enatest は、Sun StorEdge(TM) A5000 (旧製品名は Sun Enterprise Network Array) の構成の検査、修理後の検査、障害の切り分けに使用します。
Sun StorEdge A5000 は、以下から構成される、可用性に優れた外部記憶装置サブシステムです。
デュアル 100MB FC-AL ポートを持つ、SCSI 光ファイバチャネルプロトコル対応ホストアダプタ
ディスク格納装置
構成情報を表示する正面パネルのディスプレイ
インタフェースボード (格納装置に最高 2 枚まで)。これらのインタフェースボードは、各装置との FC-AL 接続機構になります。格納装置内の状態情報を提供し、状態の制御を可能にします。
格納装置内に含まれる、電源装置、ファントレイ、バックプレーンなどのその他の FRU
enatest は、ホストに接続されているすべての Sun StorEdge A5000 格納装置を検出し、関連する構成情報を収集します。図 11-1 は、構成情報とテストパラメタからなる Options メニューの例です。表 11-1 に、enatest のテスト内容と表示される構成情報の例を示します。
表 11-1 enatest の内容
テスト内容 |
説明 |
---|---|
Host Connections (ホスト接続) |
ホストと格納装置間の、有効な接続と有効ではない接続をすべて調べ、有効な接続数を報告します。VERBOSE (詳細) モードが有効な場合は、有効な各接続について、ホスト側の socal ポートと格納装置側の GBIC ポートが報告されます。また、有効ではない接続を診断し、考えられる障害の原因を報告します。有効ではない接続がある場合は、テストは失敗します。詳細は、「障害の切り分け」を参照してください。 |
格納装置が SBus socal カードに接続されている場合の出力例:
SUNWvts.enatest.1010 06/05/97 13:48:53 enatest ses0 VERBOSE: "MYBOX: Lower-Right GBIC connected to host via /devices/sbus@1f,0/SUNW,socal@0,0:1" SUNWvts.enatest.1006 06/05/97 13:48:53 enatest ses0 VERBOSE: "MYBOX: Interface Board (Bottom one in the enclosure) detected to be installed and OK "SUNWvts.enatest.6023 06/05/97 13:48:53 enatest ses0 ERROR: "MYBOX: Cannot communicate with the enclosure via /devices/sbus@1f,0/SUNW,socal@0,0:0; possibly connected to Lower-Left GBIC in the enclosure" Probable_Cause(s) (1)Signal too low at the GBIC module in the enclosure (2)Faulty cable or cable disconnected (3)Faulty GBIC module on the host sideRecommended_Action(s): (1)Ensure the cables are properly connected (2)Please contact your service representative SUNWvts.enatest.2006 06/05/97 13:48:53 enatest ses0 INFO: "MYBOX: Number of connections to the host: 1" |
|
Disk Access (ディスクアクセス) |
それぞれの有効な接続を使用して、各ディスクにアクセスします。すなわち、ディスクのパーティション 2 を開いて、512 バイトの raw データを読み取ります。障害がある場合は、格納装置の構成装置、ケーブル、ホストアダプタカード、ホストアダプタの OE モジュールのどこに障害があるのかを切り分けようとします。詳細は、「障害の切り分け」を参照してください。 |
Enclosure Status (格納装置の状態) |
格納装置内の SCSI 格納装置サービス (SES) デバイスに問い合わせることによって、格納装置の状態情報を取得し、構成装置の状態に関する詳細情報を報告します。格納装置内で危険な状態が検出された場合、テストは失敗します。報告される状態情報については、表 11-2 を参照してください。 |
表 11-2 格納装置構成装置の状態情報
構成装置 |
情報 |
---|---|
ディスク |
Fault Sensed: Yes/No Status of ports A and B: Connected or Bypassed |
電源装置 |
Status: ON/OFF Temperature: OK/Critical Overtemp/Abnormal AC Input: OK/Not OK DC Output: OK/Not OK |
ファン |
Status: On/Off Speed: High/Low/Stopped |
バックプレーン |
Status: OK/Failed Status of ports A and B: Connected/Bypassed |
