Sun Java System Messaging Server 6 2005Q4 管理ガイド

第 4 章 一般的なメッセージング機能の設定

この章では、サービスの起動と停止、ディレクトリアクセスの設定など、Sun ONE Server Console (以下、省略してコンソールという) またはコマンド行ユーティリティーを使って実行できる Messaging Server の一般的なタスクについて説明します。個々の Messaging Server サービス (POP、IMAP、HTTP、SMTP など) に固有のタスクについては、あとの章で説明します。この章には、次の節があります。

パスワードを変更するには

初期設定 (「Messaging Server の初期実行時設定を作成する」を参照) で同じパスワードを持つ多数の管理者を設定しているため、これらの管理者のパスワードを変更したい場合もあります。

初期実行時設定の際にデフォルトのパスワードが設定されているパラメータと、それらを変更するためのユーティリティーを確認するには、表 4–1 を参照してください。configutil ユーティリティーを使用してパスワード変更するパラメータについては、『Sun ONE Messaging Server Reference Manual』で構文の詳細と使用方法を確認してください。

表 4–1 Messaging Server の初期実行時設定で設定されるパスワード

パラメータ 

説明 

local.ugldapbindcred

configutil ユーティリティーを使って設定したユーザー/グループ管理者のパスワードです。

local.service.pab.ldappasswd

configutil ユーティリティーを使って設定した、PAB 検索のバインド DN によって指定されたユーザーのパスワードです。

キーファイルの SSL パスワード 

sslpassword.conf ファイル内に直接設定されているパスワードです。

サービス管理者の資格 

ldapmodify コマンドを使って LDAP ディレクトリに直接設定されている資格です。

Delegated Administrator のサービス管理者 

Sun LDAP Schema 1 が有効になっていて、iPlanet Delegated Administrator ユーティリティーを使用している場合は、この管理者のパスワードを変更するだけで済みます。 

Delegated Administrator サービス管理者のパスワードを変更するには、Sun ONE Console、LDAP ディレクトリ (ldapmodify コマンドで)、または Delegated Administrator の UI でパスワードを変更します。

ストア管理者 

ストア管理者のパスワードを変更するには、Sun ONE Console または LDAP ディレクトリ (ldapmodify コマンドで) のどちらかでパスワードを変更できます。

次の例では、local.enduseradmincred configutil パラメータを使用してエンドユーザー管理者のパスワードを変更します。


configutil -o local.enduseradmincred -v newpassword

メールユーザー、メーリングリスト、およびドメインを管理する

すべてのユーザー、メーリングリスト、およびドメインの情報は、LDAP ディレクトリ内にエントリとして保存されています。LDAP ディレクトリには、従業員、顧客、または組織に何らかのかかわりを持つその他の人々に関する詳細な情報を保存しておくことができます。これらの人々は、組織のユーザーとして扱われます。

LDAP ディレクトリ内のユーザー情報は、各ユーザーエントリのさまざまな属性に基づいて効率的に検索できるようになっています。ユーザーエントリに関連付けられている属性には、氏名やその他の ID、部署、職名、勤務地、マネージャー名、直属の部下名、組織内の各部へのアクセス権限、およびその他の詳細設定があります。

組織内に電子メッセージングサービスがある場合は、大部分またはすべてのユーザーがメールアカウントを持っているはずです。Messaging Server の場合、メールアカウント情報はサーバーにローカルには保存されません。これは、LDAP ユーザーディレクトリの一部です。各メールアカウントの情報は、ディレクトリ内のユーザーのエントリに付加されたメール属性として保存されます。

メールユーザーとメーリングリストの作成と管理は、ディレクトリ内のユーザーおよびメーリングリストのエントリを作成および変更することによって行います。これを行うには、Sun LDAP Schema 2 対応の Delegated Administrator およびメッセージング用 iPlanet Delegated Administrator (Sun LDAP Schema 1 対応) の Delegated Administrator コマンド行ユーティリティーを使うか、Sun LDAP Schema 1 の LDAP ディレクトリを直接変更します。

ProcedureMessaging Server からユーザーを削除するには

手順
  1. commadmin user delete コマンドを実行して、ユーザーを削除済みとしてマークします。(『Sun Java System Communications Services 6 2005Q4 Delegated Administrator 管理ガイド』の第 5 章「コマンド行ユーティリティー」を参照。)

  2. ユーザーからサービスを削除します。

    サービスとしては、メールボックスやカレンダなどがあります。Messaging Server の現在のバージョンの場合、このプログラムの名前は msuserpurge です。(『Sun Java System Messaging Server 6 2005Q4 Administration Reference』「msuserpurge」を参照。)カレンダサービスの場合、このプログラムの名前は csclean です。(『Sun Java System Calendar Server 6 2005Q4 Administration Guide』を参照。)

