この節では、バックアップスケジュールのサンプルを示します。どのスケジュールも、完全バックアップ (レベル 0) から始めることと、-u オプションを使用して各バックアップを記録することを前提としています。
表 33-7 に、最も一般的に使用される増分バックアップをスケジュールを示します。これは、ほとんどの場合に推奨できるスケジュールです。このスケジュールで実行される処理は次のとおりです。
前週の終わりの下位レベルのバックアップ以降に変更があったすべてのファイルが毎日保存される。
月〜金のレベル 9 のバックアップの場合は、直前のレベル 0 またはレベル 5 が最も近い下位バックアップレベルになる。したがって各週のテープには、前週の終わり (第 1 週の場合は初期レベル 0) 以降に変更があったすべてのファイルが累積される。
毎週金曜日のレベル 5 の場合、レベルのうち一番近いレベルのバックアップは、月初めに実行されたレベル 0 である。したがって、毎週金曜日のテープには、月初めからその時点までに変更があったすべてのファイルが入っている。
未固定 |
月 |
火 |
水 |
木 |
金 |
|
---|---|---|---|---|---|---|
月の 1 日目 |
0 |
|
|
|
|
|
第 1 週 |
9 |
9 |
9 |
9 |
5 |
|
第 2 週 |
9 |
9 |
9 |
9 |
5 |
|
第 3 週 |
9 |
9 |
9 |
9 |
5 |
|
第 4 週 |
9 |
9 |
9 |
9 |
5 |
表 33-8 は、前のスケジュールを使用して、テープの内容が 2 週間でどのように変化するかを示します。各文字は別のファイルを表します。
表 33-8 日単位/週単位累積スケジュールのテープの内容
月曜日 |
火曜日 |
水曜日 |
木曜日 |
金曜日 |
|
---|---|---|---|---|---|
第 1 週 |
a b |
a b c |
a b c d |
a b c d e |
a b c d e f |
第 2 週 |
g |
g h |
g h i |
g h i j |
a b c d e f g h i j k |
このスケジュールでは、6 本 (日単位テープを再利用したい場合) または 9 本 (曜日ごとに 4 本の日単位テープを別々に使用したい場合) のテープが必要になります。その内訳は、レベル 0 に 1 本、金曜日用に 4 本、日単位テープ用に 1 本、または 4 本です。
ファイルシステム全体を復元する必要があれば、次のテープが必要になります。その内訳は、レベル 0 が 1 本、最後の金曜日のテープ 1 本、前週の金曜日以降の最新の日単位テープ 1 本です。
表 33-9 は、各曜日のテープに月曜日 (第 1 週の場合は初期レベル 0) 以降に変更があったすべてのファイルが累積され、毎週金曜日のテープにはその週に変更があったすべてのファイルが入っているスケジュールを示しています。
表 33-9 日単位累積/週単位増分バックアップスケジュール
未固定 |
月 |
火 |
水 |
木 |
金 |
|
---|---|---|---|---|---|---|
月の 1 日目 |
0 |
|
|
|
|
|
第 1 週 |
9 |
9 |
9 |
9 |
3 |
|
第 2 週 |
9 |
9 |
9 |
9 |
4 |
|
第 3 週 |
9 |
9 |
9 |
9 |
5 |
|
第 4 週 |
9 |
9 |
9 |
9 |
6 |
表 33-10 は、以前のスケジュールからテープの内容が 2 週間でどのように変化するかを示しています。各文字はそれぞれ異なるファイルを表します。
表 33-10 日単位累積/週単位増分スケジュールのテープの内容
月曜日 |
火曜日 |
水曜日 |
木曜日 |
金曜日 |
|
---|---|---|---|---|---|
第 1 週 |
a b |
a b c |
a b c d |
a b c d e |
a b c d e f |
第 2 週 |
g |
g h |
g h i |
g h i j |
g h i j k |
このスケジュールでは、6 本 (日単位テープを再利用したい場合) または 9 本 (曜日ごとに 4 本の日単位テープを別々に使用したい場合) のテープが必要になります。その内訳は、レベル 0 に 1 本、金曜日用に 4 本、日単位テープ用に 1 本または 4 本です。
ファイルシステム全体を復元する必要があれば、次の本数のテープが必要になります。その内訳は、レベル 0 が 1 本、すべての金曜日のテープ、前週の金曜日以降の最新の日単位テープ 1 本です。
表 33-11 は、各曜日のテープには前日以降に変更があったファイルのみが入っており、毎金曜日のテープには月初めの初期レベル 0 以降に変更があったすべてのファイルが入っているスケジュールを示しています。
表 33-11 日単位増分/週単位累積バックアップスケジュール
未固定 |
月 |
火 |
水 |
木 |
金 |
|
---|---|---|---|---|---|---|
月の 1 日目 |
0 |
|
|
|
|
|
第 2 週 |
3 |
4 |
5 |
6 |
2 |
|
第 3 週 |
3 |
4 |
5 |
6 |
2 |
|
第 4 週 |
3 |
4 |
5 |
6 |
2 |
表 33-12 は、テープの内容が 2 週間でどのように変化するかを示しています。各文字はそれぞれ異なるファイルを示します。
表 33-12 日単位累積/週単位累積バックアップスケジュールのテープの内容
月曜日 |
火曜日 |
水曜日 |
木曜日 |
金曜日 |
|
---|---|---|---|---|---|
第 1 週 |
a b |
c d |
e f g |
h |
a b c d e f g h i |
第 2 週 |
j k l |
m |
n o |
p q |
a b c d e f g h i j k l m n o p q r s |
