Solaris 7 MU3 をインストールするには、install_mu を実行するシステムと対象となるシステムで Solaris 7 がすでに稼動していなければなりません。
MU3 はシステムライブラリにパッチを適用するため、MU3 をインストールする前にシステムをシングルユーザーモードでリブートするのが最善の方法です。マルチユーザーの状態で MU3 をインストールすると、すでにマップされているライブラリのセクションとマップされていないそのライブラリのセクション間に不一致が起こり、そのライブラリは不安定な状態になります。
シングルユーザーモードでは、ネットワークサービスは使用できません。MU3 イメージが CD 上ではなくネットワーク上にある場合、シングルユーザーモードでシステムをブートする前に MU3 イメージをネットワークからローカルシステムにコピーしなければなりません。
十分なローカルディスク容量がないため MU3 イメージをローカルにコピーできない場合や CD がないまたはつながっていない場合、あるいはシステムをシングルユーザーモードにできない場合には、マルチユーザーモードで NFSTM を使用して MU3 をインストールすることになります。この場合、システムをできるだけ静かな状態 (つまり、ユーザーがすべてログアウトし、実行されているジョブがない状態) にしておく必要があります。
必ずオペレーティングシステムのバックアップをとった後、手順を進めてください。
システムがディスクレスクライアントまたは Solstice AutoClient システムとサービス領域を共有する場合は、システムに MU3 をインストールした後、そのサービス領域を使用しているクライアントごとに -R オプションを付けて install_mu を実行する必要があります。また、異機種のクライアントに対してはシステムのサービス領域に MU3 をインストールするため、-S オプションを付けて install_mu を実行する必要があります。この操作を行わないと、パッチが正しく適用されず、クライアントが不安定になります。
Solaris 7 MU3 をインストールするには、次の手順に従います。
重要なユーザープロセスまたはシステムプロセスが実行されていないことを確認します。
現在のセッションを終了します。
CDE ログイン画面が表示されます。
「オプション」ボタンをクリックして、「コマンド行ログイン」を選択します。
ログインプロンプトが表示されます。
ログイン名として root と入力し、root のパスワードを入力します。
login: root password: root password |
シングルユーザーモードでリブートします。root のシェルプロンプトで次のように実行します。
# reboot -- -s |
shutdown または init コマンドで実行レベルをマルチユーザーモードからシングルユーザーモードへ変更すると、vold プロセスが実行されたままになることがあります。この状態で MU3 CD をマウントしようとすると、問題が発生することがあります。
root のパスワードを入力します。
システムが次のメッセージを表示し、システム保守モードになっていることを確認します。
Entering System Maintenance Mode Sun Microsystems Inc. SunOS 5.7 Generic October 1998 # |
MU3 CD をマウントするには、CD をドライブに挿入し、root のシェルプロンプトで次のように実行します。
# mount -o ro -F hsfs /dev/dsk/c0t6d0s0 /cdrom |
CD-ROM ドライブが c0 以外のコントローラにあるか、t6 以外のターゲットにあることがあります。この場合は CD-ROM デバイスへのパスを変更する必要があります。CD-ROM ドライブのマウントについては、システム管理者に問い合わせてください。
install_mu を実行します。
MU3 イメージのローカルコピーから実行するには、次のように入力します。
# cd local_directory # ./install_mu any desired options |
MU3 CD から実行するには、次のように入力します。
# cd /cdrom # ./install_mu any desired options |
install_mu スクリプトはファイルシステムごとに必要なディスク容量を算出して、その容量を報告します。容量の計算には数時間かかります。環境によっては、容量の計算に 10 時間以上かかる場合があります。
パッチセット (および、必要であればバックアウトデータ) を適用するのに十分な容量があり、容量の計算を省略したい場合には、install_mu に -f オプションを付けて実行します。
以下のオプションがコマンド行で使えます。
表 2-1 install_mu のコマンド行オプション
オプション |
説明 |
---|---|
-u |
無条件のインストール。更新されるファイルが初期インストール状態から変更されているかどうかを検証しない |
-d |
パッチをバックアップしない。この引数を使うとソフトウェアのインストールに要する時間が短縮される。ただし、個々のパッチをバックアウトできなくなる。-B オプションと組み合わせて使うことはできない |
-p patchdir |
すべてのパッチが含まれているディレクトリを指定する |
-q |
install_mu の処理状況を示すドットの表示を無効にする |
-B backoutdir |
指定したディレクトリにバックアウトデータを保存する。-d オプションと組み合わせて使うことはできない |
-f |
十分なディスク容量があるかどうかをチェックせずに、パッチセットをインストールする。このオプションを使用すると時間が短縮される。ただし、このオプションを使用するときは、十分な容量があることを確認しておく。-D オプションと組み合わせて使うことはできない |
-D |
事前計算モード。パッチを適用せずに、必要なディスク容量を報告する。-f オプションと組み合わせて使うことはできない |
-R rootdir |
代替ルートディレクトリを指定する。クライアントのルート領域である rootdir 以下のディレクトリツリー内にあるパッケージシステム情報に MU3 を適用するときに使用する。-S オプションと組み合わせて使うことはできない |
-S servicedir |
代替サービス領域を指定する。Solaris のバージョンが異なる場合、またはサーバーとクライアントのアーキテクチャが異なる場合は、そのサービス領域に MU3 を適用するときに使用する。-R オプションと組み合わせて使うことはできない |
インストールが終了すると、次のメッセージが表示されます。
install_mu completed successfully. |
このメッセージが表示された場合は、手順 9 に進みます。
エラーが発生した場合は、第 5 章「エラーメッセージ」を参照してください。
次のように入力して、システム上で実行している Solaris のリリースを調べます。
# cat /etc/release |
Solaris プラットフォームのバージョンと日付が表示されます。
Solaris 7 s998_21al2b SPARC Copyright 1998 Sun Microsystems, Inc. All Rights Reserved. Assembled 06 October 1998 |
表示された Solaris プラットフォームのバージョンと日付を次の表と比較して、special patch をインストールする必要があるかどうかを決めます。
October 1998 |
January 1999 |
April 1999 |
|
---|---|---|---|
SPARC |
インストールする必要あり |
インストールする必要なし |
インストールする必要なし |
Intel |
インストールする必要あり |
インストールする必要あり |
インストールする必要なし |
special patch をインストールする必要がある場合は、「special patch のインストール」に進んでインストールを完了します。
special patch をインストールする必要がない場合は、手順 10 に進んでインストールを完了します。
次のように実行してシステムをリブートします。
# sync ; reboot |
ログインプロンプトが表示されます。
ライブラリの衝突を防ぐために、MU3 をインストールした後に必ずシステムをリブートしてください。
ログイン名とパスワードを入力します。
login: login password: password |