  3. commadmin domain purge コマンドを呼び出して、ユーザーを永久に削除します。

ProcedureMessaging Server からドメインを削除するには

手順
  1. commadmin domain delete コマンドを実行して、ドメインを削除済みとしてマークします。(『Sun Java System Communications Services 6 2005Q4 Delegated Administrator 管理ガイド』の第 5 章「コマンド行ユーティリティー」を参照。)

  2. そのドメインのユーザーからサービスを削除します。

    サービスとしては、メールボックスやカレンダなどがあります。Messaging Server の場合、このプログラムの名前は msuserpurge です。(『Sun Java System Messaging Server 6 2005Q4 Administration Reference』「msuserpurge」を参照。)カレンダサービスの場合、このプログラムの名前は csclean です。(『Sun Java System Calendar Server 管理ガイド』を参照。)

  3. commadmin domain purge コマンドを呼び出して、ドメインを永久に削除します。

Sun ONE Console を使った Messaging Server の管理

Messaging Server のインストールプロセスと初期実行時設定プログラムが完了すると、管理コンソールから Messaging Server を起動することができます。ディレクトリサーバーとメッセージングサーバーが同じマシンに存在する場合は、Console インタフェースを使用して両方のサーバーを管理できます。

コンソールを起動するには、/var/opt/mps/serverroot/startconsole コマンドを実行します。

インストールした Messaging Server に関する基本情報を確認するには、Sun ONE Server Console を使って情報フォームを表示します。

情報フォームを表示するには、次の手順に従います。

ProcedureSun ONE Console を使って Messaging Server を管理するには

手順
  1. コンソールで、情報を表示する Messaging Server を開きます。

  2. 左側のペインにあるサーバーのアイコンを選択します。

  3. 左側のペインの「設定」タブをクリックします。

  4. 右側のペインの「情報」タブをクリックします。

    情報フォームが表示されます。このフォームには、サーバー名、サーバーのルートディレクトリ、インストールディレクトリ、およびインスタンスディレクトリが表示されます。

サービスを起動および停止する

サービスを起動および停止する方法は、そのサービスが HA 環境にインストールされているかどうかによって異なります。

HA 環境でサービスを起動および停止するには

Messaging Server を HA 制御下で実行している場合は、個々の Messaging Server サービスを制御するための通常の Messaging Server コマンド (起動、再起動、停止) を使用することはできません。HA 配備で stop-msg を試みると、HA 設定が検出されたという警告と適切なシステムの停止方法が示されます。

次の表に、適切な起動、停止、再起動のコマンドを示します。ほかの Messaging Server サービス (たとえば SMTP) を個別に起動、再起動、停止するための特定の HA コマンドはないことに注意してください。ただし、stop-msg service コマンドを実行して、imappopsched などの個々のサーバーを停止または再起動することはできます。

Sun Cluster の最小単位は、個々のリソースです。Messaging Server は Sun Cluster でリソースとして認識されるため、scswitch コマンドがすべての Messaging Server サービスに影響を及ぼします。

表 4–2 Sun Cluster 3.0/3.1 環境での起動、停止、再起動

動作 

個々のリソース 

リソースグループ全体 

起動 

scswitch -e -j resource

sscswitch -Z -g resource_group

再起動 


scswitch -n -j resource
scswitch -e -j resource

scswitch -R -g resource_group

停止 

scswitch -n -j resource

scswitch -F -g resource_group

表 4–3 Veritas 1.3、2.0、2.1、および 3.5 環境での起動、停止、再起動

動作 

個々のリソース 

リソースグループ全体 

起動 

hares -online resource -sys system

hagrp -online group -sys system

再起動 


hares -offline resource -sys system
hares -online resource -sys system

hagrp -offline group -sys system
hagrp -online group -sys system

停止 

hares -offline resource -sys system

hagrp -offline group -sys system

HA 環境以外でサービスを起動および停止するには

サービスは、コンソールまたはコマンド行を使って起動および停止できます。ほかに必要な操作は、サーバーが実際に使用しているサービスを実行するだけです。たとえば、MTA (Message Transfer Agent) として、特定の Messaging Server を 1 つだけ使用している場合は、MTA だけを起動できます。また、保守、修復、セキュリティー上の必要からサーバーをシャットダウンしなければならない場合は、影響が及ぶサービスだけを停止できます。実行する予定のないサービスは、停止するのではなく無効にしてください。


注 –

POP、IMAP、HTTP などの各サービスを起動または停止するには、まずそれらを使用可能な状態にする必要があります。詳細は、「サービスの有効化と無効化」を参照してください。


