この節では、アップグレード時にのみ発生する問題について説明します。
ディスクレスクライアントを持つサーバーの Solaris オペレーティング環境をアップグレードするとき、/usr に対する dfstab 行のオプションが保存されません。たとえば、dfstab ファイルに次のように入力したとします。
share -F nfs -o rw /export/exec/Solaris_2.7_sparc.all/usr |
アップグレード時に、このエントリが自動的に次のように置換されてしまいます。
share -F nfs -o ro /export/exec/Solaris_2.7_sparc.all/usr |
回避方法 : ディスクレスクライアントまたは SolsticeTM AutoClientTM を持つ OS サーバーで Solaris オペレーティング環境をアップグレードする前に、各クライアントの /etc/dfs/dfstab ファイルのバックアップを取っておいてください。
複数の SPARC カーネルアーキテクチャのディスクレスクライアントを持つサーバー (たとえば、sun4c、sun4d、sun4m アーキテクチャのディスクレスクライアントを持つ sun4u サーバー) をアップグレードした後、サーバーとはカーネルアーキテクチャが異なるクライアントの SUNWkvm パッケージには、パッチを適用できません。
回避方法 : SUNWkvm に関連するパッチを適用する前に、手動ですべての SUNWkvm パッケージを追加してください。
# pkgadd -d SUNWkvm.* |
アップグレードプログラムは、Solaris ソフトウェアのシステムをアップグレードするために必要な容量よりも 30% 多くの容量を見積もります。したがって、アップグレードできるシステムでも、パッケージの選択を解除したり、容量を増やしたりしないとアップグレードできない場合があります。
回避方法 : 手動でファイルシステムのディスク容量を再度割り当ててください。または、「ソフトウェアのカスタマイズ」メニューを選んで、不要なソフトウェアパッケージを削除してください。
システムのリブート時に、Solstice AutoClient から次のようなメッセージが出力されます。
fsck -F cachefs: Cache directory /.cache/rootcache does not exist. mount -F cachefs: cache fsck mount failed fsck -F cachefs: Cache directory /.cache/rootcache does not exist. mount -F cachefs: cache fsck mount failed |
/ (ルート) ファイルシステムのファイルシステムの種類が cachefs であることが、カーネルに対して通知されています。この問題によって影響を受ける Solstice AutoClient があるかどうかを、システムのアップグレード前に調べるには、サーバー上の /export/root/<クライアント名>/var/sadm/pkg ディレクトリ (Solstice AutoClient 上の /var/sadm/pkg ディレクトリ) を確認してください。このディレクトリに TADcar というサブディレクトリがある場合は、上記の問題によって影響を受ける Solstice AutoClient があります。
回避方法 : アップグレード後に、Solstice AutoClient の /etc/system ファイル中に次の行を追加してください。
rootfs:cachefs |
Solstice AutoClient 上の /etc/system ファイルが、サーバー上に /export/root/<クライアント名>/etc/system として格納されます。
サーバーをアップグレードしたときに、Solaris 7 - 11/99 Software CD の Patches ディレクトリにあるパッチがサーバー上のクライアント OS へ自動的には適用されません。
回避方法 : サーバーのアップグレードが完了した後に、Patches ディレクトリにあるパッチをサーバー上のクライアント OS に適用してください。
sun4u のディスクレスクライアントまたは Solstice AutoClient を持つサーバーシステムのオペレーティング環境を Solaris 2.6 - 3/98 または Solaris 2.6 - 5/98 からアップグレードしても、パッケージ SUNWcvc.u および SUNWdrr.u がサーバー上のディスクレスクライアント OS または Solstice AutoClient OS にインストールされません。
回避方法 : アップグレード完了後に、パッケージ SUNWcvc.u および SUNWdrr.uを sun4u のディスクレスクライアント OS または Solstice AutoClient OS に追加してください。クライアントシステムの名前を foo として、手順を示します。
Solaris 7 - 11/99 Software CD (SPARC 版) をマウントします。
以下のディレクトリに移動します。
# cd /cdrom/ja_sol_7_1199_sparc/s0/Solaris_2.7/Product |
pkgadd コマンドを使用してパッケージを追加します。
# pkgadd -R /export/root/foo -d `pwd` SUNWcvc.u # pkgadd -R /export/root/foo -d `pwd` SUNWdrr.u |
オペレーティング環境を Solaris 7 - 3/99、5/99、または 8/99 から Solaris 7 - 11/99 へアップグレードすると、次に示すようなエラーメッセージがアップグレードログに記録されます。
Doing pkgadd of SUNWplow to /. pkgadd: ERROR: unable to create package object </a/usr/openwin/share/locale/de.ISO8859-15>. file type <s> expected <d> actual unable to remove existing directory at </a/usr/openwin/share/locale/de.ISO8859-15> .... Installation of <SUNWplow> partially failed. pkgadd return code = 2 Doing pkgadd of SUNWpldte to /. WARNING: /a/usr/dt/appconfig/types/de.ISO8859-15 may not overwrite a populated directory. ...... pkgadd: ERROR: /a/usr/dt/appconfig/types/de.ISO8859-15 could not be installed. ....... Installation of <SUNWpldte> partially failed. pkgadd return code = 2 |
アップグレードログに示されているディレクトリは、パッチによってシンボリックリンクからディレクトリに変更されます。この変更がアップグレード時にインストールしようとしたパッケージに含まれていないため、上記のエラーメッセージが出力されます。ただし、アップグレードしたシステムのオペレーティング環境に対して、このエラーによる影響はありません。
回避方法 : 問題は発生しないので、このエラーメッセージは無視してください。
Solaris 7 オペレーティング環境から、ディスク容量の再配置機能を使用してアップグレードを実行すると、シンボリックリンクがなくなるために Java 関連コマンドが見つからなくなります。
回避方法 : 以下の手順でシンボリックリンクを復元します。
パッケージ SUNWjvdev および SUNWjvrt を削除します。
# pkgrm SUNWjvdev SUNWjvrt |
パッケージ SUNWjvrt および SUNWjvdev を再インストールします。
# pkgadd -d /cdrom/ja_sol_7_1199_sparc/s0/Solaris_2.7/Product SUNWjvrt SUNWjvdev |
Solaris 7 - 11/99 ソフトウェアが CD-ROM 以外の場所にマウントされている場合は、-d オプションの引数として、Solaris_2.7/Product ディレクトリへの絶対パスを指定してください。