この章では、SPARC システムにディスクを追加する手順について説明します。
この章で説明する手順は次のとおりです。
ディスク管理の概要については、第 21 章「ディスク管理の概要」を参照してください。
システムディスクには、ルート (/) ファイルシステム、/usr ファイルシステム、またはその両方が入っています。この 2 つのファイルシステムのどちらかが入っているディスクが損傷した場合、復元方法には次の 2 つがあります。
Solaris 環境全体をインストールし直す。
システムディスクを交換し、ファイルシステムをバックアップ媒体から復元する。
二次ディスクには、ルート (/) ファイルシステムも /usr ファイルシステムも入っていません。通常はユーザーファイル用の領域が入っています。システムに二次ディスクを追加してディスク容量を増やしたり、損傷した二次ディスクを交換できます。システム上の二次ディスクを交換すると、古いディスクのデータを新しいディスク上で復元できます。
作業 |
説明 |
手順の説明 |
---|---|---|
1. ディスクの接続とブート |
システムディスク 新しいディスクを接続して、ローカルまたはリモートの Solaris CD からブートする。 | |
|
二次ディスク 新しいディスクを接続し、システムでディスクが認識されるように再構成ブートを実行する。 | |
2. スライスとディスクラベルの作成 |
まだディスクメーカーによって実行されていない場合は、ディスクスライスを作成してディスクにラベルを付ける。 | |
3. ファイルシステムの作成 |
newfs コマンドを使用してディスクスライス上に UFS ファイルシステムを作成する。システムディスクの場合はルート (/) と /usr ファイルシステムを作成しなければならない。 | |
4. ファイルシステムの復元 |
システムディスク上にルート (/) と /usr ファイルシステムを復元する。必要に応じて、二次ディスク上にファイルシステムを復元する。 | |
5. ブートブロックのインストール |
システムディスクのみ システムをブートできるように、ルート (/) ファイルシステムにブートブロックをインストールする。 |
この手順は、システムがシャットダウンされていることを前提としています。
損傷したシステムディスクをシステムから外します。
追加しようとするディスクにシステム上の他のデバイスとは異なるターゲット番号が設定されているかどうかを確認します。
通常は、ディスクの裏側にそのための小型スイッチが付いています。
交換用のディスクがシステムに正しく接続されているかどうかをチェックします。
インストールについての詳細は、ディスクのハードウェアインストールガイドを参照してください。
ローカルとリモートのどちらの Solaris CD からブートするかに応じて、次の表の手順で操作します。
ブート元 |
操作 |
---|---|
ローカル CD-ROM ドライブ内の Solaris CD から |
1. CD が CD-ROM ドライブに入っているかどうかを確認する。 2. CD からシングルユーザーモードでブートする。 ok boot cdrom -s |
ネットワーク上の CD-ROM ドライブ内の Solaris CD から |
ネットワークからシングルユーザーモードでブートする。 ok boot net -s
|
数分後に root プロンプト (#) が表示されます。
システムをブートしたら、ディスク上にスライスとディスクラベルを作成できます。「SPARC: ディスクスライスとディスクラベルを作成する方法」を参照してください。
スーパーユーザーになります。
ディスクタイプが Solaris ソフトウェアでサポートされない場合は、ハードウェアに添付された説明書に従って、そのディスクのデバイスドライバを追加します。
このディスク用の format.dat のエントリの作成方法については、「format.dat のエントリを作成する方法」を参照してください。
システムのブート時に読み込まれる /reconfigure ファイルを作成します。
# touch /reconfigure |
/reconfigure ファイルを作成すると、電源を入れるとき、または後からシステムをブートするときに、SunOS ソフトウェアは新しくインストールされた周辺デバイスの有無をチェックします。
システムをシャットダウンします。
# shutdown -i0 -g30 -y |
-i0 |
システムを init 状態 0 (電源切断) にする。 |
-gn |
ログインしているユーザーに、n 秒後にシステムのシャットダウンを開始することを通知する。 |
-y |
ユーザーの介入なしでコマンドを実行するように指定する。 |
運用環境がシャットダウンされると、ok または > プロンプトが表示されます。
システムとすべての外部周辺デバイスの電源を切ります。
追加しようとするディスクにシステム上の他のデバイスとは異なるターゲット番号が設定されているかどうかを確認します。
通常は、ディスクの裏側にそのための小型スイッチが付いています。
ディスクがシステムに正しく接続されているかどうかをチェックします。
インストールについての詳細は、ディスクのハードウェアインストールガイドを参照してください。
すべての外部周辺デバイスの電源を入れます。
システムの電源を入れます。
システムがブートし、ログインプロンプトを表示します。
システムをブートしたら、ディスク上にスライスとディスクラベルを作成できます。「SPARC: ディスクスライスとディスクラベルを作成する方法」を参照してください。
スーパーユーザーになります。
# format |
利用可能なディスクのリストが表示されます。
画面に表示されるリストから、パーティションに分割し直したいディスクの番号を入力します。
Specify disk (enter its number): disk-number |
disk-number |
パーティションに分割し直したいディスクの番号 |
partition メニューにアクセスします (スライスを設定できます)。
format> partition |
現在のパーティション (スライス) テーブルを表示します。
partition> print |
変更作業を開始します。
partition> modify |
ディスクをすべて free hog に設定します。
Choose base (enter number) [0]? 1 |