重要: サーバープロセスがクラッシュすると、ほかのプロセスがハングアップする可能性があります。これは、それらのプロセスが、クラッシュしたサーバープロセスによって保持されていたロックを待機しているためです。自動再起動 (「障害が発生したサービスや応答がないサービスの自動再起動」を参照) を使用していない場合で、サーバープロセスがクラッシュした場合は、すべてのプロセスを停止し、再起動するようにしてください。これには、POP、IMAP、HTTP、MTA の各プロセス、stored (メッセージストア) プロセス、およびメッセージストアを変更するすべてのユーティリティーが含まれます。このユーティリティーには、mboxutildeliverreconstruct readershipupgrade などがあります。

コンソール: コンソールでは、個々のサービスを起動または停止したり、各サービスに関するステータス情報を表示したりできます。

フォームには、IMAP、POP、SMTP、および HTTP の各サービスに対し、現在の状態 (オンまたはオフ) が表示されます。また、サービスが実行中である場合には、そのサービスが最後に起動した時刻が表示されます。このフォームでは、その他のステータス情報も表示できます。

メッセージングサービスを起動またはシャットダウンしたり、そのステータスを表示するには、次の手順に従います。

Procedureメッセージングサービスの起動、シャットダウン、またはステータスの表示を行うには

手順
  1. コンソールで、サービスを起動または停止する Messaging Server を開きます。

  2. 次のいずれかの方法で、「サービスの一般構成」フォームを表示します。

    1. 「タスク」タブをクリックし、「サービスの起動/停止」をクリックします。

    2. 「設定」タブをクリックし、左側のペインの「サービス」フォルダ選択します。次に、右側のペインで「一般」タブをクリックします。

  3. 「サービスの一般構成」フォームが表示されます。

    「プロセスコントロール」フィールドの左側のカラムには、サーバーによってサポートされているサービスの一覧が表示されます。右側のカラムには、各サービスの基本ステータスが表示されます (オンまたはオフ。オンの場合は、前回起動したときの時刻)。

  4. 現在実行中のサービスに関するステータス情報を表示するには、「プロセスコントロール」フィールドでそのサービスを選択します。

    「サービスステータス」フィールドに、そのサービスに関するステータス情報が表示されます。

    POP、IMAP、および HTTP の場合、フィールドには、最終接続時間、合計接続数、現在の接続数、最後にサービスを起動してから接続に失敗した回数、最後にサービスを起動してからログインに失敗した回数が表示されます。

    このフィールドの情報を確認すれば、サーバーにかかる負荷やそのサービスの信頼性などを把握できます。また、サーバーのセキュリティーに対する攻撃を調べるのにも役立ちます。

  5. サービスを起動するには、「プロセスコントロール」フィールドでそのサービスを選択し、「起動」をクリックします。

  6. サービスを停止するには、「プロセスコントロール」フィールドでそのサービスを選択し、「停止」をクリックします。

  7. 有効なサービスをすべて起動または停止するには、「すべて起動」ボタンまたは「すべて停止」ボタンをクリックします。

    コマンド行: start-msg および stop-msg コマンドを使って、任意のメッセージングサービス (smtpimappop storehttpenssched) を起動または停止できます。次に例を示します。

    msg_svr_base/sbin/start-msg imap

    msg_svr_base/sbin/stop-msg pop

    msg_svr_base/sbin/stop-msg sched

    msg_svr_base/sbin/stop-msg smtp

    サービスを停止または起動するには、サービスが有効になっている必要があります。「起動するサービスを指定するには」を参照してください。


    注 –

    start-msg smtp および stop-msg コマンドを実行すると、SMTP サーバーだけでなく、すべての MTA サービスが起動または停止します。特定の MTA サービスだけを起動または停止する場合は、ディスパッチャおよびジョブコントローラに対して start/stop msg コマンドを使用します。詳細については、『Sun Java System Messaging Server 6 2005Q4 Administration Reference』「start-msg」および『Sun Java System Messaging Server 6 2005Q4 Administration Reference』「stop-msg」を参照してください。


起動するサービスを指定するには

デフォルトでは、start-msg を使って次のサービスが起動されます。


#./start-msg
Connecting to watcher ...
Launching watcher ...
Starting ens server .... 21132
Starting store server .... 21133
checking store server status ... ready
Starting imap server .... 21135
Starting pop server .... 21138
Starting http server .... 21141
Starting sched server .... 21143
Starting dispatcher server .... 21144
Starting job_controller server .... 21146

