SunVTS 3.2 テストリファレンスマニュアル

SunVTS のユーザーインタフェース

SunVTS を利用したテストは、CDE、OPEN LOOK (OL) の両グラフィカルユーザーインタフェース、および TTY インタフェースから実行できます。また、コマンド行構文を利用して、シェルコマンド行から各 SunVTS テストを個別に実行することもできます (詳細は 「コマンド行からのテストの実行」を参照してください)。表 1-2 に SunVTS のユーザーインタフェースをまとめて解説します。各インタフェースの詳細については、『SunVTS 3.2 ユーザーマニュアル』を参照してください。

表 1-2 SunVTS システムのインタフェース

SunVTS システムのインタフェース 

説明 

グラフィカルユーザーインタフェース (GUI) 

CDE あるいは OPEN LOOK インタフェースでテストを実行する場合はマウスボタンを利用した操作が可能で、ポイントやクリックによりテストおよびテストオプションの選択ができます。 

TTY インタフェース 

シリアルポートに接続した端末またはモデムから SunVTS を実行できます。このインタフェースではマウスは使えず、操作にはキーボードを利用することになります。また、1 度に表示できる情報量は 1 画面分だけになります。 

コマンド行からの実行 

コマンド行構文に従ってシェルコマンド行から、SunVTS のテストを個別に実行します。コマンド行構文についての詳細は、このマニュアルで各テストごとに解説しています。 


注 -

SunVTS OPEN LOOK ユーザーインタフェースは、SunVTS の最新機能の一部をサポートしていない場合があります。すべての機能を利用するには、SunVTS CDE または TTY インタフェースを使用してください。Solaris 環境で OPEN LOOK をサポートしている限りは、SunVTS の OPEN LOOK ユーザーインタフェースは残りますが、機能拡張はされません。


ユーザーインタフェースからのテストの実行

SunVTS テストは通常、SunVTS ユーザーインタフェース (CDE、OPEN LOOK、TTY インタフェース) のどれか 1 つを利用して実行します。

これらのインタフェースでは、ボタンやメニューを利用して簡単にテストの設定、制御、結果表示をできるようになっています。操作に使うボタンやメニューについては『SunVTS 3.2 ユーザーマニュアル』で解説していますが、テストパラメタ (Test Parameter) のメニューについては各テストごとに固有の形式を取っているので、このマニュアルで追加説明します。

テストパラメタ (Test Parameter) メニュー

テストパラメタメニューに表示されるオプションは、各テストごとに異なりますが、画面の下部にあるボタンは共通です。次の図を参照してください。

図 1-1 テストパラメタオプションメニュー (CDE)

Graphic

表 1-3 テストパラメタオプションのメニュー項目

メニュー項目 

 説明

Configuration 

選択可能なデバイスのデバイスタイプ、容量、バージョン、シリアル番号などの情報を表示します。この情報は変更できません 

Options 

 選択可能なデバイス、グループ、または全デバイスのテストのカスタマイズに使うテストオプションの一覧です。表示されるオプションはテストによって異なります。詳細は、このマニュアルの各テストに対応する章を参照してください

Apply 

 選択可能なデバイスに現在のオプション値を割り当て、テストパラメタオプションメニューを閉じます。オプション値を割り当てられるのは、現在のデバイスだけです。
 Apply to Group

デバイスグループ内のすべてのデバイス(同一コントローラ上の、同じデバイスタイプのデバイス)に現在のオプション値を割り当て、テストパラメタオプションメニューを閉じます。オプション値を割り当てられるのはテストの 1 つのインスタンスだけで、複数のテストインスタンスに同じ値を同時に設定することはできません。 

Apply to All 

すべてのデバイス(すべてのコントローラ上の、同じデバイスタイプのデバイス)に現在のオプション値を割り当て、テストパラメタオプションメニューを閉じます。オプション値を割り当てられるのはテストの 1 つのインスタンスだけで、複数のテストインスタンスに同じ値を同時に設定することはできません。 

 Reset

すべてのオプション値をデフォルトの設定に戻し、テストパラメタオプションメニューを閉じます。 

 Cancel

オプション値の変更内容をすべて無視して、テストパラメタオプションメニューを閉じます。 


注 -

上記のテストパラメタオプションメニューの説明は、TTY インタフェースのテストパラメタオプションメニューについても同様に当てはまります。



注 -

上記のテストパラメタオプションメニューの説明は、OPEN LOOK インタフェースにも同様に当てはまりますが、SunVTS OPEN LOOK ユーザーインタフェースで Apply to Group および Apply to All ボタンは使用できません。


