この節では、性能の低下とシステムのハングアップの問題を取り上げます。
処理内容に関係する次の表現が含まれているエラーメッセージが表示されます。
次の一般的な現象が観察されることもあります。
コマンドを実行しても、長時間、何も行われていないように見える
システムやシェルが、キーボードやマウスの操作に全く反応しない
NIS+ の動作が通常よりも遅い
誰かが nisping か nisping -C どちらかのコマンドを実行しました。または、rpc.nisd デーモンが、チェックポイントを実行しています。
再起動しないでください。nisping を実行しないでください。
nisping やチェックポイントを実行すると、サーバーは反応が遅くなったり、他のコマンドにすぐに応答しなくなったりすることがあります。名前空間のサイズに応じて、このようなコマンドが完了するまでに、かなりの時間を要します。これらのコマンドの実行中に、誰かが同様のコマンドを実行すると、所要時間は何倍にもなります。再起動も行わないでください。この種の問題は自然に解決します。サーバーが nisping やチェックポイントの実行を完了するまで待つだけです。
マスターサーバーと複製サーバーの同期が完全に行われている場合、同期が完了するまで、複製サーバーはサービスを停止します。再起動しないで待機してください。
NIS_PATH
変数が、明快かつ単純な値に設定されているかどうか確認します。たとえば、デフォルトでは org_dir.$:$ に設定されています。複雑な NIS_PATH
、特に他の変数を含んでいる変数は、システムの速度を低下させ、特定の操作にエラーを引き起こす可能性があります (詳細は、「環境変数 NIS_PATH」を参照)。
デフォルト以外のテーブルパスを指定するために nistbladm を使用することは避けてください。デフォルト以外のテーブルパスを指定すると、性能は低下します。
テーブルパスは使用しないでください。性能を低下させることになります。
1 つのドメインの中に複製サーバーが多すぎる場合は、複製作業を行なっている間はシステムの性能が低下します。1 つのドメインまたはサブドメインの中に、10 台より多くの複製サーバーを置くことは避けてください。ドメインの中の複製サーバーが 5 台より多い場合は、何台かを取り除いて性能が改善されるかどうか調べます。
再帰的なグループとは、他のグループを包含するグループのことです。グループの中に他のグループを含めると、システム管理者として行う作業は減少しますが、システムの速度は低下します。再帰的なグループを使うべきではありません。
rpc.nisd は、起動時に各ログを参照します。ログが大きい場合、rpc.nisd を起動する前に、nisping -C を使用して、チェックポイントを実行する方がよいかもしれません。
「症状」
-M オプションを指定して要求をマスターサーバーに送ったときに、マスターのマシンで rpc.nisd デーモンが終了していると、「server not responding」タイプのエラーメッセージが発生し、更新を行うことは認められません。-M オプションを指定しなかったときは、要求は機能している複製サーバーに自動的に転送されます。
「考えられる原因」
ホームディレクトリ名やホスト名の一部として大文字を使うと、rpc.nisd デーモンが終了することがあります。
「診断」
最初に、サーバー自体が起動されて、動作しているかどうか確認します。動作している場合は、ps -ef | grep rpc.nisd を実行し、デーモンが動作しているかどうか調べます。
「対策」
デーモンが終了している場合は、起動し直します。たびたびデーモンが終了する場合は、ご購入先にご連絡ください。
「症状」
あるマシンが他のドメインにある名前空間オブジェクトを探すのに、非常に長い時間がかかっています。
「考えられる原因」
nis_cachemgr を実行していません。
「診断」
ps -ef | grep nis_cachemgr を実行して、nis_cachemgr が動作しているかどうか確認します。
「対策」
そのマシンで、nis_cachemgr を起動します。
「症状」
NIS+ のスクリプトを使用して NIS+ をインストールした後、サーバーの動作が非常に遅く、緩慢です。
「考えられる原因」
nispopulate スクリプトを動作させた後、nisping -C -a を実行していません。
「対策」
nisping -C -a を実行して、できるだけ早くチェックポイントを実行します。
「症状」
niscat を実行すると、サーバーがビジーであるというエラーメッセージが表示されます。
「考えられる原因」
再同期を実行しているときのように重い負荷がかかっていて、サーバーがビジーです。
サーバーがスワップ空間を使い果たしました。
「診断」
swap -s を実行して、サーバーのスワップ空間をチェックします。
「対策」
NIS+ を実行するには、適度のスワップ空間とディスク容量を用意すべきです。必要に応じて、空間を増やします。
「症状」
NIS+ サーバーのホスト名を完全指定することは、推奨されていません。このような指定を行なった後、NIS+ の照会を実行すると、エラーメッセージを表示することなくハングアップが発生しました。次の可能性をチェックします。
「考えられる原因」
完全指定のホスト名は、次の条件を満たしていなければなりません。
ホスト名のドメイン部は、domainname コマンドの結果と完全に一致している
ホスト名を完全指定名に変更した後、/etc や /etc/inet 内のファイルに、新しいホスト名の情報を反映させる
ホスト名の終わりにピリオドをつける
「対策」
ハングアップした NIS+ プロセスを終了させ、ホストやサーバーの rpc.nisd も終了させます。上の 2 つの条件に合わせて、ホスト名を変更します。nisinit を使用してサーバーを初期設定します。ホスト名が正しいことを確認した後もハングアップが発生する場合は、この節の他の考えられる原因をチェックしてください。