これらのサービスは、次の configutil パラメータを有効化または無効化することによって制御できます。service.imap.enableservice.pop.enableservice.http.enablelocal.smsgateway.enablelocal.snmp.enablelocal.imta.enablelocal.mmp.enablelocal.ens.enable、および local.sched.enable。IMAP を無効にするには、service.imap.enableservice.imap.enablesslport の両方を 0 に設定する必要があります。POP および HTTP の場合も同様です。これらのパラメータの機能の詳細については、『Sun Java System Messaging Server 6 2005Q4 Administration Reference』「configutil Parameters」を参照してください。

障害が発生したサービスや応答がないサービスの自動再起動

Messaging Server では、watchermsprobe の 2 つのプロセスが提供されています。これらのプロセスによってサービスは透過的に監視され、クラッシュしたり応答がなくなった (ハングアップしている) 場合には、自動的に再起動されます。watcher はサーバークラッシュを監視します。msprobe は応答時間をチェックすることでサーバーハングアップを監視します。サーバーでエラーが発生した場合や、サーバーが要求に応答しなくなった場合、サーバーは自動的に再起動されます。表 4–4 を参照してください。

表 4–4 watcher と msprobe で監視されるサービス

watcher (クラッシュ) 

msprobe (応答しないハングアップ) 

IMAP、POP、HTTP、ジョブコントローラ、ディスパッチャ、メッセージストア (stored)、imsched、MMP (LMTP/SMTP サーバーはディスパッチャによって監視され、LMTP/SMTP クライアントは job_controller によって監視される。)

IMAP、POP、HTTP、証明書、ジョブコントローラ、メッセージストア (stored)、imsched、ENS、LMTP、SMTP

local.watcher.enable=on (デフォルト) を設定すると、プロセスの失敗と応答しないサービスが監視され、default ログ ファイルに特定の失敗を示すエラーメッセージが記録されます。サーバーの自動再起動を有効にするには、configutil のパラメータ local.autorestartyes に設定します。デフォルトでは、このパラメータは no に設定されています。

メッセージストアのサービスのどれかが失敗またはフリーズした場合、起動時に有効にしたすべてのメッセージストアのサービスが再起動されます。たとえば、imapd が失敗すると、少なくとも stored および imapd が再起動されます。POP または HTTP サーバーなど、メッセージストアのほかのサービスが実行されている場合、それらのサービスも失敗や成功にかかわらず再起動されます。

自動再起動は、メッセージストアユーティリティーが失敗またはフリーズした場合にも機能します。たとえば、mboxutil が失敗またはフリーズした場合、すべてのメッセージストアサービスが再起動されます。ただし、ユーティリティーは再起動されません。msprobe は 10 分ごとに実行されています。サービスとプロセスの再起動は 10 分間に最大 2 回実行されます (local.autorestart.timeout を使用して設定可能)。

local.autorestartyes に設定されているかどうかにかかわらず、サービスはシステムによって監視され、失敗または応答なしのエラーメッセージがコンソールおよび msg_svr_base/data/log/watcher に送信されます。watcher はデフォルトではポート 49994 を待機しますが、これは local.watcher.port を使って設定可能です。

watcher ログファイルが msg_svr_base/data/log/watcher に生成されます。このログファイルは、ログが記録されるシステムでは管理されません (ロールオーバーおよび消去は行われない)。このログファイルにはすべてのサーバーの起動と停止が記録されます。ログの例を次に示します。


watcher process 13425 started at Tue Oct 21 15:29:44 2003

Watched ’imapd’ process 13428 exited abnormally
Received request to restart:  store imap pop http
Connecting to watcher ...
Stopping http server 13440 .... done
Stopping pop server 13431 ... done
Stopping pop server 13434 ... done
Stopping pop server 13435 ... done
Stopping pop server 13433 ... done
imap server is not running
Stopping store server 13426 .... done
Starting store server .... 13457
checking store server status ...... ready
Starting imap server ..... 13459
Starting pop server ....... 13462
Starting http server ...... 13471

      

この機能の設定方法の詳細については、「msprobe および watcher 関数を使用した監視」を参照してください。

msprobeimsched によって制御されます。imsched がクラッシュすると、このイベントは watcher によって検出され、再起動がトリガされます (自動再起動が有効になっている場合)。ただし、ごくまれに imsched がハングアップした場合は、kill imsched_pid を使用して imsched を強制終了する必要があります。これにより、imsched が watcher によって再起動されます。

