Solaris のシステム管理 (第 1 巻)

第 5 章 システムのシャットダウンとブートの概要

この章では、システムのシャットダウンとブートについて概要を説明します。Solaris オペレーティングシステムは、電子メールとネットワーク資源をいつでも利用できるように停止することなく動作するように設計されています。しかし、システム構成の変更、定期保守、停電などの理由で、システムをシャットダウンまたはリブートしなければならない場合があります。

この章の内容は次のとおりです。

システムのシャットダウンとブートに関する新機能

この節では、Solaris 7 におけるシステムのシャットダウンとブートに関する新機能について説明します。

レベル S (シングルユーザーモード) でのシステムの起動

バグ ID 1154696 は Solaris 7 で修正されました。つまり、shutdown -s または init -s コマンドで、システムを正常にシャットダウンし、レベル S (シングルユーザーモード) に移行できるようになりました。inittab ファイルと、/etc/init.d および /etc/rcn.d ディレクトリ内の rc スクリプトが修正され、システム起動レベルの変更が適切かつ効率的に行われるようになりました。

32 ビットまたは 64 ビット Solaris 7 オペレーティング環境のシステムのブート

32 ビットまたは 64 ビットの Solaris 7 オペレーティング環境のシステムをブートする方法については、「64 ビット Solaris ブート時の問題の解決」を参照してください。

シャットダウンとブートについての参照先

システムをシャットダウンおよびブートする手順については次を参照してください。

用語

ここではシャットダウンとブートに関する用語について説明します。

システムのシャットダウンに関するガイドライン

システムをシャットダウンするときは次の点に注意してください。

システムのブートに関するガイドライン

システムをブートするときは、次の点に注意してください。

再構成用ブートの実行

再構成用ブートは、システムに新しいハードウェアを追加したときや擬似デバイスのサポートを再構成したとき (pty 数の増加など) に行います。表 5-1 は、どの場合にどの再構成手順を使用するかをまとめたものです。

表 5-1 再構成手順

システム再構成の内容 

参照先 

ディスクの追加 

第 23 章「SPARC: ディスク追加の手順」または第 24 章「x86: ディスク追加の手順」

周辺装置の追加 

「周辺デバイスを追加する方法」

擬似デバイス数の変更 

Solaris のシステム管理 (第 2 巻)』の「システム情報の確認と変更」

システムをシャットダウンする場合

表 5-2 は、システム管理作業とそれに伴って必要となるシャットダウンの種類をまとめたものです。

表 5-2 システムのシャットダウン

管理作業 

以下の実行レベルに変更 

参照先 

停電のためシステムの電源を切断する。 

実行レベル 0。安全に電源を切れる状態。 

第 7 章「システムのシャットダウンの手順」

/etc/system ファイル内のカーネルパラメータを変更する。

実行レベル 6 (システムのリブート)。 

第 7 章「システムのシャットダウンの手順」

ファイルシステムを保守する (システムデータのバックアップや復元など)。 

実行レベル S (シングルユーザーモード)。 

第 7 章「システムのシャットダウンの手順」

/etc/system などのシステム構成ファイルを修正する。

「システムをブートする場合」を参照。

なし 

/etc/system ファイル内の擬似デバイスパラメータを変更する。

再構成用ブート。 

Solaris のシステム管理 (第 2 巻)』の「カーネルパラメータの調整手順」

システムにハードウェアを追加する (または、システムからハードウェアを削除する)。 

再構成用ブート (ハードウェアを追加または削除したら電源を切断する)。 

「SPARC: 二次ディスクを接続してブートする方法」

ブート失敗の原因となっている重要なシステムファイルを修正する。 

「システムをブートする場合」を参照。

なし 

カーネルデバッガ (kadb) をブートして、システムの障害を調査する。

実行レベル 0 (可能な場合)。 

第 7 章「システムのシャットダウンの手順」

ハング状態から回復する。または、クラッシュダンプを強制する。 

「システムをブートする場合」を参照。

なし 

サーバーまたはスタンドアロンシステムのシャットダウンの例については、第 7 章「システムのシャットダウンの手順」を参照してください。

システムをブートする場合

表 5-3 は、システム管理作業とそれに伴って必要となるブートの種類をまとめたものです。

表 5-3 システムのブート

リブート前に実行した管理作業 

使用するブート種類 

SPARC のブート手順の参照先 

x86 のブート手順の参照先 

停電のためシステムの電源を切断した。 

システムの電源を再投入する。 

第 7 章「システムのシャットダウンの手順」

第 7 章「システムのシャットダウンの手順」

/etc/system ファイル内のカーネルパラメータを変更した。

システムを実行レベル 3 にリブートする (NFS 資源を共有できる状態のマルチユーザーモード) 

「SPARC: システムを実行レベル 3 (マルチユーザー状態) にする方法」

「x86: システムを実行レベル 3 (マルチユーザー状態) にする方法」

ファイルシステムを保守した (システムデータのバックアップや復元など)。 

実行レベル S で Ctrl-d を押して、システムを実行レベル 3 に戻す。 

「SPARC: システムを実行レベル S (シングルユーザー状態) にする方法」

「x86: システムを実行レベル S (シングルユーザー状態) にする方法」

/etc/system などのシステム構成ファイルを修正した。

対話式ブート。 

「SPARC: システムを対話式でブートする方法」

「x86: システムを対話式でブートする方法」

/etc/system ファイル内の擬似デバイスパラメータを変更した。

再構成用ブート。 

Solaris のシステム管理 (第 2 巻)』の「カーネルパラメータの調整手順」

Solaris のシステム管理 (第 2 巻)』の「カーネルパラメータの調整手順」

システムにハードウェアを追加した (または、システムからハードウェアを削除した)。 

再構成用ブート (ハードウェアを追加または削除したら電源を投入する)。 

「SPARC: 二次ディスクを接続してブートする方法」

第 24 章「x86: ディスク追加の手順」

カーネルデバッガ (kadb) をブートして、システムの障害を調査した。

kabd をブートする。

「SPARC: カーネルデバッガ (kadb) を使ってシステムをブートする方法」

「x86: クラッシュダンプを強制して、システムをリブートする方法」

ブート失敗の原因となっていた重要なシステムファイルを修正した。 

回復ブート。 

「x86: システムを復元するためにブートする方法」

「x86: システムを復元するためにブートする方法」

ハング状態から回復した。または、クラッシュダンプを強制した。 

回復ブート。 

「x86: クラッシュダンプを強制して、システムをリブートする方法」の例を参照

「x86: クラッシュダンプを強制して、システムをリブートする方法」の例を参照

システムブートの例については、第 8 章「SPARC: システムのブートの手順」または第 9 章「x86: システムのブートの手順」を参照してください。