インタフェースボード |
Temperature: OK/Critical Overtemp Loop A status: OK/Failed Loop B status: OK/Failed |
GBIC |
Status: Disabled/Enabled Signal Level: OK/Too low Transmitter: OK/Failed |
オプション |
説明 |
---|---|
Enclosure Services Functional Test (格納装置サービスに対する機能テスト) (全般的な説明) |
SES デバイスを使用して、格納装置内のデバイスに対していくつか制御動作を行い、それらの動作が正しく行われたかどうかを確認します。この機能テストは、以下の順序で行われます。 (a) 制御動作を行います。 (b) 制御動作が成功したかどうかを確認します。 (c) 元の状態に戻します。 (d) 正しく元の状態に戻ったかどうかを確認します。 上記の動作のいずれかが失敗した場合、テストは失敗します。
このテストは、格納装置内のディスクとファンを対象にしています。 |
Enclosure Services Functional Test (格納装置サービスに対する機能テスト) (ディスクテストの詳細) |
(a) Control Operation (制御動作): ディスクの各ポートを元の状態から切り替えます。すなわち、元々接続されていたポートをバイパスし、バイパスされていたポートを接続します。 (b) Verify Control Operation (制御動作の確認): これは、2 つの方法で行われます。最初に、SES デバイスを使用して状態を読み取ることによって、ディスクポートの新しい状態を確認します。状態の変更が反映されていない場合、テストは失敗します。次に、元々接続されていて、現在はバイパスされているポートを使用してディスクアクセスを試みます。この試みが成功した場合、テストは失敗します。 (c) Restore State (状態の復元): ポートを制御動作の前の状態に戻します。 (d) Verify Restore Operation (復元の確認): これは、2 つの方法で行われます。最初に、SES デバイスを使用して状態を読み取ることによって、ディスクポートの新しい状態を確認します。状態の変更が反映されていない場合、テストは失敗になります。次に再接続されたポートを使用してディスクアクセスを試みます。この試みが失敗した場合、テストは失敗します。 |
Enclosure Services Functional Test (格納装置サービスに対する機能テスト) (ファンテストの詳細) |
(a) Control Operation (制御動作): 各ファンの速度を切り替えます。切り替えられる速度は、HIGH または LOW です。 (b) Verify Control Operation (制御動作の確認): SES デバイスを使用して状態を読み取り、速度を比較します。この場合、速度の切り替えに失敗しても、ファン速度を変更できなかったことを示す情報メッセージが表示されるだけで、テストが失敗することはありません。これは、周囲温度によってファン速度の変更が必要であったとしても、SES が変更要求を無視できるためです。 (c) Restore State (状態の復元): ファンを元の速度に戻します。 (d)Verify Restore Operation (復元の確認): これは、上記の Verify Control Operation (制御動作の確認) に似た処理です。 |
enatest は、障害を検出した場合に考えられる原因を報告することによって、障害の切り分けの支援をします。障害の切り分けが行われるかどうかは、障害の内容とシステムの構成に依存します。enatest は、ハード障害を検出して切り分けることができます。表 11-4 は、システム構成別に障害切り分けの有無をまとめたものです。○は、該当する構成では、その部品に対する障害切り分けが行われることを意味します。×は、該当する構成では、その部品に対する障害切り分けが行われないことを意味します。
PCI ベースのファイバチャネルカードには障害切り分け機能がないため、次の表の内容は当てはまりません。
表 11-4 enatest の障害切り分け
格納装置への接続数 |
システムアーキテクチャー |
SOC+ ホスト アダプタ |
ホスト側 GBIC またはケーブル |
格納装置の構成装置 |
|||
---|---|---|---|---|---|---|---|
ディスク |
バック プレーン |
IB |
GBIC |
||||
複数 |
sun4u |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
複数 |
sun4d |
○ |
× |
○ |
○ |
× |
× |
単一 |
sun4u |
○ |
× |
× |
× |
× |
× |
単一 |
sun4d |
○ |
× |
× |
× |
× |
× |
テストモード |
説明 |
---|---|
接続テストモード(Connection Test) |
接続テストモードでは、格納装置のホストとの接続と状態が検査されます。 接続が切断されているか、格納装置で危険な状態が検出された場合、テストは失敗します。 危険ではなくても、エラーが検出された場合は、警告が発行されます。 以下は、接続テスト時の出力例です。 |
Connection test starting....