free hog スライスについての詳細は、「free hog スライスの使用方法」を参照してください。
続行するかどうかを尋ねるプロンプトが表示されたら、y と応答して新しいパーティションテーブルを作成します。
Do you wish to continue creating a new partition table based on above table[yes]?y |
プロンプトが表示されたら、free hog パーティション (スライス) と各スライスのサイズを指定します。
システムディスクを追加するときは、次のどちらか、または両方のスライスを設定しなければなりません。
ルート (スライス 0)、スワップ (スライス 1)
/usr (スライス 6)
スライスを設定すると、新しいパーティションテーブルが表示されます。
プロンプトが表示されたら y と応答して、表示されたパーティションテーブルを現在のパーティションテーブルにします。
Okay to make this the current partition table[yes]? y |
現在のパーティションテーブルが希望どおりでないために変更したい場合は、no と応答して手順 6 に戻ります。
パーティションテーブルに名前を付けます。
Enter table name (remember quotes): "partition-name" |
partition-name |
新しいパーティションテーブルの名前 |
新しいディスク上のスライスを割り当て終わったら、新しいパーティションテーブルを使用してディスクにラベルを付けます。
Ready to label disk, continue? yes |
partition メニューを終了します。
partition> q |
verify コマンドを使用して、ディスクラベルを確認します。
format> verify |
format メニューを終了します。
format> q |
次の例では、format ユーティリティを使用して 1G バイトのディスクを 3 つのスライスに分割します。各スライスをルート (/) ファイルシステム、スワップ領域、/usr ファイルシステムに割り当てます。
# format Searching for disks...done AVAILABLE DISK SELECTIONS: 0. c0t1d0 <SUN1.05 cyl 2036 alt 2 hd 14 sec 72> /iommu@f,e0000000/sbus@f,e0001000/espdma@f,400000/esp@f,800000/sd@1,0 1. c0t3d0 <SUN1.05 cyl 2036 alt 2 hd 14 sec 72> /iommu@f,e0000000/sbus@f,e0001000/espdma@f,400000/esp@f,800000/sd@3,0 Specify disk (enter its number): 0 selecting c0t1d0 [disk formatted] format> partition partition> print partition> modify Select partitioning base: 0. Current partition table (original) 1. All Free Hog Choose base (enter number) [0]? 1 Part Tag Flag Cylinders Size Blocks 0 root wm 0 0 (0/0/0) 0 1 swap wu 0 0 (0/0/0) 0 2 backup wu 0 - 2035 1002.09MB (2036/0/0) 2052288 3 unassigned wm 0 0 (0/0/0) 0 4 unassigned wm 0 0 (0/0/0) 0 5 unassigned wm 0 0 (0/0/0) 0 6 usr wm 0 0 (0/0/0) 0 7 unassigned wm 0 0 (0/0/0) 0 Do you wish to continue creating a new partition table based on above table[yes]? yes Free Hog partition[6]? 6 Enter size of partition `0' [0b, 0c, 0.00mb]: 200mb Enter size of partition `1' [0b, 0c, 0.00mb]: 200mb Enter size of partition `3' [0b, 0c, 0.00mb]: Enter size of partition `4' [0b, 0c, 0.00mb]: Enter size of partition `6' [0b, 0c, 0.00mb]: Enter size of partition `7' [0b, 0c, 0.00mb]: Part Tag Flag Cylinders Size Blocks 0 root wm 0 - 406 200.32MB (407/0/0) 410256 1 swap wu 407 - 813 200.32MB (407/0/0) 410256 2 backup wu 0 - 2035 1002.09MB (2036/0/0) 2052288 3 unassigned wm 0 0 (0/0/0) 0 4 unassigned wm 0 0 (0/0/0) 0 5 unassigned wm 0 0 (0/0/0) 0 6 usr wm 814 - 2035 601.45MB (1222/0/0) 1231776 7 unassigned wm 0 0 (0/0/0) 0 Okay to make this the current partition table[yes]? yes Enter table name (remember quotes): "disk0" Ready to label disk, continue? yes partition> quit format> verify format> quit |
次の例では、format ユーティリティを使用して 1G バイトのディスクを /export/home ファイルシステム用の 1 つのスライスに割り当てます。