高可用性の配備での自動再起動

可用性が高い配備での自動再起動には、次の configutil パラメータを設定する必要があります。

表 4–5 HA 自動再起動パラメータ

パラメータ 

説明/HA 値 

local.watcher.enable

watcher の有効化です。On (デフォルトは On) 

local.autorestart

autorestart の有効化です。On 

local.autorestart.timeout

再試行失敗のタイムアウトです。ここに指定した時間内でサーバーに 3 回以上障害が発生すると、システムはサーバーの再起動を試行しなくなります。HA システムでこれが発生すると、Messaging Server がシャットダウンし、別のシステムへのフェイルオーバーが行われます。値 (秒単位で指定) は、msprobe の間隔 (local.schedule.msprobe) よりも長い時間に設定する必要があります。

local.schedule.msprobe

msprobe の実行スケジュールです。crontab 形式でスケジュールを示す文字列です (表 18–10 を参照)。デフォルトは 600 秒です。

自動タスクをスケジュールするには

Messaging Server は、imsched というプロセスを使って一般的なタスクスケジュールを行うメカニズムを提供します。これは、Messaging Server の現在のバージョンのプロセスをスケジュールするためのものです。Messaging Server の現在のバージョン以外のタスクのスケジューリングはサポートされていません。これは、local.schedule.taskname configutilパラメータを設定して有効にします。スケジュールを変更している場合は、コマンド stop-msg sched および start-msg sched を使用してスケジューラを再起動するか、refresh sched でスケジューラプロセスを更新する必要があります。

パラメータには、コマンドとコマンドを実行するスケジュールが必要です。形式は次のとおりです。

configutil -o local.schedule.taskname -v “schedule

taskname は、このコマンドとスケジュールの組み合わせを示す一意の名前です。

schedule は次の形式をとります。

minute hour day-of-month month-of-year day-of-week command args

command args (コマンド 引数) は、Messaging Server の任意のコマンドとその引数をとることができます。コマンドのパス名は、完全指定でなければなりません。

minute hour day-of-month month-of-year day-of-week (分 時 日付 月 曜日) は、コマンドを実行するスケジュールです。UNIX の crontab の書式に従います。

値は空白文字またはタブ文字で区切られ、値の範囲は、分は 0 〜 59、時は 0 〜 23、日付は 1 〜 31、月は 1 〜 12、曜日は 0 〜 6 (0 = 日曜日) となります。各時間フィールドには、アスタリスク (すべての取りうる値)、コンマ区切りの値のリスト、またはハイフンで区切られた 2 つの値による範囲を使用することもできます。日は日付と曜日の両方を使用して指定します。両方の使用を指定した場合には、どちらの値も必要です。たとえば、月の 17 日目と火曜日を設定すると、コマンドは、火曜日で、かつ 17 日である場合だけ実行されます。表 18–10 を参照してください。

スケジューラを変更している場合は、コマンド stop-msg sched および start-msg sched を使用してスケジューラを再起動するか、SIGHUP をスケジューラプロセスに送信する必要があります。

kill -HUP scheduler_pid

スケジューラの例

次の例では、冗長モードで imexpire を 12:30am、8:30am、および 4:30pm に実行します。


configutil -o local.schedule.rm_messages -v “30 0,8,16 * * *” 
/opt/SUNWmsgsr/sbin/imexpire -v

次の例では、MTA チャネルキューのメッセージカウンタを 20 分おきに表示します。


configutil -o local.schedule.counters -v “20,40,60 * * * *” 
/opt/SUNWmsgsr/sbin/imsimta qm counters -show > temp.txt

次の例では、imsbackup を月曜日から金曜日の真夜中 (12 am) に実行します。


configutil -o local.schedule.msbackup -v “0 0 * * 1-5” 
/opt/SUNWmsgsr/sbin/imsbackup -f backupfile /primary

グリーティングメッセージを設定するには

Messaging Server では、コンソールまたはパラメータを使って、新規ユーザーに送る電子メールグリーティングメッセージを作成できます。

Procedureコンソールを使って新規ユーザーへのグリーティングを作成するには

手順
  1. コンソールで、新規ユーザーへのグリーティングを設定する Messaging Server を開きます。

  2. 「設定」タブをクリックします。左側のペインでサーバーのアイコンが強調表示されていない場合は、アイコンを選択します。

  3. 右側のペインの「その他」タブを選択します。

  4. 必要に応じて、新規ユーザーへのグリーティングを作成または変更します。

    電子メールメッセージと同じように、グリーティングメッセージの書式を設定する必要があります。まずヘッダー (少なくとも件名行を含める) を入力し、1 行空けて、メッセージ本文を入力します。

    メッセージを作成する際は、メッセージフィールドの上にあるドロップダウンリストを使って言語を指定します。必要に応じて、複数の言語で複数のメッセージを作成することも可能です。

  5. 「保存」をクリックします。

    コマンド行: コマンド行を使って新規ユーザーへのグリーティングメッセージを作成するには、次のように入力します。

    configutil -o gen.newuserforms -v Message

    Message には少なくとも件名行を含むヘッダーがあり、$$、メッセージ本文がその後に続いている必要があります。$ は、新しい行を表します。

    たとえばこのパラメータを有効にするため、次のように設定変数を設定することができます。

    configutil -o gen.newuserforms -v ’Subject: Welcome!! $$ Sesta.com welcomes you to the premier internet experience in Dafandzadgad!