ses0 Status: Connected Enclosure: Product Anemones Enterprise Network Array, Enclosure Name=MYBOX, Host Connections: Number of Active Connections=2, Enclosure State: Critical Conditions=None, Non-Critical Conditions=None
Connection test complete |
|
機能テストモード (オフライン) |
すべてのテストオプションを使用できます。 |
機能テストモード (オンライン) |
デフォルトで、格納装置サービスの機能テストが使用不能に、また Disk Access オプションが無効に設定されています。 |
/opt/SUNWvts/bin/enatest 標準引数 -o dev=デバイス名, disk_access=enable|disable,disks=disk1:disk2:disk3:...diskn,disp=enable|disable, esfunc=enable|disable
表 11-6 enatest コマンド行構文
引数 |
説明 |
---|---|
dev |
格納装置内の SES デバイス名を指定します。 |
disk_access |
ディスクにアクセスするには、このオプションを有効にします。 |
disks |
disks_access オプションを有効にしてアクセスしようとする格納装置内のディスクを、コロン (:) で区切って指定します。disks オプションが省略された場合は、格納装置内のすべてのディスクがアクセスされます。 |
disp |
格納装置の構成装置に関する詳細な状態情報を表示するには、このオプションを有効にします。 |
esfunc |
格納装置サービスに対する機能テストを行うには、このオプションを有効にします。 |
64 ビットのテストは、sparcv9 サブディレクトリに格納されています (/opt/SUNWvts/bin/sparcv9/テスト名)。このディレクトリにテストが存在しない場合、そのテストは、32 ビットのテストとしてだけ実行することができます。詳細は、「32 ビットテストと 64 ビットテスト」を参照してください。
表 11-7 に、enatest のエラーメッセージ、考えられる原因、対処方法を示します。
表 11-7 enatest のエラーメッセージ
|
エラーメッセージ |
考えられる原因 |
対処方法 |
---|---|---|---|
6000 |
格納装置名: Unable to access disk ディスク名 (格納装置名, Front|Rear, Slot) |
ディスクの不良 |
購入先に問い合わせてください。 |
6001 |
Unable to access any disk through host adapter: ホストアダプタの デバイス名 |
ホストアダプタの不良 |
ホストアダプタに SunVTS の socaltest を実行してください。 |
6002 |
Unable to access any disk through host adapter device |
ホストアダプタの不良 |
ホストアダプタに SunVTS の ifptest を実行してください。 |
6003 |
格納装置名: Unable to access disk ディスク名 (格納装置名, Front|Rear, Slot) through ホストアダプタのデバイス名. This disk is still accessible through other path(s) |
ディスクのポート A または B の障害 |
購入先に問い合わせてください。 |
6004 |
格納装置名: Failed to determine the location of disk ディスク名 |
不正なデバイス名 |
購入先に問い合わせてください。 |
6005 |
格納装置名: Could not access ディスク名 (格納装置名, Front|Rear, Slot) through ホストアダプタのデバイス名 |
ホストアダプタの不良 |
購入先に問い合わせてください。 |
6006 |
格納装置名: Disk ディスク名 cannot be accessed through ホストアダプタのデバイス名 |
このディスクにアクセスするのに必要な、格納装置内のインタフェースボードに重大な障害が検出されました。 |
購入先に問い合わせてください。 |
6007 |
格納装置名: Disk ディスク名 cannot be accessed through ホストアダプタのデバイス名 |
このディスクにアクセスするのに必要なインタフェースボードが、格納装置に取り付けられていません。 |
|
6008 |
格納装置名: Disk ディスク名 cannot be accessed through ホストアダプタのデバイス名 |
このディスクにアクセスするのに必要な、格納装置内の GBIC モジュールに重大な障害 (トランスミッタの障害) が検出されました。 |
購入先に問い合わせてください。 |
6009 |
格納装置名: Disk ディスク名 cannot be accessed through ホストアダプタのデバイス名 |
このディスクにアクセスする格納装置内の GBIC モジュールのライトが消えています。 |
購入先に問い合わせてください。 |
ケーブルの不良 |
|||
ホスト側 GBIC モジュールの不良 |
|||
6011 |
格納装置名: Failed to read enclosure status through ホストアダプタのデバイス名 |
ケーブルの不良、GBIC の不良 |
ホストアダプタに SunVTS の ifptest を実行してください。 |
6012 |
格納装置名: Failed to read enclosure status through ホストアダプタのデバイス名 |
ホストアダプタの不良 |
ホストアダプタに SunVTS の ifptest を実行してください。 |
6013 |
格納装置名: Could not access ディスク名 (enclosure name, Front|Rear, Slot) through ホストアダプタのデバイス名 |
ホスト側 GBIC モジュールの不良 |
|
ケーブル接続の不良 |
|||
6014 |
格納装置名: Could not access ディスク名 (enclosure name, Front|Rear, Slot) through ホストアダプタのデバイス名 |