このスケジュールでは、少なくとも 9 本のテープが必要になります。その内訳は、レベル 0 に 1 本、金曜日用に 4 本、日単位テープ 4 本ですが、これは日単位テープを毎週再利用することが前提となっており、お勧めできません。週単位テープを 1 カ月保存する場合は、21 本のテープが必要になります。
ファイルシステム全体を復元する必要があれば、次のテープが必要になります。その内訳は、レベル 0 に 1 本、前回の金曜日のテープ、最後の金曜日以降のその週のすべての日単位テープです。
表 33-13 は、ユーザーがプログラム開発や文書作成のようなファイル集約型の作業を実行する小型ネットワーク上の、使用頻度の高いファイルサーバーのバックアップ方針の例を示しています。この例は、バックアップ期間が日曜日に始まり、1 週 7 日間を 4 週間行うものと想定しています。
表 33-13 サンプルサーバーのバックアップスケジュール
ディレクトリ |
日付 |
レベル |
テープ名 |
---|---|---|---|
/ |
第 1 日曜日 |
0 |
n 個のテープ |
/usr |
第 1 日曜日 |
0 |
" |
/export |
第 1 日曜日 |
0 |
" |
/export/home |
第 1 日曜日 |
0 |
" |
|
第 1 月曜日 |
9 |
A |
|
第 1 火曜日 |
9 |
B |
|
第 1 水曜日 |
5 |
C |
|
第 1 木曜日 |
9 |
D |
|
第 1 金曜日 |
9 |
E |
|
第 1 土曜日 |
5 |
F |
/ |
第 2 日曜日 |
0 |
n 個のテープ |
/usr |
第 2 日曜日 |
0 |
" |
/export |
第 2 日曜日 |
0 |
" |
/export/home |
第 2 日曜日 |
0 |
" |
|
第 2 月曜日 |
9 |
G |
|
第 2 火曜日 |
9 |
H |
|
第 2 水曜日 |
5 |
I |
|
第 2 木曜日 |
9 |
J |
|
第 2 金曜日 |
9 |
K |
|
第 2 土曜日 |
5 |
L |
/ |
第 3 日曜日 |
0 |
n 個のテープ |
/usr |
第 3 日曜日 |
0 |
" |
/export |
第 3 日曜日 |
0 |
" |
/export/home |
第 3 日曜日 |
0 |
" |
|
第 3 月曜日 |
9 |
M |
|
第 3 火曜日 |
9 |
N |
|
第 3 水曜日 |
5 |
O |
|
第 3 木曜日 |
9 |
P |
|
第 3 金曜日 |
9 |
Q |
|
第 3 土曜日 |
5 |
R |
/ |
第 4 日曜日 |
0 |
n 個のテープ |
/usr |
第 4 日曜日 |
0 |
" |
/export |
第 4 日曜日 |
0 |
" |
/export/home |
第 4 日曜日 |
0 |
" |
|
第 4 月曜日 |
9 |
S |
|
第 4 火曜日 |
9 |
T |
|
第 4 水曜日 |
5 |
U |
|
第 4 木曜日 |
9 |
V |
|
第 4 金曜日 |
9 |
W |
|
第 4 土曜日 |
5 |
X |
このスケジュールでは、4 n 本のテープ (ルート (/)、/usr、 /export、 /export/home の 4 回の完全バックアップに必要な本数) に加えて、 /export/home の増分バックアップ用に 24 本のテープを使用します。このスケジュールは、増分バックアップごとに 1 本ずつテープを使用し、それを 1 カ月は保存することを前提としています。
このスケジュールの機能は次のとおりです。
日曜日ごとに、ルート(/)、/usr、/export、/export/home の完全バックアップ (レベル 0) を実行します。レベル 0 のテープを少なくとも 3 カ月は保存します。
月の第 1 月曜日に、テープ A を使用して /export/home のレベル 9 のバックアップを実行します。ufsdump は下のレベルのバックアップ、この場合は日曜日に実行したレベル 0 のバックアップ以降に変更があったすべてのファイルをコピーします。
月の第 1 火曜日に、テープ B を使用して /export/home のレベル 9 のバックアップを実行します。この場合も、ufsdump は、下のレベル、つまり日曜日のレベル 0 のバックアップ以降に変更があったすべてのファイルをコピーします。
第 1 水曜日に、テープ C を使用してレベル 5 のバックアップを実行します。ufsdump は日曜日以降に変更があったすべてのファイルをコピーします。
木曜日と金曜日には、テープ D と E を使用してレベル 9 のバックアップを実行します。ufsdump は、下のレベルのバックアップ、つまり水曜日のレベル 5 のバックアップ以降に変更があったすべてのファイルをコピーします。
月の第 1 土曜日に、/export/home のレベル 5 のバックアップを実行します。このバックアップでは、下のレベルのバックアップ、この場合は日曜日に実行したレベル 0 のバックアップ以降に変更があったすべてのファイルがコピーされます。テープを再利用する場合は、テープ A から F までを次の 4 週間の第 1 月曜日までは保存しておきます。
次の 3 週間は、テープ G から L までと、日曜日のレベル 0 用に 4 n 本のテープを使用して、手順 1 から 6 までを繰り返します。
4 週ごとに、レベル 0 用に新しいテープ 1 組と、増分バックアップ用のテープ A から X までを再利用して、手順 1 から 7 までを繰り返します。レベル 0 のテープは、3 カ月後に再利用できるようになります。
このスケジュールでは、各ファイルを 1 カ月間で段階別に保存できます。多数のテープが必要ですが、テープのライブラリを確実に用意できます。テープの本数を減らすには、テープ A から F までを毎週再利用します。
表 33-14 は、バックアップスケジュールに関するその他の推奨事項を示しています。
表 33-14 システムのバックアップスケジュールに関する他の推奨事項