    使用しているシェルによっては、$ の前に特殊文字を追加して、$ が持つ特殊な意味をエスケープする必要があることもあります。(ほとんどの場合、$ はシェルのエスケープ文字。)

ドメイン単位のグリーティングメッセージを設定するには

新規のホストしているドメインを作成する場合は常に、サポートされている言語のドメイン単位のグリーティングメッセージを作成することをお勧めします。これを行わない場合は、gen.newuserforms によって設定されている一般的なグリーティングメッセージが送信されます。

新規ユーザーへのグリーティングメッセージは、ドメインごとに設定できます。メッセージは、ユーザー、ドメイン、またはサイトの優先言語に応じて変えることができます。これを行うには、対象の LDAP ドメインエントリの mailDomainWelcomeMessage 属性を設定します。属性の構文は次のとおりです。


mailDomainWelcomeMessage;lang-user_prefLang
mailDomainWelcomeMessage;lang-domain_prefLang
mailDomainWelcomeMessage;lang-gen.sitelanguage

次の例では、英語のドメインのグリーティングメッセージが設定されています。

mailDomainWelcomeMessage;lang-en: Subject: Welcome!! $$Welcome to the mail system.

次の例では、フランス語のドメインのグリーティングメッセージが設定されています。

mailDomainWelcomeMessage;lang-fr: Subject: Bienvenue!! $$Bienvenue a siroe.com!

上記の例から、次のことを仮定します。

サポートされるロケールおよびその言語値タグの一覧は、Directory Server Reference Manualを参照してください。

ユーザーは、初めてログインしたとき、フランス語のグリーティングメッセージを受信します。フランス語のグリーティングメッセージが使用不可の場合、英語のグリーティングメッセージを受信します。

グリーティングメッセージの動作方式

グリーティングメッセージは、LDAP 属性 mailDomainWelcomeMessage と configutil パラメータ gen.newuserforms の両方によって設定できます。メッセージが選択される順序を、優先順位の高い順に次に示します。


mailDomainWelcomeMessage;lang-user_prefLang
mailDomainWelcomeMessage;lang-domain_prefLang
mailDomainWelcomeMessage;lang-gen.sitelanguage
mailDomainWelcomeMessage
gen.newuserforms;lang-"$user-prefLang"
gen.newuserforms;lang-"$domain-prefLang"
gen.newuserforms;lang-"$gen.sitelanguage"
gen.newuserforms

アルゴリズムは次のように機能します。ドメインが存在しない場合 (または存在してもドメイン単位のグリーティングメッセージが提供されない場合)、gen.newuserforms パラメータが指定されていれば、このパラメータを使ってグリーティングメッセージが設定されます。ユーザーに優先言語があり (preferredlanguage LDAP 属性で設定)、gen.newuserforms;lang-user_prefLang が設定されていれば、ユーザーはサーバーに最初にログインしたときにグリーティングメッセージを受信します。gen.newuserforms;lang-gen.sitelanguage が設定されていて、preferredlanguage が設定されていない場合で、サイト言語が設定 (gen.sitelanguage パラメータを使用) されている場合、ユーザーはメッセージを受信します。言語タグのパラメータが設定されていない場合は、タグなしの gen.newuserforms が設定されていれば、そのメッセージがユーザーに送信されます。いずれの値も設定されていない場合は、ユーザーはグリーティングメッセージを受信しません。

ユーザーがドメインに所属している場合は、上記の説明と同様に、ユーザーは mailDomainWelcomeMessage;lang-xx のうちのいずれかを受信します。受信するメッセージは、どのメッセージがリストおよび所定の順序で使用可能であるかによって異なります。

次に例を示します。ドメインは siroe.com です。ドメインの優先言語はドイツ語 (de) です。しかし、このドメインの新規ユーザーの優先言語はトルコ語 (tr) です。サイト言語は英語です。使用できる値は次のとおりです (mailDomainWelcomeMessage はドメイン siroe.com の属性)。


mailDomainWelcomeMessage;lang-fr
mailDomainWelcomeMessage;lang-ja
gen.newuserforms;lang-de
gen.newuserforms;lang-en
gen.newuserforms

アルゴリズムに従って、ユーザーに送信されるメッセージは gen.newuserforms;lang-de になります。

ユーザーの優先言語を設定するには

管理者は、ユーザーの LDAP エントリの属性 preferredLanguage を設定することで、GUI およびサーバーで生成されるメッセージの優先言語を設定できます。

