の情報に注意してください。アップグレードの手順については、必ず付属のソフトウェアマニュアル、およびサードパーティのソフトウェアマニュアルでチェックしてください。


      Solstice DiskSuiteTM を使用している場合、メタデバイスは自動的にアップグレードできないことに注意してください。詳細は、『Solstice DiskSuite 4.2 リファレンス』を参照してください。

    • 必要となる利用可能なすべてのパッチをチェックします。最新のパッチリストが SunSolve によってインターネットで提供されています (http://sunsolve.sun.co.jp/sunsolve/jp/)。

  2. システムをバックアップします。

    アップグレードオプションで Solaris オペレーティング環境の新しいバージョンをインストールする前に、必ず既存のファイルシステムをバックアップしてください。ファイルシステムのバックアップとは、データを削除、破損、または破壊から保護するために、ファイルシステムを取り外し可能な媒体 (テープなど) にコピーすることです。バックアップの手順がわからない場合は、次の手順に従ってファイルシステムの完全バックアップを実行してください。自動バックアップの設定と他のバックアップコマンドの使用については、『Solaris のシステム管理 (第 1 巻)』を参照してください。

  3. Device Configuration Assistant (デバイス構成用補助) フロッピーディスクを、システムの A: フロッピーディスクドライブに挿入します。

  4. Solaris CD を CD-ROM ドライブに挿入します。

  5. システムをブートする準備をします。

    表 6-1 ブートの手順

    システムの状態 

    手順 

    新品 (箱から取り出したばかり) で、電源を入れていない 

    システムの電源を入れる 

    電源を入れていて、Solaris が動作している 

     

    コマンドツールかシェルツールで、次を入力する 

    $ su root

    # init 0

    プロンプトに従って、リブートする 

    システムの電源を入れると、診断プログラム (Configuration Assistant) がハードウェアをチェックして、システムに追加されているデバイスの中に衝突しているデバイスが存在するかどうかを検査します。衝突している場合、インストールを続ける前にその衝突の修正を求めるプロンプトが表示されます。

  6. CD-ROM からシステムをブートする「CD」オプションを選択します。

  7. 「Solaris Interactive」オプションを選択します。

    「Custom JumpStart」は選択しないでください。これは、上級者向けインストールオプションです。このオプションには、事前の設定が必要です。カスタム JumpStart を使用して自動的にインストールする方法については、『Solaris のインストール (上級編)』を参照してください。

    「Solaris Web Start」は選択しないでください。このオプションを使用して、今回のリリースへアップグレードすることはできません。


    注 -

    この時点で何らかの問題がある場合は、第 7 章「インストール時の問題解決」に進んでください。


  8. 画面の指示に従って、Solaris オペレーティング環境をインストールします。

    Solaris インストールプログラムは、メニューによる対話式方法で Solaris オペレーティング環境をインストールします。オンラインヘルプで疑問点を調べることもできます。

  9. Solaris オペレーティング環境がシステムにインストールされるのを待ちます。

    インストールのログ (システムがどのようにインストールされたか) は、次のファイルに保存されます。

    • システムをリブートする前は、次のファイルです。 /a/var/sadm/system/logs/upgrade_log

    • システムをリブートした後は、次のファイルです。 /var/sadm/system/logs/upgrade_log

  10. システムをリブートします。

システムをバックアップするには
  1. スーパーユーザーになります。

  2. システムをシャットダウンします。


    # init 0
    
  3. レベル S (シングルユーザーモード) でシステムをブートします。


    Select (b)oot or (i)nterpreter: b -s
    
  4. [省略可能] fsck コマンドで、ファイルシステムの整合性をチェックします。

    -m オプションを使用して fsck コマンドを実行すると、ファイルシステムの整合性がチェックされます。たとえば、電源に障害があると、ファイルの整合性がなくなる可能性があります。


    # fsck -m /dev/rdsk/device-name
    
  5. [省略可能] リモートのテープドライブにファイルシステムをバックアップする場合、次の手順に従います。

    1. バックアップを起動するシステムの /.rhosts ファイルに、次のエントリを追加します。


      host root
      
    2. 上記の /.rhosts ファイルに追加したホスト名が、ローカルの /etc/inet/hosts ファイル経由で、あるいは、NIS か NIS+ ネームサーバー経由でアクセスできることを確認します。

  6. テープドライブのデバイス名を指定します。

    デフォルトのテープドライブは /dev/rmt/0 です。

  7. 書き込み保護をしていないテープをテープドライブに挿入します。

  8. 表 6-2ufsdump コマンドのいずれかを使用して、ファイルシステムをバックアップします。

    表 6-2 完全バックアップコマンド

    完全バックアップの保存先 

    使用するコマンド 

    ローカルのフロッピーディスク 

    ufsdump9ucf /vol/dev/ files_to_backup

    ローカルのカートリッジテープドライブ 

    ufsdump9ucf /dev/rmt files_to_backup

    リモートのカートリッジテープドライブ 

    ufsdump0ucf remote_host:/ files_to_backup

  9. プロンプトが表示されたら、テープを取り出して、次のボリュームに交換します。

  10. 各テープには、ボリューム番号、レベル、日付、システム名、およびファイルシステムを記したラベルを付けておきます。

  11. Control-D を押して、レベル 3 でシステムをブートします。

  12. ufsrestore コマンドを使用してテープの内容を表示することによって、バックアップが成功していることを確認します。

アップグレード後の整理作業

システムのアップグレードが終了したあと、インストールプログラムは、システムをシングルユーザーモードの root プロンプトのままにしておきます。

  1. 必要であれば、システムをクリーンアップします。

    アップグレードオプションを使用すると、Solaris インストールプログラムは既存のシステムのローカルでのソフトウェア変更を新しいソフトウェアにマージします。ただし、マージできない場合もあります。次のファイルを参照して、アップグレードが保存できなかったローカルの変更を修正する必要があるかどうかを確認してください。

    /a/var/sadm/system/data/upgrade_cleanup


    注意 - 注意 -

    必ず upgrade_cleanup ファイル内の情報を確認してください。保存されなかったローカルの変更を修正しないと、ユーザーのシステムをブートできない場合があります。


  2. システムをリブートします。


    # reboot
    

ディスク容量の再配置のためのバックアップ媒体の指定

アップグレード用のバックアップ媒体が必要な場合、その準備ができているかを確認します。

既存の Solaris ファイルシステムの一部 (たとえば、ルート (/)、/usr など) にアップグレードのための十分な空き容量がない場合、ディスク容量を再配置する必要があります。この場合、再配置するファイルシステムを一時的にバックアップするためのバックアップ媒体を指定するように、Solaris 対話式インストールプログラムがプロンプトを表示します。

バックアップ媒体には、次のいずれかを使用できます。