ホストアダプタの不良 |
|
ホスト側 GBIC モジュールの不良 |
|||
ケーブルの不良 |
|||
6015 |
格納装置名: Could not access ディスク名 through ホストアダプタのデバイス名 |
ディスクが取り付けられていません。 |
|
6016 |
格納装置名: Could not access ディスク名 through ホストアダプタのデバイス名 |
ディスクは検出されましたが、バイパスされているか、電源が入っていない可能性があります。 |
|
6017 |
格納装置名: Disk ディスク名 cannot be accessed through ホストアダプタのデバイス名 |
このディスクにアクセスするのに必要な、格納装置のバックプレーンに重大な障害が検出されました。 |
購入先に問い合わせてください。 |
6018 |
格納装置名: Disk ディスク名 cannot be accessed through ホストアダプタのデバイス名 |
このディスクにアクセスするのに必要なバックプレーンが格納装置に取り付けられていません。 |
|
6019 |
格納装置名: Disk ディスク名 cannot be accessed through ホストアダプタのデバイス名 |
このディスクにアクセスするのに必要な GBIC モジュールが格納装置に取り付けられていません。 |
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6020 |
格納装置名: Cannot communicate with the enclosure via ホストアダプタのデバイス名 |
格納装置内の上または下のインタフェースボードで、重大な障害が検出されました。 |
購入先に問い合わせてください。 |
6021 |
格納装置名: Cannot communicate with the enclosure via ホストアダプタのデバイス名 |
上部または下部のインタフェースが格納装置に取り付けられていません。 |
|
6022 |
格納装置名: Cannot communicate with the enclosure via ホストアダプタのデバイス名; possibly connected to 位置 GBIC in the enclosure |
格納装置内の GBIC モジュールに重大な障害 (トランスミッタの障害) が検出されました。 |
購入先に問い合わせてください。 |
6023 |
格納装置名: Cannot communicate with the enclosure via ホストアダプタのデバイス名; possibly connected to 位置 GBIC in the enclosure |
格納装置内の GBIC モジュールの信号レベルが低すぎます。 |
ケーブルが正しく接続されているか確認してください。購入先に連絡してください。 |
ケーブルの不良、またはケーブルが接続されていません。 |
|||
ホスト側 GBIC モジュールの不良 |
|||
6024 |
格納装置名: Cannot communicate with the enclosure via ホストアダプタのデバイス名 |
GBIC モジュール (位置) が格納装置に取り付けられていません。 |
|
6026 |
格納装置名: Failed to Restore|Toggle disk (Front|Rear, slot スロット番号) state. Expected: Port A: Bypassed|Connected; Port B: Bypassed|Connected; Observed: Port A: Bypassed|Connected; Port B: Bypassed|Connected |
格納装置サービスまたは格納装置の構成装置のエラー |
購入先に問い合わせてください。 |
6027 |
格納装置名: Unable to access disk ディスク名 (Front|Rear slot スロット番号) through port A|B even after bringing the port online |
格納装置サービスまたは格納装置の構成装置のエラー |
購入先に問い合わせてください。 |
6028 |
格納装置名: Disk access succeeded for ディスク名 (Front|Rear slot スロット番号) through port A|B even after requesting that the port be bypassed |
格納装置サービスまたは格納装置の構成装置のエラー |
購入先に問い合わせてください。 |
6035 |
格納装置名: Cannot access enclosure through ホストアダプタのデバイス名 |
格納装置内での深刻な GBIC 障害 disabled|enabled 信号レベル; Transmitter: Failed|OK; 位置_GBIC: disabled|enabled Signal: 信号レベル; Transmitter: Failed|OK |
購入先に問い合わせてください。 |
6036 |
格納装置名: Critical condition detected in enclosure! |
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機能テストモードでテストを実行し、詳細な情報を入手してください。 購入先に問い合わせてください。 |
8001 |
Could'nt determine the host adapter through which ディスク名 being accessed |
ソフトウェアエラー |
購入先に問い合わせてください。 |
8003 |
Internal error |
テストのソフトウェアエラー |
購入先に問い合わせてください。 |
システムエラーメッセージ |
|||
8004 |
格納装置名: Could not communicate with enclosure via ホストアダプタのデバイス名 |
接続不良 |
ケーブルが正しく接続されているか確認してください購入先に問い合わせてください。 |
8005 |
Could not communicate with the enclosure |
接続不良 |
ケーブルが正しく接続されているか確認し、SunVTS の socaltest を実行してホストアダプタを検査してください。購入先に問い合わせてください。 |