# format Searching for disks...done AVAILABLE DISK SELECTIONS: 0. c0t1d0 <SUN1.05 cyl 2036 alt 2 hd 14 sec 72> /iommu@f,e0000000/sbus@f,e0001000/espdma@f,400000/esp@f,800000/sd@1,0 1. c0t3d0 <SUN1.05 cyl 2036 alt 2 hd 14 sec 72> /iommu@f,e0000000/sbus@f,e0001000/espdma@f,400000/esp@f,800000/sd@3,0 Specify disk (enter its number): 0 selecting c0t1d0 [disk formatted] format> partition partition> print partition> modify Select partitioning base: 0. Current partition table (original) 1. All Free Hog Choose base (enter number) [0]? 1 Part Tag Flag Cylinders Size Blocks 0 root wm 0 0 (0/0/0) 0 1 swap wu 0 0 (0/0/0) 0 2 backup wu 0 - 2035 1002.09MB (2036/0/0) 2052288 3 unassigned wm 0 0 (0/0/0) 0 4 unassigned wm 0 0 (0/0/0) 0 5 unassigned wm 0 0 (0/0/0) 0 6 usr wm 0 0 (0/0/0) 0 7 unassigned wm 0 0 (0/0/0) 0 Do you wish to continue creating a new partition table based on above table[yes]? y Free Hog partition[6]? 7 Enter size of partition '0' [0b, 0c, 0.00mb, 0.00gb]: Enter size of partition '1' [0b, 0c, 0.00mb, 0.00gb]: Enter size of partition '3' [0b, 0c, 0.00mb, 0.00gb]: Enter size of partition '4' [0b, 0c, 0.00mb, 0.00gb]: Enter size of partition '5' [0b, 0c, 0.00mb, 0.00gb]: Enter size of partition '6' [0b, 0c, 0.00mb, 0.00gb]: Part Tag Flag Cylinders Size Blocks 0 root wm 0 0 (0/0/0) 0 1 swap wu 0 0 (0/0/0) 0 2 backup wu 0 - 2035 1002.09MB (2036/0/0) 2052288 3 unassigned wm 0 0 (0/0/0) 0 4 unassigned wm 0 0 (0/0/0) 0 5 unassigned wm 0 0 (0/0/0) 0 6 usr wm 0 0 (0/0/0) 0 7 unassigned wm 0 - 2035 1002.09MB (2036/0/0) 2052288 Okay to make this the current partition table[yes]? yes Enter table name (remember quotes): "home" Ready to label disk, continue? y partition> q format> verify format> q # |
ディスクスライスを作成してディスクのラベル付けが終わったら、ディスク上にファイルシステムを作成します。「SPARC: ファイルシステムを作成する方法」を参照してください。
スーパーユーザーになります。
newfs コマンドを使用して、スライスごとにファイルシステムを作成します。
# newfs /dev/rdsk/cwtxdysz |
/dev/rdsk/cwtxdysx |
作成するファイルシステムの raw デバイス |
newfs コマンドについての詳細は、第 27 章「ファイルシステムの作成手順」を参照してください。
未使用のマウントポイントにマウントすることによって、新しいファイルシステムを確認します。
# mount /dev/dsk/cwtxdysz/mnt # ls lost+found |
追加するディスク |
参照先 |
---|---|
システムディスク |
ディスク上にルート (/) と /usr のファイルシステムを復元する必要がある。第 35 章「ファイルとファイルシステムの復元の手順」を参照。 ルート (/) と /usr ファイルシステムの復元後、ブートブロックをインストールする。「SPARC: システムディスクにブートブロックをインストールする方法」を参照。 |
二次ディスク |
新しいディスク上にファイルシステムを復元しなければならないことがある。第 35 章「ファイルとファイルシステムの復元の手順」を参照。
新しいディスク上にファイルシステムを復元しない場合は、二次ディスクを追加する作業が終わったことになる。ファイルシステムをユーザーが利用できるようにする方法については、第 28 章「ファイルシステムのマウントとマウント解除の手順」を参照。 |
スーパーユーザーになります。
installboot コマンドを使用して、システムディスクにブートブロックをインストールします。
# /usr/sbin/installboot /usr/platform/`uname -i`/lib/fs/ufs/bootblk /dev/rdsk/cwtxdys0 |
/usr/platform/`uname -i`/lib/fs /ufs/bootblk |
ブートブロックコード |
/dev/rdsk/cwtxdys0 |
ルート (/) ファイルシステムの raw デバイス |
システムを実行レベル 3 にして、ブートブロックがインストールされていることを確認します。
# init 6 |
次の例では、SPARCstation 10 にブートブロックをインストールします。
# installboot /usr/platform/sun4m/lib/fs/ufs/bootblk /dev/rdsk/c0t0d0s0 |