サーバーの管理ドメイン外のユーザーにメッセージを送信する場合、サーバーはそのユーザーの優先言語は判断できません。ただし、その着信メッセージが、ヘッダーに優先言語が指定された着信メッセージへの応答である場合を除きます。これらのヘッダーフィールド (accept-languagePreferred-Language、または X-Accept-Language) は、ユーザーのメールクライアントで指定された属性に応じて設定されています。

優先言語に対して複数の設定がある場合、たとえば、Directory Server に保存されている優先言語属性とメールクライアントで指定された優先言語があるような場合は、次の順序で優先言語が選択されます。

  1. 元のメッセージの accept-language ヘッダーフィールド

  2. 元のメッセージの Preferred-Language ヘッダーフィールド

  3. 元のメッセージの X-Accept-Language ヘッダーフィールド

  4. 差出人の優先言語属性 (LDAP ディレクトリで見つかった場合)

ドメインの優先言語を設定するには

ドメインの優先言語は、特定のドメイン用に指定されているデフォルトの言語です。たとえば、mexico.siroe.com というドメイン用にスペイン語を指定するとします。管理者は、ドメインの LDAP エントリの属性 preferredLanguage を設定することでドメインの優先言語を設定できます。

Procedureコンソールからサーバーサイト言語を設定するには

次の手順に従って、サーバーのデフォルトサイト言語を指定できます。ユーザーの優先言語が設定されていない場合は、サイト言語を使用して特定言語のメッセージを送信します。

手順
  1. 設定を行う Messaging Server を開きます。

  2. 「設定」タブをクリックします。

  3. 右側のペインの「その他」タブをクリックします。

  4. 「サイト言語」ドロップダウンリストで、使用する言語を選択します。

  5. 「保存」をクリックします。

    コマンド行: 次に示すように、コマンド行でサイト言語を指定することもできます。

    configutil -o gen.sitelanguage -v value

    value には、ローカルでサポートされているいずれかの言語を指定できます。サポートされるロケールおよびその言語値タグの一覧は、『Sun Java System Directory Server 5 2005Q1 Administration Guide』の第 5 章を参照してください。

ディレクトリ検索をカスタマイズするには

Messaging Server は、Sun Java System Directory Server などの LDAP ベースのディレクトリシステムがないと機能しません。Messaging Server およびコンソールには、多くの目的を果たすためにディレクトリアクセスが必要です。例:

これらのディレクトリの構成設定は、次に示す方法で変更できます。

別のユーザーディレクトリに接続してユーザーやグループを検索するように Messaging Server を再設定するかどうかは、管理者の判断次第です。通常は、サーバーの管理ドメインを定義しているユーザーディレクトリがドメイン内のすべてのサーバーによって使用されます。


注 –

Messaging Server の検索用にカスタムユーザーディレクトリを指定した場合は、コンソールの「ユーザーおよびグループ」インタフェースにアクセスして、そのディレクトリのユーザー情報またはグループ情報を変更するときにも同じディレクトリを指定する必要があります。


Procedureコンソールを使って Messaging Server LDAP ユーザー検索設定を変更するには

手順
  1. コンソールから、LDAP 接続をカスタマイズする Messaging Server を開きます。

  2. 「設定」タブをクリックします。

  3. 左側のペインで「サービス」フォルダを選択します。

  4. 右側のペインで「LDAP」タブを選択します。LDAP フォームが表示されます。

    LDAP フォームには、設定ディレクトリとユーザーディレクトリの構成設定が表示されます。ただし、このフォーム内の設定ディレクトリの設定は読み取り専用です。これらの設定を変更する必要がある場合は、『 Sun ONE Server Console 5.2 Server Management Guide』の管理サーバーに関する章を参照してください。

  5. ユーザーディレクトリの接続設定を変更するには、「Messaging Server 固有のディレクトリ設定を使用」ボックスをクリックします。

  6. 次に示す情報を入力または変更して、LDAP 構成を更新します (「識別名」などの用語の定義やディレクトリの概念については、『Directory Server 管理ガイド』を参照)。

    ホスト名: インストールのユーザー情報を含むディレクトリがあるホストマシンの名前。通常、これは Messaging Server ホストとは別のものです。ただし、非常に小規模のインストールでは、同じ場合もあります。

    ポート番号: Messaging Server がユーザー検索用のディレクトリにアクセスするときに使用するディレクトリホストのポート番号。この番号は、ディレクトリ管理者が定義するもので、必ずしもデフォルトのポート番号 (389) である必要はありません。

