fsck コマンドは、スーパーブロックに格納された状態フラグを使用して、ファイルシステムの状態を記録します。また、このフラグを使用して、ファイルシステムの整合性をチェックする必要があるかどうかが判断されます。このフラグはブート時には /sbin/rcS スクリプトによって使用され、コマンド行からは fsck に -m オプションを指定した場合に使用されます。fsck の -m オプションの結果を無視するのなら、状態フラグの設定に関係なく、すべてのファイルシステムをチェックできます。
表 31-1 に状態フラグを示します。
表 31-1 状態フラグの値| 
 状態フラグの値  | 
 説明  | 
|---|---|
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 FSACTIVE  | 
 ファイルシステムのマウント後、変更されると、状態フラグが FSACTIVE に設定される。ファイルシステムの整合性が失われている可能性がある。変更後のメタデータがディスクに書き込まれるまでは、ファイルシステムに FSACTIVE マークが付けられる。ファイルシステムが正常にマウント解除されると、状態フラグは FSCLEAN に設定される。FSACTIVE フラグが設定されたファイルシステムは、整合性がないので、fsck でチェックしなければならない。  | 
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 FSBAD  | 
 ルート (/) ファイルシステムが、FSCLEAN でも FSSTABLE でもない状態のときにマウントされると、状態フラグが FSBAD に設定される。カーネルが、このファイルシステムの状態を FSCLEAN または FSSTABLE に変更することはない。ブートの処理の一部として、ルート (/) ファイルシステムに FSBAD フラグが設定された場合、ルートファイルシステムは読み取り専用としてマウントされる。ルートの raw デバイスに対して fsck を実行する。その後で、ルート (/) ファイルシステムを読み取り/書き込みとしてマウントし直す。  | 
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 FSCLEAN  | 
 ファイルシステムが正しくマウント解除された場合は、状態フラグが FSCLEAN に設定される。FSCLEAN 状態フラグが設定されているファイルシステムは、システムのブート時にチェックされない。  | 
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 FSLOG  | 
 UFS ロギングを有効にしてファイルシステムがマウントされている場合、状態フラグが FSLOG に設定される。システムのブート時、状態フラグが FSLOG のファイルシステムはチェックされない。  | 
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 FSSTABLE  | 
 ファイルシステムはマウントされている (またはされた) が、前回のチェックポイント (sync または fsflush) 以後に変更がなかった。チェックポイントは、通常は 30 秒ごとに発生する。たとえば、カーネルはファイルシステムがアイドル状態かどうかを定期的にチェックし、アイドル状態であれば、スーパーブロック内の情報をディスクにフラッシュさせて FSSTABLE マークを設定する。システムがクラッシュした場合、ファイルシステムの構造は正しいが、少量のデータが失われている可能性がある。FSSTABLE マークが付いたファイルシステムは、マウント前のチェックをスキップできる。ファイルシステムの状態が FSCLEAN でも FSSTABLE でもなければ、mount(2) システムコールではファイルシステムは読み取り/書き込み用にマウントされない。  | 
表 31-2 に、fsck コマンドを使用して、初期状態に基づいて状態フラグを変更する方法を示します。
表 31-2 fsck による状態フラグの変更内容| 
 初期状態 : fsck の実行前  | 
 fsck の実行後  | 
||
|---|---|---|---|
| 
 
 エラーなし  | 
 すべてのエラーを修正済み  | 
 
 エラーが未修正  | 
|
| 
 unknown  | 
 FSSTABLE  | 
 FSSTABLE  | 
 unknown  | 
| 
 FSACTIVE  | 
 FSSTABLE  | 
 FSSTABLE  | 
 FSACTIVE  | 
| 
 FSSTABLE  | 
 FSSTABLE  | 
 FSSTABLE  | 
 FSACTIVE  | 
| 
 FSCLEAN  | 
 FSCLEAN  | 
 FSSTABLE  | 
 FSACTIVE  | 
| 
 FSBAD  | 
 FSSTABLE  | 
 FSSTABLE  | 
 FSBAD  | 
| 
 FSLOG  | 
 FSLOG  | 
 FSLOG  | 
 FSLOG  |