この節では、システムのアップグレードとバックアップについて説明します。
既存のシステムを Solaris オペレーティング環境の新しいバージョンにアップグレードする前に、次のことを確認してください。
『Solaris 7 ご使用にあたって (Intel 版)』および『Solaris 7 オンラインリリース情報』 (SUNWjrdm、SUNWjprdm または SUNWjurdm パッケージ) をチェックして、現在使用しているソフトウェアの中に、新しいリリースで提供されなくなったソフトウェアがあるかどうかを確認します。
このマニュアルの第 2 章「新規機能一覧」をチェックして、Solaris オペレーティング環境への変更または拡張が、現在システムに行なっている内容に影響を与えるかどうかを確認します。
同梱の『Solaris 7 (Intel Platform Edition) Hardware Compatibility List』をチェックして使用しているシステムとデバイスが新しいリリースでサポートされていることを確認します。
他のソフトウェアマニュアルもチェックします。
アップグレード時にデータが損失しないよう、Solstice DiskSuite に関する次の情報に注意してください。アップグレードの手順については、必ず付属のソフトウェアマニュアル、およびサードパーティのソフトウェアマニュアルでチェックしてください。
Solstice DiskSuiteTM を使用している場合、メタデバイスは自動的にアップグレードできないことに注意してください。詳細は、『Solstice DiskSuite 4.2 リファレンス』を参照してください。
必要となる利用可能なすべてのパッチをチェックします。最新のパッチリストが SunSolve によってインターネットで提供されています (http://sunsolve.sun.co.jp/sunsolve/jp/)。
システムをバックアップします。
アップグレードオプションで Solaris オペレーティング環境の新しいバージョンをインストールする前に、必ず既存のファイルシステムをバックアップしてください。ファイルシステムのバックアップとは、データを削除、破損、または破壊から保護するために、ファイルシステムを取り外し可能な媒体 (テープなど) にコピーすることです。バックアップの手順がわからない場合は、次の手順に従ってファイルシステムの完全バックアップを実行してください。自動バックアップの設定と他のバックアップコマンドの使用については、『Solaris のシステム管理 (第 1 巻)』を参照してください。
Device Configuration Assistant (デバイス構成用補助) フロッピーディスクを、システムの A: フロッピーディスクドライブに挿入します。
Solaris CD を CD-ROM ドライブに挿入します。
システムをブートする準備をします。
表 6-1 ブートの手順
システムの状態 |
手順 |
---|---|
新品 (箱から取り出したばかり) で、電源を入れていない |
システムの電源を入れる |
電源を入れていて、Solaris が動作している
|
コマンドツールかシェルツールで、次を入力する $ su root # init 0 プロンプトに従って、リブートする |
システムの電源を入れると、診断プログラム (Configuration Assistant) がハードウェアをチェックして、システムに追加されているデバイスの中に衝突しているデバイスが存在するかどうかを検査します。衝突している場合、インストールを続ける前にその衝突の修正を求めるプロンプトが表示されます。
CD-ROM からシステムをブートする「CD」オプションを選択します。
「Solaris Interactive」オプションを選択します。
「Custom JumpStart」は選択しないでください。これは、上級者向けインストールオプションです。このオプションには、事前の設定が必要です。カスタム JumpStart を使用して自動的にインストールする方法については、『Solaris のインストール (上級編)』を参照してください。
「Solaris Web Start」は選択しないでください。このオプションを使用して、今回のリリースへアップグレードすることはできません。
この時点で何らかの問題がある場合は、第 7 章「インストール時の問題解決」に進んでください。
画面の指示に従って、Solaris オペレーティング環境をインストールします。
Solaris インストールプログラムは、メニューによる対話式方法で Solaris オペレーティング環境をインストールします。オンラインヘルプで疑問点を調べることもできます。
Solaris オペレーティング環境がシステムにインストールされるのを待ちます。
インストールのログ (システムがどのようにインストールされたか) は、次のファイルに保存されます。
システムをリブートする前は、次のファイルです。 /a/var/sadm/system/logs/upgrade_log
システムをリブートした後は、次のファイルです。 /var/sadm/system/logs/upgrade_log
システムをリブートします。
スーパーユーザーになります。
システムをシャットダウンします。
# init 0 |
レベル S (シングルユーザーモード) でシステムをブートします。
Select (b)oot or (i)nterpreter: b -s |
[省略可能] fsck コマンドで、ファイルシステムの整合性をチェックします。
-m オプションを使用して fsck コマンドを実行すると、ファイルシステムの整合性がチェックされます。たとえば、電源に障害があると、ファイルの整合性がなくなる可能性があります。
# fsck -m /dev/rdsk/device-name |
[省略可能] リモートのテープドライブにファイルシステムをバックアップする場合、次の手順に従います。
テープドライブのデバイス名を指定します。
デフォルトのテープドライブは /dev/rmt/0 です。
書き込み保護をしていないテープをテープドライブに挿入します。
表 6-2 の ufsdump コマンドのいずれかを使用して、ファイルシステムをバックアップします。
表 6-2 完全バックアップコマンド
完全バックアップの保存先 |
使用するコマンド |
---|---|
ローカルのフロッピーディスク |
ufsdump9ucf /vol/dev/ files_to_backup |
ローカルのカートリッジテープドライブ |
ufsdump9ucf /dev/rmt files_to_backup |
リモートのカートリッジテープドライブ |
ufsdump0ucf remote_host:/ files_to_backup |
プロンプトが表示されたら、テープを取り出して、次のボリュームに交換します。
各テープには、ボリューム番号、レベル、日付、システム名、およびファイルシステムを記したラベルを付けておきます。
Control-D を押して、レベル 3 でシステムをブートします。
ufsrestore コマンドを使用してテープの内容を表示することによって、バックアップが成功していることを確認します。