    ベース DN: 検索ベース (ユーザー検索の開始点を示すディレクトリエントリの識別名)。ディレクトリツリー内で検索ベースが目的の情報に近いほど、検索処理は速くなります。ディレクトリツリーに「people」や「users」などの分岐がある場合は、それを開始点にするのが妥当です。

    バインド DN: Messaging Server が検索を行うために Directory Server に接続する際、その Messaging Server を識別するために使われる名前。バインド DN は、ディレクトリのユーザー部分に対する検索特権がある、ユーザーディレクトリのエントリの識別名でなければなりません。ディレクトリに対して匿名検索アクセスを許可する場合は、このエントリを指定しないことも可能です。

  7. ユーザー検索のために LDAP ディレクトリに対してこの Messaging Server の認証を行う際に、バインド DN とともに使用するパスワードを変更するには、「バインドパスワードの変更」ボタンをクリックします。「パスワード入力」ウィンドウが表示されたら、そこに新しいパスワードを入力します。

    この場合に使用するパスワードは、個別のセキュリティーポリシーによって決まります。最初、パスワードは「パスワードなし」に設定されています。「バインド DN」フィールドに何も入力しないで匿名アクセスを指定した場合、パスワードは使用しません。

    この手順により、サーバー構成に保存されているパスワードは更新されますが、LDAP サーバー内のパスワードは変更されません。また、このアカウントは、デフォルトで PAB 検索にも使用されます。パスワードを変更したら、次に示す 2 つの操作を行う必要があります。

  8. 設定属性 local.ugldapbinddn で指定されているユーザーのパスワードを変更します。このユーザーアカウントは、設定属性 local.ugldaphost に指定されているディレクトリサーバー内にあります。

  9. local.service.pab.ldapbinddn および local.service.pab.ldaphost 属性で指定されているものと同じアカウントが PAB アクセスで使用されている場合は、local.service.pab.ldappasswd に保存されているパスワードも更新する必要があります。

    デフォルトのユーザーディレクトリに戻るには、「Messaging Server 固有のディレクトリ設定を使用」ボックスのチェックマークを外します。

    コマンド行: 次に示すように、コマンド行でユーザーディレクトリの接続設定の値を設定することもできます。上記の手順 8 および 9 で説明しているように、LDAP および PAB パスワードも必ず設定してください。

    Messaging Server 固有のディレクトリ設定を使用するかどうかを指定するには、次のように入力します。

    configutil -o local.ugldapuselocal -v [ yes | no ]

    ユーザー検索用の LDAP ホスト名を指定するには、次のように入力します。

    configutil -o local.ugldaphost -v name[: port_number]

    ユーザー検索用の LDAP ポート番号を指定するには、次のように入力します。

    configutil -o local.ugldapport -v number

    ユーザー検索用の LDAP ベース DN を指定するには、次のように入力します。

    configutil -o local.ugldapbasedn -v basedn

    ユーザー検索用の LDAP バインド DN を指定するには、次のように入力します。

    configutil -o local.ugldapbinddn -v binddn

暗号化の設定

コンソールを使用すると、Messaging Server の SSL (Secure Sockets Layer) 暗号化および認証を有効にしたり、サーバーがすべてのサービスにわたってサポートする特定の符合化方式を選択できます。

この作業は一般的な設定タスクですが、「SSL を有効化し暗号化方式を選択するには」で説明します。この章には、すべてのセキュリティーに関する背景情報や Messaging Server のアクセス制御に関するトピックも記載されています。

LDAP サーバーフェイルオーバーを設定する

複数の LDAP サーバーをユーザーまたはグループディレクトリとして指定することができます。これによって、1 つのサーバーに障害が発生しても別のサーバーが処理を引き継ぎます。

ProcedureLDAP サーバーフェイルオーバーを設定するには

手順
  1. local.ugldaphost を複数の LDAP マシンに設定します。次に例を示します。

    configutil -o local.ugldaphost -v "server1 server2 ..."

  2. local.ugldapuselocalyes に設定します。これによって、ユーザーまたはグループの LDAP 設定データはローカル設定ファイルに保存されます。これ以外の場合は、LDAP に保存されます。次に例を示します。

    configutil -o local.ugldapuselocal -v yes

    リストにある最初のサーバーに障害が発生した場合、既存の LDAP 接続はダウンしたとみなされ、新しい接続が確立されます。新規の LDAP 接続が必要な場合、LDAP ライブラリはすべての LDAP サーバーをリストされている順序で試します。

    ユーザーまたはグループディレクトリ用のフェイルオーバーと同様に、設定ディレクトリ用のフェイルオーバーサーバーを設定することもできます。設定属性は local.ldaphost です。