コマンド行からのテストの実行

状況によっては、SunVTS ユーザーインタフェースを使用せずに、コマンド行から SunVTS のテストを単独で実行した方が都合の良いことがあります。ここでは、これを行う方法を説明します。

特に指定しないかぎり、テストは SunVTS カーネル (vtsk) を使用しないで実行されます。すべてのイベントとエラーメッセージは stdout または stderr に送られ、ログファイルには記録されません。

コマンド行からテストを実行する場合、すべてのテストオプションは、コマンド行引数の形式で指定する必要があります。

コマンド行引数は、以下の 2 種類あります。

SunVTS のすべてのテストに共通する標準のコマンド行構文を以下に示します。


テスト名 [-scruvdtelnf] [-p 数値][-i 数値] [-w 数値]
        [-o テスト固有の引数]


注 -

64 ビットのテストは、sparcv9 サブディレクトリに格納されています (/opt/SUNWvts/bin/sparcv9/テスト名)。このディレクトリにテストが存在しない場合、そのテストは、32 ビットのテストとしてだけ実行することができます。詳細は、「32 ビットテストと 64 ビットテスト」を参照してください。


標準コマンド行引数

標準的な SunVTS コマンド行引数の定義を以下の表に示します。

表 1-4 標準的な SunVTS コマンド行引数

引数 

定義 

-s

SunVTS カーネル (vtsk) から起動された場合と同じようにテストを実行します。これによって、テストは出力を SunVTS カーネルが使用している RPC ポートに送るようになります。デフォルトでは、出力は標準出力または標準エラー出力に送られます。

-c

特定の信号を受け取った際に、現在の作業ディレクトリにテストプロセスのコアイメージを作成します。この引数を指定しないと、コアイメージを作成しないようにシグナルが処理されます。デフォルトでは、コアイメージは作成されません。 

-r

エラーが発生しても、テストを終了せずに次の処理に継続します。デフォルトでは、無効になっています。 

-u

コマンド行での使用方法を表示します。 

-v

詳細表示モードでテストを実行します。テスト処理に関する詳細なメッセージが表示されます。デフォルトでは、無効になっています。 

-d

デバッグモードでテストを実行します。テストコードのデバッグに役立つデバッグメッセージが表示されます。デフォルトでは、無効になっています。 

-t

テスト機能をトレースモードでテストを実行します。テストコードで現在使用されている関数呼び出しと、処理を追跡するメッセージが表示されます。デフォルトでは、無効になっています。 

-e

テストをストレスモードで実行します。システム負荷を大きくしてテストが実行されます。デフォルトでは、無効になっています。 

-l

テストをオンライン機能モードで実行します。これは、vtsui.online コマンドで SunVTS を起動したときにテストが実行されるのと同じモードです。これは、他のアプリケーションに大きな影響を与えないモードです。後の注意事項を参照してください。デフォルトでは、有効になっています。

-n

テストを接続テストモードで実行します。後の注意事項を参照してください。デフォルトでは、無効になっています。 

-f

テストを完全な機能テストモードで実行します。このモードは、テストがテスト対象のデバイスを完全に制御することができるものとして実行されます。後の注意事項を参照してください。デフォルトでは、無効になっています。 

-i 数値

スケーラブルなテストのインスタンス数を定義します。 

-p 数値

パス回数を定義します。 

-w 数値

スケーラブルなテストに対して、テストが割り当てられるインスタンスを定義します。 

-o

この後のオプションと引数がテスト固有のものであることを示します。注 - 各テスト固有引数はコンマで区切ります。コンマの後に空白は入れないでください。 


注 -

lnf オプションのいずれかを使用してテストモードを指定する場合は、これらのうちの 1 つのオプションだけ指定してください。異なるテストモードを同時に指定することはできません。


テスト固有の引数

テスト固有の引数は、getsubopt(3C) のマニュアルページで説明されている形式に従っている必要があります。テスト固有の引数については、該当するテストの説明を参照してください。表 1-5 を参照してください。

表 1-5 SunVTS のテスト固有引数

引数 

定義 

-o

各テスト固有の引数はコンマで区切ります。コンマの後に空白は入れないでください。以下に例を示します。 

 

# ./sample -v -o dev=/dev/audio,volume=78

 

テストオプションの形式は、getsubopt(3C) のマニュアルページに説明があります。